本記事では、経営者が税理士を活用する際に発生する費用について解説をしていきます。具体的に税理士のサービスごとにどのような費用が発生するのか、適切な相場とはどれぐらいなのか、税理士と契約する際に留意すべきポイントとは、などについて徹底的に解説をしていきます。
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税理士への相談 費用相場はいくらぐらい? 税理士のメリット含め徹底解説
税理士の提供するサービス
税理士の業務と聞くと、多くの人は「確定申告書の作成」や「法人税の申告代行」などをイメージするかもしれません。しかし、実際には税理士が提供するサービスは非常に幅広く、個人から法人まで、様々な立場の依頼者に対して多様な支援を行っています。ここでは、税理士が実際にどのようなサービスを提供しているのかを、具体的かつ詳細に解説していきます。税務・会計の専門家である税理士の業務を理解することで、いつ、どのように相談すればよいかが見えてくるでしょう。
税務申告書類の作成と提出代行
税理士の最も基本的で重要な業務の一つが、各種税務申告書の作成とその提出の代行です。法人税や所得税、住民税、消費税など、日本には様々な種類の税金が存在しており、それぞれに対応する申告書の様式や計算方法が異なります。また、税法は毎年のように改正されるため、最新の制度に即した正確な処理が求められます。
税理士は、こうした複雑な申告業務を正確に、かつ効率よく処理するための知識と経験を持っています。例えば、個人事業主であれば青色申告決算書の作成や確定申告書Bの作成を、法人であれば決算書や法人税申告書、地方税申告書の作成を行います。税理士が作成した申告書は、法的な正確性が担保されるため、税務署からの信頼度も高く、税務調査のリスクを抑える効果も期待できます。
さらに、e-Taxを利用した電子申告への対応や、税務署との電子的なやり取りを含めた業務にも精通しており、申告の効率化にも貢献しています。
記帳代行と帳簿整理支援
税理士が提供するもう一つの重要なサービスが、記帳代行や帳簿整理の支援です。特に事業を始めたばかりの個人事業主や、少人数で経営している中小企業にとって、日々の取引を正確に記録し、会計帳簿を整える作業は非常に手間がかかるうえ、専門的な知識も求められます。
記帳とは、売上や仕入、経費などの取引を、会計ルールに基づいて帳簿に記録していく作業です。税理士は領収書や請求書などの証憑を基に、仕訳処理を行い、会計帳簿を整備します。クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワード、弥生会計など)との連携により、よりスムーズに記帳を自動化するサポートも可能です。
また、帳簿整理が適切に行われていれば、月次の試算表をもとに経営状況の把握が可能になります。これにより、資金繰りの改善、売上・利益の増減の分析、無駄なコストの発見など、経営上の意思決定に役立つ情報を得ることができます。
税務相談・節税アドバイス
税理士は「税の専門家」として、依頼者の税務に関する疑問に対して的確なアドバイスを行います。例えば「この支出は経費にできるのか」「どのタイミングで設備投資をすれば節税になるのか」「家族への給与支払いはどのように処理すべきか」といった細かな相談にも対応可能です。
こうした税務相談を通じて、税理士は依頼者の状況に応じた節税の方法を提案します。節税とは、税金を不正に逃れる「脱税」とは異なり、法令の範囲内で税負担を軽減する正当な手段です。例えば、青色申告特別控除の活用、減価償却費の計上方法の選択、法人化による節税など、様々な節税手段があります。税理士のアドバイスによって、無駄な税金を支払うことなく、資金を効率的に活用できるようになります。
特に中長期的な視点からの節税戦略を立てることができる税理士は、事業の成長にとって大きな支えとなります。
経営サポートと財務アドバイス
税理士の役割は単に「税金を処理する」だけにとどまりません。むしろ、数字を通じて経営全体の状況を把握し、客観的な立場から経営アドバイスを行う「経営パートナー」としての役割も果たしています。
例えば、資金繰りの見通しを立てるためのキャッシュフロー計算書の作成支援や、事業計画の策定、金融機関との融資交渉のための書類作成や同席など、経営判断に必要な情報提供を行います。企業の成長段階に応じて、どのような設備投資をすべきか、人件費のバランスはどうか、利益率の改善はどのように図るべきかといった具体的なアドバイスも期待できます。
税理士によっては中小企業診断士の資格を有しているケースもあり、経営コンサルタント的な役割も併せ持つことがあります。税金の専門家としてだけでなく、財務・経営のプロフェッショナルとしても活用することが可能です。
税務調査の立会いと対応
税務署による税務調査が実施される場合、税理士が依頼者の代理人として対応することが可能です。税務調査は、一定の売上高を超えた事業者や、申告内容に疑義がある場合などに実施され、適正な税務申告が行われているかをチェックするために行われます。
税理士が立ち会うことで、税務署とのやり取りがスムーズになり、余計な誤解や不利益を回避することができます。また、税理士は調査官の質問に対して法律的な根拠に基づいた説明を行うことができるため、依頼者自身が不安になる必要がなくなります。
仮に修正申告や追徴課税が必要になった場合にも、税理士がその手続を円滑に進めることができるため、トラブルの拡大を防ぐことができます。税務調査は精神的な負担も大きいイベントであるため、税理士の存在は非常に心強いものとなります。
税理士に相談できること
税理士は「税務の専門家」として認識されていますが、その知識と経験は単なる税金の計算だけにとどまりません。実際には、日常的な業務の中でさまざまな問題に直面する個人事業主や中小企業経営者にとって、税理士は非常に心強い相談相手になります。では、具体的にどのような内容を税理士に相談することができるのか。ここでは、相談可能な範囲をより詳細に説明していきます。
確定申告に関する相談
個人事業主や副業をしている会社員、不動産収入がある人など、確定申告が必要な人にとって、申告方法は複雑で理解しにくいものです。特に初めて申告を行う人にとっては、「どの書類を用意すればよいのか」「控除の対象となる経費とは何か」など、基本的なことすら判断が難しいケースもあります。
税理士に相談することで、自身の状況に応じた正確な申告方法や、控除の活用方法、納税額のシミュレーションなど、確実なアドバイスを受けることができます。また、医療費控除、ふるさと納税、住宅ローン控除といった特殊な控除についても、適用の可否や必要書類の準備方法まで具体的に指導してもらうことが可能です。
法人設立・起業時の相談
これから事業を始めたいと考えている人にとって、税理士への相談は欠かせないプロセスとなります。法人設立を検討する段階で、個人事業主としてスタートすべきか、法人を設立して始めるべきかといった選択は、今後の税負担に大きな影響を及ぼします。
税理士は、起業する人の将来の事業規模や収支予測に基づき、適切な事業形態をアドバイスすることができます。また、会社設立時の必要書類の作成支援、定款の作成支援、税務署や市区町村への開業届・各種届出書の提出サポートも行ってくれます。加えて、設立後すぐに必要となる会計処理の体制づくりや経理ソフトの選定、初年度の節税戦略なども相談可能です。
節税対策の相談
節税は多くの事業者にとって関心の高いテーマです。しかし、節税にはルールがあり、法令に則った「適法な方法」でなければなりません。税理士は法律に基づいた正当な節税方法を熟知しており、事業者の状況や業種、売上規模、設備投資の計画などに応じた節税対策を提案することができます。
たとえば、減価償却費の選定、役員報酬の適正な設定、福利厚生費の活用、家族従業員の給与支給、期末の棚卸資産調整、法人保険の導入など、具体的なテクニックを使いながら、合法的に税金を最適化する手法を指南してくれます。
相続税・贈与税に関する相談
近年、相続や贈与に関する問題は非常に増えており、税理士への相談件数も年々増加しています。相続税の申告は非常に複雑で、申告期限も10か月以内と短いため、専門家のサポートが欠かせません。
税理士は、相続財産の評価、遺産分割のシミュレーション、納税資金の確保のアドバイス、さらには相続税の軽減措置(配偶者控除や小規模宅地の特例など)の活用まで、包括的に支援することが可能です。また、生前贈与による節税戦略や、家族信託の活用、遺言書作成にあたっての税務的助言など、将来を見据えたプランニングにも対応しています。
税務調査への備えと対応
税務署から税務調査の通知が来た場合、慌てずに適切な準備を行うことが非常に重要です。税理士は税務調査の事前対策から調査当日の立ち合い、調査後の対応までを一貫して支援することができます。
税務署が調査を行う理由や、どこをチェックされるのか、過去の事例ではどのような指摘が多いのかなど、実務に精通した税理士のアドバイスを受けることで、精神的な負担も軽減され、適切な対応が可能になります。
資金繰りや融資に関する相談
事業を継続・発展させるためには、資金繰りの管理が欠かせません。税理士は、試算表や資金繰り表の作成を通じて、現状の財務状況を可視化し、将来の資金ショートを未然に防ぐアドバイスを行うことができます。
また、日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資を受ける際の事業計画書の作成支援、面談時のアドバイス、場合によっては金融機関への同行も行ってくれます。税理士の支援を受けることで、融資の可決率が高まり、必要な資金をスムーズに確保できる可能性が高まります。
経営全般の相談
税理士は「経営の数字」に精通しているため、利益改善やコスト削減、予算管理、売上拡大に向けた計画策定など、経営に関する幅広いテーマについても相談することが可能です。
特に中小企業の経営者にとっては、社外のブレーンとして経営判断に客観的な意見をもらえる存在が必要ですが、その役割を税理士が果たすことができます。月次の業績報告を通じて経営の現状分析を行い、将来の戦略立案にも寄与してくれます。
税理士に相談できないこと
税理士は税務・会計の専門家として幅広い業務を担当していますが、すべての相談に応じられるわけではありません。税理士の業務は法律によって明確に定められており、その範囲を超える業務を行うことはできません。依頼者としても、税理士に相談する前に「何が相談できて、何が相談できないのか」を理解しておくことは非常に重要です。
ここでは、税理士が原則として対応できない業務や、他の専門家に相談すべき内容について、具体的に解説していきます。
法律相談(弁護士の業務)
税務に関わる問題には、契約書や紛争、相続トラブルなど、法的な問題が絡んでくることもあります。しかし、そうした場面において「法律問題の判断」や「代理での法的交渉」などを行うのは、弁護士の独占業務とされています。
たとえば、取引先との契約内容に関して法的な妥当性を判断してほしいといった相談や、相続人間のトラブルに関する調停、訴訟手続きの代理などは、税理士では対応できません。税理士がこれらに踏み込むと、弁護士法違反となる可能性もあるため、依頼者としては注意が必要です。
ただし、税務に付随する範囲での説明(例:相続税の計算方法や税法上の取り扱いなど)は可能であり、税理士と弁護士が連携して問題を解決するケースもあります。
社会保険・労働関連の手続き(社会保険労務士の業務)
従業員を雇用している事業者であれば、社会保険や労働保険に関する手続きが発生しますが、これらは原則として社会保険労務士(社労士)の業務です。たとえば、雇用保険や健康保険の加入・喪失手続き、労災保険の申請、就業規則の作成や改定、36協定の届け出などは、税理士の業務範囲外です。
税理士によっては、社労士と連携している事務所もありますが、基本的にはこれらの手続きは社労士に直接依頼する必要があります。給与計算については、税理士が受託するケースもありますが、社会保険の手続きそのものは専門外です。
不動産取引の契約や登記(司法書士・宅建士の業務)
不動産の取得や売却に関しても、税理士は税金の計算や不動産取得税のアドバイスなどを行うことはできますが、売買契約書の作成や内容の確認、不動産登記の手続きは司法書士の専門領域となります。
また、不動産取引の仲介や契約の締結に関しては宅地建物取引士(宅建士)の業務であり、税理士が関与できる部分は限られています。相続や事業承継の場面で不動産の移転が発生する場合には、税理士・司法書士・宅建士がチームとして対応することが一般的です。
税理士へ相談のみ依頼可能か?
税理士への依頼と聞くと、「顧問契約」や「申告書の作成」といった、長期的かつ継続的な業務を依頼するイメージを持つ人が多いかもしれません。しかし、実際には「相談だけ」でも依頼することが可能です。ここでは、税理士に対して単発の相談を行うことができるのか、またその際のポイントや注意点について解説します。
単発相談は可能
結論から言えば、税理士に対して相談のみを依頼することは可能です。顧問契約を結ばずに、一回限りまたは必要に応じてスポット的に相談を行うという形式を「単発相談」または「スポット相談」と呼ぶことがあります。
たとえば、「今年だけ副業収入があったので確定申告の方法を知りたい」「相続税について一度だけ専門家の話を聞きたい」「法人化を検討しているので相談に乗ってほしい」といったニーズに対して、税理士は1時間や1件ごとに対応してくれるケースが多く存在します。
特に最近では、オンラインでの税理士相談サービスや、電話相談、メール相談なども増えており、以前に比べて「気軽に相談できる」環境が整ってきています。
相談だけの依頼が適しているケース
相談だけを依頼したいと考えるのは、以下のようなケースが多いです。
- 起業前で、税金や開業届の手続きについて知りたい
- 副業をしていて、経費計上の考え方だけ聞きたい
- 自分で確定申告する予定だが、不明点を専門家に確認したい
- 税務調査の対象になったが、対応方法のアドバイスだけほしい
- 一時的に多額の収入が入ったので、節税策を相談したい
このように、単発的な相談ニーズは少なくありません。税理士によっては、こうした短期的・一時的な依頼に柔軟に対応している場合が多く、必ずしも契約を前提としなくても利用できるのです。
スポット相談の流れ
実際に税理士に単発相談を依頼する際の一般的な流れは以下のようになります。
- 事前予約・問い合わせ
電話やホームページ、税理士紹介サービスなどから連絡を取り、相談内容の概要を伝える。 - 日程調整と相談形式の決定
対面、オンライン、電話など、相談方法と日時を決定する。必要に応じて資料の事前提出を求められることもある。 - 当日相談
税理士が相談内容に応じて説明・アドバイスを行う。時間制で区切られている場合は、あらかじめ聞きたい内容を整理しておくと効果的。 - 費用の支払い
時間単位、または1件単位で料金が設定されており、当日現金または後日振込、クレジットカード払いなどの方法で支払う。
このように、比較的シンプルな流れで相談ができるため、まずは1回相談してみてから継続的な契約を検討するという流れも現実的です。
注意点:情報の範囲に限界がある
ただし、単発相談には一定の制限があります。スポット相談では、依頼者の過去の会計データや事業の全体像を把握していないケースが多いため、アドバイスにも限界があることを理解しておく必要があります。
税理士は、法的な判断や将来を見据えた節税戦略を提案するために、詳細な情報を必要とします。しかし、短時間の相談では、依頼者が提供する情報に基づいた「一般的なアドバイス」にとどまることが多く、正確性や最適化の度合いは顧問契約と比べて劣る可能性があります。
また、相談内容が深刻で複雑な場合や、継続的なサポートが必要な場合には、単発相談だけでは十分ではなく、スポット業務や顧問契約への移行が必要になることもあるでしょう。
相談から業務委託や顧問契約に発展することも
一度の相談をきっかけに、そのまま申告書の作成や帳簿整理の依頼に発展することも珍しくありません。相談してみて信頼できる税理士であると判断できれば、継続的な付き合いを検討するのも一つの方法です。
税理士としても、事前に相談を受けた上で本格的な業務に入ることで、ミスマッチを防ぎ、業務のスムーズな遂行につながります。そのため、「まずは相談だけしたい」という依頼者に対しても、丁寧に対応する事務所が多い傾向にあります。
税理士へ相談するメリット
税理士への相談には、「税金に詳しい人に話を聞ける」という以上の、さまざまなメリットがあります。税理士は単なる計算代行者ではなく、依頼者の事業やライフプランに密接に関わる「お金のプロフェッショナル」であり、状況に応じた助言や最適な選択肢を提供してくれます。
ここでは、税理士に相談することで得られる主なメリットを、個人・法人それぞれの視点も交えて、深く掘り下げていきます。
専門的かつ正確な知識に基づくアドバイスが得られる
税金に関する法律は毎年改正されており、最新の情報に常に対応することは一般の人にとって容易ではありません。ネット上には様々な情報があふれていますが、その中には誤った内容や古い情報も少なくなく、それを鵜呑みにしてしまうと結果的に損をしたり、最悪の場合は税務署とのトラブルに発展することもあります。
その点、税理士に相談すれば、最新かつ正確な税制情報を基に、法律に即したアドバイスを受けることができます。たとえば、「青色申告特別控除を最大限活用するために必要な要件は何か」「設備投資をした場合、どのような減税が受けられるのか」といった具体的な疑問にも、明確に答えてくれるのが税理士の強みです。
時間と労力の節約につながる
税金や会計に関する処理は非常に手間がかかり、慣れていない人にとっては膨大な時間と労力を要します。特に確定申告の時期や決算期など、税務手続きが集中する時期には、日常業務との両立が難しくなるケースも多いでしょう。
税理士に相談することで、本来なら自分で調べて処理しなければならない複雑な作業を短時間で解決できるようになります。特に「自分で申告したいけれど、やり方だけ教えてほしい」といったニーズには、相談のみで対応してくれる税理士が最適です。
事業主であれば、煩雑な会計処理や税務処理から解放されることで、より本業に集中でき、売上アップにもつながります。
節税のチャンスを逃さず活かせる
税理士に相談する最大のメリットのひとつは、「合法的な節税策を見逃さず活用できる」という点です。節税とは、法に基づき税負担を軽減することであり、税理士はそのための知識と経験を持ち合わせています。
たとえば、以下のような節税のヒントは、専門家に相談することで初めて知ることも少なくありません。
- 法人成りによる所得分散の活用
- 減価償却のタイミング調整
- 家族への給与支給の合理的設計
- 各種特別控除・税額控除の適用判断
- 期末の資産評価や棚卸による利益調整
これらは素人が判断するには難しく、判断を誤ると節税どころか追徴課税を招くリスクすらあります。税理士のサポートを受けることで、リスクを避けながら、確実に節税効果を得ることが可能となります。
税務リスクの回避と税務署対応への安心感
税務申告や経理処理が適切に行われていない場合、税務署から指摘を受けたり、税務調査が入ったりする可能性があります。こうしたトラブルは精神的にも大きな負担となり、経営にも影響を及ぼします。
しかし、税理士に相談しながら進めることで、事前にリスクのある処理を回避し、適切な対応が可能となるため、安心感が違います。さらに、実際に税務調査となった場合にも、税理士が立ち会って対応してくれるため、依頼者自身がすべてを説明する必要はありません。
税務署とのやり取りを経験している税理士であれば、調査時の心構えや資料の準備、交渉の仕方なども具体的に教えてくれるため、安心して対応できるでしょう。
経営やライフプランの選択肢が広がる
税理士は単に税金のことだけでなく、数字をもとに経営や資金計画の助言を行うことができます。これにより、依頼者はより現実的で合理的な判断を下すことができ、経営上・人生上の意思決定に大きな助けとなります。
たとえば、以下のような場面で税理士のアドバイスが活きるケースがあります。
- 新規事業を立ち上げるタイミングと資金計画
- 法人化すべきかどうかの判断
- 資金繰り改善のための支出見直し
- 将来の相続税対策と資産の分割方法
- 不動産の買い替えにおける税負担の比較検討
このように、税理士は単なる「税の専門家」ではなく、数字を使って未来の選択肢を広げてくれる「パートナー」としての存在になり得ます。
信頼できる専門家ネットワークの活用ができる
税理士によっては、司法書士、行政書士、弁護士、社労士、不動産会社、金融機関など、さまざまな専門家とのネットワークを持っていることがあり、必要に応じて紹介してもらえるケースがあります。
たとえば、「相続税の相談から、不動産登記の相談にもつなげたい」「法人化の際に定款作成や登記もしたい」といった場合、税理士を窓口にすることで一気通貫で問題解決が進められるというメリットもあるのです。
税理士へ相談する際の費用相場は?
税理士へ相談したいと考えたとき、最も気になる点の一つが「相談費用」です。専門的な知識を持つ税理士に依頼する以上、当然ながら無料ではありませんが、「相談だけ」であっても一定の料金が発生するのが一般的です。
では、実際に税理士へ相談した場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。この章では、相談時にかかる費用の相場感と、どのような条件で価格が変動するのかについて解説していきます。
単発相談の一般的な相場
税理士への「スポット相談(単発相談)」は、1時間あたりの時間制で費用が発生することが多く、平均的な相談費用の相場は以下のとおりです。
- 30分〜1時間の相談:5,000円〜10,000円程度
- 1時間以上になる場合:10,000円〜20,000円前後
- 初回相談無料のケース:0円(30分〜60分まで)
このように、単発の相談であれば比較的手頃な価格で済む場合も多く、特に「少し聞いてみたいことがある」「方向性を確認したい」というようなライトな相談には適した金額感といえるでしょう。
なお、税理士によっては初回に限り無料で相談を受け付けている場合もあります。これは、「相談内容を把握したうえで、正式な契約を検討したい」というニーズに応えるためのものであり、双方にとって相性や信頼関係を確かめる良い機会となります。
対面・オンラインで費用に違いはあるか?
相談形式によっても費用が変わることがあります。税理士への相談には大きく分けて「対面相談」と「オンライン相談(Zoom・Skypeなど)」がありますが、オンライン相談の方がやや安価な傾向にあります。
オンラインでは移動や事務所利用にかかるコストが発生しないため、税理士側も割引価格を設定していることがあります。ただし、オンライン相談では資料の提示や説明に限界があることもあるため、複雑な案件については対面の方が適している場合もあります。
また、電話相談やメール相談も対応している税理士は増えていますが、これらも一般的には「時間単位」で費用が設定されており、相場としては30分で3,000円~5,000円程度が目安です。
相談内容の難易度による費用の差
相談内容の性質や難易度によっても費用は変動します。たとえば、以下のように分類されることがあります。
- 比較的簡単な内容(例:青色申告のやり方、不動産所得の申告方法など)
→ 5,000円~10,000円前後 - 中程度の内容(例:法人化のシミュレーション、節税プランの立案など)
→ 10,000円~20,000円程度 - 複雑・高度な内容(例:相続税対策、税務調査の対応相談、企業買収に関する税務など)
→ 20,000円以上になるケースあり
税理士の専門性が高く求められる相談や、事前準備・資料確認に時間がかかるような相談では、料金が高くなる傾向があります。
相談時間による課金制度
多くの税理士は「時間制」で料金を設定しており、30分ごと、または1時間単位での課金が一般的です。たとえば、1時間10,000円と設定している場合、1時間半相談した場合は15,000円になるというように、時間に応じて費用が積算されます。
中には、「最初の30分は5,000円、それ以降は15分ごとに2,500円追加」というように細かく時間を区切っているケースもあります。
相談をスムーズに進めるためには、事前に聞きたいことを整理しておき、時間内で効率的に情報を引き出せるように準備しておくことが、費用対効果を高めるポイントになります。
税理士事務所による価格差
税理士の事務所規模や地域によっても費用にはばらつきがあります。都市部(特に東京・大阪・名古屋など)にある事務所や、大手税理士法人では、相談費用がやや高めに設定されている傾向があります。一方、地方の個人事務所や開業間もない税理士の場合は、比較的リーズナブルな料金で対応してくれるケースもあります。
また、キャリアや知名度、専門性の高さに応じて価格を設定している税理士も多いため、事前にホームページや紹介サイトなどで確認しておくと安心です。
その他に発生する可能性のある費用
相談だけで終わらず、追加で資料作成や申告書の作成、帳簿チェックなどが発生する場合は、別途料金がかかることがほとんどです。その場合、税理士から事前に「これ以上は有料オプションになります」と説明があるのが一般的ですが、見積もりや料金体系を事前に確認しておくことがトラブル防止につながります。
たとえば:
- 申告書の作成:20,000円〜100,000円以上
- 相続税申告:100,000円〜500,000円以上(遺産額により変動)
- 年末調整や法定調書の作成:10,000円〜30,000円程度
- 月次の記帳代行:10,000円〜/月
税理士の相談費用を決める要素
税理士に相談する際の費用は、一律ではなくさまざまな要素によって変動します。ここでは、その主な要素を詳しく解説します。費用を抑えるためにも、これらのポイントを理解しておくことは重要です。
相談内容の複雑さと専門性のレベル
相談内容が単純な確定申告や帳簿の見方など、基本的なものであれば費用は比較的低めに設定される傾向があります。逆に、相続税対策や法人設立後の節税対策、税務調査の立ち合いなど専門的で高度な知識を要する相談は料金が高くなりがちです。
専門性の高い案件は、税理士がより多くの時間を費やし、綿密な調査や分析を行う必要があるため、その分の費用が反映されます。
相談時間の長さ
多くの税理士は時間制で料金を設定しており、相談の時間が長くなるほど費用も増加します。時間単価は税理士によって異なりますが、一般的には1時間あたり5,000円~20,000円が目安となります。
効率よく相談を進めるためにも、事前に聞きたいことをまとめておくことが費用を抑えるコツです。
相談方法(対面・オンライン・電話)
対面での相談は、税理士の事務所を訪れる必要があるため、交通費や時間的なコストがかかる場合があります。そのため、対面相談の料金がオンラインや電話相談よりも高めに設定されることもあります。
オンラインや電話相談は移動が不要で効率的なため、比較的安価になる傾向があります。ただし、対面に比べて資料の共有や説明に限界がある場合もあるため、内容によって使い分けが必要です。
税理士の経験・スキル・事務所の規模
経験豊富で実績のある税理士や大手税理士法人の場合、相談料金が高めに設定されることが多いです。これは専門性や信頼性が高いことの証明でもあり、高度な相談にも対応可能なためです。
一方で、個人で開業したばかりの税理士や小規模事務所は、料金がリーズナブルに設定されている場合が多いですが、経験の差があることも念頭に置く必要があります。
地域による差
税理士の相談費用は地域差も大きく、都市部ほど高く、地方では比較的安価になる傾向があります。東京や大阪、名古屋などの大都市圏は生活コストが高いため、その分料金も高くなりがちです。
追加業務の有無
相談だけで終わらず、その後申告書作成や経理処理、書類作成など追加業務を依頼した場合は、当然ながら相談費用に加えて追加の費用が発生します。事前に見積もりを取ることが重要です。
依頼の頻度と契約形態
単発の相談の場合は時間単位の料金が発生しますが、顧問契約を結ぶと月額固定料金で相談が無制限または一定回数利用可能となる場合もあります。この場合は単発相談に比べて1回あたりのコストが抑えられるメリットがあります。
税理士へ相談する際の費用で想定されるケース
税理士に相談する際の費用は、依頼内容や状況によって大きく異なります。ここでは、具体的な相談シーンごとにどの程度の費用が発生するのか、一般的なケースを想定してご紹介します。自身のケースに近いものを参考にしていただくことで、費用のイメージがつかみやすくなるでしょう。
1. 確定申告や税務相談の単発相談
個人事業主や給与所得者が「確定申告のやり方がわからない」「ふるさと納税の控除について教えてほしい」など、基本的な税務相談をする場合です。
- 相談時間:30分〜1時間
- 費用相場:5,000円〜15,000円
この程度の相談は比較的短時間で済み、費用も抑えられます。初回無料相談を活用すれば費用をかけずに基本的な疑問を解決することも可能です。
2. 法人設立や事業開始に関する相談
これから法人を設立する、または新規事業を立ち上げる際の資金計画や税務上のポイントについての相談です。法人化による節税効果や社会保険の取扱いなど専門的な内容が含まれます。
- 相談時間:1時間〜2時間
- 費用相場:10,000円〜30,000円
設立に伴う書類作成や届出代行を依頼すると別途費用が発生することがあります。
3. 節税対策や資産運用の相談
節税プランの立案や資産運用に関する相談は、依頼者の状況を詳細にヒアリングし、シミュレーションを行う必要があるため、時間がかかりやすいです。
- 相談時間:1時間〜3時間
- 費用相場:15,000円〜50,000円以上
内容によっては、さらに深い調査や専門家の連携が必要になるケースもあります。
4. 相続税対策や遺産分割に関する相談
相続税の申告は非常に専門的で複雑な分野です。遺産の評価や分割方法、節税対策を踏まえた提案には時間と高度な知識が必要です。
- 相談時間:1時間〜数時間
- 費用相場:20,000円〜100,000円以上
相続税申告の実務まで依頼する場合は、遺産の総額に応じて数十万円〜数百万円になることもあります。
5. 税務調査の対応相談
税務調査が入る場合の事前相談や立ち合いは、依頼者にとって重要かつ緊急度の高いケースです。税理士の対応力が問われるため費用も高くなりがちです。
- 相談時間:1時間〜3時間
- 費用相場:30,000円〜100,000円以上
調査内容や期間によってはさらに費用が増える可能性があります。
6. 継続的な顧問契約による相談
顧問契約を結び、月額料金を支払うことで日常的な相談や税務申告、会計業務を一括して依頼するケースです。相談は無制限または回数制限内で行えます。
- 月額料金:10,000円〜100,000円程度(事業規模や業務内容による)
継続契約の場合は単発相談に比べて1回あたりのコストが割安になり、税務面での安心感が高まります。
税理士の相談費用を抑える方法
税理士に相談する際、費用が気になる方は多いでしょう。適切なサポートを受けつつも、できるだけ費用を抑えたい場合には工夫が必要です。ここでは、税理士の相談費用を抑えるための具体的な方法を紹介します。
1. 相談内容を事前に整理しておく
相談時間が長くなるほど費用は増加します。したがって、相談前に質問や相談したい内容をまとめておくことが大切です。資料や必要な情報を揃え、要点を絞って相談すれば、時間を無駄にせず効率的に話を進められます。
2. 初回無料相談を活用する
多くの税理士事務所では、初回の相談を無料で提供しているケースがあります。まずは初回無料相談で基本的な疑問を解消し、必要に応じて有料の相談を依頼する方法が費用を抑えるポイントです。
3. オンライン相談を利用する
オンライン相談は対面に比べて費用が抑えられる場合があります。また、移動時間や交通費もかからないため、トータルでのコスト削減に繋がります。
4. 顧問契約を検討する
頻繁に税理士に相談する必要がある場合は、単発相談よりも月額固定の顧問契約を結ぶほうがトータルコストを抑えられるケースがあります。顧問契約では相談回数や業務範囲に応じた料金設定があり、継続的なサポートを受けやすいのが特徴です。
5. 複数の税理士に見積もりを依頼する
税理士によって料金体系や金額には幅があります。複数の税理士に相談内容を伝えて見積もりを取ることで、費用やサービス内容を比較検討できます。料金だけでなく対応の丁寧さや専門性も確認すると良いでしょう。
6. 自分でできる部分は準備しておく
例えば、日常の帳簿付けや領収書の整理、簡単な資料の準備など、自分でできる部分は税理士に任せず自分で済ませておくことで相談時間を短縮できます。これにより費用を節約することが可能です。
7. 無料の公的サービスやセミナーを活用する
国や自治体、商工会議所などが開催する無料の税務相談やセミナーを活用するのも一つの手です。基本的な知識を得ることで、税理士に相談する際の効率も上がり、費用抑制に役立ちます。
8. 相談回数をまとめて依頼する
複数回に分けて相談するよりも、1回の相談で複数の疑問点や問題点をまとめて話すことで、時間あたりの効率が上がり結果的に費用が抑えられます。
どんな人が税理士へ相談すべきか?
税理士は専門的な税務知識を持ち、個人・法人の税務に関わる幅広い相談に応じられます。しかし、すべての人が必ずしも税理士に相談すべきというわけではありません。ここでは、特に税理士へ相談することが有益な人の特徴や状況を紹介します。
1. 自分で税務申告を行うのが難しい人
確定申告や法人の税務申告は複雑でミスが許されません。帳簿の整理や申告書の作成に不安がある場合は、税理士の力を借りることで正確かつ効率的に手続きを進められます。
2. 節税対策を真剣に考えている人
税金は適切に管理すれば節税につながりますが、自力で正しく判断するのは難しいことも多いです。税理士は合法的かつ効果的な節税方法を提案できるため、節税を目的に相談する価値があります。
3. 法人設立や事業拡大を検討している人
個人事業から法人化を考えている、あるいは事業を拡大する際には税務上の様々な手続きや戦略が必要です。税理士に相談することでスムーズに設立や変更手続きが進み、税務面のリスクも減らせます。
4. 相続や贈与で税金が発生する可能性がある人
相続税や贈与税は計算が複雑で、適切な申告や節税対策が必要です。相続が発生した場合や事前に対策を立てたい人は、税理士の専門知識が欠かせません。
5. 税務調査が入る可能性がある人
税務調査は突然訪れることがあり、対応を誤ると多額の追徴課税やペナルティが発生することもあります。調査に備えて事前に税理士と相談し、適切な準備や対応方法を学ぶことが重要です。
6. 確定申告期限が迫っているが準備が間に合わない人
確定申告の期限が近づいているが書類整理が終わっていない場合や、申告の仕方がわからない場合は、税理士に相談して速やかに対処してもらうことが賢明です。
7. 複雑な税務問題やトラブルを抱えている人
過去の申告ミスや税務トラブルがある場合、税理士に相談し正しい対応策を講じることが問題解決の近道となります。専門家のサポートなしでは解決が困難なケースも多いです。
8. 会計や税務に時間を割けない経営者や個人事業主
忙しい経営者や個人事業主は、税務や会計処理に多くの時間を割くことが難しい場合があります。税理士に相談・依頼することで、本業に集中できる環境を整えられます。
税理士へ相談すべき最適なタイミング
税理士に相談するタイミングは、早ければ早いほど効果的です。税務に関するトラブル回避や節税対策を最大限に活かすために、どのようなタイミングで相談すればよいかを具体的に見ていきましょう。
1. 事業開始前や法人設立前
新たに事業を始める際や法人設立を検討している段階で相談すると、税務上の最適なスタートが切れます。法人の種類選択や資本金の額、会計処理方法の決定など、税理士のアドバイスは非常に重要です。
2. 年度末や確定申告前
個人事業主やフリーランスの方は、年度末や確定申告の直前に相談することで、申告漏れや誤りを防げます。また、節税に関する助言を受けることで、納税額を抑えられる可能性も高まります。
3. 相続や贈与が発生したとき、またはその前
相続が発生した直後や、贈与を計画している場合には早めに相談しましょう。相続税の申告期限は10ヶ月と限られているため、早期の対策と準備が欠かせません。
4. 税務調査の通知を受けたとき
税務調査の連絡が来た時点で速やかに相談することが重要です。調査への対応方針を立て、必要な準備や説明資料の作成、立ち合いなど、税理士のサポートが必要不可欠です。
5. 事業拡大や新規投資を検討しているとき
売上増加や新規設備投資、事業の多角化を考える際も税理士に相談すると節税対策や資金計画のアドバイスが受けられます。税務リスクの軽減にもつながります。
6. 過去の申告に不安があるとき
過去に申告ミスや申告漏れがあるかもしれないと感じたら、早めに相談して修正申告や対応策を検討しましょう。放置すると追徴課税や延滞税が発生する可能性があります。
7. 会計や税務の負担が大きくなったと感じたとき
経理処理や税務申告の負担が大きい、あるいは自分で処理するのが難しくなってきたと感じたら、税理士に相談し業務を効率化するのが賢明です。
8. 節税や資産運用に関心が高まったとき
節税を意識し始めた段階や、資産運用を具体的に考えたいときも税理士に相談するタイミングです。専門的な知識で最適なアドバイスが得られます。
税理士の契約形態
税理士と依頼者との契約形態にはいくつかの種類があり、依頼する業務内容や期間に応じて選択されます。ここでは代表的な契約形態とその特徴を紹介します。
1. 顧問契約
顧問契約は、税理士が継続的に税務や会計のサポートを行う契約形態です。月額や年額で報酬を支払い、日常的な相談や帳簿のチェック、申告書の作成などを依頼できます。
- 特徴
- 継続的なサポートが受けられる
- 税務相談が無制限または一定回数まで可能
- 税務調査対応や節税対策も含まれる場合が多い
2. 依頼ごとのスポット契約(単発契約)
スポット契約は、特定の業務や相談だけを単発で依頼する契約形態です。確定申告書の作成や相続税申告など、特定の案件に限定して利用されます。
- 特徴
- 必要な時だけ依頼できる
- 顧問契約より費用は割高になりやすいが、契約期間の縛りがない
- 短期的な業務に向いている
3. 成功報酬契約
成功報酬契約は、節税効果や相続税の節税成果など、成果に応じて報酬を支払う契約形態です。節税金額の一定割合を報酬とするケースが多いです。
- 特徴
- 成果が出た場合のみ報酬が発生
- 成果の計測方法や報酬割合の設定が重要
- 節税対策や資産運用で使われることが多い
4. パック契約(業務パッケージ)
パック契約は、申告書作成や記帳代行、相談などの業務をパッケージとして一定料金で提供する形態です。依頼者にとって分かりやすく、費用の見通しが立てやすいのが特徴です。
- 特徴
- 定額で複数の業務を依頼できる
- 事前に費用が明確なので安心
- サービス内容に応じて料金は変動
5. その他の契約形態
一部の税理士事務所では、業務内容や依頼者の要望に応じてカスタマイズされた契約形態もあります。たとえば、特定の期間だけの集中サポートや、顧問契約+スポット契約の組み合わせなどです。
契約形態選びのポイント
契約形態を選ぶ際は、依頼したい業務の内容や頻度、予算に応じて最適な形態を選ぶことが重要です。例えば、日常的に相談や申告を依頼したい場合は顧問契約が適していますが、単発で確定申告だけ依頼したい場合はスポット契約が良いでしょう。
また、契約内容や料金体系については、契約前にしっかり確認し納得した上で契約することが大切です。
税理士へ依頼する際の費用相場
税理士に依頼する際の費用は、依頼内容や契約形態、事業規模などによって大きく異なります。ここでは一般的な依頼内容別の費用相場を紹介し、どの程度のコストがかかるかの目安を理解していただければと思います。
1. 確定申告の作成代行
個人の確定申告を税理士に依頼する場合の費用は、内容の複雑さによって幅があります。
- 単純な給与所得者の申告:2万円〜5万円程度
- 個人事業主やフリーランスで簡単な収支報告:5万円〜10万円程度
- 複雑な収支や多数の控除項目がある場合:10万円以上
2. 法人の税務申告
法人の決算申告は個人の確定申告よりも手間がかかるため、費用も高くなります。
- 小規模法人(年商数千万円規模):10万円〜30万円程度
- 中規模法人(年商1億円前後):30万円〜60万円程度
- 大規模法人(年商数億円以上):60万円以上が一般的
3. 帳簿作成・記帳代行
日常の帳簿作成や記帳代行を依頼すると、月額で料金がかかることが多いです。
- 月額1万円〜5万円程度(記帳の量や取引件数に応じて変動)
4. 顧問契約の料金
税理士と顧問契約を結ぶ場合、毎月の相談や税務申告、会計業務がセットで提供されます。
- 個人事業主向け:月額1万円〜3万円程度
- 小規模法人向け:月額3万円〜10万円程度
- 中規模法人以上:月額10万円以上
5. 相続税申告
相続税申告は非常に専門的な業務で、遺産総額や相続人の数などにより料金が変動します。
- 遺産総額が数千万円規模:30万円〜100万円程度
- 遺産総額が数億円規模:100万円以上が一般的
6. 税務調査対応
税務調査の立ち合いや対応支援は時間単位や日数単位で料金が発生します。
- 1日あたり数万円〜数十万円程度(調査の規模や対応内容による)
費用相場のポイント
- 税理士報酬は「税理士法」で報酬基準が定められていますが、実際の料金は税理士によって異なる場合があります。
- 事業規模や業務内容、税理士の経験・専門性によって費用に差が出ます。
- 見積もりや契約時に費用の内訳を明確に確認することが重要です。
税理士と顧問契約すべき人とは?
税理士との顧問契約は、継続的に税務や会計のサポートを受けるための契約です。しかし、すべての人や事業者に顧問契約が必要とは限りません。ここでは、特に顧問契約を結ぶことが有益な人の特徴や状況について詳しく見ていきましょう。
1. 経理や税務の専門知識が乏しい事業者
経理や税務に関する知識や経験が不足している場合、日常的な帳簿管理や税務申告が負担になりがちです。顧問契約を結ぶことで、税理士が定期的にチェックや指導を行い、正確な処理をサポートします。
2. 事業が拡大し経理業務が増加している人
事業の売上や取引が増え、経理業務が複雑になってきた場合は、税理士と顧問契約を結んで負担を軽減するのが効果的です。複雑な帳簿管理や税務対策を専門家に任せることで、ミスや遅延のリスクを減らせます。
3. 節税対策を積極的に行いたい人
継続的な税務相談を通じて、適切な節税方法を検討したい場合は顧問契約が適しています。税理士は最新の税法改正に対応しつつ、合法的な節税プランを提案してくれます。
4. 税務調査に備えたい人
税務調査は事前準備や対応が重要です。顧問契約を結んでいれば、日頃から税務処理のチェックが行われるため、税務調査が入った際にもスムーズに対応可能です。
5. 複数の事業や資産を管理している人
複数の事業を展開していたり、不動産や株式などの資産を持っている場合、税務処理が複雑化します。顧問契約を結ぶことで、総合的な税務管理やアドバイスが受けやすくなります。
6. 忙しくて税務に時間を割けない経営者
本業に専念したいが、税務申告や会計業務は正確に行いたい場合も顧問契約が便利です。定期的に税理士と連絡を取りながら、必要な業務を任せられます。
7. 新規事業や事業再編を計画している人
新しい事業を始める際や会社の合併・分割などの事業再編を検討している場合、税理士との顧問契約を通じて継続的に相談・サポートを受けると安心です。
顧問契約を結ぶメリット
- 税務や会計に関する疑問や問題をいつでも相談できる
- 税務申告や帳簿作成などの日常業務の負担軽減
- 節税対策や経営改善のための継続的アドバイス
- 税務調査への迅速かつ適切な対応が可能
税理士と顧問すべき最適なタイミング
税理士と顧問契約を結ぶタイミングは、事業の状況や税務の複雑さに応じて異なります。最適なタイミングで顧問契約を結ぶことで、税務リスクを軽減し、節税や経営の効率化を図れます。ここでは、顧問契約を検討すべき主なタイミングを紹介します。
1. 事業開始直後
新しく事業を始めたばかりの時期は、税務や会計の基本的な知識が不足しがちです。早い段階で税理士と顧問契約を結ぶことで、正しい帳簿の付け方や申告方法、節税のポイントなどを学べます。初期から専門家にサポートを受けることで、後のトラブルを防げます。
2. 売上や取引が増加し、経理が複雑になった時
売上が増え、取引件数や経理業務が増加すると、自分だけでの管理が難しくなります。この段階で顧問契約を結ぶと、日々の経理から税務申告までを税理士に任せられ、業務効率が大幅に向上します。
3. 法人設立時や法人成りを検討する時
個人事業から法人化を考えている場合、法人設立前に税理士と顧問契約を結ぶことで、最適な会社形態の選択や税務上のメリットを最大限に活かせます。法人設立後も継続的なサポートを受けられます。
4. 節税対策を本格的に行いたい時
税金の負担を軽減するために、長期的な節税計画を立てたい場合は顧問契約がおすすめです。定期的に税理士と相談しながら節税策を実施し、効果を最大化できます。
5. 税務調査のリスクが高まった時
税務調査が入りやすい状況にあると感じた場合、あるいは過去に調査があった場合は、顧問契約を結んで事前準備や対応策を税理士に任せるのが安心です。
6. 複数の事業や資産を管理し始めた時
複数の事業や不動産などの資産を持ち始め、税務管理が複雑化した場合も顧問契約が役立ちます。全体の税務戦略を一元的に管理できるため、効率的な節税や申告が可能です。
7. 経営の意思決定に税務面のアドバイスが必要な時
新規事業の立ち上げや資金調達、大きな投資判断の際に、税務面のアドバイスを受けながら経営判断を行いたい場合、顧問契約が非常に有効です。
顧問契約のタイミングを逃さないために
税理士との顧問契約は、トラブルや困難が起こってから慌てて結ぶより、早めに相談・契約しておく方が効果的です。継続的にサポートを受けることで、税務面の不安が軽減され、事業運営がスムーズになります。
税理士の相談費用に関する質問と回答
税理士に相談する際の費用については、不明点や疑問を持つ方も多いでしょう。ここでは、よくある質問とその回答をまとめましたので、参考にしてください。
Q1: 税理士の相談費用はどのくらいかかりますか?
A: 相談内容や時間、税理士の経験によって異なりますが、一般的には1時間あたり1万円から3万円程度が相場です。初回相談は無料や割引がある場合もあります。
Q2: 相談だけで依頼せずに費用が発生しますか?
A: 多くの税理士は相談だけでも時間に応じた料金を請求します。ただし、無料相談を行う事務所もあるため、事前に確認することが重要です。
Q3: 顧問契約を結ぶと相談費用は別途かかりますか?
A: 顧問契約を結んでいる場合、日常的な相談は月額料金に含まれることが一般的です。ただし、特別な案件やスポットの依頼は別料金となることがあります。
Q4: 相談費用の支払い方法は?
A: 相談費用は、前払い、後払い、月ごとや相談ごとなど税理士によって異なります。契約前に支払い方法を確認しておくことが大切です。
Q5: 相談費用を抑える方法はありますか?
A: 相談内容を事前にまとめておく、無料相談を利用する、オンライン相談を活用するなどの方法があります。複数の税理士に見積もりを取るのも有効です。
Q6: 相談時間の目安はどのくらいですか?
A: 相談内容によりますが、一般的な税務相談は30分から1時間程度です。事前にどのくらい時間が必要か確認すると良いでしょう。
Q7: 税理士の相談費用は税金の控除対象になりますか?
A: 税理士費用は、事業に関するものであれば経費として計上可能です。個人の確定申告相談費用など、事業以外の場合は経費にならないことがあります。
Q8: 複数回相談する場合、割引はありますか?
A: 税理士によって異なりますが、顧問契約や複数回の相談で割引が適用される場合があります。契約時に確認しましょう。
Q9: 相談内容が専門的すぎて費用が高くなることはありますか?
A: 専門性が高い案件や複雑な税務問題の場合、料金が高くなることがあります。事前に費用の見積もりや説明を受けることが重要です。
Q10: 相談時に持参する書類は何ですか?
A: 相談内容によりますが、収支内訳書や確定申告書、領収書、契約書など、関連資料を持参すると相談がスムーズに進みます。事前に税理士に確認しましょう。
相談可能な税理士を探す方法
税理士に相談したいけれど、どのように探せば良いのか分からないという方も多いでしょう。ここでは、信頼できる税理士を見つけるための代表的な探し方やポイントをご紹介します。
1. 知人や同業者からの紹介
身近な知人や取引先、同業者からの紹介は、信頼性の高い税理士を見つける有力な方法です。実際にサービスを受けた人の意見を聞けるため、安心感があります。
2. 日本税理士会連合会の公式サイトを利用する
日本税理士会連合会の公式ウェブサイトでは、地域や専門分野で税理士を検索できます。公的機関の情報なので、一定の信頼性があります。
3. 税理士紹介サービスを活用する
インターネット上には税理士紹介サービスを提供するサイトが多数あります。希望条件や相談内容に合わせて最適な税理士を紹介してくれるため、効率的に探せます。
4. オンライン検索と口コミチェック
GoogleやSNSなどで地域名や業務内容と一緒に検索し、ホームページや口コミ評価を確認する方法もあります。口コミや評判を参考にして、信頼できる税理士を選びましょう。
5. セミナーや相談会に参加する
税務関連のセミナーや無料相談会に参加し、直接税理士と話をしてみることも効果的です。相性や話しやすさを確認できます。
6. 複数の税理士に問い合わせて比較する
候補が複数見つかったら、それぞれに連絡して相談内容や費用、対応の速さを比較しましょう。複数の意見を聞くことで、自分に合った税理士が見つかりやすくなります。
7. 専門分野や対応可能業務を確認する
税理士には得意分野や対応できる業務が異なります。相続税、法人税、個人事業主の申告など、自分の相談内容に適した専門性を持つ税理士を選びましょう。
8. 契約前に面談を行う
契約前に直接面談をして、費用やサービス内容、契約条件を確認することが大切です。面談時に不安や疑問が解消できるかを重視しましょう。
9. 料金体系が明確か確認する
料金の見積もりが明確で分かりやすい税理士を選ぶと、後から追加料金が発生するリスクを避けられます。契約書や報酬規程の確認も忘れずに。
10. 継続的なサポートが可能かチェックする
相談だけでなく、継続的なサポートを希望する場合は、顧問契約の対応可否や対応体制を確認しましょう。
まとめ
税理士への相談は、税務や会計に関する専門的なサポートを受けるうえで非常に重要です。ここまで、税理士の提供するサービス内容や相談できること、相談費用の相場や費用を抑える方法、さらに税理士と顧問契約すべき人やタイミング、信頼できる税理士の探し方について解説しました。
税理士に相談することで、節税対策や正確な申告、税務調査への対応など多くのメリットを享受できます。一方で、相談費用は内容や契約形態により幅があるため、事前にしっかりと確認し、自分のニーズに合った税理士を選ぶことが大切です。
税務は日々変化し複雑になるため、早めに専門家と連携を取ることでリスクを減らし、経営や生活の安定につなげられます。初めて税理士に相談する方は、無料相談や紹介サービスを活用して信頼できる税理士を見つけ、安心して依頼できる関係を築きましょう。
適切なタイミングで相談・契約を行い、税理士の専門知識を最大限に活用することで、あなたの事業や資産管理をより良いものにしていけるはずです。
税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。
