監査法人の料金はいくらぐらいが適切か?

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本記事では、監査法人に監査を依頼する際にどれぐらいの料金になるのか、どれぐらいが適切な相場なのか、について徹底解説します。また監査法人と個人の公認会計士事務所との違いや監査法人でも大手や中小の違いなどについても併せて解説していきます。一般的な監査料金については、「会計監査の料金と費用相場はいくらぐらい?現役公認会計士が徹底解説」の記事も併せてご覧ください。

公認会計士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください。料金表は税務顧問になっていますが、もちろん公認会計士なので、会計監査も対応可能です(初回無料相談)。

監査法人の料金はいくらぐらいが適切か?

監査法人へ監査費用の見積もりはいつ取るのか?

まず、監査法人へ監査費用の見積もりはいつ取るのでしょうか?一般的に監査法人の監査の流れとしては、

・監査法人から監査を受注できるかどうかの初期調査を実施される(最近は有料であることが多いです)
・監査法人から初期調査を踏まえて、監査費用に関する見積もりを掲示される
・見積もりで合意できたら、監査契約を監査法人と提携する
・監査法人による監査がスタートする

このような流れとなります。そのため、監査費用の見積もりは監査法人との監査契約前になる事が一般的です。また、決算期によって有利な見積もりのタイミングはあるのでしょうか?まず大手監査法人については、常に人不足なのと、最近では監査報酬が一定金額以上でないとそもそも受注しないケースもあるため、決算期によっての有利不利なあまりないと言えます。一方で中堅監査法人から小規模な公認会計士事務所の場合、比較的繁忙期以外はスタッフ等の工数にも余力があったりするため、繁忙期よりも割安な料金で受注できる可能性はあると言えるでしょう。

監査法人の料金について大手や中小の違いは何か?

監査法人の料金について大手や中小、もしくは監査法人と個人の公認会計士との違いはあるのでしょうか?まず監査法人について大手と中小の違いは、一般的に海外に対応できるかどうかが一つのポイントになると判断できます。大手監査法人の顧客は海外子会社を持っている会社が多く、海外子会社については海外現地の監査法人が対応することになるため、海外とのネットワークを持った監査法人でないとそもそも対応ができません。そのため、大手企業の監査は大手監査法人が担っていることが多いです。大手監査法人は海外ネットワークを維持するのにかかるコストや、海外対応できる人材を雇用するための費用など維持費用が高いため、監査報酬も中小法人と比較して高くなる傾向にあります。

続いて監査法人と公認会計士事務所の違いは何でしょうか?監査法人は最低5名以上の公認会計士が集まって設立が可能な公認会計士によって設立される法人です。監査法人の特徴として上場会社の監査や、法律で定められている一定規模以上の監査を実施することができます。逆にいうと、個人の公認会計士の場合、上場会社の監査等を行うことはできません。非上場や法律で制約がない場合は個人の公認会計士でも監査証明を行う事が可能です。料金ですが、当然監査法人の方が監査法人維持のためにかかる固定費用が高くなるため、個人の公認会計士事務所と比較すると一般的には料金が高くなってしまいます。非上場企業や学校法人、医療法人などで監査法人の監査が義務付けられていない場合などは、個人の公認会計士へ依頼した方が同じ質で料金を安く済ませることも想定できます。

監査法人の料金は公表されているのか?

監査法人の料金について、まず上場会社については有価証券報告書に必ず開示されることになりますので、誰でもインターネットで閲覧することが可能です。ここには対象会社の監査報酬だけでなく、グループ会社の監査報酬についても併せて記載されることになります。続いて会社法計算書類については、事業報告(会社法計算書類の前に記載される事業の概況等を示した会社法で作成が必要な書類)において記載されることになります。ただし、事業報告は一般的に公表されているものではなく、株主や金融機関など事業報告の閲覧を会社側から許可された利害関係者のみ閲覧が可能となりますので、一般的に公表されているものではありません。その他の会社等については監査を行う準拠法により監査料金の記載の要否が変わってきます。

監査料金は減額交渉可能かどうか?

監査料金について減額交渉は一般的に可能なものでしょうか?監査料金はそもそも、公認会計士の単価に公認会計士の稼働時間を乗じて計算することになります。単価については、関与する公認会計士の役職等によって決まってきます。役職としては、大まかに監査報告書のサインを行うパートナー、監査手続のまとめ役を担うマネージャー、そして実際に監査手続を実施するスタッフから構成されます。当然パートナーが最も単価が高く、マネージャー、スタッフという順番で単価が下がっていきます。そのためパートナーの関与時間が長い案件(過去に不正などが発覚し、監査意見を出すにあたってリスクが高い案件など)については、相対的に料金が高くなる傾向にあります。

続いて稼働時間ですが、稼働時間は実際にその監査に関与しないと時間が把握できませんし、継続的に監査をすると言っても、その年によって新しい論点が出てきて時間が増えたりなど予測できない事象があるため、監査契約を行う段階では精緻に稼働時間を見積もることはできません。そのため一般的なやり方としては、初回の監査は顧客からのヒアリングに基づく見積もり時間で契約を締結し、次年度以降は前年度の実績時間を踏まえて見積もり時間を変更して契約を締結することが多いです。一般的に監査は中長期の契約になるため、前年度の実績を踏まえて見積もりを調整することが多いです。

減額交渉については結論から言えば可能です。公認会計士の稼働時間がポイントになってきますが、稼働時間が削減されればその分だけ監査料金は低減が可能です。では具体的にどのようにすれば稼働時間を削減できるのでしょうか?公認会計士の稼働時間が長くなってしまう理由として多いのが、監査対象の財務諸表にミスが多く指摘等のコミュニケーションが多い、もしくは監査対象となる帳簿がしっかりと整えられておらず監査に時間がかかってしまう、などです。例えば経理人材が不足しているもしくは経理経験が不足している会社はこのような事態になることが多いでしょう。経理人材を育成・採用するのはコストがかかりますが、結果として監査料金を削減することも可能になるのです。

監査法人の料金に関するまとめ

監査法人の料金について解説をしてまいりました。監査法人の料金が高くなってしまうメカニズムをしっかりと理解いただき、適切な料金で監査法人と交渉を進めてみてください。

公認会計士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください。料金表は税務顧問になっていますが、もちろん公認会計士なので、会計監査も対応可能です(初回無料相談)。
この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。