マンション管理組合の運営において、適切な会計処理や税務申告は避けて通れない重要な課題です。特に近年では、駐車場収入や携帯電話基地局の設置収入など、収益事業を行う管理組合が増加しており、税務の専門家である税理士の必要性が高まっています。しかし、一般的な営利企業とは異なる特殊な性質を持つマンション管理組合において、真に頼れる税理士を見つけることは容易ではありません。
この記事では、マンション管理組合の理事長や理事、修繕委員の方々に向けて、マンション管理組合に強い税理士を探すための具体的な方法や選定ポイント、依頼するメリットなどを網羅的に解説します。専門的な知識を持ったパートナーを見つけ、健全で透明性の高い組合運営を実現するための一助となれば幸いです。
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マンション管理組合に強い税理士を探す方法
- マンション管理組合の定義
- マンション管理組合の特徴
- マンション管理組合の環境
- マンション管理組合に携わるの方の税理士に対するニーズ
- マンション管理組合における経理や税務の特徴
- マンション管理組合における税理士の提供するサービス
- マンション管理組合における税理士を活用するメリット
- マンション管理組合における税理士を活用するデメリット
- マンション管理組合に強い税理士を探すポイント
- マンション管理組合に強い税理士を探す方法
- マンション管理組合で税理士を探すタイミング
- マンション管理組合に強い税理士の費用相場
- マンション管理組合に強い税理士と契約するまでのプロセス
- マンション管理組合において税理士の切替を検討する場合
- マンション管理組合で税理士に対してよくある質問と回答
- マンション管理組合に強い税理士を探す方法 まとめ
マンション管理組合の定義
マンション管理組合とは、「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」に基づき、分譲マンションの建物や敷地、附属施設を管理するために設立される団体のことです。マンションを購入し区分所有者となった時点で、本人の意思に関わらず自動的に構成員となります。
法的な位置づけとしては、法人格を持たない「権利能力なき社団」として扱われることが一般的ですが、一定の手続きを経て法人格を取得し「管理組合法人」となることも可能です。いずれの形態であっても、その目的は営利を追求することではなく、マンションという共有財産の資産価値を維持し、居住者が快適に生活できる環境を確保することにあります。
この「非営利性」と「強制加入団体」という性質が、マンション管理組合の運営や会計、税務において独自の特徴を生み出す根源となっています。一般的な株式会社などの営利法人とは異なり、利益を配当することが目的ではないため、会計のルールや税金の考え方も特殊なものとなります。
マンション管理組合の特徴
マンション管理組合には、他の組織にはない際立った特徴がいくつか存在します。まず、構成員である区分所有者全員が、マンションの維持管理という共通の目的を持ちながらも、それぞれの生活背景や価値観、経済状況が異なるという点です。居住用として利用している人もいれば、投資用として賃貸に出している人もいます。また、永住を考えている人もいれば、将来的な売却を想定している人もいるでしょう。このような多様な利害関係者の合意形成を図りながら運営していくことが、管理組合の大きな特徴であり難しさでもあります。
次に、収入の柱が「管理費」と「修繕積立金」であるという点です。これらは区分所有者から徴収するものであり、マンションの日常的な維持管理や将来の大規模修繕工事に充てられます。原則として、これらの収入は非課税として扱われますが、外部に対して駐車場を貸し出したり、敷地内に自動販売機を設置したりして得た収入は「収益事業」とみなされ、課税対象となる場合があります。この「原則非課税、一部課税」という複雑な構造が、税務処理を難しくしている要因の一つです。
さらに、役員(理事)が輪番制などで定期的に交代するという点も特徴的です。多くの管理組合では、1年や2年ごとに理事が入れ替わります。そのため、会計や税務に関する知識やノウハウが蓄積されにくく、継続的な管理体制を維持することが課題となりがちです。専門知識を持たない住民が運営主体となるため、管理会社や税理士といった外部専門家のサポートが不可欠な構造になっているのです。
マンション管理組合の環境
現在、マンション管理組合を取り巻く環境は大きく変化しており、かつてないほどの厳しい課題に直面しています。その筆頭が「建物の高経年化」と「居住者の高齢化」という二つの老いです。築年数が経過したマンションでは、設備の老朽化や耐震性の問題などが顕在化し、修繕積立金の不足が深刻な問題となっています。一方で、居住者の高齢化により、管理費や修繕積立金の値上げに対する合意形成が難しくなったり、役員のなり手不足が深刻化したりしています。
また、社会情勢の変化に伴い、マンションの収益構造も変化しています。例えば、若者の車離れによる駐車場の空き区画問題です。空き区画を埋めるために外部の第三者に駐車場を貸し出すケースが増えていますが、これは税務上の「収益事業」に該当し、法人税等の申告納税義務が発生する可能性があります。同様に、携帯電話基地局の設置や太陽光発電による売電収入など、新たな収益源を確保しようとする動きも活発化しており、それに伴って税務リスクも高まっています。
さらに、法改正の影響も無視できません。インボイス制度(適格請求書等保存方式)の導入は、マンション管理組合にも大きな影響を与えています。課税事業者となるべきか、免税事業者のままでいるべきか、テナントや工事業者との取引においてどのような対応が必要かなど、高度な判断が求められる場面が増えています。このような複雑化する環境下において、管理組合だけで適正な運営を行うことは限界に近づいており、専門家の知見がますます必要とされているのです。
マンション管理組合に携わるの方の税理士に対するニーズ
マンション管理組合の理事長や会計担当理事は、税理士に対してどのようなニーズを持っているのでしょうか。最も基本的かつ切実なニーズは、「税務申告の要否を正しく判断してほしい」というものです。自分たちの行っている活動が収益事業に該当するのか、納税の義務があるのかどうかを、専門家の視点から明確に判断してほしいという要望です。もし申告が必要なのであれば、無申告によるペナルティ(加算税や延滞税)を避けるために、適正な申告を行いたいと考えています。
次に多いのが、「節税対策」へのニーズです。収益事業を行っている場合、その利益に対して税金がかかりますが、管理組合としては可能な限り手元に資金を残し、将来の修繕積立金に充てたいと考えます。共通経費の合理的な按分計算など、法的に認められた範囲内で最大限の節税を行い、組合の財産を守りたいという思いがあります。
また、「会計処理の透明性と正確性の確保」も重要なニーズです。管理組合のお金は区分所有者全員の大切な財産です。その使途や管理状況について、疑義を持たれないよう、第三者である専門家のチェックを受けたいという要望があります。特に、大規模修繕工事などで大きなお金が動く際や、管理会社に業務を委託している場合の牽制機能として、税理士による監査や記帳のチェックを求める声が多くなっています。
さらに、「インボイス制度や電子帳簿保存法などの新制度への対応」も急増しているニーズです。制度が複雑で理解が難しいため、自組合にとってどのような影響があるのか、具体的にどのような手続きが必要なのかを分かりやすく解説し、実務をサポートしてほしいと願っています。そして、輪番制で専門知識を持たない理事が多いため、「専門用語を使わずに分かりやすく説明してほしい」「理事会や総会で住民に対して説明してほしい」というコミュニケーション面でのサポートも強く求められています。
マンション管理組合における経理や税務の特徴
マンション管理組合の経理や税務には、一般企業とは異なる独特のルールや慣習が存在します。ここを理解していないと、適切な税理士選びも難しくなります。
まず経理面では、「区分経理」が基本となります。管理費会計(一般会計)と修繕積立金会計(特別会計)を明確に区分して管理することが求められます。これは、日常的な経費に充てるお金と、将来の大規模修繕のために積み立てるお金を混同しないためです。さらに、収益事業を行っている場合は、収益事業に関する会計とそれ以外の会計を区分する必要があります。この「収益事業と非収益事業の区分経理」は税務申告において非常に重要であり、共通して発生する経費(管理人の人件費や事務所の光熱費など)をどのように按分するかによって、納税額が大きく変わってきます。
税務面における最大の特徴は、「原則非課税、例外課税」という構造です。マンション管理組合は法人税法上の「人格のない社団等」に該当するため、原則として法人税は課されません。しかし、法人税法で定められた34業種の収益事業(駐車場業、不動産貸付業など)を継続して営む場合には、その事業から生じた所得に対してのみ法人税が課税されます。
ここで注意が必要なのが、駐車場の貸し出しです。区分所有者のみに貸し出している場合は収益事業に該当しませんが、空き区画を外部の第三者に貸し出した途端に、その部分は収益事業とみなされ課税対象となります。また、携帯電話基地局の設置料収入や、敷地内の自動販売機設置による手数料収入なども収益事業に該当する可能性が高いです。
消費税についても注意が必要です。基準期間(前々事業年度)の課税売上高が1,000万円を超える場合、消費税の納税義務が発生します。駐車場収入やテナント賃料などの課税売上が一定額を超えると、消費税の申告・納付が必要となります。インボイス制度導入後は、課税売上高が1,000万円以下であっても、適格請求書発行事業者としての登録を行えば消費税の申告が必要となるため、より慎重な判断が求められます。
マンション管理組合における税理士の提供するサービス
マンション管理組合に強い税理士は、一般的な税務顧問業務に加えて、管理組合特有の事情に合わせた専門的なサービスを提供しています。
収益事業の判定と税務申告
管理組合が行っている活動内容を精査し、どれが収益事業に該当し、どれが非収益事業なのかを正確に判定します。その上で、法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税などの申告書を作成し、税務署や自治体へ提出します。特に、収益事業と非収益事業に共通する経費の按分計算は専門知識が必要なため、税理士の腕の見せ所となります。
消費税の申告とインボイス対応
消費税の納税義務の有無を判定し、申告が必要な場合は申告書の作成を行います。また、インボイス制度への対応として、適格請求書発行事業者の登録申請手続きや、インボイス発行に伴う請求書・領収書の様式変更のアドバイス、仕入税額控除の計算などを行います。
記帳代行と月次決算
管理会社に会計業務を委託していない自主管理の組合や、より厳密な会計管理を求める組合に対して、日々の入出金記録から会計帳簿を作成する記帳代行サービスを提供します。また、毎月または四半期ごとに試算表を作成し、予算と実績の比較や資金繰りの状況を報告します。
会計監査と決算報告
管理会社が作成した決算書や会計帳簿を第三者の立場でチェックし、適正に処理されているかを監査します。通帳の残高確認や領収書の突合などを行い、不正や誤りがないかを確認します。そして、通常総会に出席し、監査結果や決算内容について組合員に分かりやすく報告・説明するサービスも行っています。
税務相談と経営アドバイス
理事会からの税務に関する質問に回答したり、将来の修繕積立金のシミュレーションを行ったりします。また、未収金の回収方法や管理規約の改正、管理会社の変更など、税務以外の運営面に関する相談に乗り、必要に応じて弁護士やマンション管理士などの他士業を紹介することもあります。
マンション管理組合における税理士を活用するメリット
マンション管理組合が税理士を活用することには、単なる事務処理の代行以上に大きなメリットがあります。
税務リスクの回避とコンプライアンス遵守
最大のメリットは、税務リスクを回避できることです。収益事業を行っているにもかかわらず無申告のままでいると、税務署からの指摘により過去に遡って税金を徴収されるだけでなく、無申告加算税や延滞税といったペナルティを科される恐れがあります。専門家である税理士に依頼することで、適正な申告・納税を行い、こうしたリスクを未然に防ぐことができます。また、法令遵守(コンプライアンス)の姿勢を示すことで、組合員からの信頼を得ることにもつながります。
適正な節税による資金確保
税理士は、税法の範囲内で認められる最大限の節税対策を提案してくれます。特に、収益事業と非収益事業の共通経費の按分比率を合理的に算定することで、課税所得を圧縮し、納税額を抑えることが可能です。節税によって浮いた資金は、将来の大規模修繕工事や設備のグレードアップに充てることができ、マンションの資産価値維持に貢献します。
会計の透明性と信頼性の向上
第三者である税理士が会計をチェックすることで、管理費や修繕積立金の使い込みなどの不正を抑止する効果があります。また、プロの目で作成された正確な決算書は、組合員に対する説明責任を果たす上で強力な武器となります。会計の透明性が高まることで、理事会への不信感が解消され、円滑な組合運営が可能になります。
理事の負担軽減と業務効率化
輪番制で就任する理事にとって、専門的な会計や税務の業務は大きな負担です。税理士にこれらの業務をアウトソーシングすることで、理事は日々の生活や本業に支障をきたすことなく、管理組合の運営に関わることができます。また、税理士のサポートにより理事会での議論がスムーズに進み、意思決定のスピードが向上するというメリットもあります。
マンション管理組合における税理士を活用するデメリット
一方で、税理士を活用することにはデメリットや注意点も存在します。これらを理解した上で、依頼するかどうかを判断する必要があります。
費用の発生
当然のことながら、税理士に依頼すれば報酬(顧問料や決算料など)が発生します。管理費会計の収支が厳しい管理組合にとっては、新たな支出が増えることは大きな負担となります。費用対効果を慎重に検討し、組合員の合意を得る必要があります。
税理士の専門性によるミスマッチ
すべての税理士がマンション管理組合の税務に詳しいわけではありません。一般企業の税務しか経験のない税理士に依頼してしまうと、管理組合特有の「区分経理」や「収益事業の判定」を誤り、適切なアドバイスが受けられない可能性があります。ミスマッチが起きると、かえって手間が増えたり、税務リスクが高まったりすることもあるため、税理士選びは慎重に行う必要があります。
理事会の当事者意識の低下
専門家に任せきりにすることで、理事会が会計や税務に対して無関心になり、当事者意識が低下してしまうリスクがあります。「税理士に任せているから大丈夫」とチェックを怠ると、不正の発見が遅れたり、組合の実情に合わない運用が行われたりする恐れがあります。税理士はあくまでサポート役であり、最終的な責任は管理組合にあることを忘れてはいけません。
マンション管理組合に強い税理士を探すポイント
マンション管理組合に強い税理士を見極めるためには、いくつかの重要なポイントがあります。これらを押さえておくことで、ミスマッチを防ぎ、信頼できるパートナーを見つけることができます。
管理組合の税務経験と実績
最も重要なのは、マンション管理組合の税務申告や顧問の実績が豊富にあるかどうかです。ホームページなどで「マンション管理組合対応」を謳っていても、実際の実績が数件しかない場合もあります。具体的な関与件数や、過去に対応した事例(駐車場外部貸し、基地局収入、滞納問題など)について詳しく質問し、経験値を確認しましょう。管理組合特有の会計ソフト(マンション管理システムなど)に対応できるかどうかも確認ポイントです。
収益事業の判定基準への精通度
収益事業の判定は非常にデリケートな問題です。どのようなケースが課税対象になり、どのようなケースが非課税になるのか、最新の判例や国税庁の通達に基づいて的確に判断できる知識が必要です。「とりあえず全部申告しておきましょう」という保守的すぎる税理士や、逆にリスクを無視して「申告しなくていいです」と言う税理士ではなく、根拠を持って適正な判断を下せる税理士を選びましょう。
共通経費の按分に関するノウハウ
前述の通り、節税の鍵を握るのは共通経費の按分です。人件費や水道光熱費、減価償却費などを、どのような基準(面積比、時間比、人員比など)で按分するのが合理的で、税務署に認められやすいか。そのノウハウを持っているかどうかが、税理士の腕の見せ所です。具体的な按分方法の提案ができるかを確認してみると良いでしょう。
コミュニケーション能力と説明力
税務の専門知識を持たない理事や組合員に対して、分かりやすい言葉で丁寧に説明できる能力も不可欠です。専門用語を並べ立てるのではなく、図や表を使って視覚的に説明してくれたり、質問しやすい雰囲気を作ってくれたりする税理士が望ましいです。総会での説明をお願いする場合、大勢の前で話すことに慣れているかどうかもポイントになります。
マンション管理業界への理解と他士業との連携
税務だけでなく、区分所有法やマンション管理適正化法などの関連法規、管理規約の仕組みなど、マンション管理業界全体のルールや慣習を理解していることも重要です。また、滞納問題の解決には弁護士、規約改正にはマンション管理士といったように、必要に応じて他の専門家と連携できるネットワークを持っているかどうかも確認しましょう。
マンション管理組合に強い税理士を探す方法
では、具体的にどのようにしてマンション管理組合に強い税理士を探せばよいのでしょうか。いくつかの有効なルートがあります。
インターネット検索とホームページの確認
「マンション管理組合 税理士」「(地域名) マンション 税理士」などのキーワードで検索し、上位に表示される税理士事務所のホームページをチェックします。マンション管理組合向けの専用ページがあるか、ブログやコラムで管理組合の税務に関する情報を発信しているかを確認します。情報発信に積極的な事務所は、それだけ専門性が高く、力を入れている証拠です。
税理士紹介サイトの活用
「税理士ドットコム」などの紹介サイトを利用して、マンション管理組合に強い税理士を紹介してもらう方法です。希望する条件(地域、予算、対応業務など)を伝えれば、コーディネーターが条件に合う税理士をピックアップしてくれます。複数の税理士を比較検討しやすく、効率的に探すことができます。
マンション管理士や管理会社からの紹介
顧問契約を結んでいるマンション管理士や、委託している管理会社の担当者に相談し、付き合いのある税理士を紹介してもらうのも一つの手です。彼らは業務を通じて多くの税理士と接点があるため、管理組合の実情に合った税理士を知っている可能性があります。ただし、管理会社の紹介の場合は、管理会社との癒着がないか、第三者性が保たれているかに注意する必要があります。
知り合いの理事や近隣の管理組合からの口コミ
他のマンションの理事をしている知人や、地域の管理組合ネットワークなどを通じて、評判の良い税理士の情報を得ることも有効です。実際にサービスを受けている人の生の声は非常に参考になります。「対応が早くて親切」「総会での説明が分かりやすかった」といった具体的な評判を聞くことで、信頼できる税理士を見つけやすくなります。
マンション管理組合で税理士を探すタイミング
税理士を探すべきタイミングは、管理組合の状況によっていくつか考えられます。問題を先送りにせず、早めに動くことが重要です。
新たに収益事業を開始する時
駐車場に空きが出たため外部に貸し出すことにした、屋上に携帯電話基地局を設置することになったなど、新たな収入源が発生するタイミングです。契約を結ぶ前や事業を開始する前に税理士に相談し、課税対象になるかどうか、どのような手続きが必要かを確認しておくべきです。
消費税の課税売上高が1,000万円を超えそうな時
駐車場の外部貸しなどの収益事業の売上が増加し、年間1,000万円を超えそうな場合は、消費税の納税義務が発生する可能性があります。課税事業者になるタイミングや、簡易課税制度の選択など、事前の対策が必要になるため、早めに税理士に相談しましょう。
インボイス制度への対応が必要になった時
テナントや工事業者からインボイスの発行を求められた場合、課税事業者としての登録が必要になります。登録すべきかどうかの判断や、登録後の事務処理についてアドバイスを受けるために、税理士を探す良いきっかけとなります。
管理会社の変更(リプレイス)を検討している時
管理会社を変更する際、会計業務の引き継ぎや新しい管理会社との連携について、専門的な視点からのチェックが必要になります。また、自主管理に切り替える場合などは、経理業務の基盤を構築するために税理士のサポートが不可欠です。
税務署から「お尋ね」が届いた時
税務署から収益事業に関するアンケートや照会文書(お尋ね)が届いた場合、無申告の状態であれば早急に対応が必要です。自分たちだけで対応しようとせず、すぐに税理士に相談し、適切な回答や申告を行う必要があります。
マンション管理組合に強い税理士の費用相場
税理士に依頼する場合の費用は、管理組合の規模(戸数)や収益事業の有無、依頼する業務範囲によって大きく異なります。相場を知っておくことで、適正な価格で契約することができます。
顧問契約の場合
毎月の記帳代行や試算表作成、税務相談などを含む顧問契約の場合、月額2万円~5万円程度が一般的な相場です。戸数が多い大規模マンションや、収益事業の規模が大きい場合は、月額5万円~10万円程度になることもあります。
決算・申告のみのスポット契約の場合
毎月の顧問契約は結ばず、年に一回の決算書のチェックと法人税・消費税の申告書の作成のみを依頼する場合、年額10万円~30万円程度が相場です。これには、収益事業の判定や申告書の作成費用が含まれます。消費税の申告が必要な場合は、別途3万円~5万円程度が加算されることが多いです。
その他の業務
- 総会への出席・説明:1回あたり2万円~5万円
- 税務調査の立会い:1日あたり3万円~6万円
- インボイス登録申請代行:1万円~3万円
- 管理組合の会計監査:年額5万円~20万円(規模による)
費用は事務所によって料金体系が異なります。「顧問料は安いが決算料が高い」「訪問回数によって料金が変わる」など様々ですので、必ず複数の事務所から見積もりを取り、トータルの年間コストとサービス内容を比較検討することが大切です。
マンション管理組合に強い税理士と契約するまでのプロセス
良い税理士を見つけ、契約に至るまでのプロセスは、理事会の承認や総会での決議が必要になるため、一般企業よりも時間がかかることがあります。計画的に進めることが重要です。
1. 現状の課題整理と税理士への要望の明確化
まず理事会で、現在の管理組合が抱えている課題(収益事業の申告が必要か、会計処理に不安があるかなど)を洗い出し、税理士に何を依頼したいのか、予算はどのくらいかを明確にします。
2. 候補の選定と問い合わせ
前述の方法で3社程度の候補をピックアップし、問い合わせを行います。管理組合の概要(戸数、築年数、収益事業の内容など)を伝え、面談の可否や概算の見積もりを確認します。
3. 面談と提案・見積もりの受領
理事数名で税理士と面談を行います。管理組合の実情を詳しく話し、税理士からの提案や具体的なアドバイスを聞きます。この際、マンション管理組合の実績や専門知識、人柄などをチェックします。面談後、正式な見積書と提案書を受領します。
4. 理事会での比較検討と内定
複数の税理士からの提案内容と見積もりを理事会で比較検討し、依頼する税理士を1社に絞り込みます(内定)。選定理由を明確にし、議事録に残しておきます。
5. 総会での承認決議
税理士との契約は予算を伴う重要な事項であるため、通常は総会での決議が必要です。総会の議案書に「税理士との顧問契約締結の件」などを記載し、選定した税理士のプロフィールや報酬額、選定理由を説明します。組合員の過半数の賛成を得て承認されます。
6. 契約の締結と業務開始
総会での承認後、正式に顧問契約書を取り交わし、業務を開始します。過去の決算書や会計帳簿、契約書などの資料を税理士に引き継ぎ、初期設定や現状分析を行ってもらいます。
マンション管理組合において税理士の切替を検討する場合
一度契約した税理士であっても、以下のような不満や問題がある場合は、切り替えを検討すべきです。
- マンション管理組合の税務知識が乏しく、的確なアドバイスがない
- 質問に対するレスポンスが遅く、理事会の運営に支障が出る
- 担当者が頻繁に変わり、引継ぎがうまくいっていない
- 報酬額がサービス内容に見合っておらず、高いと感じる
- 総会での説明が分かりにくく、組合員からの評判が悪い
- インボイスなどの新制度への対応が遅れている
税理士の切り替えは、決算期末のタイミングで行うのがスムーズですが、期中であっても可能です。新しい税理士に相談し、引継ぎのスケジュールや手続きについてアドバイスをもらいながら進めましょう。
マンション管理組合で税理士に対してよくある質問と回答
Q. 携帯電話の基地局を屋上に設置しています。賃料収入は課税されますか?
A. はい、不動産貸付業として収益事業に該当し、課税対象となります。基地局設置に伴う電気代などは経費として控除できる可能性があります。
Q. 理事長が代わっても税理士との契約は継続されますか?
A. はい、契約は管理組合と税理士との間で結ばれているため、理事長個人が交代しても契約は継続します。ただし、新しい理事長や理事会の方針で契約を見直すことは可能です。
Q. 自主管理の組合ですが、税理士に丸投げできますか?
A. はい、可能です。記帳代行から決算、申告、振込代行まで、経理業務全般を請け負ってくれる税理士もいます。ただし、その分費用は高くなります。どこまでを自分たちでやり、どこからを任せるか、予算に合わせて相談しましょう。
マンション管理組合に強い税理士を探す方法 まとめ
マンション管理組合の運営において、税務や会計の適正化は、組合の財産を守り、資産価値を維持するために欠かせない要素です。収益事業の判定や節税対策、インボイス対応など、専門的な知識が求められる場面は多く、理事だけで対応するには限界があります。
マンション管理組合に強い税理士をパートナーに迎えることで、税務リスクを回避し、資金を有効に活用し、理事の負担を軽減することができます。そのためには、管理組合の実績が豊富で、収益事業の判定や区分経理に精通し、分かりやすい説明ができる税理士を選ぶことが重要です。
ホームページの確認や紹介サイトの活用、面談を通じて、自分たちの管理組合に最適な税理士を見つけ出してください。信頼できる専門家との出会いが、安心で快適なマンションライフを支える強固な基盤となるはずです。
税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者
宮嶋 直 公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。
