本記事では法人の決算において、確定申告を無申告状態の場合、どのように対応すべきなのかについて解説をしていまいります。法人経営者の方でまだ法人決算・確定申告が無申告状態の方がどのような行動をこれから取るべきなのかについて説明をしてまいります。
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法人の決算が無申告だけど大丈夫?無申告はすぐに解消すべき
法人決算とは何か?
まず、法人における決算とは何でしょうか?法人における決算とは確定申告書の作成の基礎となる決算書を作成することで、具体的には貸借対照表と損益計算書を作成することになります。貸借対照表とは決算期末の会社の財政状態を示す書類で、具体的には資産や負債の状況を金額で示したものになります。後者の損益計算書とは決算期間における1年間の会社の成績を示したものになります。具体的には、売上高や営業利益、当期純利益を示したものになります。
法人の決算は株主総会の承認を得る必要があり、承認を得た決算書に基づいて法人は確定申告書を作成することになります。決算を未作成の場合は、確定申告書を作成することもできませんし、会社法上必要な株主総会の承認を得ることもできませんので、法令違反状態となってしまいます。
法人の決算は少なくとも年1回行う必要があります。決算期は経営者が任意に設定することが可能です。昔は3月決算の会社が多かったですが、現在は色々な決算の会社が存在しますので、3月決算にこだわる必要もありませんし、3月決算でなくても特にデメリットはありません。
法人決算における無申告状態についての解説
上記のように法人決算において無申告状態の場合、確定申告書を税務署へ提出ができていませんので、後々無申告加算税及びそれに係る延滞税というペナルティーを受けることになります。法人の確定申告書は、決算日から2ヶ月以内に提出が必要となりますので、3月決算の場合は法人税の確定申告書を5月末までに提出する必要があるわけです。ただし、一定の理由があれば確定申告書の提出期限を1ヶ月延長することが可能です。一定の理由を具体的に示すと、まずは決算承認を行うべき定時株主総会は会社法上決算日から3ヶ月以内というルールになっているため、株主総会の日程が決算期の2ヶ月以降に設定されているのであれば、確定申告書は株主総会で承認を得た決算書が基礎となるため、1ヶ月延長が許容されるということです。その他、会計監査人による監査が必要な場合についても同様で、監査スケジュールが決算日から2ヶ月以内に収まらない場合については、1ヶ月の延長が認められることになります。
では、法人決算において無申告の状態だとどのようなデメリットがあるのでしょうか?まずは先述の通り、無申告加算税と延滞税という金銭的なペナルティを受けることになります。無申告加算税の場合は、納付すべき税額に対して50万円までの部分は15パーセント、50万円を超える部分は20パーセントの割合を乗じて計算した金額となります(令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来するもの(令和5年分以降)については、納付すべき税額に対して、50万円までの部分は15パーセント、50万円を超え300万円までの部分は20パーセント、300万円を超える部分は30パーセントの割合を乗じて計算した金額となります)。
延滞税については、納期限の翌日から2か月を経過する日まで原則として年「7.3パーセント」となります。ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「7.3パーセント」と「延滞税特例基準割合+1パーセント」のいずれか低い割合となります。延滞税特例基準割合とは、各年の前々年の9月から前年の8月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の11月30日までに財務大臣が告示する割合に年1%を加算したもの決められています。納期限の翌日から2か月を経過した日以後原則として年「14.6パーセント」となります。ただし、令和3年1月1日以後の期間は、年「14.6パーセント」と「延滞税特例基準割合+7.3パーセント」のいずれか低い割合となります。
上記のようにh上に重たいペナルティを受けることになるため、デメリットとして一番大きいのはこの金銭的なデメリットと考えられます。上記以外に考えられるデメリットとしては、法人における課税所得が証明できないことです。金融機関から借入を行う場合、残高試算表、決算書、確定申告書(税務署提出済みのもの)が求められることが多いですが、決算書や確定申告書がない場合は金融機関へ提出することができないため、金融機関としては必要な書類の提出が不足しているため貸付ができない可能性が発生します。
法人決算における無申告状態はどのように解消すべきか?
法人決算における無申告状態はどのように解消すべきでしょうか?まずは対象となる事業年度を特定しましょう。確定申告書や決算書を作成した年度と作成していない年度を明確に識別するのです。対象となる年度が特定をできたら、なるべく早く決算書を作成し、確定申告書を作成した上で、税務署へ提出を行いましょう。無申告状態を放置するメリットは特にないですし、延滞税は日数が経過していくとその分だけ延滞税が増えていくので、なるべく早く解消したほうが良いです。
法人決算の無申告に税理士はどう関与するのか?
上記の通り無申告状態はすぐに解消すべきですが、ご自身ではなかなか対応が難しい、税務調査も含めるとプロへお願いして安心したい、というニーズもあるかと思います。そこで税理士の関与が非常にメリットがあります。まず税理士が関与することで、無申告の対象年度の決算・確定申告書の作成代行及び提出を迅速に対応することが可能となります。
また、無申告状態から申告の状態になった場合、税務調査の対象となる可能性は十分になります。そのため、税理士へ立ち会いをお願いすれば税務調査に対しても万全の対応を実現することが可能です。説明が調査官に対して不足することで不要な追徴を受けるリスクを防止することが可能です。
法人決算の無申告に強い税理士の見つけ方について
無申告に強い税理士はどのように見つければ良いのでしょうか?おすすめの探し方としてはインターネットから無申告に強い税理士を探す方法です。無申告の税理士に関連したキーワードで検索すれば、数は多くはないものの実績や特徴含めて自分に合った税理士を探すことが可能となります。選択肢を増やすという意味では、例えば近隣に拘らず全国から対応できる税理士を探すのも一つの手となります。税務調査対応踏まえると近くの税理士が良いという方については不向きですが、税務調査は出張ベースで全国対応もできますし、オンラインの設備が最近はだいぶ整っていますので、対面をしなくても大半のサービスは対面と同じレベルで実施することが可能です。
ちなみに当事務所である宮嶋公認会計士・税理士事務所についても無申告に強みを持ったサービス提供が可能です。特に当事務所では、外資系の経営コンサルティング経験を活かして財務・税務面だけでなく経営やビジネスの面からアドバイスが提供できることを強みとしております。またデジタル企業の役員経験からDXなどのIT活用についても深い知見を持っており、事業を行う上で効率化のアドバイスを提供することも可能だと考えております。初回相談無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
無申告に強い税理士を検討される場合は、「無申告を解消したい人必見 – 無申告に強い税理士が対応」の記事もご参考ください。
法人決算の無申告に関するまとめ
以上のように法人の決算における無申告について解説をしてまいりました。無申告状態を1日も早く解消する目的で、まずは税理士へ気軽に相談をしてみることをおすすめいたします。
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この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。