近年、クラウド会計ソフトの普及により、経理業務のあり方が劇的に変化しています。その中でもトップシェアを誇る「freee(フリー)」は、簿記の専門知識がなくても直感的に操作できることから、多くの個人事業主や中小企業経営者に支持されています。自動で銀行明細を取り込み、AIが勘定科目を推測してくれる機能などは、これまでの経理作業の時間を大幅に短縮する革命的なツールと言えるでしょう。
しかし、便利なツールが普及したことで、新たな疑問を持つ経営者が増えています。「これほど便利なソフトがあるなら、高い顧問料を払って税理士に依頼する必要はないのではないか」「freeeを使えば自分一人で確定申告や決算まで完結できるのではないか」という疑問です。
結論から申し上げますと、freeeを使っていたとしても、事業の規模や状況によっては税理士のサポートが不可欠なケースは多々あります。また、freeeは独特の設計思想を持っているため、従来の会計ソフトに慣れ親しんだ税理士では使いこなせないというミスマッチも起きています。
本記事では、freeeというツールの特性を深く理解した上で、どのような場合に税理士が必要となるのか、またfreeeのポテンシャルを最大限に引き出してくれる「freeeに強い税理士」をどのように探せばよいのかについて、費用相場や契約の流れまで含めて徹底的に解説していきます。
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freeeを使うのに税理士は必要?freeeに強い税理士の探し方含め徹底解説
会計ソフトfreeeとは?
クラウド型会計ソフトの先駆者としての特徴
freeeは、インターネット環境さえあればいつでもどこでも利用できるクラウド型の会計ソフトです。従来のインストール型ソフトとは異なり、パソコンにソフトをインストールする必要がなく、データはすべてクラウド上に保存されます。これにより、パソコンが故障してもデータが消える心配がなく、法改正があった際も自動でアップデートされるため、常に最新の税制に対応した状態で利用できるのが大きな特徴です。また、WindowsやMacといったOSを選ばず、タブレットやスマートフォンからでも操作が可能であるため、移動の多い経営者やノマドワーカーにとっても非常に利便性の高いツールとなっています。
バックオフィス業務の効率化を実現する機能
freeeは会計機能だけでなく、人事労務や会社設立、開業届の作成など、ビジネスのライフサイクルに合わせた様々なサービスを展開しています。これらがシームレスに連携することで、例えば給与計算ソフトで確定した給与データを会計ソフトにワンクリックで反映させたり、発行した請求書のデータが入金された際に自動で消込作業を行ったりすることが可能です。このように、freeeは単なる帳簿作成ツールを超えて、中小企業の経営管理プラットフォームとしての地位を確立しています。
会計ソフトfreeeを使うことで得られるメリット
銀行口座やクレジットカードとの自動連携による入力削減
freeeを導入する最大のメリットは、金融機関とのデータ連携機能にあります。銀行口座やクレジットカード、電子マネー、POSレジ、ECサイト(Amazonや楽天など)のアカウントをfreeeに登録しておくと、日々の入出金明細や利用履歴を自動で取り込んでくれます。これにより、通帳を見ながら日付や金額を手入力するという、最も時間がかかりミスが起きやすい作業から解放されます。
さらに、取り込んだ明細に対しては、AI(人工知能)が過去の履歴やビッグデータに基づいて適切な勘定科目を推測して提案してくれます。例えば、電力会社からの引き落としがあれば「水道光熱費」、携帯電話会社であれば「通信費」といった具合です。ユーザーは提案された内容を確認し、登録ボタンを押すだけで記帳が完了します。使い込むほどにAIが学習し、精度が向上していくため、経理作業の時間は劇的に短縮されます。
リアルタイムでの経営数値の把握
クラウド型であるfreeeは、データが常にリアルタイムで更新されます。従来の税理士とのやり取りでは、領収書や通帳のコピーを税理士に渡し、試算表(月次の決算書)が出来上がってくるまでに1ヶ月から2ヶ月かかることが一般的でした。これでは、経営者が数字を見て判断しようとした時には、すでに過去の情報になってしまっています。
しかし、freeeを導入し、日々データを連携・登録していれば、経営者はスマホを開くだけで「今、会社の現金がいくらあるのか」「今月の売上はどれくらいか」「経費を使いすぎていないか」といった情報をリアルタイムに把握することができます。このスピード感は、変化の激しい現代のビジネス環境において、迅速な経営判断を下すための強力な武器となります。
常に最新の税制に対応した環境
日本の税制は頻繁に改正されます。消費税率の変更やインボイス制度の導入、電子帳簿保存法の改正など、事業者が対応しなければならないルールは年々複雑化しています。インストール型のソフトの場合、これらの改正に対応するために新しいバージョンを買い直したり、追加料金を払ってアップデートしたりする手間が発生します。
一方、freeeはクラウドサービスであるため、税制改正への対応は運営会社側で行われ、ユーザーは追加料金なしで常に最新の法令に対応した機能を利用できます。特に複雑な消費税の計算や、要件が厳しい電子帳簿保存法への対応なども、システム側でサポートしてくれるため、コンプライアンス(法令遵守)の観点からも安心して利用することができます。
請求書発行から入金管理までの一気通貫
freeeでは、見積書、納品書、請求書をソフト内で作成し、メールで送信したり郵送代行を依頼したりすることができます。ここで作成した請求データは、自動的に売掛金として帳簿に記録されます。そして、後日銀行口座に入金があった際には、自動連携された入金明細と請求データを紐付ける(消込をする)だけで、入金処理が完了します。
従来であれば、エクセルで請求書を作り、会計ソフトに売上を入力し、通帳を見て入金を確認し、再び会計ソフトに入金処理を入力するという複数の工程が必要でしたが、freeeを使えばこれらが一気通貫で行えるため、転記ミスや入力漏れを防ぎ、業務効率を大幅に向上させることができます。
freeeだけで対応できる人
取引数が少なく事業内容がシンプルな個人事業主
freeeは非常に高機能ですが、すべての事業者が税理士なしで完璧に使いこなせるわけではありません。freeeだけで対応できる可能性が高いのは、まず取引数が少なく、事業内容がシンプルな個人事業主です。例えば、フリーランスのライターやデザイナー、エンジニアなどで、主な取引先が数社に限られ、経費も交通費や通信費、消耗品費程度である場合です。
このようなケースでは、銀行口座やクレジットカードをfreeeに連携させておけば、ほとんどの取引が自動で取り込まれます。現金取引が少なければ手入力の手間もほとんどありません。確定申告の際も、freeeのガイダンスに従って「○×形式」の質問に答えていくだけで、必要な書類を作成することができます。
簿記や税務の基礎知識を学習する意欲と時間がある人
いくらfreeeが自動化されているとはいえ、最終的な判断はユーザー自身が行わなければなりません。勘定科目の選び方や、経費になるものとならないものの区別、減価償却の考え方など、最低限の知識は必要となります。
「経理は経営の要である」と考え、自ら簿記の勉強をしたり、freeeのヘルプページや税務署の手引きを読み込んだりする意欲と時間がある方であれば、自分一人でfreeeを運用することは十分に可能です。特に開業当初で時間に余裕があり、資金を節約したい時期には、自分で経理を行うことで数字への理解も深まるため、あえて税理士に頼らずに挑戦してみる価値はあります。
税務リスクが低い小規模事業者
売上規模が小さく(例えば年商数百万円程度)、消費税の免税事業者であり、特殊な税務処理(海外取引や複雑な資産の売買など)がない場合は、税務リスクも比較的低いと言えます。万が一、税務調査が入ったとしても、指摘される金額が限定的である可能性が高いため、自分で対応するリスクを許容できる範囲かもしれません。
ただし、インボイス制度の導入により、小規模事業者であっても消費税の課税事業者になるケースが増えています。その場合は経理処理が複雑になるため、慎重な判断が必要です。
確定申告の時期にまとまった時間を確保できる人
日々の記帳は自動連携で楽になったとしても、年に一度の確定申告(または決算)の時期には、一年間のデータのチェックや決算整理仕訳(在庫の棚卸しや減価償却など)、控除証明書の入力など、ある程度の作業時間が必要になります。
この時期に本業が繁忙期を迎えるなどで時間が取れない場合、申告期限ギリギリになって慌てて作業することになり、ミスを誘発しやすくなります。2月から3月にかけて、数日から1週間程度の時間を経理作業のために確保できる余裕がある方であれば、freeeを使って自分で申告を完了させることができるでしょう。
税理士を活用した方が良い人
年間の売上規模が1000万円を超えている事業者
年間の売上高が1000万円を超えると、その2年後から消費税の課税事業者となります(インボイス制度の登録をしている場合は売上に関わらず課税事業者となります)。消費税の計算は非常に複雑であり、原則課税か簡易課税かの選択、取引ごとの税区分の判定など、専門的な知識がないと正確な申告が困難になります。
消費税の申告ミスは、後から税務調査で指摘された場合、本来納めるべき税金に加えて延滞税や加算税などのペナルティが重くなる傾向があります。売上が1000万円を超える規模になれば、税理士に依頼して正確な処理を行うことが、リスク管理の観点からも強く推奨されます。
法人化しているまたは法人成りを検討している場合
個人事業主に比べて、法人の決算と税務申告は格段に難易度が上がります。法人税申告書は作成すべき書類の枚数が多く、記載内容も専門的で複雑です。また、役員報酬の設定や社会保険の手続きなど、個人事業主時代にはなかった業務も発生します。
さらに、法人の場合は赤字であっても均等割という税金が発生しますし、黒字であれば節税対策の選択肢も広がります。法人化を検討している段階から税理士に相談することで、最適なタイミングでの法人成りや、資本金の設定、定款の作成などについてアドバイスを受けることができます。法人の決算申告を自力で行うことは不可能ではありませんが、膨大な学習コストと時間を要するため、基本的には税理士に依頼すべき領域と言えます。
複雑な取引や海外取引がある場合
商品を輸入して国内で販売している、あるいは海外の企業にサービスを提供しているといった海外取引がある場合、消費税の取り扱いや為替差損益の計上など、高度な会計処理が求められます。また、固定資産の売買や、暗号資産(仮想通貨)の取引、多店舗展開を行っている場合なども、処理が複雑化します。
freeeは多機能ですが、特殊な取引パターンすべてに自動で対応できるわけではありません。このような複雑な取引がある場合は、自己判断で処理を進めると大きな間違いにつながる可能性があるため、専門家である税理士の判断を仰ぐべきです。
本業が多忙で経理に時間を割きたくない経営者
経営者の最も重要な仕事は、売上を上げ、事業を成長させることです。経理作業は事業継続に不可欠ですが、それ自体が利益を生み出すわけではありません。もしあなたが「1時間働けば数万円の利益を生み出せる」経営者であれば、慣れない経理作業に何時間も費やすのは、機会損失という観点から見て非常にもったいないことです。
「餅は餅屋」という言葉通り、経理はプロである税理士に任せ、自分は得意な本業に全力を注ぐ方が、結果として事業全体のパフォーマンスは向上します。経理作業にストレスを感じている、あるいは時間が足りなくて営業活動がおろそかになっていると感じる場合は、税理士の活用を検討すべきタイミングです。
資金調達や融資を検討している場合
事業拡大のために銀行から融資を受けたいと考えている場合、信頼性の高い決算書(試算表)が必要になります。銀行の担当者は、提出された決算書を見て融資の可否を判断しますが、税理士の署名捺印がある決算書と、経営者が自作した決算書では、信頼度に雲泥の差があります。
また、税理士は銀行がどのようなポイントを見て審査するのかを熟知しているため、融資が通りやすい決算書の作り方や、事業計画書の作成支援、面談への同席などのサポートを受けることができます。資金調達を成功させたいのであれば、税理士の協力は強力な武器となります。
税理士を活用することで得られるメリット
正確な税務処理によるリスク回避
税理士を活用する最大のメリットは、やはり「安心感」です。日本の税法は複雑怪奇で、解釈によって判断が分かれるグレーゾーンも存在します。税理士は国家資格を持つ税務の専門家として、法律に基づいた適正な処理を行います。
自己流の申告でよくあるのが、経費の計上漏れによる税金の払い過ぎや、逆に経費にしてはいけないものを計上してしまったことによる過少申告です。税理士に依頼することで、これらのミスを防ぎ、適正な納税を行うことができます。また、法改正への対応漏れなどのリスクも、専門家がついていることで回避できます。
経営相談や資金調達のサポート
現代の税理士は、単なる「計算代行屋」ではなく、「経営のパートナー」としての役割が期待されています。毎月の会計データをもとに、「今月は利益が出ているが、現金が減っている原因は何か」「どの部門が好調で、どこが不調か」といった経営分析を行い、客観的な視点からアドバイスを提供してくれます。
また、前述の通り資金調達の際にも強力なサポーターとなります。金融機関との付き合い方や、利用可能な補助金・助成金の情報提供など、お金に関するあらゆる相談ができる相手がいることは、孤独になりがちな経営者にとって大きな心の支えとなります。
節税対策の提案と実行
税理士は「税金を計算する人」であると同時に、「無駄な税金を払わないようにするアドバイザー」でもあります。決算の数ヶ月前に利益予測を行い、「今期は利益が出そうだから、必要な設備投資を前倒しで行いましょう」「倒産防止共済に加入して損金を作りましょう」といった具体的な節税対策を提案してくれます。
これらの対策は、決算が終わってからでは手遅れになることが多く、期中の適切なタイミングで実行する必要があります。税理士がいれば、合法的な範囲で最大限の節税効果を得られるよう、戦略的に経理処理を進めることができます。
税務調査への対応と安心感
事業を長く続けていれば、いつかは税務署による税務調査が入る可能性があります。税務調査は経営者にとって非常にストレスのかかるイベントですが、税理士と顧問契約を結んでいれば、調査の事前準備から当日の立会い、調査後の折衝まで、すべてを任せることができます。
税理士は調査官の質問の意図を理解し、納税者の権利を守るために適切な主張を行ってくれます。自分一人で調査官と対峙するのは不安ですが、隣に専門家がいるだけで精神的な負担は大きく軽減されます。「税務調査が来ても税理士がついているから大丈夫」と思えることは、事業に集中する上で大きなメリットです。
freeeの機能を最大限に引き出す設定と運用
freeeは高機能であるがゆえに、設定や使い方が適切でないと、その真価を発揮できません。例えば、タグ機能を使った部門別管理や、自動登録ルールの高度な設定、API連携による業務効率化などは、freeeに精通した税理士のアドバイスがあればスムーズに導入できます。
freeeに強い税理士は、単に帳簿をチェックするだけでなく、「もっとこう設定すれば入力の手間が減りますよ」「この機能を使えば経営分析が見やすくなりますよ」といった、ツール活用のコンサルティングも行ってくれます。これにより、社内の経理業務そのものを効率化し、生産性を高めることが可能になります。
税理士を活用することで発生するデメリット
毎月の顧問料や決算料といったコストの発生
税理士に依頼する最大のデメリットは、やはり費用がかかることです。顧問料は毎月の固定費として発生し、決算時にはさらにまとまった金額が必要になります。創業間もない時期や売上が厳しい時期には、この出費が重荷に感じることもあるでしょう。
しかし、このコストは「安心料」や「時間を買うための投資」と捉えることもできます。自分で経理を行う時間コストや、税務リスク、節税効果などを総合的に勘案し、費用対効果を見極める必要があります。
税理士との相性や方針の不一致のリスク
税理士も人間ですので、経営者との相性は存在します。「質問しにくい雰囲気がある」「専門用語ばかりで説明がわかりにくい」「レスポンスが遅い」といった不満を持つ経営者も少なくありません。また、節税に対するスタンスも税理士によって異なり、「できるだけ節税したい」経営者と「保守的に納税すべき」と考える税理士の間で方針が合わないこともあります。
さらに、freeeを使いたい経営者と、従来の会計ソフトを推奨する税理士との間で意見が対立することもあります。税理士選びに失敗すると、ストレスを抱えるだけでなく、経営の足を引っ張られることにもなりかねないため、慎重な選定が必要です。
自分で数字を見なくなる依存のリスク
税理士にすべてを丸投げしてしまうと、経営者自身が会社の数字に関心を持たなくなってしまうリスクがあります。「税理士に任せているから大丈夫だろう」と安心しきってしまい、試算表すら見なくなると、資金繰りの悪化や経営の異変に気づくのが遅れてしまいます。
税理士はあくまでサポート役であり、経営の責任を持つのは経営者自身です。税理士を活用する場合でも、最終的な数字のチェックや経営判断は自分で行うという意識を持ち続けることが重要です。
freeeに強い税理士を探す方法
freee認定アドバイザー制度の活用
freeeには「認定アドバイザー」という制度があります。これは、freeeの操作に習熟し、一定の条件を満たした税理士事務所をfreee株式会社が公式に認定するものです。認定アドバイザーは、freeeに関する知識レベルや実績に応じてランク分けされています(1つ星から5つ星まで)。
freeeの公式サイト内にある「税理士検索」ページを利用すれば、地域や業種、対応可能業務などの条件で認定アドバイザーを検索することができます。ここに登録されている税理士は、少なくともfreeeの利用に前向きであり、一定の知識を持っていることが保証されています。星の数が多いほど、freeeの導入実績が多く、ノウハウが蓄積されている可能性が高いため、選定の一つの目安となります。
インターネット検索での絞り込み
Googleなどの検索エンジンで、「地域名 + 税理士 + freee」「業種 + 税理士 + freee」といったキーワードで検索する方法も有効です。freeeに力を入れている税理士事務所であれば、ホームページ上で「freee専門」「クラウド会計対応」といった強みをアピールしているはずです。
ブログやSNSでfreeeの活用事例やノウハウを発信している税理士であれば、その知識の深さや人柄も事前に知ることができます。検索結果の上位に表示される事務所だけでなく、いくつかの事務所のホームページを比較検討してみましょう。
税理士紹介サイトの利用
自分で探すのが大変な場合は、税理士紹介サイトを利用するのも一つの手です。「税理士ドットコム」などの紹介サイトでは、コーディネーターに「freeeに対応できる税理士を探している」と要望を伝えれば、条件に合った税理士を無料で紹介してくれます。
ただし、紹介サイトに登録している税理士が必ずしもfreeeに精通しているとは限りません。「対応可能」と言っていても、実際にはあまり実績がないケースもあるため、面談時にしっかりと確認する必要があります。
知人や経営者仲間からの紹介
すでにfreeeを使っていて、うまくいっている経営者仲間がいれば、その人が契約している税理士を紹介してもらうのも確実な方法です。「実際にfreeeをどう使っているか」「税理士の対応はどうか」といった生の声を聞けるため、ミスマッチのリスクを減らすことができます。ただし、紹介された手前、断りにくいというデメリットもあるため注意が必要です。
freeeに強い税理士を選ぶ際のポイント
認定アドバイザーのランクと実績数
前述の通り、freee認定アドバイザーのランクは重要な指標です。特に「3つ星」以上の事務所は、freeeの個人・法人導入実績が豊富で、事務所全体でfreeeを活用する体制が整っている可能性が高いです。ただし、星の数が少なくても、新しく開業したばかりで熱意のある税理士や、特定の業種に特化した優秀な税理士もいますので、星の数だけで判断せず、実績数や具体的な導入事例についても確認してみましょう。
コミュニケーションツールへの対応状況
freeeを使う経営者は、業務効率化やIT化に積極的な傾向があります。そのため、税理士との連絡手段もメールや電話だけでなく、Chatwork(チャットワーク)、Slack(スラック)、LINE、Zoomなどのオンラインツールに対応しているかが重要です。
日々の細かい質問をチャットで気軽に相談できたり、定期面談をオンラインで行えたりすれば、コミュニケーションのスピードと密度が上がります。「電話とFAXがメイン」という昔ながらの事務所では、freeeのスピード感を活かせない可能性があります。
自計化を推進しているか記帳代行がメインか
税理士のスタンスとして、顧客自身がfreeeに入力することを推奨・指導する「自計化支援」型か、領収書を預かって税理士側で入力する「記帳代行」型かを確認しましょう。
freeeのメリットを最大限に活かすなら、自動連携などを活用して自社でリアルタイムに入力する「自計化」が理想です。freeeに強い税理士は、効率的な入力方法や設定を指導し、自立した経理体制の構築をサポートしてくれます。一方、どうしても入力する時間がない場合は、freeeを使った記帳代行に対応しているかも確認が必要です。
freee独自の機能や仕様への理解度
freeeは「タグ」機能や「消込」など、独特の機能を持っています。これらを理解せず、従来の会計ソフトと同じ感覚で「補助科目」を使おうとしたり、振替伝票ばかりで処理しようとしたりする税理士だと、freeeの良さが消えてしまいます。
面談時に「タグ機能はどう活用すればいいですか?」「口座連携のエラーはどう対処すればいいですか?」といった具体的な質問を投げかけてみてください。即座に的確な回答が返ってくる税理士であれば、freeeの仕様を深く理解していると判断できます。
料金体系の明瞭さとサービス範囲
freee対応を謳っていても、料金体系は事務所によって様々です。顧問料の中にfreeeの利用料が含まれているのか、記帳チェックはどこまでやってくれるのか、チャット相談は無制限かなど、サービス範囲と料金を明確に確認しましょう。
特に、freeeの導入初期設定(銀行連携や開始残高の設定など)は重要かつ大変な作業です。この導入支援に別途費用がかかるのか、顧問契約に含まれるのかも確認しておくべきポイントです。
税理士と契約するまでの流れ
問い合わせと面談の予約
まずは気になる税理士事務所に問い合わせを行います。ホームページの問い合わせフォームや電話で連絡し、面談の予約を取ります。この際、「freeeを使っている(または使いたい)」「現在の売上規模」「業種」「抱えている課題」などを伝えておくと、面談がスムーズに進みます。
面談による現状分析と相性確認
面談(対面またはオンライン)では、税理士が事業の内容や経理の状況をヒアリングします。すでにfreeeを使っている場合は、画面を見せながら現状の入力状況を確認してもらうと良いでしょう。
この面談は、税理士のスキルだけでなく「相性」を確認する重要な場です。話しやすいか、説明がわかりやすいか、こちらのビジネスに興味を持ってくれているかなどをチェックしましょう。freeeに対するスタンス(肯定的か否定的か)も会話の端々から感じ取れるはずです。
見積もりの提示とサービス内容のすり合わせ
ヒアリング内容に基づき、税理士から見積もりが提示されます。顧問料、決算料、オプション費用(年末調整や税務調査立会いなど)の内訳を確認します。また、「毎月面談するのか、数ヶ月に一度か」「訪問か来所かオンラインか」「記帳は誰がやるか」といったサービス内容の詳細をすり合わせます。不明点は遠慮なく質問し、納得いくまで確認しましょう。
契約締結とfreeeのアカウント招待・権限付与
条件に合意できれば、顧問契約書を取り交わします。その後、freee上で税理士を「招待」し、適切な権限を付与します。これにより、税理士が自分のパソコンからあなたのfreeeデータにアクセスできるようになり、監査や修正作業が可能になります。これで晴れて税理士とのパートナーシップがスタートします。
税理士の費用相場
税理士の費用は自由化されており、事務所や地域、依頼内容によって異なりますが、一般的な相場を知っておくことは重要です。
個人事業主の場合の顧問料と決算料
個人事業主の場合、月額顧問料は1万円~3万円程度、決算料(確定申告料)は顧問料の4ヶ月~6ヶ月分程度が相場です。年間トータルで20万円~50万円程度が目安となります。売上規模が小さく、訪問頻度が少ない(年1回など)場合は、もう少し安くなることもあります。
法人の場合の顧問料と決算料
法人の場合、月額顧問料は3万円~5万円程度、決算料は顧問料の4ヶ月~6ヶ月分程度が相場です。年間トータルで50万円~80万円程度が一般的です。売上規模が大きくなったり、従業員数が増えたりすると、業務量に応じて顧問料も上がっていきます。年商1億円を超えると、年間100万円以上になるケースも珍しくありません。
記帳代行を依頼する場合の追加費用
領収書の整理やfreeeへの入力を税理士に丸投げする場合、月額5,000円~3万円程度の追加費用が発生します。仕訳数(取引数)に応じて従量課金されるケースが多いです。自計化(自分で入力)すればこの費用はカットできます。
年一決算(スポット契約)の場合
毎月の顧問契約を結ばず、決算(確定申告)の時だけ依頼する「年一決算」の場合、個人事業主で10万円~20万円、法人で15万円~30万円程度が相場です。ただし、日々のチェックが行われていないため、節税対策ができなかったり、決算間際に資料をまとめて渡す負担が発生したりするデメリットがあります。freeeを使っている場合、日々のデータが蓄積されているため、年一決算でも比較的スムーズに対応してもらえる可能性があります。
まとめ
会計ソフトfreeeは、経理業務を効率化し、経営の見える化を実現する素晴らしいツールです。しかし、あくまで「道具」であり、それを使いこなし、そこから得られる情報を経営に活かし、税務リスクを管理するためには、専門家である税理士の存在が依然として重要です。
特に売上が拡大し、消費税や法人税が関わってくるフェーズでは、税理士のサポートなしで進むことは、羅針盤を持たずに航海に出るようなものです。freeeという最新の武器と、freeeに精通した税理士という頼れるパートナー、この両方を手に入れることで、あなたのビジネスはより安全に、より速く成長していくことができるでしょう。
税理士選びは、ビジネスの成功を左右する重要な決断です。安易に「安いから」「近いから」という理由だけで選ぶのではなく、freeeへの理解度や相性、提供される価値をしっかりと見極め、共に成長できるパートナーを見つけてください。本記事が、あなたにとって最適な税理士探しの助けとなれば幸いです。
税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者
宮嶋 直 公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。
