デザイナーが税理士を活用するメリットについて徹底解説

税務

本記事では、デザイナーを事業として展開する個人事業主の方、もしくは法人の経営者にとって税理士を活用するメリットや、活用する際の料金、および税理士を選ぶ際のポイントについて解説をしていきます。本記事を参考にいただくことで、基礎知識をしっかりと理解した状態で、税理士との契約を進めることができます。

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税務におけるデザイナー業の特徴

税務におけるデザイナー業の特徴としては、そのビジネスモデルに関係して、初期の費用が先行しやすく、案件を受注してからキャッシュインするまでのタイムラグが発生することです。またある程度の規模になるとデザインの一部を外注したりするため、その費用が先行して発生するなど資金繰りを意識する業種であるとも言えます。

また、デザイナーとして法人を設立してある程度従業員を採用して大きい規模での事業を展開する経営者の方もいらっしゃると思います。その場合、従業員の給与計算や毎月の源泉徴収、年末調整など、人件費周りで様々な業務が発生することになります。

その他の特徴として、業務委託のデザイナーを活用する場合には、業務委託費用が比較的多額になることです。業務委託の場合は自社の従業員ではないため、給与計算や源泉徴収、年末調整は不要で、業務委託先との契約書に従って、支払いを行うことになります。

デザイナーと一言で言っても、WEBデザイナー、グラフィックデザイナー、CGデザイナー、ファッションデザイナーなど様々な種類のデザイナーがあります。種類にとって業務内容は全く異なりますが、税務の視点からはほとんど特徴として共通なので、本記事ではデザイナー業全体について言及をしていきます。

デザイナーのビジネスにおける特徴

デザイナー業は、基本的に顧客から案件を受注し、制作をしてその成果物を納品するという事業体になります。顧客というのは、最終発注者であるクライアントになるケースもあれば、広告代理店やWEB制作会社などの一次受け企業になる場合もありますが、基本的にお金の入り方や税務上の売上計上に大きな差はありません。デザイナー業はそのビジネスの特徴から、デザイナーを抱えておく必要があるいわゆる人中心のビジネスとなります。人の抱え方としては、自社で採用して従業員として抱える方法もあれば、業務委託契約として複数名のデザイナーと提携をしておくパターンがあります。自社で採用するパターンについては、給料が少なくとも固定費としてかかることや、退職してしまってサービスが提供できないなどのリスクなど、さまざまなリスクが発生します。加えて年末調整や給与計算など従業員向けに法律上対応しなければならないことが発生してきます。一方で、案件に迅速に対応できるなどメリットも大きいです。

業務委託の場合は、稼働していない状態であれば固定費等が発生しないこと、複数名提携していれば一人が業務委託契約を継続しなかったとしてもサービスが提供できないなどの最悪の事態は防げること、また自社の従業員ではないため年末調整や給与計算などの業務が発生しないことがメリットとして挙げられます。一方で、業務委託の場合は急な仕事が受注できた場合、業務委託先のデザイナーが稼働が手一杯などであれば委託する先がないため結果的にサービス提供が遅延する、最悪の場合サービス提供ができないなどのリスクを抱えることになります。

その他の特徴としては、競合が多いため差別化や強力な営業力がないと、ビジネスとして大きくして行くことが難しいということです。参入障壁が高いわけではないため、最近ではクラウドソーシングサイトなどで低単価で受注するデザイナー(特にWEB系を中心に)が増えてきております。加えてデザイン事務所から独立をしてデザイン会社を立ち上げる例も増えてきております。発注側がそこまで多くない場合、供給側であるデザイナーの数が増えるとそれだけ需要と供給のバランスが崩れるため、デザイナー側は案件獲得をして行くことが難しくなってきます。例えばデザイナーとしてある程度の地位を確立しており自然と仕事が入ってくる状態、もしくは高い営業力があり案件獲得を一定以上の単価で受注ができる場合、このように差別化を図っていかないとしっかりとした単価をとってビジネスをして行くことが難しくなることが想定されます。

デザイナー業の資金繰り

前述の通り、デザイナー業は費用が先行しやすく、一方で収入については受注から実際の入金まで数ヶ月になる場合もあり、収支のタイミングがずれやすい業種だと言えます。よって資金繰りはデザイナー業にとって非常に重要な事項の1つでしょう。必要に応じて資金調達も検討すべきです。資金調達で一般的なのは日本政策金融公庫による融資と信用保証付の銀行融資の2つになります。この2つは創業時から比較的融資がおりやすく検討すべき融資ですので、まずはご検討ください。

デザイナーに税理士が必要なタイミング

デザイナーにとって、いつ税理士と契約するのが良いのでしょうか?まず考えられるのは消費税の課税事業者になるタイミングです。免税事業者であっても、年商1000万円を超える段階で課税事業者となるため、消費税申告が必要になってきます。この消費税申告ですが、所得税や法人税と異なり帳簿の付け方がやや複雑なものになっておりますし、消費税申告も原則課税と簡易課税で計算方法も計算結果も変わってくるため、採用した方法によって税額のメリット・デメリットが発生します。このように消費税が入ると考えるべき事項が増えるため、税理士のアドバイスを受けるのがおすすめです。

他に考えられるのが、開業時です。前述した通り、業種としてデザイナーは資金繰りがタイトになりやすい業種ですので、しっかりと決算書・税務申告書を税理士に作成してもらい、事業計画書についても必要に応じて税理士のサポートをもらう方が、いざという時金融機関から資金調達をスムーズにするためには良いと考えております。

デザイナーが税理士へ依頼できる内容・税理士を活用するメリット

デザイナーが税理士へ依頼できる内容及びそのメリットとはどのようなものでしょうか?まずは前述しておりますが、資金繰り関連で過去の決算書やそれに関する税務申告書を税理士に作成してもらうことで信頼性の高い書類を金融機関へ提出することが可能となります。加えて、事業計画書作成のサポートも税理士からもらうことができます(サポートの範囲については税理士によって異なってきます)。

また、上記と関連しますが、帳簿作成から決算書、税務申告書の作成・提出までを税理士へ丸投げすることで、本業に集中できるようになるという点です。特に建設業は経理処理が複雑なることと、取引数も多いため、経営者ご自身で勉強されて帳簿作成から税務申告書作成までを対応されるのは非現実的です。特に法人税になると所得税よりも難易度が上がります。そのため、税務のプロである税理士へ依頼することで、効率的に経営を行うことが可能となってくるのです。

デザイナーが税理士と契約する際の料金

税理士の料金は主に、月額顧問報酬と決算申告時の報酬から構成されています。前者については、毎月税理士と税務相談に関してコミュニケーションをとるのに必要な金額になってきます。記帳代行を依頼する場合にはオプション料金として、毎月の月額顧問報酬に加算して金額を支払うことになります。月額顧問報酬は概ね2〜3万円以上となることが一般的かと思います。

後者の決算申告は、確定申告に際に税理士が作成する決算書及び確定申告書の作成料金として請求されるものになります。概ね月額顧問報酬の4〜6ヶ月分を請求されることが多いかと思います。また基本的には最低限のサービスしか入っていないことが多いので、例えば従業員がいて年末調整をお願いしたり、消費税の課税事業者のため消費税申告書が必要な場合は、別途プラスで料金がかかってきます。

デザイナーが自分で確定申告する場合・必要書類

税理士を使わず、デザイナーの方がご自身で確定申告や税対応を行うことも可能です。その場合は、税理士のアドバイス等が得られず、また記帳もご自身で全て対応する必要があるので、事業の規模が大きくなるにつれ、時間を裂かれてしまいます。

確定申告にあたっては、収入や支出を証明する証憑の保管が必要になると同時に、帳簿を作成する必要があります。証憑は請求書や銀行通帳などが挙げられます。

デザイナーが確定申告で困ること

デザイナ^の方が確定申告する際に困ったことの事例として挙げられるのが、証憑をしっかりと整理してなかったことで、確定申告時期に余計な時間がかかること、記帳をやってなかったことで、確定申告時期にまとめてやる必要があること、などが挙げられます。

デザイナーに強い税理士の探し方

経営者仲間からの紹介

デザイナーに強い税理士を探す方法として、1つ目は同じ同業経営者の友人からの紹介が考えられます。デザイナーに対しての経験がある税理士という保証があるので、紹介はその視点からは安心感があります。

インターネット

次に近所でデザイナーに強い税理士をインターネットで検索して、面談して行く方法です。一人つづ面談して行くので、時間はかかりますが、自分に合った税理士を探せる可能性が高いです。

税理士紹介サイト

最後に紹介するのは税理士紹介サイトの活用です。税理士紹介サイトはエージェントがデザイナーの方のニーズを聞いて、複数名の税理士を紹介する仕組みです。エージェントは税理士から紹介手数料をもらうのが一般的なので、ユーザーであるデザイナーの方は無料であることが多いです。

デザイナーに強い税理士を選ぶ方法について

税理士との相性

最も重要なのはデザイン業に対する理解と税理士との相性です。デザイン業に対する理解については、税務は日々の取引をどれぐらい理解しているかによってアドバイスの深みが変わります。そのため、デザイナーのビジネスモデルを正しく理解をしている方が経営者とのコミュニケーションもスムーズになりますし、適切なアドバイスも税理士からもらえることになります。また、相性については税務においては税理士とコミュニケーションをとる機会が多いため、やはりコミュニケーションがとりやすい税理士と契約する方が経営者にとって最大限税理士を活用できるかと思います。

デザイナーへのサービス提供経験

デザイナーへのサービス提供経験豊富な税理士の方が、デザイナーのビジネスに対する理解が早く、より適切なアドバイスをしてくれる可能性が高いと考えられます。

法人化・会社設立サポート

デザイナーの方で個人事業主でやられている方が法人成りを検討する際に、税理士のサポートが得られるかどうかがポイントになります。

オンライン対応・クラウド対応

オンラインやクラウドに強い税理士であれば、リモートでもコミュニケーションがスムーズにとれ、ストレスなく税務サービスを受けることができます。

デザイナーに強い税理士の具体例

デザイナーに強い税理士にはどのような方がいるのでしょうか、インターネットの公開情報で検索した結果も踏まえて下記に記載をしていきます。

匠税理士事務所様

まずは、匠税理士事務所様です(https://www.takumi-tax.jp/2018/01/post-602.html)。税務顧問や確定申告のみならず、起業支援もされています。その中でもデザイナーについての融資や会社設立に関する記事も複数アップされており、デザイナーの方については心強い選択肢の1つとなるのではないでしょうか?

島田税理士事務所様

次に、島田税理士事務所様です(https://shimadakaikei.com/staff/saitou.html)。東京都の渋谷区に拠点を構えられている会計事務所様で、所得税・法人税・消費税の確定申告や税務相談はもとより、会社設立にも強い会計事務所様です。

宮嶋公認会計士・税理士事務所

最後に、当事務所になりますが、宮嶋公認会計士・税理士事務所です。(https://tax-miyajima.com/)。当事務所も、確定申告や記帳代行などの税務サービスのみでなく、外資系経営コンサルティング会社やCFO経験を活かした、経営コンサルティングサービスおよびDX・デジタルに非常に強みを持っている特徴的な事務所になります。特にデジタル経験も豊富ですのでデザイナー様のお悩みを深く理解し、適切なアドバイスをさせていただくことが可能です。

まとめ

以上のようにデザイナーの方が税理士を活用する方法・ポイント等について解説をしてまいりました。こちらの記事を参考にして、ぜひ税理士選びのサポートとしていただけると光栄です。

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この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士 
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。