クリニックで事業計画書を作成するメリットについて徹底解説

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本記事では、クリニック経営者の方が事業計画書を作成するにあたって、どのような目的で作成すれば良いのか、事業計画書を作成するポイントは何か、事業計画書は誰が作成をサポートしているか、などについて解説を行っていきます。本記事を参考にいただくことで、クリニックの事業計画書作成のポイントを理解することができます。

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クリニックにおける事業計画書とは?

クリニックにおける事業計画書とは具体的にどのようなものなのでしょうか?事業計画書とは、事業の将来の予測を定量的に記載したものです。より具体的に、例えば今後5年間の売上高や売上高を獲得するために使う原価、そしてその結果としての利益を記載したものになります。事業計画書策定する期間を踏まえて、1年のものであれば単年度事業計画、3〜5年であれば中期事業計画、それ以上であれば長期事業計画と言ったりします。事業計画書は損益の予測だけを行う場合と、各年度末の財務状況を示した予想の貸借対照表を作成する場合があります。予想の貸借対照表を作成した方が、予想した損益に矛盾がないかどうかの検証にもなりますので、お勧めしております。

クリニックにおける事業計画書の作成目的とは?

クリニックにおいて事業計画書を作成する目的はなんでしょうか?まず一つ目に考えられるのが、クリニック経営を中長期の目線で計画し、どの程度の規模にしたいのかのゴールを設定した上で、その計画に従って実績を管理していくことです。予実管理と言ったりもしますが、このような管理を行うことで、計画に比して何がダメだったのか、逆に何が良かったのか、計画にビハインドしている場合どのような施策で改善していくことが可能か、などの改善アクションを積極的に行うことができるようになります。事業計画書がない場合は漠然と毎年経営をしているため、ゴールを見失い、ひいては事業の目的意識もぶれてきてしまいます。

2つ目に考えられるのが、資金繰りの管理でしょう。これは1つ目との関連してきますが、将来の予想損益を作成する際にはその前提となる資金計画も作成する必要があります。これは本業からどの程度収入が入ってきて、金融機関からはいくら借り入れて、いくら毎月返済するのかを精緻に見積もったものになります。事業を運営する上で非常に大事なのは資金ショートをせず経営を続けていくことですから、資金計画をしっかりと作成し実績を管理することで、資金ショートを防止していくことが非常に重要です。

3つ目に考えられるのが、金融機関からの借入です。特に開業時には事業計画書の作成、提出が求められるため、事業計画書は経営者として作成しなければなりません。またこの事業計画書は前提の合理性や数字の整合性など、論理的に説明ができるものでなければならないため、説明に矛盾が生じないように経営者としてしっかりと正しい数字を作り込む必要があります。

クリニックにおける事業計画書作成のポイントとは?

クリニックにおいて事業計画書を作成するポイントにはどのようなものがあるでしょうか?まず1つ目のポイントとして、前提条件をしっかりと設定することです。これは事業計画を作成する上での数字の前提となりますが、例えば1日あたりの患者さんの数や平均の単価をどれぐらいに設定するか、というのが前提になってきます。この前提というのは相互に関係しあっていて、例えば今のべた患者さんの数であれば、看護師や受付などの従業員の数の合理性に関連をしてきます。例えば患者さんがほとんど来ない設定になっているのに看護師や受付の人数が過剰に計画されていることは不合理ですし、またその逆も然りです。

また、前提条件そのものの合理性も2つ目のポイントとして重要です。例えば、患者さんが周辺にほとんどいないような地域で患者さんが毎年右肩上がりに増え続けているような事業計画では、それを達成するための合理的な施策や説明がない限りは到底金融機関等からしてみれば受け入れられる前提ではないでしょう。おおむね半径一定の距離の人口に依存してくるため、その人口動態が今後どうなっていくのか、同じ周辺に同じようなクリニックはないか、などの調査は最低限必要となってきます。

3つ目については、損益予測と資金繰りと予想貸借対照表の整合性です。事業計画の難しいところは予想の損益だけ作成しても矛盾がないかどうかの判別がつかないことです。この3つがしっかり連動することで、数字の不整合がない合理的な事業計画書と呼べるのです。例えば、クリニックの前提として大型の機械を入れて患者さんの集客増加を狙っていく場合、損益計画は売上の増加が影響してきますが、一方で必ず貸借対照表の予測に固定資産の金額の計上、及びそれに連動した減価償却費が予想損益に計上されてなければなりません。また、固定資産を取得する場合手元資金で対応する場合には資金計画にも影響が出てきますので、本支出が必ず資金計画上も反映されている必要があります。

4つ目については、これは金融機関から借り入れることを想定してになりますが、しっかりと返済計画が描かれていることです。金融機関から借入を行う場合金融機関としては返済期間までにしっかりと貸したお金が返済されることを前提に融資を行います。仮に事業計画上、事業計画期間では契約通りの返済が行われないようになっていると金融機関としては、融資ができないことになってしまいますので、必ず金融機関との契約条件を踏まえた返済計画が事業計画に反映されている必要があるのです。

創業時の金融機関からの借入については過去の記事で、クリニック開業で資金調達を成功させる方法、という記事を作成しておりますので、こちらも併せてご覧ください。

クリニックにおける事業計画書は誰がサポートしてくれるのか?

クリニックにおいて事業計画書を作成したい場合、誰がサポートしてくれるのでしょうか?個人的には税理士のサポートを求めることをお勧めします。事業計画書は深い財務知見に加えて、整合をしている予想損益、予想貸借対照表、資金計画を作成していく必要があります。経理や簿記の知識が深くない場合、この3つを適切に連動させて作成することはかなりハードルが高いでしょう。その点、税理士の場合は深い経理や簿記の知識・経験がありますので、正しい事業計画書を作成することが可能です。

またクリニック開業時などは税論点も必ず発生しますし、クリニックの場合年商がすぐに高くなってしまうことや、従業員関係の処理(源泉徴収や年末調整など)も複雑になりがちなので、開業段階から事業計画書の作成支援と併せて税理士に税務顧問をお願いすれば、その後の金融機関へ提出する決算書等の作成なども併せてフォローアップが可能となります。クリニックにおいて税理士を活用するメリットについては過去作成した記事である、クリニックに強い税理士を探す方法、を出しておりますのでこちらも併せて参考ください。

クリニックで事業計画書を作成するメリットのまとめ

以上のように、クリニックで事業計画書を作成するメリットについて解説を行ってきました。本記事をご参考にいただいて、ぜひ事業計画書をクリニック経営に役立ててください。

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この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。