税理士へ相談する際のポイント及びメリットについて解説

税務

本記事では、税理士の相談をしてみたいがどうすれば良いかわからない、税理士の無料相談と有料相談は何が違うのか、等について解説していきます。本記事を参考にいただくことで、税理士と相談する際に得られるメリットなどの基礎知識を習得することができます。

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税理士に相談する:一般的な悩み

税理士に相談するニーズにはどのようなものがあるでしょうか?まずは個人事業主でも法人でも、確定申告書を作成するにあたっていろいろな疑問が出てくると思いますが、その質問を行いたい場合が挙げられるでしょう。確定申告書は年1回提出が必要になりますが、年1回ということもあり、忙しい経営者からしてみると非常に煩雑な手続きですし、本業が忙しい中だと自分で色々調べて対応するのは非常に難しいと思います。また税法は毎年改正が入るため、それを確認するのも非常に大変です。確定申告書を作成するにあたり出てきた質問等については税務のプロフェッショナルである税理士へ質問して効率的に回答を得たいところでしょう。

続いて期中に発生する税務相談です。これは前述の確定申告書とも関連してきますが、さまざまな新しい取引を行う中で税メリットがあるものであればそれを使いたいところです。しかし経営者の方が一から税法を調べて自分が行おうと思っている取引は対象になるのか、計算はどのようにやるのか、などに対応するのは非現実的です。税理士へプロとしての意見を求めたいところでしょう。

税理士へ相談できる内容の具体的な事例

法人設立に関する税務相談

個人事業主が法人を設立する際には、節税は一つ気になるポイントであると思います。また節税によってキャッシュフローが改善するため、資金繰り改善にもメリットがあります。法人設立にあたっては、個人事業主にかかる税金と法人にかかる税金の両方を整理することで税法の合理的な範囲内で節税を行うことが可能です。また、法人設立にあたっては株主総会議事録等に税法上どのような記載をすべきなのか、もしくは旅費交通費規程をどのように作成すれば良いか、など節税を行う上で必要な事項がさまざまとあります。このようなことを経営者自身で網羅的に整理して進めていくことは難易度が高いため、税理士に相談をするとスムーズに進めることができるでしょう。

相続税・贈与税・事業承継を踏まえた税務相談

相続税・贈与税・事業承継関連は、所得税や法人税とは計算方法も異なる税法になります。所得税や法人税の対応をしていくにあたっては、オーナーの相続税・贈与税・事業承継というテーマは切っても切り離せないものであり、日々の税務相談の中でも将来的に支払うであろう相続税・贈与税等の相談できるのが税理士です。特に相続税・贈与税は取引の仕方によって大幅に税額負担が異なってくるため、相続や贈与直前ではなく余裕を持って税理士と相談し進めることが重要になってきます。

また事業承継税制や結果として事業承継に紐づいたM&Aを行う場合にも税理士は対応可能です。このような取引は突然決まるものではなくじっくりと事業承継の計画を立てて進めていくものであり、長い時間密な税理士とのコミュニケーションが必要になる分野と言えますl。

月次決算による資金繰り改善や融資サポート

普段から顧客の財務を見ている税理士であるからこそ、顧客の資金繰り改善の施策を、たとえば月次決算を通じて把握・顧客へ提案することが可能です。また経費削減のポイントや、管理体制強化のためのアドバイス、もしくは事業計画の作成支援を通じた金融機関からの融資サポートなど、財務に関する幅広いコンサルティング・アドバイスを提供することが可能となります。

税理士に相談する:相談できる場所の概要

では税理士に相談できる場所にはどのような場所があるのでしょうか?無料で相談できるケースについては、後述いたします。税に関しては税務署の職員、それ以外でいくと国から認められているのは税理士のみです。これは有償であろうが無償であろうが、税理士しか税務相談を行うことはできません。そのため税金に関する相談については選択肢として税務署へ相談しに行くか、税理士に相談するかの2択になります。

税理士の有料相談については、スポットの税務相談を受け付けている税理士であれば誰でも対応可能です。ただし税理士にも得意な領域がありますので、ご自身の相談したい税金が何なのかを先に特定する必要があります。例えば相続税であれば資産税に強い税理士へ相談をした方がより適切な回答が返ってきます。また国際税務については国際税務に強い税理士が、組織再編については組織再編に強い税理士がそれぞれ最適な相談先となります。ホームページなどをチェックすると、その税理士の強みや得意領域がほとんどのケースで記載されておりますので、まずはしっかりとチェックして自分が相談したい税法に対応できるかどうかを確認しましょう。

有料相談の場合は、時間単価×相談時間によって相談料金が決まります。時間単価は税理士によっても異なりますが、少なくともおおよその目安として1万円であることが多いです。国際税務や組織再編など難易度が高い税理士であれば、時間単価はより高くなる傾向にあると思います。時間単価は決して安くはないので、後述しますが、時間を効率的に使えるように事前にしっかりと資料を揃え、確認したいポイントをクリアにした状態で相談に臨むように準備することが非常に大切です。

税理士に相談する:税務に関して無料で相談できる場所

税務に関して相談をする場合、有料であるという認識が一般的に強いようですが、無料で相談できる場所があります。無料で相談できる場所について以下記載していきます。

国税庁・税務署への質問

国税庁及び税務署では電話もしくは対面等により、税務に関する質問・相談ができます。税務署の対面相談の場合は、事前予約が必要となります。質問できる内容としては、事前に経営者の方で整理をした内容に基づき、具体的に自分の処理内容が正しいかどうか、もしくは取引事実に照らしてどのような処理が税務として正しいかを確認することが可能です。

税理士会や商工会議所が行っている無料相談会

税理士の登録団体である税理士会が開催する無料相談会や、商工会議所もしくは商工会が開催する税理士を招いた無料相談会など確定申告シーズンには特にこのような無料相談会が開催されることがあります。無料相談には一定の条件がついていたりするので、要チェックしてください。たとえば、すでに税理士との顧問契約がある場合には活用ができなかったり、個別の税務相談には回答できない、税務相談の時間には限りがある、などになります。開催日程等は、税理士会や商工会議所、商工会のホームページはチラシなどで確認することができますので、ご興味ある方は是非一度活用を検討してみてください。

自治体がおこなっている無料相談会

自治体が税理士に依頼しておこなっている無料相談会が開催されることがあります。これは自治体によって異なるので、自治体などのホームページ等で確認をしてみてください。基本的には商工会議所がおこなっている無料相談会と大きな違いはないかと思います。

税理士事務所や税理士法人がおこなっている無料相談

税理士事務所や税理士法人が営業の一環としておこなっている無料相談もあります。そもそも税理士としても、依頼される顧客のことをしっかりと理解した上で(何に困っているのか?税理士に期待する役割は何か?期待される領域や税科目はあっているか?)、契約するか否かを判断するため、最初は営業の一環として顧客の無料相談を行うことが多いです。こちらは有料のスポット相談とは異なり、あくまで顧客から提示された限定的な情報に基づいて一般的な回答をするに留まるものになりますし、そもそも税理士との顧問契約がない状態なので税理士としても判断することは難しいためです。

税理士への無料相談におけるデメリット

上記のように無料相談は色々とありますが、基本的な質問しかできない、節税に関してはアドバイスがない、もしくはある程度自分自身で理解して整理して説明をしないと的確な回答が得られないなどのデメリットは発生します。また相手の税理士も短い時間で顧客のことを把握するため、深い相談に対して時間的制約から深い回答が出来ず、表面的な回答にならざる負えないという可能性はあります。以下ではデメリットについて具体的に記載していきます。

時間や回数の制限

税理士会や商工会議所・商工会が行っているものに限らず、開業している税理士は営業の一環として初回の税務相談を無料にしているケースがあります。このように無料相談は多種多様にありますが、ほとんどの場合は時間の制約(たとえば30分のみなど)や回数の制限(原則1回のみなど)がついています。また一般的な税務に関する相談に対する回答のみで、個別具体的な相談には回答しないケースもあります。

無料相談を活用する場合には、相談できる内容や相談時間を事前に確認した上で臨まれるのが良いでしょう。また個別具体的で複雑な相談には対応していないのを前提に考えたほうがよく、そのような相談については税理士と顧問契約を締結するか、スポットの有料の税理士との税務相談を活用するほうが良いでしょう。

税務相談できることに制限がある

上記でも触れましたが、時間的な制約か回数的な制約以外に税務相談できる内容自体が制限されていることがあります。特に複雑な処理については、たとえば30分の中で相談者の事業等を理解し回答するのは極めて困難であるため、通常無料相談で的確な回答を得ることは難しいでしょう。また一般的な税務相談内容でも、経営者側である程度相談しない内容を整理して持っていかないと、何が問題なのかが把握できず終了してしまうため、必ず事前に相談内容を準備していきましょう。

税理士へ相談する際のポイント

税理士へ依頼する場合にはどのようなポイントがあるのでしょうか?まずは、会社側は依頼する内容をしっかりと整理することです。よくあるのが、依頼する側が依頼する内容を正しく理解しないまま税理士へ相談し、相談が進んでいく中で依頼内容が正しく伝わってないことに気づき、時間と費用が浪費していくパターンです。このようなことを避ける意味でも、相談内容は事前にしっかりと整理しておくようにしましょう。また、会社側からは会計や税務にある程度詳しい責任者が打ち合わせ等に出席するようにし、税理士へ相談内容を正しく伝え、税理士からの回答を正しく理解するようにしましょう。複雑な相談内容でなければ税理士側である程度わかりやすく説明をしてくれるはずなので安心ですが、ある程度の規模の会社で相談内容が複雑な場合には、複雑な案件を正しく理解できる人が自社内には必要となります。

相談にあたっては必ず関連する資料や過去の資料を準備するようにしてください。税理士も過去の資料を含め会社全体の概要や案件の概要をまずは掴むところからスタートしますので、事前に会社側で準備しておけば無駄な時間を使わずスムーズに相談が進むことになります。加えて相談の時期についても留意してください。決算が締まる直前で相談しても時間的な制約やすでに実施してしまった取引については取り返しがつきませんので、スケジュールには余裕を持って税理士へ相談するようにしましょう。

まとめ

以上のように税理士へ相談するためのポイントについて記載してきました。こちらの記事を参考にして、ぜひ税理士選びのサポートとしていただけると光栄です。

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この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士 
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。