本記事では、記帳代行を丸投げしたい経営者にとって税理士へ記帳代行を依頼すべきかどうか、依頼する際の費用やメリット等について詳細に記載しております。具体的に、税理士を探すにあたって、どのようなサービスだとどのぐらいの費用が適正なのかについて記載します。
本記事を読んでいただくことで、記帳代行について税理士をつけるかどうか迷っている方が、税理士と相談できる内容を明確に理解するとともに税理士と契約する際に適正な費用の水準を理解し、税理士を選ぶ判断軸を得ることができた上で、税理士と契約するかどうかを判断することができるようになります。
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記帳代行とは何か?
記帳代行の定義
事業を行う上で避けては通れないのが「記帳業務」です。記帳とは、売上や仕入、経費、給与など、会社のお金の出入りを帳簿に記録していく作業を指します。事業の実態を正しく反映させるためにも、記帳は非常に重要な役割を果たします。しかし、実務としては非常に煩雑で時間のかかる業務でもあります。
この記帳作業を外部の専門家や業者に任せることを「記帳代行」と呼びます。つまり、経営者やスタッフに代わって第三者が帳簿を作成するサービスです。帳簿の作成だけでなく、領収書や請求書の整理、仕訳の入力なども代行の範囲に含まれることが多く、業務の負担を大幅に軽減できる手段として注目されています。
誰が利用するサービスか?
記帳代行は、特に中小企業や個人事業主にとって有効なサービスです。大企業であれば、社内に経理部門を設け、記帳業務を内製化することが一般的ですが、中小規模の企業ではそのような体制を持つことが難しいケースが少なくありません。
日々の営業や業務に追われる中で、記帳作業に十分な時間やリソースを割けない場合、専門家に記帳を依頼することで、経営資源を本業に集中させることが可能になります。また、記帳の専門知識が不足している経営者にとっても、ミスや漏れのない帳簿を維持できる点で非常に有益です。
主なサービス内容
記帳代行の具体的な内容は提供事業者によって多少異なりますが、主に以下の業務が含まれます。
- 領収書や請求書の整理
- 現金出納帳の作成
- 銀行取引の記録・照合
- 会計ソフトへの仕訳入力
- 試算表の作成
- 月次報告書の作成(オプションとして)
これらをすべて自社で行うとなると、相応の時間と知識が必要ですが、記帳代行サービスを利用することで、これらの業務を一括して任せることができます。
記帳と決算申告の関係
記帳の精度が決算に直結する理由
記帳業務は、単なる事務作業に思われがちですが、実は決算申告に直結する非常に重要な役割を担っています。すべての会計処理は記帳から始まり、1年間の記帳を基に決算書が作成され、そこから法人税・所得税・消費税などの各種申告が行われます。
もし記帳にミスや漏れがあると、それに基づいて作成された決算書も当然不正確になります。結果として、税額の過少申告や過大申告といったトラブルに発展し、税務署からの指摘や調査につながるリスクも生じます。記帳は、事業の健全性を保つための「土台」であり、その精度が会社の信頼性にも直結するのです。
帳簿の正確性と税務リスク
税務署に提出する決算書や申告書は、最終的なアウトプットに過ぎません。その根拠となるのが「帳簿」です。帳簿に正確な情報が記載されていないと、税務署から帳簿の信頼性を疑われる可能性があります。
たとえば、売上が抜けている、経費の計上が不自然に多い、取引内容が不明確な仕訳が多いといった場合、税務署は帳簿を「否認」し、推計課税という方法で税金を再計算することもあります。その場合、本来よりも多額の税金を課されることもあり、事業にとって大きなダメージとなります。
記帳を専門家に任せることで、これらのリスクを大幅に低減することが可能です。特に税理士であれば、税法に即した正確な記帳を行ってくれるため、税務調査にも耐えうる帳簿を維持できます。
会計帳簿の提出義務と保存要件
法人・個人を問わず、事業者は税務署に対して帳簿の保存義務があります。たとえば法人の場合、帳簿書類は7年間の保存が必要とされています。青色申告を行っている個人事業主も、同様に帳簿の保存義務があります。
この保存要件に違反した場合、税務調査時に不利な取り扱いを受ける可能性が高まります。記帳代行を活用すれば、帳簿の作成だけでなく、保存方法の指導やクラウド管理への対応なども含めて対応してくれるケースが多く、将来のトラブル回避につながります。
記帳は自社でもできるのか?
自社での記帳は可能か?
事業者にとって記帳業務は義務であり、税務申告に必要不可欠な作業です。そして、この記帳は法的に「自分で行わなければならない」と定められているわけではありません。つまり、自社で記帳を行うことも、外部に依頼することも、自由に選択できます。
現代では、クラウド会計ソフトの普及により、経理の専門知識がなくてもある程度の記帳は自力で対応可能となりました。たとえば、freee や マネーフォワード、弥生会計などを活用することで、銀行やクレジットカードと自動連携し、仕訳の自動化が進んでいます。こうしたツールを使えば、ある程度までは自社での記帳も現実的な選択肢となるでしょう。
自社記帳のメリットとデメリット
自社で記帳を行うメリットとして、まず挙げられるのは「コスト削減」です。外注費がかからず、基本的にソフトの利用料のみで済むため、起業直後や経費を抑えたいフェーズでは魅力的に映ります。
また、自社で経理業務に取り組むことで、日々の数字に対する意識が高まり、経営判断が迅速になるというメリットもあります。たとえば、キャッシュフローの状態や売掛金・買掛金の動向を常に把握できれば、資金繰りに関するトラブルを未然に防ぐことも可能です。
一方で、自社記帳の最大のデメリットは「時間と手間がかかること」、そして「ミスが起きやすいこと」です。経理に慣れていない人が記帳を行う場合、仕訳のルールや勘定科目の使い方に迷うことが多く、非効率な処理が繰り返されることもあります。さらに、税務上のミスや漏れがあると、申告時にペナルティを受ける可能性も否定できません。
また、事業が軌道に乗ってきて取引量が増えると、記帳業務の負担も加速度的に増加します。このタイミングで外注を検討する事業者も多く見られます。
自社記帳が向いているケース
自社での記帳が向いているのは、主に以下のようなケースです。
- 起業したばかりで取引件数が少ない
- 会計ソフトの操作に慣れている
- 経理担当者をすでに雇っている
- 記帳の精度よりもスピードやコストを重視している
ただし、これらの条件をすべて満たす場合でも、事業の成長とともに再検討が必要となるでしょう。経理に使う時間が本業の妨げになるようであれば、早めに外注の検討を進めるべきです。
記帳代行が丸投げできる先
記帳代行の委託先は複数ある
記帳業務を外注する場合、その委託先は主に3つのカテゴリに分類されます。それぞれに特徴があり、事業者のニーズや業種、規模によって最適な選択肢は異なります。ここでは、代表的な3つの代行先について解説します。
1. 税理士・会計事務所
記帳代行の委託先としてもっとも一般的なのが、税理士や会計事務所です。税理士は国家資格を持った税務の専門家であり、単なる記帳代行にとどまらず、税務申告や節税対策、財務アドバイスなど幅広い業務を請け負うことができます。
税理士に記帳を依頼する最大のメリットは、帳簿の正確性が高く、税務調査にも耐えられる品質が保証されることです。特に法人や売上規模がある程度以上の事業者にとって、税務リスクを最小限に抑えるためにも、税理士への依頼は安心感があります。
さらに、日常的な経営相談や資金繰りのアドバイスを受けられるケースもあり、記帳代行をきっかけに中長期的な関係を築ける点も大きな特徴です。
2. 記帳代行専門業者(経理代行業者)
税理士資格を持たないものの、記帳を専門に請け負っている業者も存在します。これらの業者は、主に中小企業や個人事業主をターゲットとし、コストを抑えた記帳サービスを提供しているのが特徴です。
税務申告そのものは扱えないため、あくまで「記帳だけをアウトソースしたい」というニーズに特化したサービスといえます。記帳以外にも、請求書の発行や給与計算、支払い代行など、経理業務全般をサポートするプランも多く、必要に応じて柔軟な依頼が可能です。
ただし、記帳の内容が正確かどうかのチェックや、税法に即した判断が必要な場合には、別途税理士との連携が求められます。
3. クラウド会計サービス会社+記帳サポート
最近では、クラウド会計サービスの提供企業が記帳代行もセットで請け負うケースが増えています。たとえば、freee や マネーフォワードなどのクラウド会計ソフトには、提携会計事務所による記帳サポートプランが用意されており、ソフトの利用と記帳代行が一体となった形で提供されています。
このモデルでは、記帳のデジタル化が前提となっており、紙の領収書ではなくデータでのやり取りが基本です。そのため、業務効率を重視したい事業者や、リモート環境で経理を完結させたい法人には非常に相性が良いといえます。
ただし、サービス提供の主導権はソフト会社側にあるため、対応の柔軟性や専門的なアドバイスには限界があるケースもあります。
記帳代行を丸投げするなら税理士がオススメな理由
記帳だけでは済まない「税務」の壁
記帳代行を外部に任せる際、コストやスピードを重視するあまり、記帳専門業者やクラウド記帳サポートを選ぶケースもあります。これらの選択肢にもメリットはありますが、一定の事業規模以上になると、単なる記帳代行だけでは不十分となることが多くなります。
その理由は、記帳はあくまで「税務処理の入り口」に過ぎないからです。帳簿が正しく作成されたとしても、そこから税務申告まで一貫して対応できるかどうかが、事業者にとって非常に重要なポイントになります。
税務処理には法律の知識や実務経験が必要です。そしてその対応ができる唯一の国家資格者が「税理士」です。つまり、最終的に税務申告が必要になる以上、帳簿を作る人と申告をする人が別であることには、明らかな限界があるのです。
法改正や制度変更への対応力
税務や会計に関する法律は、毎年のように改正されています。インボイス制度、電子帳簿保存法、消費税の適格請求書制度、相続・贈与税の改正など、事業に影響する変更が頻繁に起こっています。
このような変化に迅速に対応し、帳簿や仕訳の方法を適切に修正できるのは、やはり税理士をおいて他にありません。記帳代行業者やクラウド業者では、こうした対応力にばらつきがあり、場合によっては最新制度に対応していないまま帳簿が作成されるリスクもあります。
税理士に任せておけば、最新の制度に基づく正確な記帳と税務処理が可能となり、法的なトラブルやペナルティの回避にもつながります。
税務申告・節税・資金繰りまで一括対応
税理士の強みは、単なる記帳にとどまらない点にあります。具体的には、以下のような業務まで一括で依頼することが可能です。
- 決算書・申告書の作成
- 税務署への申告代理
- 節税対策の提案
- 資金繰り計画のサポート
- 融資・助成金申請支援
- 税務調査の立会い
これらの業務をそれぞれ別の業者に依頼するのは非効率ですし、情報の食い違いや連携ミスのリスクもあります。税理士に記帳から申告まで丸ごと任せることで、事業の数字に一貫性が生まれ、トラブルの可能性を最小限に抑えることができます。
記帳代行を税理士へ丸投げするメリット
本業に集中できる
税理士に記帳業務を丸ごと任せる最大のメリットは、「経営者が本業に集中できる環境を作れること」です。記帳や経理作業は、売上には直接つながらないにもかかわらず、時間と労力を大きく消費する業務です。
特に経営初期や少人数で事業を回している段階では、経営者自身が経理を担当しているケースも多く、その時間が本業を圧迫してしまうことがあります。税理士に依頼することで、数字に関する作業を完全に手放し、事業の拡大やサービスの質向上にリソースを集中させることができます。
高品質な帳簿が手に入る
税理士が作成する帳簿は、税法に基づいた正確な仕訳と科目選定がなされています。税務署の調査にも耐えうる品質があり、申告時にも根拠として十分通用するものとなります。
一方、記帳専門業者や自社で作成する帳簿は、どうしてもチェック体制が弱く、後々の修正や再計算が発生することも少なくありません。その点、税理士に丸投げすれば、最初から「申告を見越した帳簿」が手に入り、申告書作成との整合性も保ちやすくなります。
節税のアドバイスが受けられる
税理士は、節税のアドバイスを行うことも仕事の一部です。記帳を通じて事業の収支や資産状況を把握しているため、最適なタイミングで適切な節税策を提示してくれるケースが多くあります。
たとえば、
- 決算前に経費を調整する方法
- 減価償却の計上タイミング
- 節税につながる制度(小規模企業共済など)の活用提案
など、具体的かつ実務的なアドバイスを受けることができます。
このような支援は、記帳専門業者やクラウド記帳サービスでは提供できない部分であり、税理士に丸投げする大きなメリットの一つです。
税務調査にも安心して対応できる
税務調査は、企業や個人事業主にとって大きなストレスとなるイベントです。税務署から帳簿の提出や説明を求められたとき、記帳が不十分であったり、根拠が不明確な仕訳が多かったりすると、調査が長引いたり、追徴課税につながる恐れがあります。
税理士が記帳から申告までを一貫して担当していれば、調査の際にも事情を把握しているためスムーズに対応でき、調査への立会いや書面対応も代理で行ってくれます。これにより、調査時の不安や手間を大幅に軽減できます。
記帳代行に対応可能な税理士を探す方法
「どこで税理士を探すか」がすべてを左右する
税理士に記帳代行を依頼することが決まったら、次は「誰に依頼するか」という非常に重要なステップが待っています。税理士は全国に数万人いますが、すべての税理士が記帳代行に積極的に対応しているわけではありません。
税理士には、それぞれ得意な分野や顧問スタイル、サポートの深さに違いがあります。記帳代行に対応していない税理士も一定数おり、単発の決算申告のみを主に請け負っている場合もあります。そのため、最初の段階で「記帳代行に対応可能かどうか」をしっかり確認しながら探す必要があります。
以下では、実際に対応可能な税理士を見つけるための主な手段を紹介します。
インターネットでの検索と専門サイトの活用
もっとも手軽な方法は、インターネット検索です。たとえば「記帳代行 税理士 東京」などのキーワードで検索することで、地域に根差した税理士事務所のホームページが数多く見つかります。
また、以下のような税理士検索専門サイトも活用できます。
- 日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」
- 税理士ドットコム
- ビスカス
- ミツモア
- フリーやマネーフォワードと連携した税理士マッチングサービス
これらのサイトでは、エリアや得意業種、クラウド会計への対応、料金帯などの条件で絞り込みができるため、希望に近い税理士を効率的に探すことができます。
商工会・同業者からの紹介
地域の商工会議所や業界団体に所属している場合、提携先の税理士を紹介してもらえることがあります。こうした紹介は信頼性が高く、地元で実績のある税理士を紹介されるケースが多いため、初めて依頼する人には特に安心です。
また、すでに税理士と付き合いのある同業者から紹介してもらうのも非常に有効です。同じ業種での実務経験がある税理士であれば、業界特有の会計処理や税務対応にも慣れており、スムーズに業務を進めることができるでしょう。
マッチングサービスを活用する
近年は、税理士と事業者をマッチングするWebサービスも増えています。たとえば「税理士紹介センター」などでは、希望条件を登録すれば、担当コーディネーターが要望に合った税理士を複数紹介してくれる仕組みが整っています。
マッチングサービスの良いところは、料金交渉や契約手続きの仲介をしてくれる点です。記帳代行や顧問契約に不慣れな方でも安心して依頼を進めることができます。
記帳代行に対応可能な税理士を選ぶポイント
税理士選びは「相性」と「業務理解度」で決まる
税理士の検索ができたとしても、すぐに契約に進むのは避けましょう。なぜなら、税理士にも専門性や得意分野に違いがあり、記帳代行のスタンスにも差があるからです。
また、税理士とは長期的な関係になることが多く、経営の内部情報を共有する相手です。人としての相性や、意思疎通のしやすさも非常に重要な判断材料になります。
ここでは、特に記帳代行を任せる際に確認すべきポイントを解説します。
業種や取引形態に詳しいかどうか
税理士にも、飲食業に強い人、IT業に詳しい人、医療法人に特化している人など、それぞれ得意とする業種があります。事業の内容によって取引のパターンや経費の種類が異なるため、自社と同業種への対応実績がある税理士を選ぶことが理想的です。
例えば、建設業であれば工事台帳の管理や前受金処理、EC業なら在庫処理やモール手数料の仕訳など、専門知識が求められる場面が多々あります。その業界特有の処理に慣れている税理士であれば、記帳の精度も格段に高まります。
クラウド会計への対応可否
現代の記帳業務では、クラウド会計ソフトを活用することが主流になりつつあります。特にfreeeやマネーフォワード、弥生会計オンラインなどに対応している税理士であれば、データのやり取りが効率的になり、リアルタイムで財務状況を確認することも可能になります。
紙ベースや手入力にこだわる税理士だと、処理に時間がかかる上、業務の透明性が下がる恐れがあります。ITリテラシーのある税理士を選ぶことは、現代的な経理体制を築くうえで欠かせない視点です。
料金体系が明確かどうか
記帳代行を含む顧問契約には、毎月の顧問料、決算報酬、記帳代行料など、複数の費用が関係してきます。これらの料金体系が事前に明確に提示されているかどうかは、契約後のトラブルを防ぐために非常に重要です。
たとえば、「月間の仕訳数によって金額が変動するのか」「記帳資料の提出方法によって割引があるのか」「年度途中からの依頼は割増になるのか」など、細かい条件を丁寧に説明してくれる税理士であれば、信頼して業務を任せられるでしょう。
コミュニケーションの取りやすさ
税理士とのコミュニケーションは、メールや電話だけでなく、月次報告や決算前の打ち合わせなどでも頻繁に発生します。そのため、レスポンスの早さや、説明のわかりやすさ、態度の誠実さなど、実際に話してみて「信頼できる」と感じられるかどうかが判断のカギとなります。
「専門用語ばかりで何を言っているか分からない」「連絡してもなかなか返事がない」といったストレスがあると、長期的な関係の中で不満が蓄積してしまいます。面談や電話相談の段階で、実際の対応を確認することが大切です。
記帳代行を税理士へ丸投げした場合の費用相場
記帳代行の料金はどう決まるのか?
税理士に記帳代行を依頼する際、気になるのがその費用感です。記帳代行の料金は一律ではなく、以下のような条件によって変動します。
- 毎月の仕訳数(取引件数)
- 資料の提出形式(紙・Excel・クラウドなど)
- 領収書・請求書の量
- 仕訳の難易度(複雑な業種や特殊取引があるか)
- 依頼する業務範囲(記帳だけか、申告も含むか)
つまり、「毎月の入力件数が多い」「資料がバラバラ」「会計処理が複雑」といったケースでは、その分コストが高くなるのが一般的です。
一般的な記帳代行の料金相場
ここでは、税理士に記帳代行を丸投げした際の、おおよその料金相場をご紹介します。
【個人事業主の場合】
- 月間仕訳数100件未満:5,000円〜10,000円
- 月間仕訳数100〜300件:10,000円〜20,000円
- 月間仕訳数300件以上:20,000円〜30,000円以上
【法人の場合】
- 月間仕訳数100件未満:10,000円〜15,000円
- 月間仕訳数100〜300件:15,000円〜30,000円
- 月間仕訳数300件以上:30,000円〜50,000円以上
※上記は「記帳代行のみ」の場合です。これに加えて、毎月の顧問料(月額10,000円〜30,000円)や、年1回の決算申告料(法人であれば100,000円〜200,000円前後)が発生することが多いです。
オプション料金がかかる場合もある
記帳代行に関連して、以下のようなケースでは追加料金がかかることがあります。
- 納品された領収書が未整理で、仕分けに時間がかかる
- 年度の途中から依頼するため、まとめて複数月分を処理する必要がある
- 会計ソフトへの導入支援・初期設定
- 複数店舗・複数通貨・海外取引の記帳
事前にこれらの可能性を想定し、見積もり段階で「トータルでいくらかかるか」を確認することが重要です。
割安に依頼するためのコツ
記帳代行のコストを抑えるには、次のような工夫が有効です。
- 毎月、資料を整理して提出する(領収書・請求書を日付順に並べるなど)
- クラウド会計を導入し、銀行口座やカードを自動連携させる
- 不要な経理項目を省き、仕訳数を減らす
税理士との分業がスムーズにいけば、記帳業務の効率が上がり、結果的に費用も安く抑えられるケースが多いです。
どんな人が記帳代行を税理士へ丸投げすべきか?
記帳に時間を割けない事業者
記帳代行を税理士に依頼すべきかどうかは、**「自分が経理にどれだけの時間を使えるか」**で判断するのが最も現実的です。
たとえば、以下のような状況に当てはまる事業者は、丸投げを強く検討すべきです。
- 本業に追われ、経理に手が回らない
- 経理作業が苦手で、毎月後回しにしてしまう
- 記帳作業が原因で、売上拡大や新サービス開発の時間が取れない
こうしたケースでは、自力での記帳を続けることで業務効率が下がり、事業全体の成長にブレーキがかかってしまいます。税理士に記帳代行を依頼すれば、手間を完全に手放すことができ、時間の使い方を抜本的に見直すきっかけになります。
経理に不安がある人、ミスを避けたい人
記帳には、税法や会計の基礎知識が必要です。簿記に慣れていない場合、科目の選定ミスや金額の記載ミスが起きやすく、後々の申告や融資審査でトラブルに発展することもあります。
たとえば、「交際費と福利厚生費の区別がつかない」「経費になると思って処理したけど実は対象外だった」など、初心者にとって記帳は意外と判断の難しい領域です。
こうした不安を抱えている方にとって、税理士による記帳代行は、専門家の知識を活用して「正確な帳簿を保つ」ための最善策となります。
融資や助成金の申請を予定している人
銀行融資や助成金を受ける際には、必ずと言っていいほど「帳簿の提出」が求められます。帳簿が不完全だったり、記帳に漏れがある場合、審査が通らない・時間がかかる・不利な評価を受けるといった不利益が生じる可能性があります。
税理士によって作成された帳簿は、正確かつ整然としており、金融機関や支援機関からの信頼性も高いです。将来的に資金調達を視野に入れている事業者にとっては、税理士の記帳代行は「融資を通すための準備」でもあります。
事業が成長し、取引が増えてきた人
創業当初は自力で記帳できていたとしても、事業の成長に伴い、売上や取引件数が増えてくると、経理の負担は一気に重くなります。
- 売掛金・買掛金の管理
- 月末の締め処理
- 税区分の見極め
- 複数口座の管理 など
これらを全て社内で対応するのは難しくなってくるため、成長フェーズにある企業や個人事業主こそ、記帳代行の導入を検討すべき時期といえます。
記帳代行を税理士へ丸投げする最適なタイミング
1. 開業直後〜早い段階での依頼がベスト
多くの個人事業主や中小企業経営者が「最初は自分でできるだろう」と思い、開業時には経理を自力で始めます。しかし、実際には売上管理、領収書の整理、税務署への届出、請求書作成、そして記帳まで、やるべきことが次々に発生し、手が回らなくなるのが現実です。
このような状況に陥る前、開業直後または事業が軌道に乗り始めたタイミングで税理士に依頼することが理想です。
なぜなら、最初から税理士に記帳を任せていれば、帳簿が一貫して正確に管理されるため、申告や融資時に慌てずに済みます。また、税理士は開業時の届出や税制選択(青色申告など)についてもアドバイスが可能です。初期段階での相談が、後々のトラブル回避に直結します。
2. 記帳が追いつかなくなったとき
経営に追われ、記帳が1ヶ月、3ヶ月、半年と溜まっていく状況は、非常に危険です。溜め込んだまま年度末を迎えると、確定申告や決算申告に間に合わず、ペナルティが発生するリスクもあります。
「もう限界」と感じたときが、記帳代行を依頼すべき分岐点です。税理士に資料を渡すだけで、一気に溜まった記帳処理を進めてもらえるため、精神的にも業務的にも負担が大幅に軽減されます。
3. 売上や取引件数が増えてきたとき
記帳作業の負担は、取引量に比例して増大します。以下のような変化が見られたら、記帳代行を検討する時期です。
- 請求書の発行数が増えた
- 領収書・経費精算が多くなってきた
- 複数の銀行口座・クレジットカードを使い始めた
- 月次決算の必要性が出てきた
こうした状況では、プロに記帳を任せた方が正確かつ効率的に進められ、経営判断に使える数字がスピーディに手に入るようになります。
4. 融資や補助金申請の前
金融機関や行政機関から資金調達を行う際には、過去の会計データが必要となります。記帳が適切に行われていないと、審査の通過が難しくなることがあります。
このような重要な局面の前に、帳簿を整える目的で税理士に依頼するケースも少なくありません。タイミングとしては遅くとも3ヶ月以上前には依頼し、計画的に会計データを整備するのが理想です。
記帳代行を税理士へ丸投げする際の留意点
1. 資料の準備と提出が必要
「丸投げ」と言っても、完全に手離れできるわけではありません。帳簿をつけるためには、以下のような基本的な資料を税理士へ提出する必要があります。
- 領収書、レシート
- 請求書(発行・受領)
- 銀行通帳コピー、ネットバンキングの明細
- クレジットカードの明細
- 売上伝票やレジ締め
- 現金出納帳(ある場合)
これらの資料が不完全だったり提出が遅れたりすると、記帳作業自体が進まなくなります。スムーズな記帳代行を実現するには、「資料を定期的に整えて提出する」ことが最低限の責任です。
2. 税理士との情報共有を怠らない
記帳代行では、取引の背景や事業内容を税理士がある程度把握しておく必要があります。たとえば「この支出は広告宣伝費か?雑費か?」という判断には、背景情報が必要不可欠です。
そのため、取引内容についての共有はできるだけ詳細に行いましょう。毎月のやり取りで説明メモを添えたり、不明点にはすぐ対応したりすることで、精度の高い帳簿作成が可能になります。
特に以下のような場合には、事前に伝えるようにしましょう。
- 新しい取引先と契約を結んだ
- 事業内容が一部変更になった
- 大口の設備投資を行った
- 補助金や助成金を受け取った
3. 自社での一部管理は必要
税理士に記帳を依頼している場合でも、日々の資金繰りや経費管理などは自社で把握しておく必要があります。完全に数字の管理を他人任せにしてしまうと、事業の方向性を見失うリスクもあります。
たとえば、「今月いくら売上があったか」「経費の中でどの項目が多いか」などは、定期的に確認できるようにしましょう。税理士から月次レポートが届いたら必ず目を通し、必要であれば質問や相談を行うことで、会計知識も自然と身につきます。
4. コミュニケーションの質が成果を左右する
記帳代行がうまくいくかどうかは、税理士との関係性やコミュニケーションの頻度に大きく左右されます。単に資料を渡して終わりではなく、定期的に進捗を確認し、課題や疑問点があれば都度解決していく姿勢が重要です。
初回面談時には、「どのようにやり取りを進めるのか」「レスポンスの頻度」「報告方法(メール・電話・面談など)」といった運用面も確認しておくと、トラブルの回避につながります。
5. 契約条件・料金体系を事前に明確に
記帳代行の依頼では、「後から料金が上乗せされる」「思っていた作業範囲と違った」などのトラブルも見受けられます。
以下の点については、契約前にしっかり確認・合意しておくことが大切です。
- 記帳代行の範囲(どこまでやってくれるのか)
- 月額の料金と追加費用の条件
- 仕訳数や売上の変動による料金調整
- 解約や業務範囲の変更ルール
契約書や見積書で不明点がある場合は、遠慮なく税理士に確認しましょう。「任せているからこそ、責任ある管理体制を築く」ことが、成功の鍵です。
記帳代行を税理士へ丸投げするにあたってよくある質問と回答
記帳代行を税理士に依頼する際、多くの方が共通して抱く疑問があります。ここでは、実際によくある質問とその答えをわかりやすく整理してご紹介します。
Q1. 領収書や通帳は紙のまま提出する必要がありますか?
A. 必ずしも紙である必要はありません。
最近では、スキャンしたPDFやスマートフォンで撮影した画像データ、インターネットバンキングのCSVファイルなど、デジタルデータでの提出に対応している税理士も多数います。特にクラウド会計ソフトを利用している場合は、直接ソフト上で連携・共有できるケースもあるため、紙の提出は不要です。
ただし、税理士によって対応範囲が異なるため、事前に提出形式の希望を伝え、可能かどうか確認しておくと安心です。
Q2. どこまでを「記帳代行」として対応してくれるのですか?
A. 基本的には仕訳の入力作業ですが、内容によって異なります。
記帳代行の範囲は税理士事務所によって若干異なりますが、通常は以下のような作業が含まれます。
- 領収書や請求書の整理
- 会計ソフトへの仕訳入力
- 試算表の作成
- 月次レポートの作成(オプション)
また、給与計算や売掛金・買掛金の管理、請求書発行代行などの周辺業務には別途費用がかかる場合が多いため、「どこまでが標準で、どこからがオプションなのか」を明確にしておくことが重要です。
Q3. 途中の月から依頼することはできますか?
A. はい、可能です。
例えば「4月〜9月分まで溜まってしまったから、10月にまとめて依頼したい」といったケースにも柔軟に対応してくれる税理士は多いです。ただし、複数月分の記帳を一括で行う「スポット記帳代行」では追加料金が発生する可能性があるため、見積もりの際に必ず確認しましょう。
また、処理する資料の量が多い場合は、納期も余裕を持って設定する必要があります。
Q4. 自分で入力したデータを一部だけ税理士に見てもらうこともできますか?
A. はい、「チェック業務」のみを依頼することも可能です。
すべてを任せるのではなく、「自社で会計ソフトへ入力は行うが、税理士には定期的に内容を確認してもらいたい」といったニーズにも対応してくれる税理士は多くいます。
この場合、「記帳チェックサービス」や「レビュー業務」として、毎月または四半期ごとに確認・アドバイスを受ける契約を結ぶことになります。コストを抑えつつ、プロの目による確認を得たい方におすすめです。
Q5. 税理士に記帳代行を依頼すると、自社で帳簿を見られなくなるのでは?
A. そんなことはありません。
特にクラウド会計ソフトを導入している場合は、税理士と自社が同じデータを共有する形式になるため、リアルタイムで帳簿を見ることができます。
また、定期的に試算表や帳簿のデータをPDFなどで納品してくれる事務所も多いため、経営状況を常に把握しながら事業を運営することが可能です。
まとめ:記帳代行を税理士へ丸投げする価値と意味
ここまで6回にわたって、記帳代行を税理士に丸投げするメリットや注意点、選び方、費用感、タイミングなどについて詳しく解説してきました。最後に、税理士への記帳代行依頼が持つ本質的な価値を改めて整理します。
自社の時間とリソースを守る手段
記帳代行を税理士に任せることは、単に「経理を外注する」だけではありません。それはつまり、自社の限られたリソースを本当に注力すべき業務に集中させるための投資です。
日々の記帳にかけていた数時間〜数十時間を、営業、商品開発、顧客対応、スタッフ育成などの本業に振り向けられれば、事業全体の成長スピードは大きく変わってきます。
ミスなく、正確で信頼される帳簿を維持できる
税理士は法律と数字のプロです。記帳を任せることで、税務署や金融機関からも信頼される帳簿が自動的に維持されます。これは、税務調査や融資、助成金申請といった局面で、極めて大きな強みになります。
「もしかしたら何かミスしているかも」「あとで修正が必要になるかもしれない」といった不安から解放される安心感は、事業者にとって非常に大きな価値です。
税理士との継続的なパートナー関係の構築
記帳代行をきっかけに税理士と関係を築けば、やがては税務申告、節税対策、資金繰り、事業承継、法人化の相談など、より幅広い経営支援を受けられるようになります。
ただの「入力作業の代行者」ではなく、経営のパートナーとして税理士と信頼関係を築くことで、事業運営の質そのものが向上していきます。
最後に
記帳は、「やらなければならないけど、できればやりたくない」業務の代表格です。だからこそ、思い切ってプロに任せてしまうことで、本業に集中し、経営者としての時間とエネルギーを最大化するという選択肢が今、多くの事業者に求められています。
税理士への記帳代行の丸投げは、単なるコストではなく、安心と成長のための戦略的アウトソーシングです。もし、今まさに迷っているなら、ぜひ一歩踏み出して、信頼できる税理士との出会いを探してみてください。
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この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。
