インターネットの普及と物流網の発展により、ECサイト(電子商取引)は現代ビジネスにおいて欠かせない存在となりました。個人が手軽にネットショップを開設できる時代になり、企業の販路拡大手段としてもECサイトは極めて重要です。しかしECサイトの運営には特有の経理処理や税務判断が求められます。膨大な取引データや決済手段の多様化、在庫管理の複雑さなど、一般的な実店舗経営とは異なる課題が山積しています。
事業を成長させ利益を確保するためには、ECサイトのビジネスモデルを深く理解し、適切なアドバイスができる税理士の存在が不可欠です。本記事では、ECサイト事業者が直面する課題を整理し、ビジネスを加速させるための最適な税理士の探し方や選び方について、網羅的に解説していきます。
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ECサイトに強い税理士を探す方法
- ECサイトの定義
- ECサイトビジネスの特徴
- ECサイトビジネスの環境
- ECサイトに携わるの方の税理士に対するニーズ
- ECサイトにおける経理や税務の特徴
- ECサイトにおける税理士の提供するサービス
- ECサイトにおける税理士を活用するメリット
- ECサイトにおける税理士を活用するデメリット
- どのような人・企業が税理士へ依頼すべきか?
- ECサイトに強い税理士を探すポイント
- ECサイトに強い税理士を探す方法
- ECサイトで税理士を探すタイミング
- ECサイトに強い税理士の費用相場
- ECサイトに強い税理士と契約するまでのプロセス
- ECサイトにおいて税理士の切替を検討する場合
- ECサイトで税理士に対してよくある質問と回答
- ECサイトに強い税理士を探す方法 まとめ
ECサイトの定義
ECサイトとは「Electronic Commerce Site」の略称であり、インターネット上で商品やサービスを売買するためのWebサイトのことを指します。日本語では電子商取引サイトとも呼ばれます。広い意味では、インターネットを通じて行われる全ての商取引が含まれます。
取引形態による分類
ECサイトは取引を行う主体の組み合わせによっていくつかの種類に分類されます。最も代表的なのが企業が一般消費者に商品を販売する「BtoC(Business to Consumer)」です。Amazonや楽天市場などのモール型サイトや、企業が独自に構築した自社サイトなどがこれに該当します。また企業間取引を行う「BtoB(Business to Business)」や、個人間での売買を行う「CtoC(Consumer to Consumer)」もECサイトの一形態です。近年ではメルカリなどのフリマアプリがCtoCの代表例として挙げられます。さらにメーカーが中間業者を通さずに直接消費者に販売する「D2C(Direct to Consumer)」という形態も注目を集めています。
プラットフォームによる分類
ECサイトを構築・運営する基盤(プラットフォーム)によっても分類されます。一つは「モール型」です。Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどがこれにあたります。集客力が高い反面、出店料や手数料が発生します。もう一つは「自社サイト型(カートシステム利用)」です。Shopify、BASE、STORESなどが代表的です。自社のブランドイメージを構築しやすい一方で、自力での集客努力が必要となります。税理士を探す上では、これらのどのプラットフォームを利用しているかによって、連携すべきデータや経理処理の手法が異なることを理解しておく必要があります。
ECサイトビジネスの特徴
ECサイトビジネスには、実店舗を持つビジネスとは大きく異なる特徴がいくつか存在します。これらの特徴が経理や税務の複雑さを生む要因ともなっています。
商圏の広さと24時間営業
ECサイトの最大の特徴は、インターネット環境さえあれば世界中どこからでもアクセス可能であるという点です。物理的な距離の制約を受けないため、地方の企業であっても全国、あるいは海外を相手に商売が可能です。また実店舗のように営業時間の制限がなく、24時間365日いつでも注文を受け付けることができます。これは収益機会の最大化につながる一方で、絶え間なく発生する取引データの管理が必要になることを意味します。
データのデジタル化と決済の多様性
ECサイトでの取引はすべてデジタルデータとして記録されます。注文情報、顧客情報、配送情報などがシステム上で管理されます。また決済手段も多岐にわたり、クレジットカード決済、コンビニ払い、キャリア決済、銀行振込、後払い決済、電子マネーなど、顧客のニーズに合わせた多様な選択肢が用意されています。これにより売上の計上時期と入金のタイミングにズレが生じやすく、資金繰り管理や経理処理を複雑にしています。
少額多数の取引
ECサイトでは、実店舗やBtoBビジネスに比べて、1回あたりの取引金額が小さく、その代わりに取引件数が膨大になる傾向があります。月に数千件、数万件という注文が入ることも珍しくありません。これら一つ一つの取引を正確に会計ソフトへ入力し管理することは、手作業では事実上不可能です。そのためITツールを活用した効率的なデータ処理能力が、経営管理において極めて重要になります。
ECサイトビジネスの環境
ECサイトを取り巻くビジネス環境は、技術の進化や社会情勢の変化に伴い、激しく変動しています。
市場の拡大と競争の激化
スマートフォンの普及や新型コロナウイルスの流行による巣ごもり需要の影響もあり、EC市場は年々拡大を続けています。消費者の購買行動がオンラインへとシフトする中で、多くの企業がEC事業に参入しています。その結果、市場は活性化していますが、同時に競争も激化しています。単に商品を並べるだけでは売れず、マーケティングやブランディング、顧客体験(UX)の向上が求められるようになっています。
プラットフォームへの依存とリスク
多くのEC事業者は、Amazonや楽天市場などの巨大プラットフォームを利用しています。これらのプラットフォームは強力な集客力を提供してくれますが、一方でプラットフォーム側の規約変更やアルゴリズムの変更によって、売上が大きく変動するリスクも抱えています。また手数料の改定やアカウント停止のリスクなど、外部環境の変化に経営が左右されやすい側面があります。
法規制と税制の変化
ECサイト運営に関連する法律や税制も刻々と変化しています。特定商取引法や景品表示法などの消費者保護に関する法規制の遵守はもちろんのこと、インボイス制度の導入や電子帳簿保存法の改正など、経理実務に直結する制度変更への対応も急務です。特に越境ECを行う場合は、相手国の税制や関税ルールなども考慮する必要があり、高度な専門知識が求められる環境にあります。
ECサイトに携わるの方の税理士に対するニーズ
ECサイトを運営する事業者にとって、税理士は単なる計算代行屋ではありません。激しい競争環境の中で生き残るための戦略的パートナーとしての役割が求められています。
膨大なデータの効率的な処理
EC事業者が税理士に求める最大のニーズの一つは、膨大な取引データの効率的な処理です。手入力での記帳は現実的ではないため、API連携やCSVインポートなどを活用し、会計ソフトへ自動的にデータを取り込む仕組みの構築が求められます。ITに強く、経理の自動化や効率化を提案できる税理士への需要は極めて高いと言えます。
正確な利益管理と資金繰りの把握
ECサイトでは、売上はすぐに計上されますが、実際の入金はクレジットカード会社やプラットフォームの締め日・支払日によって数週間から数ヶ月後になることが一般的です。また広告費や仕入代金の支払いが先行することも多く、帳簿上は黒字でも手元の現金が不足する「黒字倒産」のリスクがあります。そのため、正確な利益管理だけでなく、キャッシュフローの動きを可視化し、適切な資金繰りのアドバイスをしてくれる税理士が求められています。
節税対策と投資判断のサポート
EC事業は利益が出始めると急速に伸びる可能性があります。その際に適切な節税対策を行わなければ、多額の税金を支払うことになり、次の成長への投資資金が確保できなくなります。また広告宣伝費への投資タイミングや在庫を持つ量など、経営判断に直結する数字の見方をアドバイスしてほしいというニーズも強くあります。
ECサイトにおける経理や税務の特徴
ECサイトの経理や税務には、一般的なビジネスとは異なる独特の論点や注意点が存在します。
売上計上のタイミング(実現主義)
会計の原則として、売上は商品を引き渡した時点で計上する「実現主義」が採用されます。ECサイトの場合、注文を受けた日、商品を発送した日、商品が顧客に届いた日のいずれを基準にするかが問題となります。一般的には「出荷基準(発送した日)」を採用することが多いですが、これを継続的に適用する必要があります。入金された日を売上日としてしまうと、期間損益計算が正しく行われず、税務調査で指摘される原因となります。
手数料の処理
Amazonや楽天市場などのモールを利用している場合、売上代金からシステム利用料や決済手数料、販売手数料、ポイント負担分などが差し引かれた金額が入金されます。経理処理においては、入金額のみを売上として計上するのではなく、本来の「売上総額」と「各種手数料」をそれぞれ総額で計上する必要があります。これを怠ると、売上高が過少に申告され、消費税の納税義務の判定(課税売上高1000万円の壁)を誤る可能性があります。
在庫の評価と管理
物販を行うECサイトにとって、在庫管理は極めて重要です。期末に残っている在庫は「棚卸資産」として計上し、その分は当期の経費(売上原価)から除外されます。在庫を正しくカウントし評価しなければ、正しい利益計算はできません。また、売れ残った不良在庫の処分や評価損の計上なども、税務上の要件を満たす形で行う必要があります。
ポイントの取り扱い
ECサイトでは独自のポイントやモールのポイントが付与・利用されます。顧客がポイントを利用して商品を購入した場合の売上計上額や、自社が発行したポイントが使われた際の処理などは非常に複雑です。またポイント費用をいつ経費として計上するかについても、税務上のルールに従って処理する必要があります。
ECサイトにおける税理士の提供するサービス
ECサイトに強い税理士は、一般的な税務顧問業務に加えて、EC事業特有の課題を解決するためのサービスを提供しています。
クラウド会計ソフトの導入とAPI連携支援
freeeやマネーフォワードクラウド会計などのクラウド会計ソフトの導入を支援し、Amazon、楽天市場、Shopify、決済代行会社(StripeやPayPalなど)、銀行口座、クレジットカードなどをAPI連携させる設定を行います。これにより取引データを自動で取り込み、記帳業務を大幅に自動化・効率化する環境を構築します。
記帳代行と月次決算
自社で経理を行うリソースがない事業者に対しては、記帳代行サービスを提供します。ただし従来のような領収書を丸投げするスタイルではなく、データ連携を活用した効率的な記帳を行います。また月次決算を早期に確定させ、毎月の損益状況や資金繰りの状況をレポートとして提供し、経営判断に役立つ情報を提供します。
税務申告と節税対策
法人税や所得税、消費税の申告書を作成し提出します。特に消費税については、簡易課税制度の選択やインボイス制度への対応など、事業者の状況に応じた最適な選択を提案します。また決算前の利益予測に基づき、広告費の投入や設備投資、在庫処分などの節税対策を提案します。
資金調達支援
事業拡大のための運転資金や設備資金が必要な場合、日本政策金融公庫や銀行からの融資を受けるための事業計画書の作成支援や面談対策を行います。EC事業の特性を理解した上で、金融機関に対して説得力のある説明ができるようサポートします。
ECサイトにおける税理士を活用するメリット
ECサイト運営において税理士を活用することには、単なる事務代行以上の大きなメリットがあります。
本業への集中と時間の創出
ECサイトの運営業務は、商品開発、仕入れ、サイト制作、マーケティング、顧客対応、発送業務など多岐にわたります。これに加えて複雑な経理業務を自力で行うことは、経営者の時間を大きく圧迫します。税理士に経理や税務を任せることで、経営者は売上を上げるための「攻め」の業務に集中することができます。この時間の創出こそが最大のメリットと言えます。
正確な経営数値の把握
EC事業はデータの宝庫ですが、それを正しく会計データとして集計・分析できなければ経営に活かせません。税理士が関与することで、各プラットフォームからの売上や手数料、広告費などのコスト構造が明確になります。どの商品が利益を生んでいるのか、どの広告媒体が効果的なのかといった経営判断を、感覚ではなく正確な数字に基づいて行うことができるようになります。
税務リスクの回避と安心感
EC事業は取引件数が多く、消費税や在庫計上などの税務論点も複雑です。自己流で処理していると、知らず知らずのうちに税法違反を犯してしまい、税務調査で多額の追徴課税を受けるリスクがあります。税理士の指導の下で適正な処理を行うことで、こうした税務リスクを回避し、安心して事業を継続することができます。
最新の制度や情報のキャッチアップ
インボイス制度や電子帳簿保存法など、税務に関するルールは頻繁に変更されます。これらを独力で追いかけ、適切に対応するのは困難です。税理士と契約していれば、自社に関係する重要な法改正や制度変更についてタイムリーに情報提供を受け、必要な対策を講じることができます。
ECサイトにおける税理士を活用するデメリット
税理士の活用には多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットや注意点も存在します。
コストの発生
当然ながら税理士に依頼すれば顧問料や決算料などの費用が発生します。特に創業間もない時期や売上が安定していない時期には、この固定費が負担に感じられることがあります。しかし経理業務にかかる自身の手間や時間、税務リスクを回避できる安心感を考慮すれば、コストパフォーマンスは決して悪くありません。
専門性のミスマッチ
「税理士であれば誰でも同じ」と考えて依頼すると失敗することがあります。ECサイトのビジネスモデルやITツールに詳しくない税理士を選んでしまうと、話が通じなかったり、非効率なアナログな処理を強要されたりすることがあります。これではかえって手間が増え、税理士を活用するメリットを享受できません。EC事業に特化した、あるいはITに強い税理士を選ぶことが極めて重要です。
依存による自社ノウハウの欠如
経理業務をすべて税理士に丸投げしてしまうと、自社内に経理や財務のノウハウが蓄積されません。経営者自身が数字に疎くなってしまうリスクもあります。税理士に任せる部分と、自社で把握すべき部分を明確にし、定期的な打ち合わせを通じて経営数値への理解を深める姿勢が必要です。
どのような人・企業が税理士へ依頼すべきか?
ECサイトを運営するすべての人に税理士が必要なわけではありません。しかし以下の条件に当てはまる場合は、税理士への依頼を強く検討すべきタイミングと言えます。
年間売上が1,000万円を超えた事業者
年間売上高(課税売上高)が1,000万円を超えると、その2年後から消費税の課税事業者となります。消費税の計算や申告は非常に複雑であり、インボイス制度への対応も必須となります。また売上規模が大きくなれば税務調査の対象になる確率も高まるため、この段階での税理士関与は必須と言えるでしょう。
複数のプラットフォームや決済手段を利用している場合
Amazon、楽天、自社サイトなど複数の販路を持ち、さらに決済手段も多様化している場合、売上や手数料の集計作業は非常に煩雑になります。これらのデータを統合し、正確に会計処理を行うには、クラウド会計やAPI連携に精通した税理士のサポートが不可欠です。
海外取引(輸出入)を行っている場合
海外から商品を輸入して販売する場合や、海外の顧客に向けて商品を販売する越境ECを行う場合は、関税や消費税の取り扱いが国内取引とは大きく異なります。輸入消費税の処理や輸出免税の適用など、高度な専門知識が必要となるため、国際税務に詳しい税理士への相談が必要です。
法人化を検討している場合
事業が拡大し、個人事業主から法人成り(会社設立)を検討するタイミングも、税理士に依頼すべき好機です。法人化のシミュレーション、設立手続き、役員報酬の設定、社会保険への加入など、検討すべき事項が多岐にわたるため、専門家の総合的なアドバイスが必要です。
ECサイトに強い税理士を探すポイント
ECサイト事業者が税理士を探す際に、重視すべきポイントは明確です。一般的な税務知識に加えて、以下の要素を持っているかを確認しましょう。
ITリテラシーの高さとクラウド会計への対応
これが最も重要なポイントです。クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)の使用を前提とし、API連携やCSVデータの加工に精通しているかは必須条件です。ChatworkやSlack、Zoomなどのオンラインコミュニケーションツールを使いこなせるかどうかも確認しましょう。紙の領収書を郵送させたり、手書きの帳簿を求めたりするような税理士は、EC事業者との相性は良くありません。
ECプラットフォームや決済システムの知識
Amazonセラーセントラルや楽天RMSなどの管理画面の仕組み、StripeやPayPalなどの決済サービスの明細の見方を理解しているかどうかも重要です。「保留中トランザクションとは何か」「決済手数料はどこで確認するか」といった業界用語や仕組みが通じる税理士であれば、コミュニケーションコストを大幅に下げることができます。
物販ビジネスや在庫管理への理解
ECサイトの多くは物販ビジネスです。仕入、在庫、原価率といった概念を深く理解し、適切な在庫評価方法や棚卸の実務についてアドバイスできる能力が求められます。また広告費の費用対効果(ROAS)や顧客獲得単価(CPA)などのマーケティング指標についても会話ができる税理士であれば、より経営的なサポートが期待できます。
若手税理士や柔軟な対応ができる事務所
EC業界は変化が速く、新しいツールやサービスが次々と登場します。こうした変化に対して柔軟に対応し、新しい知識を積極的に吸収しようとする姿勢を持つ税理士が適しています。年齢が若いことが必ずしも条件ではありませんが、デジタルネイティブな感性を持ち、フットワーク軽く対応してくれる事務所が望ましいでしょう。
ECサイトに強い税理士を探す方法
では実際にECサイトに強い税理士をどのように探せばよいのでしょうか。
税理士紹介サイトの活用
「税理士ドットコム」などの紹介サイトを利用する方法です。これらのサイトでは「ECサイトに強い」「クラウド会計対応」「ITに強い」といった条件で税理士を検索したり、コーディネーターに要望を伝えてマッチする税理士を紹介してもらったりすることができます。多くの候補の中から比較検討できるのがメリットです。
クラウド会計ソフトの認定アドバイザー検索
freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトメーカーは、そのソフトに精通した税理士を「認定アドバイザー」としてリストアップしています。各社の公式サイトから検索することができ、星の数や導入実績数などでレベル感を把握することができます。これらのリストから探せば、少なくともITリテラシーに関するミスマッチは防げます。
インターネット検索とホームページの確認
「EC 税理士」「ネットショップ 税理士」「通販 税理士」などのキーワードで検索し、上位に表示される税理士事務所のホームページをチェックします。EC事業特有の悩みに対するコラムや解決事例、導入実績などが詳しく掲載されている事務所は、専門性が高い可能性が高いです。ブログやSNSでの発信内容も、その税理士の知識レベルや人柄を知る手がかりになります。
知人や同業者の紹介
実際にECサイトを運営している知人や、信頼できるビジネスパートナーから紹介してもらうのも有効です。実際にサービスを受けている人の「生の声」は非常に参考になります。「レスポンスが早い」「Amazonの売上処理に詳しい」といった具体的な評判を聞くことで、安心して依頼することができます。
ECサイトで税理士を探すタイミング
税理士を探すタイミングは「早ければ早いほど良い」のが基本ですが、特に以下のタイミングを逃さないようにしましょう。
事業開始時または法人設立時
最初から正しい経理フローを構築することは、後々の手間を大幅に削減します。特にクラウド会計の初期設定や口座連携は、スタート時点でプロに任せるのが最も効率的です。また創業融資を検討している場合は、事業計画書の作成段階から相談することで融資成功率が高まります。
年明けから確定申告期限前まで
個人事業主の場合、年明けから3月15日までの確定申告期間は税理士の繁忙期です。この時期に駆け込みで依頼しても断られるか、特急料金を請求される可能性があります。できれば年内の早い段階、遅くとも11月〜12月頃には税理士探しを開始し、余裕を持って契約することをお勧めします。
売上が急増したとき
予期せぬヒット商品などで売上が急増した場合、税金の負担も急増します。決算直前になってからでは打てる節税対策が限られてしまいます。期中の段階で利益予測を行い、早めに対策を講じるためにも、売上の伸びを感じたらすぐに税理士に相談しましょう。
ECサイトに強い税理士の費用相場
税理士の費用は、事業規模(売上高)、依頼する業務範囲(記帳代行の有無など)、訪問頻度などによって異なります。ECサイトに強い税理士の場合、ITツール活用による効率化が進んでいるため、比較的リーズナブルな料金設定の事務所も多いですが、専門的なノウハウへの対価として安易な安売りをしていない事務所もあります。
個人事業主の場合
- 月額顧問料: 1万円〜3万円程度
- 確定申告料: 月額顧問料の4〜6ヶ月分程度(5万円〜15万円程度)
- 記帳代行料: 月額5,000円〜2万円程度(取引数による)
年一回の確定申告のみをスポットで依頼する場合は、10万円〜20万円程度が相場です。ただし、ECの場合は取引数が多いため、データ整理の状況によっては追加料金が発生することもあります。
法人の場合
- 月額顧問料: 2万円〜5万円程度
- 決算申告料: 月額顧問料の4〜6ヶ月分程度(10万円〜30万円程度)
- 記帳代行料: 月額1万円〜5万円程度(取引数による)
売上規模が1億円を超えると、顧問料もそれに応じて上がっていきます。また、消費税申告や年末調整、税務調査立会いなどは別途オプション料金となることが一般的です。
ECサイトに強い税理士と契約するまでのプロセス
スムーズに契約を進め、ミスマッチを防ぐためのプロセスを紹介します。
1. 自社の状況と要望の整理
まずは自社の売上規模、利用しているプラットフォーム、決済サービス、銀行口座数などを整理します。また、税理士に何を求めるのか(記帳代行まで頼みたいのか、節税アドバイスが欲しいのか、融資相談がしたいのかなど)を明確にします。
2. 候補の選定と問い合わせ
前述の方法で3〜4社程度の候補をピックアップし、問い合わせフォームやメールで連絡を取ります。この際のレスポンスの速さも、EC対応力を測る一つの指標になります。
3. 面談(オンライン可)
Zoomなどを使って面談を行います。自社のビジネスモデルや使用ツールを説明し、相手の理解度を確認します。「Amazonの売上データはどうやって連携しますか?」「Shopifyの決済手数料の処理はどうなりますか?」といった具体的な質問を投げかけ、的確に回答できるかをチェックしましょう。また、話しやすさや相性も重要な判断基準です。
4. 見積もりの比較と決定
面談後、見積もりを提示してもらいます。金額だけでなく、サービス内容(訪問頻度、チャット相談の可否、記帳代行の範囲など)を詳細に比較します。安さだけで選ぶのではなく、自社の成長をサポートしてくれるパートナーとして信頼できるかどうかが決め手です。
5. 契約締結と初期設定
契約が決まったら、顧問契約書を締結します(電子契約が一般的です)。その後、クラウド会計ソフトの権限付与や、各種データの共有を行い、業務を開始します。
ECサイトにおいて税理士の切替を検討する場合
現在契約している税理士がいる場合でも、以下のような不満がある場合は切り替えを検討すべきです。
- アナログな処理を強要される: 紙の領収書を郵送させられたり、手書きの現預金出納帳を求められたりする場合。
- レスポンスが遅い: メールやチャットの返信が数日後になるなど、スピード感が合わない場合。
- EC特有の知識がない: プラットフォームの仕組みや手数料の処理について理解しておらず、会話が噛み合わない場合。
- クラウド会計に対応していない: 従来のインストール型会計ソフトを指定され、データ共有がスムーズにいかない場合。
- 節税や経営のアドバイスがない: ただ事務処理をするだけで、経営に役立つ提案がない場合。
税理士の切り替えは、決算終了後や確定申告終了後のタイミングがスムーズですが、期中であっても可能です。不満を抱えたまま契約を続けることは経営にとってマイナスです。
ECサイトで税理士に対してよくある質問と回答
Q. 個人のクレジットカードを事業に使ってもいいですか?
A. 可能ですが、推奨はされません。事業用とプライベート用が混在すると、経理処理が非常に煩雑になり、計上漏れや誤りの原因になります。できるだけ早く事業専用のクレジットカード(屋号付きカードやビジネスカード)を作成し、決済を一本化することをお勧めします。
Q. 自宅で作業していますが、家賃は経費になりますか?
A. 事業に使用している部分については経費(地代家賃)として計上可能です。これを「家事按分」といいます。使用面積や使用時間などの合理的な基準に基づいて事業割合(例:30%など)を決定し、その分を経費にします。電気代やインターネット通信費も同様に按分可能です。
Q. 在庫はすべて経費になりますか?
A. なりません。仕入れた商品のうち、その期に売れた分だけが「売上原価」として経費になります。売れ残った在庫は「棚卸資産」として資産計上され、翌期以降に売れたタイミングで経費化されます。これを正しく計算するために、期末に実地棚卸を行う必要があります。
Q. 海外への販売(輸出)の場合、消費税はどうなりますか?
A. 商品を海外へ輸出する場合、その売上は「輸出免税」となり、消費税は免除されます(0%課税)。一方で、その商品を仕入れる際や発送する際に支払った国内の消費税は控除(還付)の対象となります。輸出売上が多い事業者は、消費税が還付される可能性が高いため、的確な申告が必要です。
ECサイトに強い税理士を探す方法 まとめ
ECサイト運営は、デジタルの力を活用して大きく成長できる可能性を秘めたビジネスです。しかしその裏側には、膨大なデータ処理と複雑な税務判断が求められるという現実があります。この課題を解決し、事業を加速させるためには、ITリテラシーが高く、ECビジネスの特性を熟知した税理士の存在が不可欠です。
「近所の税理士だから」「知り合いの紹介だから」という理由だけで選ぶのではなく、自社のビジネスモデルや使用ツールにマッチした「ECに強い税理士」を能動的に探すことが重要です。クラウド会計やAPI連携を駆使して経理を効率化し、リアルタイムな数字に基づいて経営判断を行う。そんな体制を共に構築できるパートナーを見つけることができれば、あなたのEC事業はより強固なものとなり、さらなる飛躍を遂げることができるでしょう。
本記事が、あなたのビジネスを支える最適な税理士との出会いの一助となれば幸いです。
税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者
宮嶋 直 公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。
