本記事では、歯科医院を開業されるにあたって、どのように融資を受ければ良いのか、について解説を行っていきます。融資には具体的にどのような方法があるのか、融資を受けるにあたって留意すべきポイントは、などについて詳細を説明していきます。
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歯科の開業で融資を受ける方法
歯科の開業における融資の基本
歯科の開業は設備投資が多額になりやすいため、融資額についても他業種と比較しても大きくなります。そのため、適切に融資を成功できるかどうかが、開業の初期段階では非常に重要なポイントになってくるのです。そもそも融資とはどのようなものでしょうか?一般的なイメージとしては銀行のような金融機関からお金を借り入れることだと思いますが、金融機関と言っても銀行以外にもノンバンクやリース会社、政府系の金融機関など様々な種類の金融機関が存在しておりますし、金融機関の特徴によって貸付限度額や金利条件などが異なってくるのです。
また融資の場合は借入になりますので、必ず返済条件に従って返済を行っていく必要があります。融資と異なり資本金は返還不要な資金でして、株式会社で使われる資金調達の手法となります。歯科の開業にあたっては、一般的に個人事業主として開業することになりますので、資本による資金調達というのはなく、手元にある資金と金融機関からの融資をベースに運営を行っていくことになります。
歯科開業における融資の種類
では、歯科開業においてどのような融資の種類が想定されるでしょうか?まずは政府系の金融機関である日本政策金融公庫が挙げられます。日本政策金融公庫は新規に事業を始められる個人事業主及び法人へ無担保・無保証で融資を行う機関になります。一般的に新規で事業を開始する場合は、日本政策金融公庫で融資を行うことが多いかと思います。これは歯科の開業においても当てはまります。
次に考えられるのが、信用保証協会の保証付の融資です。信用保証協会は公的機関であり、金融機関が行う融資に対して一定額までを保証します。この制度は、実際に融資を申し込むのは銀行になりますが、銀行は万が一返済が困難になった場合に保証協会から一定額までは保証を受けられる仕組みになっています。そのため、いわゆる銀行が自らリスクをとるプロパー融資では開業時の融資は非常に難しいですが(特に無担保・無保証の場合)、保証協会の保証が付いていることで、開業時にも融資を行うことが可能です。新規の事業を開始するにあたっては、前述した日本政策金融公庫とこちらの保証協会付融資を検討することが多いです。
上記以外には、ノンバンクからのビジネスローンが考えられます。こちらは、銀行ではない金融機関となっており、金利は高いものの審査が早いため借入までの日数が短いという特徴があります。一方で借入限度額は数百万円程度となっているため、開業時の設備投資というよりは開業時の運転資金の不足分を一時的にカバーするための融資と考えるのが良いでしょう。
他には、医療機関向けのリースを展開しているリース会社があります。リースは融資と異なり、リース会社側が医療機器に対する所有権を持った状態で、歯科医院は毎月リース料という形でリース会社に一定期間お金を支払う仕組みになっています(レンタルに近いですが、解約が簡単にはできないものになります)。銀行からの融資よりはコストは割高になりますが、医療機器を保有していないため、古くなった場合は新しい医療機器へのリース契約に乗り換えることも可能ですし、廃棄等にかかる負担も不要となります。
歯科開業における融資の留意点
歯科開業において融資を受けるにあたってはどのような留意点が考えられるでしょうか?まずは事業計画と返済計画をしっかりと立てることです。そのためには、歯科医院を開業した後に、どの程度の売上と費用が毎月発生するのかを適切に計画することが非常に重要になってきます。歯科の場合保険治療があるため、患者さんにきてもらえればある程度安定収入となりますが、それでもどんぶり勘定ですと、手元の預金が枯渇して融資の返済が滞ってしまうケースも想定し得ますし、融資の返済が滞る場合は金融機関よりペナルティーを受けることになります。
また、上記にも関係してきますが借入金額は少なすぎても多すぎてもNGです。少なすぎる場合は、何か不測の事態が発生した場合に資金がショートしてしまいますし、多すぎる場合は借入利息を無駄に多く支払うことになります。いくらが最適かというのは一概には言えないのですが、上記のような前提を踏まえた上で、融資金額を決めるようにすると良いでしょう。
歯科開業の融資における税理士の役割
歯科開業にあたっては税理士との顧問契約を検討される方が多いと思いますが、融資において税理士はどのような役割を果たすのでしょうか?一番大きいのは事業計画の策定支援になります。金融機関からは事業計画の提出を求められることが多いですが、この事業計画は合理的にかつ実現可能なものでなければなりません。そのためにはなぜこの数字のなるのかをしっかりと説明できる内容に仕上げる必要があります。数字にあまり強くない方については、数字を踏まえて説明することに慣れてないかと思いますので、数字のプロである税理士の存在が役立つと思います。
また、融資を受けた後については、融資及び設備投資に関連した経費の計上を行うことで支払い税額負担を減らすことが可能となります。融資についてはその利息部分が経費になりますし、設備投資については税法で定められた減価償却費が経費となります。特に設備投資の減価償却については、税法上でその機器ごとに耐用年数というものが定められてますし、減価償却の対象となる取得原価も定められています。歯科の設備は多額になりがちですので、専門家にこの辺りの対応を依頼するのが効率的と言えるでしょう。
歯科医院が一般的に税理士を探す方法については、「歯科医院に強い税理士の選び方」の記事を参照ください。
歯科専門の税理士の見つけ方について
歯科専門の税理士はどのように見つければ良いのでしょうか?開業したため、新しく税理士を探す人もいれば、既存の税理士がいるものの変更を検討している人もいるでしょう。一般的な税理士の探し方としては紹介が多いかと思います。特に同業からの紹介であれば歯科専門の税理士かどうかはわかりませんが少なくとも歯科に関する知見は持ってることがわかります。
他のおすすめの探し方としてはインターネットから歯科専門の税理士を探す方法です。歯科専門の税理士に関連したキーワードで検索すれば、数は多くはないものの実績や特徴含めて自分に合った税理士を探すことが可能となります。選択肢を増やすという意味では、例えば近隣に拘らず全国から対応できる税理士を探すのも一つの手となります。税務調査対応踏まえると近くの税理士が良いという方については不向きですが、税務調査は出張ベースで全国対応もできますし、オンラインの設備が最近はだいぶ整っていますので、対面をしなくても大半のサービスは対面と同じレベルで実施することが可能です。
ちなみに当事務所である宮嶋公認会計士・税理士事務所についても歯科医院に専門性・強みを持ったサービス提供が可能です。特に当事務所では、外資系の経営コンサルティング経験を活かして財務・税務面だけでなく経営やビジネスの面からアドバイスが提供できることを強みとしております。またデジタル企業の役員経験からDXなどのIT活用についても深い知見を持っており、歯科事業を行う上で効率化のアドバイスを提供することも可能だと考えております。初回相談無料ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。
歯科開業の融資に関するまとめ
以上のように歯科開業をするにあたっての融資について解説をしていまいりました。これから開業を検討される歯科医師の方については本記事を参考になさって、ぜひ融資を成功させてください。
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この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。