本記事では歯科医院において発生する税金の種類や、どのような歯科医院に発生するか、確定申告とは何か、発生する税金に対してどのような対策をするかなど、税金の基礎知識について解説をしていきます。歯科医院に強い税理士をお探しの方は、歯科医院に強い税理士の選び方、の記事も併せてご覧ください。
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歯科医院における税金対策を現役税理士が徹底解説
歯科医院で発生する税金の基礎知識
歯科医院で発生する税金:所得税
最も一般的なものは所得税でしょう。これは個人事業主として歯科医院を経営している方にかかってくる税金となります。原則として所得が発生している方については毎年確定申告を行う必要があり、そこで所得税の金額を計算します。確定申告の結果所得税の課税がある場合には、税額を支払う必要があります。
歯科医院で発生する税金:源泉徴収税
源泉徴収税も所得税の一種ですが、これは主に歯科医院で働く従業員に発生するものです。従業員は給与という形で歯科医院から支払いを受けていると思いますが、給与の場合は個々人が確定申告をするのではなく、支払った側で源泉徴収という形で毎月所得税に該当する金額を控除して税務署へ納付することになります。
歯科医院で発生する税金:住民税
個人事業主として活動を行なっている場合、住民税を単独で確定申告することはありません。所得税の確定申告に基づいて、住んでいる市区町村から住民税の納税通知書が送られてきて、それに従って税金を納付することになります。そのため、住民税を個人事業主の方が計算することはありません。
歯科医院で発生する税金:事業税
個人事業税については業種によって非課税となる場合もありますが、歯科医院の場合は事業税の対象となります。事業税について、所得税の確定申告を行なっている場合は別途申告は不要で、居住している県税事務所から支払いの通知書がきますので、それに従って税金を納付することになります。
歯科医院で発生する税金:法人税
個人事業主ではなく医療法人として経営している場合は所得税ではなく法人税がかかることになります。法人税も基本的な考え方は所得税と同じで、法人で発生した利益に対して課税が行われます。歯科医院の場合、医療法人化している場合や、株式会社でMS法人を保有している場合などが法人税の対象となってきます。
歯科医院における税金対策
原則として節税はあくまでも経済実態を伴った結果論であり、節税を目的として経済実態を伴わないものについては否認される可能性もありますので、十分留意するようにしましょう。
歯科医院の税金計算での特例:概算経費特例
歯科医院では、経費の計算に特例が認められています。一般的に経費は事業に使うために実際に発生した費用を計上することになります。一方で歯科医院では、収入の一定額を概算として経費計上することが選択的に認められています。一定の規模以下の歯科医院に限られますが、通常の経費計上計算との有利不利判定ができるため、他の業種よりも税金の面でメリットがあると言えます。
青色申告での確定申告
青色申告の承認を受けない場合は白色申告となり、税メリットは特段ありません。青色申告の場合、帳簿の作成や保管など一定の事務処理は増えるものの、事業所得の65万円控除や繰越欠損金、専従者控除の充実など様々な税メリットを受けることが可能です。
専従者控除
先ほど軽く述べましたが、配偶者などを専従者として雇用することで、その分を経費にすることが可能です。もちろん勤務実態を伴っている必要があるので、税務調査が行われた際に適切に説明できるように、しっかりとタイムカードなどの勤怠情報の記録などの対応はやっておくようにしましょう。
小規模企業共済
小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。現在、全国で約159万人の方が加入されています。掛金は全額を所得控除できるので、高い節税効果があります。
経営セーフティ共済を利用する
「取引先の倒産」という事態はいつ起こるかわかりません。経営セーフティ共済は、そのような不測の事態に直面された中小企業の方々が、必要となる事業資金を速やかに借入れできる共済制度です。税メリットとして、本共済の掛け金は経費の金額に計上することが可能です。
医療法人化、MS法人設立
一定の税効果のある医療法人化、MS法人の設立も検討しうると思います。所得税の場合は累進課税といって所得の金額が高くなればなるほど税率も高くなっていく仕組みなのですが、法人の場合は利益の金額が大きくなっても原則税率は一定なので、個人事業主よりも法人の方が税率が低くなる場合があります。
医療法人・MS法人のメリット
役員報酬
法人から院長への役員報酬を支払うことができるため、報酬をもらった院長は給与所得控除を活用することが可能です。
生命保険の活用
個人の所得税の場合は生命保険の控除額に限度がありますが、法人の場合は個人とは異なり損金計上額が増えるため、生命保険を活用する方法があります。
家族を役員にする
実際に役員としての役務を提供することが前提ですが、家族を役員にすることで、前述した院長への報酬と同じような形で給与所得控除が活用できます。
法人そのものには相続税がかからない
法人になりますので、直接相続税はかかりません。法人の場合は出資や株式という形で個人の相続税上評価されることになります。
医療法人・MS法人のデメリット
法人設立・運用コスト
法人を設立もしくは運用するのに一定のコストがかかります。
法人の株価検討
前述の通り、法人の株式もしくは出資金は相続税上の評価が必要になるため、法人の状況によっては評価額が高くなり、結果として支払う相続税が高くなる可能性があります。
節税・税金対策が目的になってはいけません
節税や税金対策はあくまでもルールに従って、一定の経済的合理性のもとに行うものであるので、目的と手段が入れ替わってはいけません。節税をするよりも本業でしっかりと利益を出すことが重要ですので、あくまでも利益を増やすための一つのサポートとしてこのような対策があることに留意しましょう。
歯科医院における税金対策のまとめ
以上のように歯科医院における税金対策について解説をしてきました。本記事をご覧いただき、今後の歯科医院経営の参考にしてみてください。
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この記事の作成者
宮嶋 直 公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。