事業計画を税理士へ依頼するメリットについて解説

税務

本記事では、事業計画を税理士へ依頼するメリットや費用相場、税理士と契約する際にの留意点等について記載をしていきます。本記事を参考にしていただくことで、税理士が事業計画の作成においてどのようなサポートを具体的にしてくれるのがなど、基本的な知識を身につけることができます。

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税理士の活用:事業計画とは?

事業計画とは、今後の収益及び費用、もしくは利益を予想するために一定の前提をおいて作成をした予想損益計算書及び貸借対照表になります。損益計算書を作成することは多いと思いますが、数字の整合性を確認するために貸借対照表まで作成するとより事業計画の精度が上がります。基本的には実績ではなく将来数字の予想になりますので、数字を作成するにあたっては、過去の実績を踏まえつつ、さまざまな前提をおいて数字を作成していくことになります。

事業計画の目的

融資・資金調達のため

金融機関から融資を受ける場合に、事業計画が求められます。過去の決算書と連続した合理的な事業計画を策定する必要があります。

経営目標やビジョンの明確化

事業計画は数字面だけでなく、経営目標やビジョンを明確化する戦略とセットになります。従業員へ周知することで、会社が向かうべき方向性を共有化することが可能です。

ビジョンに基づく人材採用戦略・方向性

経営ビジョンを明確化することで、どのような人材を採用して育成していくべきかの戦略も決まってくることになるので、事業計画が人材採用戦略に与える影響は大きいです。

税理士の活用:事業計画の作成の考え方

作成の仕方ですが、イメージをお伝えいたします。例えば売上の予測で小売業の場合は、まず売上を平均の客単価と来店客数に分解します。来店客数について新規の顧客とリピーター顧客へ分解できるようであれば両者を分解します。なぜ分解するかというと、新規の場合は広告宣伝等を行い新しくきた顧客であり、リピーター顧客は広告宣伝費を基本的には使っていないできた顧客のため、広告宣伝費の予想をする際にコストの使い方(結果的に営業利益に影響してきますが)が変わってくるためです。

客単価について過去のトレンドから見て今後数年間は今年並みの客単価が続くと判断すれば、客単価は事業計画上一定とします。一方で新規顧客とリピーターの比率については、過去のトレンドからある程度割合が見えてくるのと、新規顧客の過去推移も見れるため、それを踏まえた上で、今後の新規顧客数とリピーター数を予測します。新規顧客とリピーターで客単価が明確に異なる場合については、異なる客単価を使用することとします。

一方コストについてどこまで細かく分析するかという話はありますが、大きくコスト構造として売上原価と販管費に分けることができます。売上原価については、過去の売上原価率の推移が大きく増減していないのであれば、今後の一定続くと想定して、過去の平均売上原価を使用することも考えられます。一方で、販管費はまとめて販管費率という形で売上原価と同じように過去平均率を活用することも可能ですが、一般的には販管費は売上におおむね連動する変動費と、連動しない固定費に分けることが多いです。固定費については、他の要素に紐付かず一定発生する費用となりますので、予想がしやすいかと思います。変動費については売上に連動するものもあれば、客数に紐づくものもあります。それぞれ最も近い連動する数字に紐づけて、将来数字を予想することになります。

上記で営業利益までは予想数字を作ることができました。営業利益から下の項目について主なものは金融機関からの借入利息です。借入を想定している場合には、想定される借入残高と支払利息を設定し、支払利息を営業外費用として営業利益の下の項目で控除することになります。最後に税金に関しては、初年度から黒字が出る場合には、実効税率を使って税額を計算することが一般的です。

税理士の活用:事業計画はどのような場合に使うのか?

事業計画はどのような場合に活用するのでしょうか?まずは、経営者が経営を行う上で今後の事業を予測し、それに合うように実績を作っていくことで場当たり的でない計画的な事業をできるということです。事業計画には資金繰りも連動しているため、場当たり的にお金を使ったり、追加で借り入れたりすることなく、適切な資金調達とコストで事業を運営させることが可能となるのです。3か年や5か年など中期の期間で設定する事業計画を中期事業計画と一般的に呼んでおり、翌期の単年度の事業計画については単年度計画と一般的には呼んでいます。

上記以外には金融機関からの借り入れを行う際に使用したりします。特に開業時においては過去の実績数字がないため、事業計画書の提出とその説明を金融機関から求められます。当然その事業計画は説明できるだけ合理的な内容であり、他の数字と整合している必要があります。そのため合理的な前提を経営者はしっかりと考え、ミスのない事業計画を考える必要があるのです。また事業計画には返済計画も含まれるため、しっかりと借入期間内に返済ができる計画を立てる必要があるのです。

事業計画の策定において税理士がサポートできること

前述の通り事業計画書の合理性が非常に重要となってきますが、過去に事業計画を作成したことがない個人事業主や法人のオーナーにとっていきなり事業計画書を作成するのは非常に難易度の高い作業になります。ただ金融機関に説明するためにはご自身で説明できる事業計画になっていなければならないので、避けては通れません。ここで税理士が事業計画の作成サポートという形で支援が可能となります。

税理士は税務のプロでもありますが、同時に財務のプロでもあります。どのように作成すれば合理性を持った計画が作成できるかのノウハウを持っているため、創業融資においてこの知見を活用することが可能です。例えば経営者が作成した事業計画書を税理士にレビューしてもらい、不合理な内容を修正するなどが考えられます。税理士の視点からするとぱっと見れば合理的な数字になっているかは判断がつきますので、レビューは経営者が合理的な事業計画書を作成する上で非常に有用です。

事業計画の策定において税理士を活用するメリット

事業計画策定の時間を短縮可能

事業計画を策定するにあたって数字のプロフェッショナルである税理士のサポートがあることで、作成完了までの時間を短縮することが可能です。

融資に関する経験・専門性

融資に対して経験値の高い税理士であれば金融機関が必要とする情報を含んだ事業計画を作成してくれます。目的に応じて事業計画の作成の仕方も異なってくるのです。

法人設立や経営相談を含めたアドバイス

事業計画の策定のみでなく、経営相談のアドバイスも含めて提供してくれる税理士もいます。当事務所(宮嶋公認会計士・税理士事務所)の場合は、経営コンサルタントの経験を活かして、経営相談含めたアドバイスを提供することが可能です。

融資に必要な提出書類等の準備に関する対応

融資を見据えた事業計画を作成する場合、決算情報など関連した情報を提供する必要がありますが、税理士であればその対応も期待できます。

事業計画策定において税理士を活用した方が良いケース

重要な融資や、補助金申請、もしくは外部専門家を入れて経営戦略のためにしっかりと事業計画を策定したいケースなどは、税理士の活用を検討された方が良いです。また社内に事業計画に関する知見が全くないが事業計画を策定して説明する必要な状況がある場合には、税理士のような外部の専門家を入れて正しく、かつ合理的に説明可能な事業計画書を作成した方が良いでしょう。

事業計画策定を税理士を活用せず行う場合の注意点

事業計画策定はもちろん税理士を使わず、経営者ご自身で策定することは可能です。ただし、税理士を活用しない場合は過去の決算書からの連続性や事業計画の前提数字の合理性を自ら考え、説明できるようにしなければならないため、その分時間を割くことになります。また誤りがある場合は、金融機関からの信頼低下を招くなどの結果を生むこともあるので、不安な場合はコストをかけてでも外部の専門家へ依頼する方が良いでしょう。

事業計画策定支援における税理士の料金:税務顧問の場合

事業計画策定支援に関連して税理士と顧問契約を締結する場合、どの程度の料金がかかるのでしょうか?事業計画策定支援については、別途料金を請求されることになりまして、通常顧問契約とセットなので、下記では顧問契約について記載をしていきます。

税理士の料金は主に、月額顧問報酬と決算申告時の報酬から構成されています。前者については、毎月税理士と税務相談に関してコミュニケーションをとるのに必要な金額になってきます。記帳代行を依頼する場合にはオプション料金として、毎月の月額顧問報酬に加算して金額を支払うことになります。月額顧問報酬は概ね2〜3万円以上となることが一般的かと思います。

後者の決算申告は、確定申告に際に税理士が作成する決算書及び確定申告書の作成料金として請求されるものになります。概ね月額顧問報酬の4〜6ヶ月分を請求されることが多いかと思います。また基本的には最低限のサービスしか入っていないことが多いので、例えば従業員がいて年末調整をお願いしたり、消費税の課税事業者のため消費税申告書が必要な場合は、別途プラスで料金がかかってきます。

事業計画を作成支援する専門家

中小企業診断士

中小企業診断士は、中小企業向けにコンサルティングサービスを提供する専門家です。補助金申請サポート等をはじめ、会社の経営に関するう幅広いサポートをしています。もちろん事業計画のサポートも提供しています。

融資・資金調達コンサルタント

融資や資金調達を専門としたコンサルタントです。主に金融機関出身の方が運営されているケースが多いです。金融機関とのコミュニケーションの中で事業計画作成は必要であり、その支援を行なっています。

商工会議所や商工会

無償で支援をしているケースがあります。気になる方はお近くの商工会議所や商工会に問い合わせてみてください。

公認会計士・税理士

すでに説明をしてきた税理士です。ここでは数字のプロである公認会計士についても併せて記載します。事業計画は決算書との連続性や合理的に説明ができる数字でなくてはなりません。その視点から数字のプロである公認会計士や税理士は事業計画の策定支援においておすすめできると考えています。

事業計画において税理士を選ぶポイント

税理士との相性

まずは税理士との相性です。顧問契約も同じですが、やはり税理士とスムーズなコミュニケーションができないと良い事業計画は策定できませんので、相性はしっかりと見極めましょう。

融資・資金調達の経験

融資・資金調達の経験が豊富な税理士を選ぶのが良いでしょう。金融機関とコミュニケーションを行うにあたって、スムーズになります。

融資面談のアドバイス

金融機関との融資面談は経営者の方が行うことになります。その際に、どのような質問がきて、どのような回答をするのが適切か、各種アドバイスを提供してくれる税理士が良いでしょう。

税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士 
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。