AUP(合意された手続き)とは?現役公認会計士・税理士が解説

本記事では公認会計士が行うAUP(合意された手続き)について解説をしていきます。法定監査や任意監査との違いやAUPを行うメリットについても併せて解説をしていきます。

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AUP(合意された手続き)とは?現役公認会計士・税理士が解説

AUP(合意された手続き)とは何か?

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AUP(合意された手続き)とは、顧客と実施する主体である公認会計士・監査法人との間で契約を締結し、プロフェッショナルの観点から、業務実施した結果を依頼した顧客へ報告するものです。いわゆる会計監査業務で呼ばれている保証業務には該当しないものになります。

公認会計士協会によると以下のような定義となっております。(https://jicpa.or.jp/about/activity/activities/assurance_aup/basic/)。なお合意された手続きは名前が長いので、一般的に略称としてAUPと呼ばれることが多いです。

以下引用

合意された手続業務(AUP(豆知識): Agreed-upon procedures engagement)とは、業務実施者が、業務依頼者(主題に責任を負う者、規制当局又は特定の利用者)との間で合意された手続で実施されたもの及びそれに基づき発見した事項を報告する業務をいいます。これは、実施される手続が主題に責任を負う者又は限られた利用者との間の合意によって特定されるものであり、上述した1.(1)の保証業務の定義を満たしません(監査・保証基準委員会実務ガイダンス第19号「保証業務実務指針3000実務ガイダンス第2号「監査及びレビュー業務以外の保証業務に係る概念的枠組み(実務ガイダンス)」」第22項)。
 合意された手続に基づく報告書は、合意された手続の背景や決定理由を知らない第三者が報告書に記載されている結果を誤って解釈するおそれがあるため、手続について合意した者以外の者による利用は制限される場合もあります。

AUP(合意された手続き)と監査(会計監査)の関係性

AUPは監査と異なり、何かのルールに基づいて財務諸表等が正しいかどうかについて意見を表明するものではなくて、顧客と実施者(ここでいう公認会計士や監査法人)との間で合意した事項について、実施者が実施した結果を報告書にまとめて依頼者へ報告するものになります。そのため、結果内容を記載する報告書には、依頼者が依頼した事項に対する結果を詳細なレベルで記載することが多く、監査報告書のように公認会計士や監査法人が独立した立場から意見を述べるだけのような形式ではありません。また監査は監査基準に従って実施されるものであり監査基準からの逸脱は認められておりませんが、AUPについてはそのような準拠する基準はありませんので、実施する公認会計士や監査法人のプロフェッショナルとしての知見・経験に基づいて作業が実施されます。

AUP(合意された手続き)はどのような場面で活用されるのか?

では具体的にAUP(合意された手続き)はどのような場面で活用されるのでしょうか?まず一つ目は、監査までは必要ないが、財務諸表が正確に作成されているかを検証したい場合などです。これはジョイントベンチャー契約で、ジョイントベンチャーを組んでいる相手型がリードして財務諸表を作成している場合、その正確性を検証する目的で、公認会計士や監査法人へAUPを依頼するケースがあります。

また、M&AにおけるデューデリジェンスもAUPの一つと考える事ができます。公認会計士や監査法人の場合はデューデリジェンスの中でも財務デューデリジェンスを担当することになります。これらは、いわゆる法定で定められているものではなく、顧客が任意に依頼するものになります。

法定でAUPが求められているものもあります。まず労働者派遣事業等の許可審査目的です。公認会計士等のチェックが必要になり、AUPが活用されることがあります。また、事業再編計画および特定事業再編計画の認定申請書に添付する資金計画、についても一部の場合はAUPが必要となってきます。

AUP(合意された手続き)が実施されるまでの流れ

AUP(合意された手続き)が実施されるまでにどのような流れがあるのでしょうか?まずはAUPを実施する主体である公認会計士や監査法人を見つける必要があります。続いて料金も含めて合意できればAUP実施に関する契約書を締結することになります。この契約において具体的な報告書の内容やその報告書を作成する上での手続きの内容・具体的な作業スケジュールなどを決めていくことになります。

上記の合意に基づいて実際にAUPの作業が進んでいき、この作業に基づいて公認会計士もしくは監査法人はAUPに関する報告書を作成することになります。一般的にある程度の規模のプロジェクトであれば、中間報告という形で作業途中経過を報告書にまとめ、公認会計士もしくは監査法人から顧客へ説明することが多いです。その結果を踏まえて顧客から追加の手続き依頼等があり、最終報告に向けて作業が進んでいくという流れになります。最後は最終報告書の提出と最終報告を実施してAUPの業務は終了になります。

財務に関連におけるAUP(合意された手続き)の具体的な内容

財務関連におけるAUP(合意された手続き)について、具体的にどのような作業を実施していくのでしょうか?財務デューデリジェンスをイメージしながら記載すると、まずは契約書や議事録等のレビューに基づく簿外債務や偶発債務の可能性について検証します。これらはM&Aの価格を決めるにあたって影響が大きいため、最重要検証項目となります。また、過去の売上や費用等の分析を行い正常収益力の調査を行うのも非常に重要です。一般的に株式価値は将来の収益力に基づいて計算されるため、今後発生しないような売上や臨時で発生したような利益は株式価値を計算するにあたり除外されるべきものになります。

M&A以外の調査では、通常の監査と同じような実査手続が行われたり、在庫棚卸しの立会、もしくは帳簿とその商標との突合作業、増減分析などが行われるケースもあります。

AUP(合意された手続き)はどの程度の料金がかかるか?

AUP(合意された手続き)を実施する場合、どの程度の料金がかかるのでしょうか?基本的な考え方として、関与する公認会計士の単価に作業時間をかけたものが目安となります。実際には作業開始前に見積もり・契約を行うため、作業目安時間をかけることになります。そのため、AUP(合意された手続き)の作業範囲が広ければ広いほど金額は上がっていきますし、また報告の内容が詳細であればあるほど、報告作成に使う時間が増えるため、料金は高くなることになります。

AUPのまとめ

以上のように、AUPの内容や、AUPの一般的な料金の考え方、AUPを活用方法などについて解説してまいりました。AUPや会計監査をご依頼の方、当事務所(宮嶋公認会計士・税理士事務所)は公認会計士業務と税理士業務の両方に対応しており、法定監査はもちろんのこと、任意監査・AUPについても対応が可能です。もし一度任意監査やAUPについて相談したい、などのご要望があればお気軽にお問い合わせください。

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この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。