会社設立で税理士を利用しないと損する?税理士を活用するメリット徹底解説

税務

本記事は、会社設立にあたり税理士を探されている方に対して、税理士が対応しているサービス、税理士の費用・相場感、顧客が抱える課題、税理士を選ぶポイント、について記載をしていきます。

本記事を読んでいただくことで、特にこれまで税理士と契約をされてこなかった方が、税理士のサービス対応範囲を踏まえて、どのような税理士であれば自分に適しているかを判断ができるようになり、適切な税理士探しができるようになります。

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会社設立の概要

会社設立とは株式会社などの法人を設立することを言います。会社設立の多くで、株式会社か合同会社を選択することになりますが、ここでは一般的に多くの方が知っている株式会社について解説します。株式会社は設立するのにおおむね費用が〜24万円程度かかります。内訳としては、定款の認証に係る費用、収入印紙代、登録免許税となります。専門家を使う場合には、ここに専門家へ支払う手数料がかかってきます。

収入印紙代については、電子定款を作成することで、費用を0円にすることが可能なので、活用を検討しましょう。また、「特定創業支援等事業」も活用できます。これは、一定の要件を満たす方が、市区町村より「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」」が交付されると、①登録免許税が半額になる、②融資・補助金においてメリットがある、など様々な特典が付与されます。こちらも活用も検討をぜひしましょう。

会社設立の会社の種類とは

会社にはいろいろな種類がありますので、まずはよく名前が出てくる4つの形態について記載をしていきます。有名な4つは合名会社、合資会社、合同会社、株式会社の4つになります。これらは会社法上で定められた法人であり、この中でも特に合同会社と株式会社はよく出てくる会社の形態になります。そのため、本記事ではこの2つに絞って記載をしていきます。

会社設立にあたっては、まず設立する会社の形態を検討する必要があります。合同会社と株式会社の大きな違いは、出資の形式と設立費用となります。合同会社、株式会社共に出資者が出資限度までしか金銭的な責任を負わない有限責任となっています(逆は無限責任と言います)。大きな違いとしては、持分という考え方を持つのが合同会社、株式という考え方を持つのが株式会社になります。ここで法律上の詳細な解説は行いませんが、イメージとして合同会社は会社を持っている出資者と会社を経営する人が同じ考え方を基本としており、株式会社は会社を持っている株主と会社を経営する経営者(取締役)が分離している考え方を基本としております。

上記の考え方の違いに加えて、設立費用も異なってきます。合同会社の場合登録免許税が6万円、収入印紙代が4万円、定款の謄本手数料が約2,000円の合計で約10万円程度のコストが発生することになります。一方で株式会社については、収入印紙代4万円、定款の認証手数料が5万円程度、定款の謄本手数料が約2,000円、登録免許税が15万円〜(資本金の額の0.7%で最低金額が15万円)となりますので、少なくとも〜24万円程度がかかってきます。株式会社は合同会社と比較して設立時にはおおよそ2倍程度のコストがかかってきます。

その他両者の違いとしては、株式会社の場合は報酬の定め等が法律上である程度決まっている一方で、合同会社の場合は株式会社よりも柔軟に設計ができたり、株式会社の場合は決算公告が必要ですが合同会社の場合は基本的に決算公告の義務がありません。また、税金については合同会社も株式会社も同じ法人税、法人住民税、法人事業税がかかってきますので差はないと言えます。

株式会社は元々多くの株主が出資者として参画することを前提に設計されているため、将来的に会社の規模を大きくして上場など含めて考えている経営者向けの会社形態だと言えるでしょう。一方で合同会社は少人数の出資者を前提とした仕組みであるため、小規模にビジネスを続けていく方については合同会社を選ぶメリットがあるといえるでしょう。

会社設立における税理士のサービス提供内容及びメリット

そもそも税理士と契約することによって、税理士を探されている方々は、どのようなサービスを受けることができるのでしょうか?特に会社設立段階における税理士のサービスを中心に記載をしていきます。

税理士が会社設立段階で提供できるサービスの概要

税理士が会社設立段階で提供できるサービスとしては、まず会社設立における各種サポートです。会社設立の登記については司法書士の独占業務になりますので、税務と関連していても税理士が対応することができません(一般的に会社設立のパッケージで提供している税理士事務所は、提携している司法書士と一緒にサポートすることになります)。会社設立にあたっては様々と業務が発生しまして、

①定款の作成
②役員報酬の決定
③各種税務関連書類の届出
④その他設立サポート
⑤初年度確定申告・記帳

このような論点をクリアしていく必要があります。以下詳細に記載をしていきます。

定款の作成サポート

特に決算期をいつにするか、資本金を税務の視点からいくらにするかは非常に税務上重要な論点になります。例えば決算期のタイミングが会社設立日からあまりにも近い場合は、会社設立後すぐに決算期が来て税務申告書を作成提出する必要があります。通常は、決算や税務申告の事務手間を削減する目的から、なるべく会社設立日から1年後になるように決算期を設定する方が良いかと思いますが、定款作成をしていると他の項目に目が行ってしまい決算期のことを深く考えることを失念してしまう可能性があるため、税理士に決算期のアドバイスをしてもらうのが良いと思います。

また資本金の金額についても気をつける必要があります。設立時の資本金が一定金額を超えると、消費税の課税事象者に初年度からなってしまいます。特に最初は免税事業者で考えていた方にとっては不測の支出が生じる可能性があるので、税理士にアドバイスをもらいながら資本金の金額は決めるようにしましょう。加えて、法人住民税の均等割の金額もその計算の一部に資本金の金額が入ってくるため、設定する資本金の金額によっては法人住民税の金額が割高になってしまいますので、こちらも留意してください。

税理士・司法書士の連携で登記手続きまでトータルでサポートしている事務所の場合で、電子定款のツールに対応している事務所ですと定款にかかる収入印紙代4万円が0円となりますので、サポートにかかる費用がかかったとしても結果専門家に依頼した方が安く済むケースがありますので、トータルのコストも含めた上で専門家活用を検討すると良いでしょう。

なお、万が一設立登記をした後で登記内容を変更する場合は、登録免許税として原則3万円が追加でかかってきます。登記内容も税理士に税務の観点からアドバイスをもらった方がこのような追加料金が発生することもなくなるので、メリットがあると言えます。

役員報酬の決定

法人の場合、役員報酬を株式会社の場合は株主総会で決定する必要があります。これは株主と代表取締役が同じだったとしても、株主総会は実施する必要があります。法人税の場合役員報酬の損金算入は厳しく制限されておりまして、一般的には毎月同額を支払う定期同額という制度を利用することが一般的です。まず定期同額の要件を満たすにあたって、株主総会で役員報酬を決めることからスタートします(この内容を株主総会議事録に記載することで、事後的に役員報酬を勝手に改変していないことを証明します)。なお、定期同額が認められるための株主総会の承認決議のタイミングはルールが存在するので、会社設立後あまりに遅いタイミングで決定してしまうと損金算入が認められなくなりますのでご注意ください。

役員報酬については、法人の損金となりその分、役員個人の給与所得が増えることになります。法人税と所得税は税率がそれぞれ異なることから(特に個人の所得税は累進課税になる)、支払う役員報酬によって所得税と合算で支払う税額も異なってきますので、この辺りどの程度の役員報酬を支払うべきかは税理士と相談した上で決めた方が良いと言えるでしょう(もちろん、実態を伴った報酬であることが前提なので税金対策から役員報酬を決めるのはNGとなります)。

各種税務関連書類の届出

会社設立時には様々な届出書を税務署等へ提出する必要があります。その中でもまず重要な書類として、青色申告申告の承認申請書です。個人事業主の青色申告と同じで様々な特典を得ることができます。特に大きなメリットとして、まずは赤字になったときに繰越欠損金として10年赤字を繰り越すことができます。これは黒字になった年に過去の赤字分と相殺して黒字の金額を圧縮することができますので、税金の支払い金額を小さくすることが可能となります。

続いて減価償却について、30万円未満資産の減価償却がその発生した年度一括で損金として計上できることです。通常は10万円未満の資産のみが対象となってきますが、限度額はあるものの青色申告になることで30万円未満の資産まで範囲が拡大します。ビジネス上一つの資産が30万円になることは結構多いと考えられるため、これが減価償却ではなく1年で費用化できるのは税金支払面で大きなメリットと言えるでしょう。

また、消費税についても届出制度があります。特に設立時から課税事業者を選択する場合(特に還付が見込まれる場合は、免税事業者ではなく課税事業者を任意で選択する場合もあるかと思います)、簡易課税の届出を行うかどうかがポイントになってきます。簡易課税の場合計算や管理は非常に簡単になりますが、消費税の計算上控除できる金額がルールによって予め定められているため、ケースによっては簡易課税ではなく原則課税で消費税計算を行った方が有利になるケースもあります(当然、計算が複雑になるため税理士へ依頼する際の報酬は増えます)。ただし、簡易課税の届出を提出してしまうと一定期間は原則課税での消費税申告ができなくなってしまうため、予め税理士と相談しながらどの方法で消費税を計算するかを決める方が良いでしょう。加えて、免税事業か任意に課税事業にするかについても還付が取れそうかどうかにとって変わりますので、この点についても将来の想定される課税ポジションも含めて考えて、免税事業のままとするか任意で課税事業者にするかを選ぶようにしましょう。この点税理士の相談すると、メリット・デメリット含めてアドバイスを受けることが可能です。

上記以外にも会社設立時に税務署等へ提出が必要な書類がありますが、この辺りも網羅的に税理士で作成・提出してもらえるので、税理士へ依頼する場合、この辺りの事務作業を効率的に不安なく進めることが可能となります。当然提出した後に、提出した先の税務署から問い合わせが入ったりしますが、この点についても税理士へ依頼している場合税理士が対応してくれます。税務署との対応に慣れていない経営者の場合、内容が分からないのでなんと回答すれば良いかを考える時間を使ってしまう、またそれだけで精神力を使ってしまうため、税理士へ依頼をした方が経営者の本業に集中することが可能と言えるでしょう。

その他設立サポート

上記に加えて税理士へ会社設立時にサポートをもらえそうな項目を挙げていきます。サポートの範囲については税理士によって得意・不得意がありますし、範囲が異なってきますので、依頼する税理士へ具体的にどのようなサポートが可能かは確認しましょう。

まずは資金調達の支援です。これまで個人事業主として小規模に展開してきたものを従業員をしっかりと採用して大型化していきたい、スタートアップを最初から立ち上げて資本家から資金を募りたい、など資金調達の目的は色々とありますが、この中でも税理士がサポートできる部分は事業計画と決算書の作成と言えます。事業計画については、日本政策金融公庫の創業融資や保証協会付き銀行融資など、様々な資金調達で必要になってきます。この計画というのは数字的に合理的で説明できるもの、かつ一定確度の高いものでなくてはなりません。そのためこれまで事業計画を作ったことがない経営者にとってはかなり難易度の高い作業と言えるでしょう。この点税理士は数字のプロですので、経営者の情報に基づいて現実的な事業計画を作成してもらえます。また、明らかに合理的でない計画については指摘+アドバイスもしてもらえます。決算書については、創業まもない際には必要ないですが、例えば個人から法人成りして法人設立時にある程度の資産・負債が存在してたりする場合は開始の貸借対照表を金融機関から求められる場合もありますので、税理士が決算書を作成代行することが可能です。

その他、創業時の補助金に関するサポートなどが挙げられます。補助金についても日本の中には数千以上の種類が存在しているため、税理士が対応できるのは一般的によく使われている補助金の数種類と認識しておいた方が良いでしょう。以上のようにお金周りの視点から、税理士のサポートが会社設立時には期待できると言えます。

⑤初年度確定申告・記帳

最後に、税理士の本業である確定申告の作成・提出となります。記帳依頼をするかは経営者の必要性判断によりますが、コストを払ってでも記帳業務をアウトソーシングしたいというニーズがあれば、記帳代行を依頼すべきかと思います。記帳とは、確定申告の土台となる帳簿を作成することで、具体的には日々の取引をその証拠書類に基づいて会計データへ入力をしていき、整理した上で保管することになります。ここで作成された帳簿類から決算書(貸借対照表・損益計算書)が作成され、決算書に基づいて法人の確定申告書が作成されて、提出されます。

記帳や決算書作成業務を自身で行わない場合は、経理担当者を改めて採用するか、税理士へ依頼するかの2択になりますが、ある程度の規模にならない限り経理担当者を採用するとコスト負担が大きくなるのと、採用にかかるコストも大きいため(単純に採用の広告費だけでなく、必要とされるスペックの人を採用できるかどうかのリスクを含めて)、税理士へ記帳含めて依頼してしまった方が結果的に安くなるケースが多いと思われます。記帳に関して詳しく知りたい方は、税理士に記帳代行を依頼すべきか? のページも参考ください。

上記のように一から経営者の方が法人の帳簿作成・決算書作成から確定申告書の作成・提出まで行うのは正直現実的ではありません。また確定申告書についても個人の確定申告書よりもかなり複雑な書類になっており、かなりの前提知識がないと法人税の申告書を作成することは困難です。このような状況を踏まえると、会社設立した後の確定申告は税理士へ依頼すべきと言えますし、依頼することで本業に集中できるなどのメリット得ることが可能となるのです。

会社設立において税理士へ依頼するタイミング

上記のように会社設立にあたって税理士を活用するメリットはお分かりになったかと思います。では、会社設立において税理士へ依頼するベストなタイミングはいつになるのでしょうか?

会社設立前

まず、最も良いタイミングとしては会社設立前の段階だと言えます。これは、メリットのところでも記載しましたが、定款作成や届出の段階から税理士のアドバイスをもらった方が税金面でデメリットになることを防いだり、余計な登記関連コストを発生させないようにするなどの恩恵が大きいからです。繰り返しになってしまいますが、登記内容を変更する場合には3万円が原則としてかかってきますし、変更する作業や再度登記するための労力も無駄になってしまいます。最初から税理士を付けていれば定款含めて登記内容を税務的な視点でアドバイスをもらえるので、税務視点からこのような無駄な結果を避けることが可能でしょう(なお司法書士に修正を依頼する場合にはその費用も加算されるので、さらにコストは高くなります)。

次に創立費や開業費について適切なアドバイスがもらえることも、会社設立前に税理士へ依頼するメリットと言えるでしょう。創立や開業にかかった費用は当然法人の損金として参入することが可能ですが、その費用の裏付けとなる領収書を保管したり、その領収書に基づいて帳簿作成を行い保管している、決算書が正しく作成されているなど、しっかりと要件を満たす必要があります。また、損金計上できる費用の範囲も定められているため、知識のない方だと何を費用として計上すれば良いかが判断つきにくいかと思います。この点、税理士のアドバイスをもらえれば時間かけることなく費用処理が可能となるので、メリットが大きいです。

3つ目に、会計事務所によっては会社設立にあたって様々な特典を付与しているところがあるので、活用すると費用面でメリットがあると言えることでしょう。例えば税務顧問契約とセットにすることによって会社設立にかかるサポート費用が無償になったり、会社設立までの期間の顧問報酬が無料もしくは割引になるなど、内容によっては各会計事務所によって異なってきますので、ぜひご確認ください。ただし、一般的に顧問契約の場合には1年契約になることが通常ですので、期間の途中で解約しようと思っても1年分を支払わなければならないことが多いかと思いますので、顧問税理士とセットで依頼するかどうかはそのメリット・デメリットも考えた上で、契約をするようにした方が良いでしょう。

4つ目については、自社で記帳を行う場合には各種アドバイスを受けることが可能となります。特に記帳の方法については会社設立時のタイミングから理解をしていた方が、後々戻りが発生しません。税理士のアドバイスがない場合、自己流で記帳をおこなってしまって、後で税理士の指摘を受けて最悪全てを一からやり直しする必要がある場合もあります。また会計ソフトについても、税理士のアドバイスを受けることが可能ですので、予算や目的に応じて最適なものを選ぶことが可能となります。前述した青色申告の場合は、帳簿を適切に作成することが大前提となっているため、必要な要件を満たしていない帳簿の場合、場合によっては青色申告の承認そのものが取り消されれる可能性がありますので、注意する必要があります。この点税理士を会社設立段階から入れることによって、どのように証拠書類を保管すればよいか、それに基づいてどのように正しく記帳をすれば良いか、さらにどのように会計ソフトへ入力すれば良いか、もっと効率的な会計ソフトはないかどうか、この点のサポートをしっかりとおこなってくれることでしょう。特に帳簿書類には法定の保管期限も定められておりますので、何をいつ削除・破棄していいかも含めて税理士へ確認するようにしましょう。帳簿書類の作成・保管だけでなく、財務諸表の読み方についてもアドバイスを税理士からもらえることが可能でしょう。単に毎月帳簿を作成するだけではなく、月次でしっかりと決算を行うことで、月次の損益状況を把握することができ経営改善につなげることが可能となります。その際に、どのような視点で財務諸表を分析すれば良いかを税理士の視点からアドバイスをもらうことで、よりよい経営改善につなげることが可能となります。特に原価率を把握する売上総利益率や、販管費も含めた推移分析を行うための営業利益率、もしくは売上高の推移や特殊発生の損益把握など、数字を見るだけで様々なことが把握することが可能で、より的確なアクションにつなげることが可能となるでしょう。

消費税課税事業者になる前

年商1000万円を基準として、課税事業者になる法人が出てきます(本当はもっと細かい判定式があるのですが、ここでは目安として記載します)。前述の通り、消費税には原則課税と簡易課税を選択することができます(年商の上限があるので、全ての法人で適用できるわけではありません)。届出が特に何もない場合は原則課税となりまして、こちらは消費税申告書行う上で作成すべき帳簿類が簡易課税よりも複雑になります。簡易課税の場合は、控除できる金額があらかじめ定められており、事務手続き上の負担は大幅に削減できると言えるでしょう。一方で、原則課税か簡易課税をかを選ぶことによって、支払うべき消費税の金額が異なってきます。また還付ポジションの法人にとっては簡易課税を選択してしまうと還付を受けることができなくなってしまいます。このように選ぶ手法によって税金の支払額等が変わってしまうため、消費税課税事業者になる前には税理士のアドバイスをもらって、不利にならないように課税の方法を選択する必要があるでしょう。

年商が大きくなった場合

年商が大きくなる場合、支払う税額も基本的には比例して大きくなってきます。そうすると、節税による税額インパクトが大きくなってきます。税理士を使わなくても申告は可能ですが、必ずしも正しく申告できてきるかは分かりませんし、節税が行えていない場合は毎年不要な税コストを支払っていることになります。また取引量が増えてくると税務処理面でも検討することが多くなり、それを調べる時間等が段々と重たくなってきます。

そのため、税理士へ依頼することで、まずは正しい申告と適切な範囲内での節税を実現することで税額を軽くする可能性があること、加えてプロに依頼することで経営者の時間を本業に集中させることが可能になるので、時間の使い方を効率化することが可能です。

会社設立にかかる税理士の費用について

会社設立においてメリットやタイミングについては理解できたかと思います。では会社設立にかかる税理士の費用について理解を深めていこうと思います。

まずは設立そのものにかかる費用ですが、これにはご自身で設立されるケース、司法書士に依頼するケース、司法書士と提携している税理士へ依頼するケースの3つが考えられるかと思います。まずご自身で設立される場合には、合同会社で約10万円程度、株式会社の場合は資本金が最低限のケースで約24万円程度となります(いづれも電子定款を利用しない場合を想定)。司法書士に依頼する場合には、この金額にサポート料金が〜10万円程度かかってくると理解しておけば良いかと思います。電子定款を使うケースが多いので、収入印紙代の4万円が削減されるため、その分はご自身でやられるよりも安くなります。司法書士と提携している税理士へ依頼するケースも司法書士へ依頼するケースと同じとなります。顧問契約とセットにすることで、一部割引をするケースもあったりはするので、結果的に司法書士と提携している税理士が安くなるケースもありますが、これは会計事務所によってマチマチですので、依頼をしようとしている事務所にまずはご確認ください。

また前述しましたが、補助金によって設立費用を削減することが可能な場合もあります。「特定創業支援等事業」の活用がこれにあたります。これは、一定の要件を満たす方が、市区町村より「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」」が交付されると、①登録免許税が半額になる、②融資・補助金においてメリットがある、など様々な特典が付与されます。こちらも活用も検討をぜひしましょう。必ずしも要件に適用するとは限らないので、まずは要件をご自身で調べてみて、要件に適用しそうであればぜひ活用することを推奨いたします。

会社設立における税理士との顧問契約料金

会社設立において税理士との顧問契約料金の体型はどのようになっているのでしょうか?まず基本的に税理士の報酬形態は毎月の税務顧問料と決算・申告時の決算料で構成されています。税務顧問料とは、毎月顧客から税務に関する質問に対して回答を行う、必要な届出書類を作成し提出する、その他税務に関するアドバイスを提供する、ものです。こちらは税理士の独占業務となっておりますので、他の士業やライセンスを持っていない事業者には法律上提供できないサービスとなっております。決算・申告時の決算料については顧客が作成した帳簿書類に基づいて貸借対照表及び損益計算書の決算書を作成することと、その決算書に基づいて法人税・法人住民税及び法人事業税の確定申告書を作成し提出することです。通常は顧問月額の数ヶ月分という形で決算料を請求することが通常です。一般的にはこの税務顧問料と決算料をセットで提供することが多いかと思います。これとは別にスポットの税務相談ということで1時間あたり相談料でいくら、というケースもあります(一般的には1時間1万円で請求をすることが多いかと思います)。

税務顧問料については、その提供範囲によって料金が異なってきます。例えば、訪問頻度や訪問しなくてもオンライン会議の回数、もしくは記帳指導有りか無しか、つまり税理士に発生する工数に応じて費用は高くなっていきます。例えば最低料金が非常に安くても記帳指導などをつけると費用が加算されていくので、結果的に高くなっていきます。

また決算料についても、どの提供範囲によって料金が異なってきます。こちらは確定申告書等の対応範囲(通常は、法人税・法人住民税・法人事業税の確定申告書が基礎となり、必要に応じて消費税申告書、年末調整、法定調書、償却資産税などが増えます)によって異なってきます。また税務書類の各種届出についても別料金となっているケースもあります。こちらも対象となる申告が増えれば増えるほど税理士の業務量が増えていくため、それに比例して料金も増えていくことになります。

なお、一般的に依頼することが多くなる記帳代行については通常税務顧問料金とは別料金になっているケースが多いです。記帳代行については、仕訳数によって料金が加算されていく仕組みが多く、少なくとも50~100仕訳までが基本料金でそれを超えた場合は例えば100仕訳単位で料金が加算されていくような仕組みです。税務顧問と記帳代行のサービス内容が一般の方からすると分かりづらいので少し解説をします。記帳代行はあくまでも帳簿作成業務ですので、経営者から税理士へ送付した領収者や請求書などの証拠書類に基づいて会計ソフトへ仕訳を入力していく業務になります。もちろん税理士が提供している記帳サービスですので、税務の視点からも記帳の正確性を確認した上で、帳簿を作成していくことになります。一方の税務顧問は記帳を行うにあたって発生するあらゆる税務論点について、税理士の立場から経営者へアドバイスを行う業務になります。税務上論点となる記帳とならない記帳があるなかで、範囲は前者となりまして、記帳の仕方によって税務的に有利・不利が発生する場合となります。記帳代行を依頼しない場合は、記帳は経営者ご自身で行い、その記帳した内容を税理士がレビューして指導したり、必要に応じて修正をするような流れになります。記帳代行については、記帳代行サービスについて徹底解説、で詳しく解説してますので、併せてこちらも参照ください。

上記のように税理士の報酬形態は非常に複雑です。同じ料金に見えても業務範囲が異なってきますので、同じ業務範囲にしようとすると、料金が全く異なるなどのケースもあります。安い税理士の場合は、サービス提供内容を最低限に絞って、追加がある場合はオプション料金にしているケースが多いです。料金が安いから質が低いというわけではないのでご留意ください。逆に料金が高い税理士は最初から幅広いサービスを基本料金に入れているケースが多いですし、訪問あり・経営指導ありなどそれ以外の付加価値サービスがついている場合が多いです。こちらも高い税理士だから他の税理士よりも質が高いことを意味しているわけではないので、ご留意ください。

このような背景があるため、税理士と契約する際には、まず何が基本料金に入っているかをしっかりと確認しましょう。税務申告の提出範囲については一般の方にはなかなか把握できない部分もあるかと思いますので、依頼しようとしている税理士に自社が必要な書類の提出範囲については必ず確認するようにしましょう。書類の提出範囲がわかれば、あとは記帳代行を依頼するかどうかがポイントになってきます。仕訳数が少ない、もしくはそんなに取引が複雑ではない場合は自社で対応することも可能だと思います(これを自計化と言います)。まずは自社で対応してから、やはり自社で難しいと判断した場合には税理士へ記帳を依頼するというのも選択肢としてはありと言えるでしょう。一方で最初から記帳を自身でやる時間はない、勉強する時間を本業に使いたい、などの明確なニーズがある場合は最初から記帳代行を税理士へ依頼する方が良いでしょう。

会社設立にあたっての税理士の選び方

以上で、料金を含めて会社設立にあたっての税理士の情報がある程度理解できたかと思います。次では、具体的にどのような視点で税理士を選べば良いのか、について記載をしていきます。税理士を選ぶ視点としては、主に以下のような視点があると思います。

会社設立に強いか?

これは当たり前の話ですが、会社設立周りに知見と経験がある税理士という視点でまずは選ぶべきかと思います。会社設立は設立時に発生する税務上の特別な論点や、会社法への理解、登記・定款への理解など幅広い知識を求められます。また必要に応じて司法書士や行政書士、社会保険労務士との連携も必要になってきますので、この辺りに慣れている税理士へ依頼をするとスムーズに対応をしてもらえるでしょう。

資金調達周りに強いか?

これも会社設立に強いかどうかと同じですが、会社設立とセットで資金調達も検討したり実際に資金調達の準備をされているケースがあるかと思います。資金調達は日本政策金融公庫の創業融資や保証協会付きの銀行貸付が主な選択肢かと思いますので、この辺りに強い税理士の方が資金調達が必要になった際に強力なサポートを得ることができるでしょう。資金調達においては単に知識だけでなく、金融機関に提出するための事業計画書の作成支援までできるとなお良いと思います。

質問等に対するレスポンスの速さ

税理士とのお付き合いはコミュニケーションが多々発生することになりますので、コミュニケーションの良さというのが一つの指標になってきます。レスポンス速度だけ早くても正確性や丁寧さを欠くようではダメですが、例えばメールを送付してから2営業日目安で返信が来るなど、一般的に想定される程度のレスポンスでコミュニケーションが最低限できるということは必要かと思います。これは依頼しようとしている税理士事務所に確認するようにしましょう。またコミュニケーションを取れる窓口が税理士なのか会計スタッフなのかによっても対応が変わってきます。当然会計スタッフの場合は税理士へ確認をした上でレスポンスするため、時間としては多少税理士直接よりも長くなる可能性はあります。

加えて先ほど触れた値段によってもレスポンス速度が変わる可能性があります。値段を安く抑えている一方でレスポンス速度は通常よりも遅くなってしまうなどのデメリットがある場合もあります。これについても依頼を想定している税理士へしっかりと確認する必要があるでしょう。

またチャット対応可能などもレスポンス速度の一つの指標となってきます。会計事務所によってはオンライン対応不可などのケースもありますし、メールや電話のみというケースもあります。チャットが活用できると通常とりはレスポンス速度が早くなると思いますので、一つの指標として活用できると思います。

税法を常にアップデートしているか?

税制度は毎年改正が入っているため、内容によっては昨年の内容が今年になると違う内容になっているものがあったり、最近で行くとインボイス制度や電子帳簿保存法などこれまで存在しなかった制度が入ってくるケースがあります。これらに対応するために税理士は常に最新の情報をキャッチアップする必要がありますが、税法も幅が広いため、税理士も専門性があり税法の種類によっては網羅的にキャッチアップできないケースもあります。そのため、税理士の得意な税科目を確認するとともに、常に新しい内容の発信をしているなど情報を常にアップデートしている税理士へ依頼をした方が適用できるメリットをもれなく享受できると思います。

デジタル・ITに強いか?

効率的に記帳や申告書の作成を行う上では、事務所そのものがデジタル・IT化している方が良いですし、顧客に対してデジタルやITの知見をしっかりと提供できる税理士がおすすめとなります。特に最近の会計ソフトは外部のソフトウェアや金融機関との連携もできるようになってますので、ほとんど仕訳を作成しなくても予め自動ルールを設定しておけば大半の記帳作業が自動で完了させることも可能となっています。デジタルやITの知見に乏しいと、この辺りのアドバイスが難しくなるため、経営者としてもデジタルやITを最大限活かして記帳業務を効率化することができなくなってしまいますし、手作業が多くなればなるほど、ミスする可能性も高くなってきます。また会計ソフトだけでなく業務全体を効率化するクラウドソフトの組み合わせに関するアドバイスを受けられる可能性もありますので、業務全体の効率化につながる可能性もあります。

税務調査に強いか?

税理士の独占業務の1つとして、税務調査への立会があります。特に経営者としては単に確定申告書を作成・提出してもらうだけでなく、税務調査にも対応してほしいと考えるでしょう。この点税務調査までしっかりと対応してくれる税理士が非常に安心と言えます。

税務調査対応にあたっては、対象となる法人のビジネスの概要をしっかりと理解し、取引の内容もしっかりと理解をしておく必要があります。そのため普段から顧問をしている税理士が税務調査対応を行うのが最も良いのです。もちろん税務調査対応を別の税理士へ依頼することも可能ですが、ビジネスや取引の理解に一定の時間がかかるとともに、短い時間での対応が求められるため、コストが高くなってしまう、もしくは税務調査官に対する説明ロジックで若干のずれが生じるなど、顧問税理士よりはデメリットが発生してしまうケースがあります。

税務調査においては税法等に明記されている部分についてはあまり論点になることはなく、どちらかというと取引の実態や意図など、税法を適用するにあたる要件について争いが起きることが多いです。そのため、どのように税法等を適用するかのロジック作りが必要になってくるため、経営者が取引を行った意図や取引の内容等をしっかりと税理士が把握しておく必要があるのです。

費用対効果

費用面は上記の全てを勘案した上で検討すべき項目となります。せっかく税理士という外部のプロを活用するにも関わらず、料金を安く抑えたことで一部サービスに対応していない、サービスが限定的などの不都合な状態になり得る可能性があります。無駄に高い料金のサービスを使う必要はないですが、依頼にあたってはご自身で必要なサービス範囲を明確に理解し、料金を支払うのがベストです。実際に依頼する際には相性の問題もありますので、2〜3の税理士と面談をして見積もりと相性を見ながら決定していくのが良いでしょう。

会社設立のまとめ

以上のように会社設立について解説してきました。会社設立を検討されている方については、税理士の活用も含めてぜひ本記事を参考にしてみてください。

税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。