本記事では、日本に拠点を有する企業が初めて海外進出を検討する場合に、どのような税理士へ相談すれば良いかについての解説を行います。特にビジネス面では自社である程度ノウハウがあるとしても顧問税理士が海外にそこまで強くない場合にはなかなか情報が収集できないため、本記事では海外進出にあたっての会計・税務の基礎も含めて解説をしていきます。海外に強い税理士をお探しの方は、海外に強い税理士を探す方法、の記事も併せてご覧ください。
税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
海外進出に強い税理士を探す方法
海外進出における会計と税務
海外進出するにあたって、会計税務においてはどのような課題が発生するのでしょうか?進出する国ごとに、一般的には現地で会計や税務業務を行う必要があり、決算書や税務申告など現地の法律で定められた対応が必要となります。当然現地の言葉での対応になりますので、日本人出向者にて経営をおこなって行く場合、現地での対応をどうするかなどの検討が必要となります。また日本では一定の規模以上でないと会計士の監査が必要になりませんが、国によっては小規模でも会計士監査が必要な場合があります。
一般的には、海外現地の会計事務所へ決算書の作成や税務申告書の作成・提出を依頼することが多いです。海外では税理士という制度がなく、会計士が税理士を兼ねて税金についても対応することが一般的かと思います。また、日本の会計事務所の中には、海外現地の会計事務所と提携して日本語でのサポートを行なっているところもありますので、海外現地語でのコミュニケーションに不安がある企業は、まずはこのような日本語対応可能な会計事務所を選ぶと良いでしょう。日本の会計事務所と海外現地事務所を同じ系列の事務所にすることで、よりスムーズなコミュニケーションが可能となります。
海外対応可能な税理士の海外進出サポート
では具体的に、どのようなサービスを海外対応可能な会計事務所は提供しているのでしょうか?
海外現地法人の決算書作成サービス
現地で決算書の作成が必須になっている場合、帳簿のデータから現地の会計基準に従って決算書を作成します。会計監査が必要な場合には、その監査対応を行なっているケースもあります。
海外現地法人の税務申告書作成サービス
現地の税法に従って、必要な税務申告書を作成し、税務当局へ提出します。国によっては、会計と税務の処理の違いがない場合もあります(日本は大きく異なります)。
海外現地法人の管理サポートサービス
海外現地法人の前述した決算書や税務申告以外にも、例えば本国へのレポート作成支援を行ったり、人事労務に関するサポートを行ったりする場合があります。
海外現地法人の財務調査サービス
海外現地法人において、不正防止や日本との会計処理差異把握などの目的で、財務調査サービス(デューデリジェンスサービス)を行うことがあります。
海外現地法人の会計全般サポートサービス
例えば、海外現地法人での新しいソフトウェア導入の支援や、会計処理のフロー設計・マニュアル作成などの支援、内部監査体制の構築支援などが挙げられます。
その他海外進出全般のサポートサービス
上記以外にも、現地税制の調査など幅広いサービスを展開しています。
海外と関連した日本の税制
海外においては、その現地での税法が適用されますが、ケースによっては日本の税制も適用され、2重課税となるケースがあります。この場合は外国税額控除という所得税もしくは法人税に設けられた仕組みを使うことになりますが、必ず常に100%2重課税を排除できるわけではないので、留意が必要です。
海外現地の税制
海外現地の税制度については、国によって異なります。そのため日本と同じ取引を海外で行った場合、日本だと課税されないのに、海外だと課税されるケースがあります。もちろん、その逆のケースもあります。特に海外の場合は日本語での情報が限りなく少ないため、海外に強い税理士へ依頼することが非常に重要となってきます。
海外進出の仕方
海外進出にあたっては、主に現地法人を作らず人を海外に派遣し事業を開始する方法と、現地法人を設立する方法の2つがあります。税務の視点からは、海外に現地法人があるかに限らず、現地税法でのPEという概念にその進出が当たる場合には、現地での課税が発生します。つまり現地法人を設立しなくても、海外で税金を申告し納付する義務を負う可能性があるのです。
海外での利益回収の方法について
海外で発生した利益を日本に還流させるには、海外子会社から配当を行う方法、海外子会社からロイヤリティーをもらう方法、海外子会社に貸付をした利息相当額でもらう方法、が考えられます。いづれの方法でも課税の対象となりますうが、租税条約等で税率が異なるため、還流の方法によってはキャッシュインする額が異なるのです。
海外で税務調査はあるのか?
海外で税務調査はあるのでしょうか?各国の税制に従い、当局の調査が入るケースはあるかと思います。また同時に国際税務に絡む点で日本の税務署からも日本の税制に従い、日本の企業へ税務調査が入るケースがあります。
インバウンド企業における税理士の活用
これまでは海外に進出する日本企業を中心に解説してきましたが、海外からの顧客を日本に呼び込んでビジネスをするインバウンド企業も海外の税務が絡んでくるケースがあります。特に日本の国際税務が適用されるケースがあるため、国際税務に詳しい税理士を活用することで、ミスなく日本の税制へ対応することが可能となります。
税理士主催の海外進出セミナー等の有効活用について
海外進出の情報を得るにあたっては、さまざまな団体が主催している海外進出に関するセミナー等が情報源として有効かと思います。現地の最新の動向などを手軽に入手することができ、かつ最近はオンライン開催が多くなっているため、現場まで向かう手間を省くことができます。
海外進出に強い税理士のまとめ
以上のように海外進出に強い税理士について解説をしてきました。本記事をご覧いただき、今後の税理士選びの参考にしてみてください。
税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者
宮嶋 直 公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。