本記事は、青色申告にあたり税理士を探されている方に対して、税理士が対応しているサービス、税理士の費用・相場感、顧客が抱える課題、税理士を選ぶポイント、について記載をしていきます。
本記事を読んでいただくことで、特にこれまで税理士と契約をされてこなかった方が、税理士のサービス対応範囲を踏まえて、どのような税理士であれば自分に適しているかを判断ができるようになり、適切な税理士探しができるようになります。
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確定申告の基本
確定申告は、個人事業主であれば前年の1月〜12月の所得を翌年の3月15日までに申告することを言います。申告の際に納税が発生する場合には、確定申告と同じ期限までに納付する必要があります。
法人の場合は、法人が定めた決算期に従い決算書を作成し、原則決算期末から2ヶ月以内に法人税の確定申告を行う必要があります。
赤字でも確定申告は必要か?
赤字の場合でも確定申告は必要なのでしょうか?個人事業主の場合、赤字の場合は確定申告を行う必要がありませんが、後述する青色申告をしている場合、赤字金額を3年間繰越できたり、繰り戻し還付を受けることが可能となるため、確定申告を行うメリットが大きいと言えるでしょう。
法人の場合は赤字か否かに関わらず、申告義務はあるため納税が不要でも確定申告は毎年行わなければならない点に注意しましょう。
確定申告を行わない場合のペナルティとは?
確定申告を行わない、もしくは期限までに提出しない場合、前者を「無申告」、後者を「申告遅延」と言います。無申告もしくは申告遅延の場合は、納税すべき税金に加えて加算税及び延滞税というペナルティを受けることになります。支払うべき税額が増えますので留意が必要です。
確定申告を行わない場合のリスク
所得証明ができなくなる
前年度の所得を証明するためには確定申告が必要になりますが、確定申告をしていない場合は所得が証明できないため、融資などの際に不都合が生じます。
税金の還付を受けられない
税金の還付を受ける場合には、必ず確定申告が必要となります。無申告の場合は税金の還付が受けられないため、留意が必要です。
住民税も無申告状態になる
住民税は所得税や法人税をベースに金額が決まるため、確定申告を行わない場合は住民税も同時に無申告状態になります。住民税の場合は加算税は発生しませんが、延滞税にあたる延滞金はペナルティとして発生します。
青色申告とは?
そもそも確定申告とは、確定申告義務のある個人もしくは法人が確定申告の提出期限までに確定申告書を提出し、税金を納付する制度です。
マイナンバー制度の導入やインボイス制度の導入などにより、以前よりもお金の流れや財産の状況が確認しやすくなったのもあり、過去よりも無申告は明らかになりやすいという状況なのではと思います。
また副業収入や家賃収入など、少額なら確定申告の対象外と思っている方もいらっしゃいますが、一定金額を超えると等しく確定申告が必要になりますので注意が必要です。確定申告期限を遅れて提出したり、無申告だったりすると後述するペナルティを課されることになります。また税務調査が来る場合は、その対応が必要だったりと税金だけでなく精神的な面や時間的な面で力を使うことになってしまいます。
確定申告には白色申告と青色申告の2つがあり、青色申告はさまざまな税制上の恩恵がある一方で、帳簿をしっかりと整備する義務があったり、貸借対照表や損益計算書を作成したりと、一定の義務が課されることになります。白色申告でも青色申告でも年1回税務署へ提出することは変わりません。
いつ青色申告にすべきか?
青色申告は青色申告承認申請書を税務署へ届出することで青色申告者になれますが(提出期限がありますので、ご注意ください)、いつのタイミングで白色申告から青色申告になるのが良いのでしょうか?当事務所としてのおすすめは、本気で事業を伸ばしていくのであれば開業もしくは会社設立当初から青色申告者になることです。その理由としては青色申告の特典が大きいからです。
まず個人事業主の特典で行くと、まずは赤字を繰越できるという特典があります。期間としては発生後3年で、黒字になった年と相殺して税額を減額することが可能です。白色の場合はこの繰越が極めて限定されるため、青色の特典は大きいと言えます。また、減価償却についてもメリットがあり、30万円未満の資産について購入したその年に一括で経費計上することが可能となります。加えて「青色事業専従者」という制度がありまして、白色申告の場合、配偶者等に支払う給料には経費にできる最大金額がありますが、青色事業専従者では支払った全額(もちろん合理的に説明できるものに限りますが)経費として処理することが可能です。
法人についても同じように赤字を繰り越せる制度があるのと同時に、減価償却についても個人と同様のメリットが存在します。このように青色申告を選択することで経費上大きなメリットがあるため、帳簿や決算書を作成する手間はありますが、恩恵は大きいと考えられます。
青色申告は税理士へ依頼可能か?
青色申告は税理士へ依頼可能です。税務申告は税理士の独占業務であり、無償であっても無資格者は税務申告の作成・代行ができません。次節で、青色申告を税理士へ依頼するメリットについて紹介します。
青色申告で税理士へ依頼するメリット
確定申告作業から解放され本業に集中できる
確定申告作業は想定よりも難易度が高く複雑なものであり、経理経験のない経営者からしてみると大変時間を浪費する作業になります。また専門性が要求されるため、知識がない場合はミスを生じやすいものでもあります。税理士へ依頼することで、こうした作業から解放されて本業に集中できるとともに、確定申告でのミスが発生しなくなります。
決算書や確定申告書の信頼性向上
決算書や確定申告書は、金融機関から融資を受ける際などさまざまな場面で提出や説明が必要になります。経営者自身で作成するよりもプロである税理士が作成したものの方が、金融機関等からすると安心感がありますし、必要に応じて税理士が代わりに中身を説明してくれます。
ミスのない確定申告書の作成・提出
前述の内容と多少被りますが、確定申告書は日々の記帳からスタートし、決算書を年1回作成し、決算書に基づいて確定申告書を作成します。そもそも記帳から誤ってしまうと確定申告書も誤ることになるので、日頃から税理士に診てもらうことでミスの可能性がなくなるのです。
青色申告で税理士へ依頼するデメリット
青色申告を税理士へ依頼するデメリットはなんでしょうか?それは、費用がかかるという点です。経営者ご自身で確定申告書の対応を行えば費用は全くかかりませんが、税理士へ依頼する場合安くはない費用が発生しますので、費用対効果をどう考えるかが重要となります。
青色申告を税理士へ依頼するタイミング
年商1000万円を超える場合
年商1,000万円を超える場合、消費税の納税義務が発生します。消費税の申告書は所得税や法人税と異なり特殊な作成方法になります。また届出など誤りやすい論点が多く、かつ収支に与える影響も大きいため、税理士へ任せるタイミングの一つと言えるでしょう。
融資・資金調達も併せて考える場合
融資や資金調達を併せて検討する場合、必ず決算書や事業計画書が必要になります。もちろんご自身で決算書等を作成することは可能ですが、金融機関からの質問に回答できない場合は融資審査通過しない場合もあります。このような場合も税理士を活用する一つのタイミングでしょう。
会社設立・法人成りのタイミング
会社設立や法人成りする場合、法人税に対応していく必要があります。法人税の申告は所得税と異なり複雑かつ難易度が高いため、経営者ご自身で確定申告書を作成することはあまり現実的ではありません。そのため、会社設立・法人成りのタイミングは税理士を活用する一つのタイミングと言えるでしょう。
青色申告で税理士へ依頼する場合の費用相場について
青色申告で税理士へ依頼する場合、どの程度の費用相場になるのでしょうか?基本的な考え方は、個人事業主か法人か、年商はどの程度か、個人事業主の場合事業所得以外にも所得があるか、などで費用が決まってきます。税理士の費用請求の考え方が、税理士が作業する単価×かかるであろう見込み時間、によって算出しているからです。
地域によっても異なりますが(都心の方がより料金は高くなる傾向)、年商1,000万円未満の場合、月々の税務顧問報酬と年度の決算+確定申告書(年末調整等含みます)の料金で、およそ30万円から40万円程度になることが想定されます。
青色申告を税理士へ依頼する場合に必要な書類等
通帳のコピーやインターネットバンキング明細
預金に関する入手金明細の把握に必要となります。
領収書・現金出納帳
預金以外の手元現金の動きを把握するのに必要となります。
売上に関する請求書・売上台帳
売上を把握するための、売上に関する請求書や請求書を管理する売上台帳、が必要となります。
賃金台帳や給与明細
人件費を把握するため、給与計算の基礎となる賃金台帳と給与明細が必要となります。
支払い先からの請求書・支払台帳
支払金額を把握するため、支払い先から届く請求書やそれを管理する支払台帳が必要となります。
青色申告について税理士を探す方法
経営者仲間からの紹介
紹介経由が多い印象です。信頼できる経営者仲間から信頼できる税理士を紹介してもらうと安心感があるでしょう。ただし相性が合わない場合もあるので、紹介してもらった以上、断りづらいというのはあります。
インターネットでの検索
インターネットで、お住まいもしくは事業所がある地域の税理士を検索する方法です。問い合わせ窓口に直接連絡して面談を行います。
税理士紹介サイトの活用
インターネット上のサービスで、依頼者の要望に応じて複数名の税理士を紹介してもらえるものです。依頼者は基本的に無料となります。
青色申告を税理士へ依頼するメリットに関するまとめ
以上のように青色申告において税理士を選ぶポイントについて記載してきました。こちらの記事を参考にして、ぜひ税理士選びのサポートとしていただけると光栄です。
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この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。