成功したビジネスモデルと確立されたブランド。フランチャイズは、多くの人にとって独立開業の夢を現実にするための有力な選択肢です。未経験からでも、本部のサポートを受けながら、リスクを抑えて事業を始められる。その仕組みは、大きな魅力に満ちています。
しかし、その輝かしい看板の裏側で、多くの加盟店オーナーが、複雑で孤独な経営の戦いを強いられている現実があります。毎月のロイヤリティの支払いや、本部への売上報告、そして、フランチャイズ特有の会計処理。これらは、商品やサービスを提供する現場のスキルとは、全く異なる専門知識を要求します。
「本部の言う通りにやっているはずなのに、なぜか利益が残らない」「加盟金やロイヤリティの会計処理が、よく分からない」「このまま今の事業を続けて、本当に大丈夫だろうか」。多くの誠実なオーナーが、このような悩みを抱え、誰に相談すれば良いか分からずにいます。
この、フランチャイズ経営特有の霧の中から抜け出し、あなたの事業を、真の意味で「自分のための」成功へと導く羅針盤。それが「フランチャイズに強い税理士」という存在です。彼らは、単にレシートを集計するだけではありません。フランチャイズ契約の裏側にある、お金の流れを深く理解し、あなたの店の経営状況を客観的に分析します。そして、本部のパートナーであると同時に、あなた自身の独立した事業を守り育てるための、まさに最強の味方なのです。
この記事では、フランチャイズでの独立開業を目指す方、そして、すでに加盟店を運営しているオーナーの皆様へ向けて、自らの事業価値を最大化する「真の専門家」をいかにして見つけ出し、その力を最大限に活用していくべきか、その具体的な方法論を網羅的に解き明かしていきます。
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フランチャイズに強い税理士を探す方法
- フランチャイズの定義
- フランチャイズビジネスの特徴
- フランチャイズビジネスの環境
- フランチャイズに携わるの方の税理士に対するニーズ
- フランチャイズにおける経理や税務の特徴
- フランチャイズにおける税理士の提供するサービス
- フランチャイズにおける税理士を活用するメリット
- フランチャイズにおける税理士を活用するデメリット
- どのような人・企業が税理士へ依頼すべきか?
- フランチャイズに強い税理士を探すポイント
- フランチャイズに強い税理士を探す方法
- フランチャイズで税理士を探すタイミング
- フランチャイズに強い税理士の費用相場
- フランチャイズに強い税理士と契約するまでのプロセス
- フランチャイズにおいて税理士の切替を検討する場合
- フランチャイズで税理士に対してよくある質問と回答
- フランチャイズに強い税理士の具体例
- フランチャイズに強い税理士を探す方法 まとめ
フランチャイズの定義
「フランチャイズに強い税理士」を探す旅の第一歩は、対象となる「フランチャイズ」がどのような仕組みのビジネスなのか、その本質を正確に理解することです。本部と加盟店の関係性を知ることが、なぜこの分野に特化した税理士が必要とされるのかを理解する鍵となります。
本部と加盟店の契約関係
フランチャイズとは、事業本部(フランチャイザー)が、加盟店(フランチャイジー)に対して、自社が持つ商標や、サービスマーク、そして、運営のノウハウなどを使用する権利を与えるビジネス契約です。その見返りとして、加盟店は、本部に加盟金や、ロイヤリティといった対価を支払います。
本部は、成功実績のあるビジネスモデルや、確立されたブランドイメージ、そして、商品開発や、広告宣伝、従業員教育といった、事業運営に必要なシステムを、パッケージとして提供します。これにより、加盟店は、ゼロから事業を立ち上げるよりも、はるかに低いリスクで、スムーズに開業することができます。
一方、加盟店は、本部とフランチャイズ契約を結ぶことで、独立した事業者として、その店舗の所有権を持ち、運営を行います。従業員の雇用や、日々の店舗運営の責任は、すべて加盟店のオーナーが負います。この「独立した事業者」でありながら、本部の「システムの一部」でもあるという、二重の立場が、フランチャイズビジネスの最大の特徴です。
ブランドとノウハウの提供
本部が加盟店に提供する、最も価値のある資産。それは「ブランド」と「ノウハウ」です。
「ブランド」とは、多くの消費者に認知され、信頼されている、店の名前やロゴマークのことです。有名チェーンの看板を掲げれば、開店初日から、一定の集客を見込むことができます。これは、無名の個人店にはない、圧倒的なアドバンテージです。
「ノウハウ」とは、その事業で成功するために、本部が長年の経験を通じて蓄積してきた、運営技術の体系です。商品の作り方や、サービスの提供手順、接客マニュアル、そして、効率的な店舗運営の方法まで、あらゆる情報が含まれます。加盟店は、この確立されたノウハウに従って運営することで、失敗のリスクを最小限に抑え、早期に事業を軌道に乗せることが可能になります。
対価としての加盟金とロイヤリティ
加盟店は、これらのブランドやノウハウを利用する権利を得る対価として、本部に金銭を支払います。その支払いは、主に二つの種類があります。
一つは、契約時に一度だけ支払う「加盟金」です。これは、フランチャイズパッケージに参加するための、いわば入場料のようなものです。その他にも、開業前の研修費用や、店舗設計のサポート費用などが、初期費用として必要になる場合があります。
もう一つが、事業を継続している間、定期的に支払い続ける「ロイヤリティ」です。これは、ブランドやノウハウを、継続的に使用するためのライセンス料のようなものです。ロイヤリティの算定方法は、契約によって様々です。売上の一定割合を支払う方式や、毎月定額を支払う方式、あるいは、粗利益に連動する方式などがあります。このロイヤリティの支払いが、加盟店の損益に、大きな影響を与えます。
フランチャイズビジネスの特徴
フランチャイズは、独立開業のリスクを低減させる、多くのメリットを持つ一方で、独自の制約や課題も内包しています。その光と影の両面を深く理解することが、適切な経営判断と、税理士との効果的な対話の基盤となります。
成功モデルのパッケージ
フランチャイズビジネスの最大の魅力は、本部がすでに成功を収めたビジネスモデルを、パッケージとして提供してくれる点にあります。
個人がゼロから独立開業する場合、商品開発から、店舗デザイン、集客方法、そして、経理や労務管理まで、すべてを自分自身で手探りで構築しなければなりません。その過程では、多くの試行錯誤と、失敗が伴います。
一方、フランチャイズに加盟すれば、これらのプロセスは、すでに本部によって最適化されています。どの商品を、いくらで、どのように販売すれば利益が出るのか。どのような広告を打てば、お客様が集まるのか。その成功の方程式が、マニュアルとして提供されます。この「成功への近道」を利用できることが、特に、事業経験のない人にとって、大きな安心材料となるのです。
ブランド力による集客効果
有名フランチャイズチェーンの看板は、それ自体が強力な集客ツールです。テレビCMや、全国規模のキャンペーンなど、本部が行う大規模な広告宣伝活動の恩恵を、加盟店は享受することができます。
たとえ、今日オープンしたばかりの新しい店であっても、その看板が、誰もが知っている有名チェーンのものであれば、お客様は安心して、店に入ることができます。このブランド力がもたらす、初期の集客力の高さは、無名の個人店が、何年もかけて築き上げる信用を、一気に手に入れることに等しく、事業の立ち上がりを、劇的にスムーズにします。
本部からの継続的なサポート
フランチャイズは、契約して終わりではありません。加盟後も、本部から継続的なサポートを受けられるのが、大きな特徴です。
開業前には、事業運営に必要な知識と技術を学ぶ、研修プログラムが用意されています。開業後も、スーパーバイザー(SV)と呼ばれる、本部社員が定期的に店舗を巡回し、経営指導や、課題解決のアドバイスを行ってくれます。
また、新商品の開発や、全国規模のマーケティング戦略は、本部が一括して行います。加盟店オーナーは、日々の店舗運営に集中しながら、常に、最新の商品や、販売促進策を活用することができるのです。この、本部という大きな組織に守られながら、事業を運営できる安心感が、フランチャイズの魅力です。
ロイヤリティと経営の自由度の制約
一方で、フランチャイズビジネスには、独自の制約も存在します。その最も大きなものが、毎月発生する「ロイヤリティ」の支払いです。ロイヤリティは、たとえ、店の利益が赤字であっても、売上が発生している限り、支払わなければならない、重い固定費です。この支払いが、加盟店の資金繰りを、常に圧迫する要因となります。
また、加盟店は、本部の定めた運営マニュアルや、ルールに従う義務があります。扱う商品や、サービスの価格、店舗の内装、そして、営業時間まで、本部によって厳しく定められていることがほとんどです。そのため、「自分の店なのだから、もっと自由に、オリジナリティのある経営がしたい」と思っても、それが許されないという、経営の自由度の制約があります。
さらに、加盟店の経営は、本部そのものの経営状態や、ブランドイメージに、大きく左右されます。もし、本部が不祥事を起こしたり、ブランドの評判が落ちたりすれば、たとえ、自店に何の落ち度がなくても、その悪影響を、直接受けてしまうというリスクも、常に念頭に置く必要があります。
フランチャイズビジネスの環境
フランチャイズビジネスを取り巻く経営環境は、消費者の行動変化や、テクノロジーの進化、そして、社会全体の構造変化の波を受け、常に変動しています。これらの外部環境の潮流を的確に捉えることが、加盟するフランチャイズチェーンの選定や、自店の経営戦略を考える上で、不可欠です。
業界トレンドと人気業種
フランチャイズビジネスには、その時代時代の、社会のニーズを反映した、トレンドや、人気業種が存在します。
例えば、高齢化社会の進展を背景に、介護サービスや、家事代行、あるいは、フィットネスジムといった、健康・生活支援関連のフランチャイズが、成長分野として注目されています。また、共働き世帯の増加により、テイクアウト専門の飲食店や、個別指導の学習塾なども、安定した需要があります。
一方で、トレンドの移り変わりが激しい、タピオカドリンク店のような業種は、ブームが去った後に、経営が厳しくなるリスクも伴います。これからフランチャイズへの加盟を検討する人は、単に、今の流行に乗るだけでなく、そのビジネスが、5年後、10年後も、社会から必要とされ続けるかどうかという、長期的な視点を持つことが重要です。
消費者行動の変化とデジタル化
現代の消費者は、スマートフォンを片手に、インターネットで情報を集め、比較検討し、商品やサービスを購入するのが当たり前です。この消費者行動の変化は、フランチャイズビジネスにも、大きな影響を与えています。
例えば、飲食店であれば、Googleマップでの口コミ評価や、デリバリーサービスへの対応が、集客を大きく左右します。学習塾であれば、オンライン授業の導入や、保護者とのコミュニケーションを、アプリで行うといった、デジタル化への対応が不可欠です。
フランチャイズ本部も、こうしたデジタル化の波に対応するため、全店共通の予約システムや、顧客管理アプリの開発に、力を入れています。加盟店オーナーもまた、本部が提供するこれらのデジタルツールを、いかに使いこなし、自店の運営に活かしていくかという、ITリテラシーが求められるようになっています。
人手不足と労働環境
多くの店舗型フランチャイズビジネスが直面している、最も深刻な課題。それが「人手不足」です。特に、飲食店や、コンビニエンスストアといった、多くのパート・アルバアルバイト人材を必要とする業種では、スタッフの確保が、死活問題となっています。
人手不足は、サービスの質の低下や、営業時間の短縮を招き、売上の減少に直結します。この課題を克服するためには、賃金や、福利厚生といった、従業員の処遇を改善することが不可欠です。しかし、それは「人件費の高騰」という形で、加盟店の利益を圧迫する要因ともなります。
今後は、セルフレジや、配膳ロボット、あるいは、調理を自動化する厨房機器といった、テクノロジーを活用した省人化への投資が、人手不足の時代を乗り切るための、重要な経営戦略となります。本部が、こうした省人化投資に、どれだけ積極的かも、加盟を検討する上での、重要な判断材料です。
本部の経営方針とガバナンス
加盟店の経営は、フランチャイズ本部という、船団の旗艦の舵取りに、大きく依存します。本部が、時代を先読みした、的確な経営戦略を打ち出せば、船団全体が、成長の波に乗ることができます。しかし、もし、本部が、市場の変化に対応できず、時代遅れの戦略に固執すれば、加盟店もろとも、沈没の危機に瀕します。
また、本部の「ガバナンス(組織統治)」も、加盟店にとって、極めて重要です。本部が、加盟店の利益を軽視し、自らの利益だけを追求するような、不公正な契約や、取引を強いることはないか。あるいは、一部の加盟店だけを優遇するような、不透明な運営は行われていないか。
加盟を検討する際には、本部の経営陣のビジョンや、財務状況、そして、既存の加盟店オーナーからの評判などを、入念に調査し、長期的に信頼できるパートナーであるかを、見極める必要があります。
フランチャイズに携わるの方の税理士に対するニーズ
独立した事業者でありながら、巨大なシステムの一部でもある。この特殊な立場に置かれたフランチャイズ加盟店オーナーは、税理士に対して、一般の中小企業経営者とは異なる、独自の、そして、切実なニーズを抱えています。
フランチャイズ特有の会計処理の理解
フランチャイズ経営者が、税理士に求める、最も基本的なニーズ。それは、加盟金や、ロイヤリティといった、フランチャイズ特有の会計処理を、正確に理解し、適切に処理してくれることです。
契約時に支払う、高額な「加盟金」。これは、一括で経費になるのではなく、「繰延資産」として、数年間にわたって、分割して経費化するのが、一般的な会計処理です。この償却期間の決定などには、専門的な判断が必要です。
また、毎月支払う「ロイヤリティ」や、本部が指定する業者からの「仕入れ」、あるいは、共同広告費の負担など、本部との間には、複雑な金銭のやり取りが、絶えず発生します。これらの取引を、一つ一つ正しく会計帳簿に記録し、会社の損益に、どう影響しているのかを、明確に説明してくれることが、税理士への第一の期待です。
本部とは独立した客観的な経営分析
フランチャイズ本部のスーパーバイザーは、経営指導を行ってくれます。しかし、彼らの立場は、あくまでも本部側です。そのアドバイスが、必ずしも、加盟店個別の利益を、最大化するものとは限りません。
そこで、経営者が税理士に求めるのが、本部とは完全に独立した、第三者の客観的な視点からの「経営分析」です。本部の指導通りに運営した結果、自店は、本当に儲かっているのか。支払っているロイヤリティに見合うだけの、価値(ブランド力やサポート)を、本当に得られているのか。
税理士には、毎月の試算表をもとに、自店の損益分岐点や、資金繰りの状況を、冷静に分析し、そのフランチャイズビジネスが、独立事業として、本当に成り立っているのかを、客観的な数字で示してほしいのです。時には、本部の方針に対して、疑問を呈するような、厳しい指摘も、期待されています。
資金繰りの安定化
フランチャイズ経営は、ロイヤリティという、毎月の固定的な支出があるため、資金繰りが、タイトになりやすいという特徴があります。売上が少し落ち込むだけで、すぐに、支払いのための現金が、不足する事態に陥りかねません。
経営者は、税理士に対して、この深刻な資金繰りの問題を解決するための、具体的な処方箋を求めています。将来の入出金を予測した「資金繰り表」を作成し、資金がショートする危険性を、事前に警告してほしいのです。
そして、資金繰りを改善するための、具体的なアドバイスを期待しています。例えば、本部や、金融機関との交渉による、支払いサイトの見直しや、運転資金の借入などです。税理士には、会社の血液であるキャッシュフローが、滞りなく循環するための、かかりつけ医としての役割が求められています。
融資や事業承継に関する相談
フランチャイズビジネスにおいても、様々な節目で、大きな資金が必要となります。開業時の初期投資や、数年ごとに行われる、契約更新時の店舗改装などです。これらの資金を、自己資金だけで賄うのは困難であり、金融機関からの「融資」が不可欠です。
また、経営者が引退を考える年齢になったときには、「事業承継」が大きなテーマとなります。この店を、誰に、どのようにして引き継ぐのか。本部の承認も必要となるため、その手続きは、一般の事業承継よりも、複雑になる場合があります。
これらの、重大な局面において、経営者は、税理士に最も信頼できる相談相手としての役割を求めます。融資を成功させるための事業計画書の作成支援や、円滑な事業承継を実現するための税務計画の立案など、店の未来を左右する大きな決断を、専門家として支えてくれることを、期待しているのです。
フランチャイズにおける経理や税務の特徴
フランチャイズビジネスの経理と税務は、本部と加盟店という、二者間の契約関係から生じる、独特の論点が多く存在します。これらの特徴を正しく理解し、適切に処理することが、健全な経営と、適切な納税の第一歩です。
加盟金の繰延資産計上
フランチャイズに加盟する際に、本部に支払う「加盟金」。これは、高額になることが多く、その会計処理は、税務上の重要なポイントです。
この加盟金は、ブランドの使用権や、ノウハウの提供といった、将来にわたって効果が及ぶサービスへの対価と、考えられています。そのため、支払った年に、一括で経費(損金)にすることは、原則としてできません。
会計上は、「繰延資産」として、一旦、資産の部に計上します。そして、その効果が及ぶ期間、一般的には、フランチャイズ契約の契約期間(例えば5年間など)にわたって、均等に償却し、毎年、分割して経費化していく、という処理を行います。この償却計算を、正しく行うことが、毎年の利益計算と、納税額に影響を与えます。
ロイヤリティの経理処理
加盟店が、毎月、本部に支払う「ロイヤリティ」。これは、加盟店の経費の中で、最も大きな割合を占める項目の一つです。
ロイヤリティは、その算定方法が、契約によって様々です。売上高の〇%といった「売上歩合方式」や、毎月〇〇万円といった「定額方式」、あるいは、店舗の利益に応じて変動する方式などがあります。
会計処理としては、これらのロイヤリティを、発生した月の「支払手数料」などの勘定科目で、販売費及び一般管理費として、費用計上します。POSレジシステムなどを導入している場合、本部への報告のために、日々の売上データが、正確に管理されているため、それに基づいて、ロイヤリティの額も、自動的に計算されることが多くなっています。
本部指定業者からの仕入れ
多くのフランチャイズ契約では、商品の品質や、ブランドイメージの統一を図るため、原材料や、商品を、本部が指定する特定の業者から、仕入れることが義務付けられています。
この場合、仕入れの会計処理そのものは、通常の小売業や、飲食業と同様です。仕入れた商品を「仕入高」として、売上原価に計上します。
ただし、経営上の注意点として、この本部指定業者からの仕入価格が、市場価格よりも、割高に設定されているケースがあります。本部は、この仕入れのマージンからも、収益を得ている場合があるのです。税理士は、財務分析を通じて、加盟店の原価率が、業界の平均と比較して、適正な水準にあるかを検証し、経営者に、客観的な情報を提供します。
本部への売上報告とPOSレジ連携
加盟店は、ロイヤリティの計算などのために、日々の売上を、正確に、かつ、速やかに、本部に報告する義務を負っています。そのため、多くのフランチャイズチェーンでは、本部が指定する、高機能な「POS(販売時点情報管理)レジシステム」の導入が、義務付けられています。
このPOSレジは、単に売上を記録するだけでなく、商品ごとの販売データや、顧客の属性、時間帯別の売上などを、詳細に分析できる、強力な経営ツールです。
経理の観点からは、このPOSレジのデータと、クラウド会計ソフトを連携させることが、業務効率化の鍵となります。税理士は、このシステム連携を支援することで、日々の売上データを、自動で会計帳簿に記録する仕組みを構築し、加盟店の事務負担を、大幅に軽減します。
フランチャイズにおける税理士の提供するサービス
フランチャイズという、特殊な経営環境で戦う加盟店オーナーを支援するため、この分野に精通した税理士は、単なる申告業務にとどまらない、経営者の実務に深く寄り添った、多様なサービスを提供します。
フランチャイズ会計に準拠した記帳代行・月次決算
多くの経営者が苦手とする、日々の経理業務。これを、フランチャイズ会計の専門家として、全面的に代行するのが「記帳代行」です。
経営者は、毎月、POSレジの売上レポートや、経費の領収書、請求書といった資料を、税理士に渡します。税理士事務所は、それらの資料をもとに、加盟金や、ロイヤリティといった、特有の取引を、正しく会計ソフトへ入力し、会計帳簿を作成します。
そして、そのデータに基づき、毎月「月次決算」を行い、加盟店の損益計算書や、貸借対照表を作成します。さらに、その数字が何を意味するのかを、分かりやすく解説し、経営の現状と課題を、オーナーと共有します。この月次での報告と対話が、どんぶり勘定から脱却し、データに基づいた経営を行うための基盤となります。
独立した立場からの客観的な経営分析
税理士は、本部とは完全に独立した、第三者の立場から、あなたの店の経営状況を、客観的に分析します。
本部のスーパーバイザーが示す、全店平均のデータと比較して、自店の売上や、利益率はどうなのか。支払っているロイヤリティや、本部からの仕入価格は、本当に、その価値に見合っているのか。
税理士は、これらの点を、冷静な数字で分析し、時には、本部の方針とは異なる視点から、経営改善のためのアドバイスを提供します。例えば、「このままでは、利益が出ない構造なので、本部と、ロイヤリティの交渉を検討すべきかもしれません」といった、踏み込んだ提案も行います。税理士は、あなたの事業を、守るための、強力な味方なのです。
資金繰り表の作成と改善提案
お金の流れが滞りやすいフランチャイズ経営。税理士は、会社の生命線であるキャッシュフローを守るための、具体的なサービスを提供します。
まず、過去の入出金データと、将来の売上予測をもとに、向こう数ヶ月から一年間の資金の動きを予測する「資金繰り表」を作成します。これにより、いつ、いくらくらいの資金が不足しそうかという、危険信号を、早期に察知することができます。
そして、資金繰りを改善するための具体的な対策を、経営者と共に考えます。例えば、金融機関からの運転資金の調達や、経費の見直し、あるいは、本部との支払いサイトの交渉などです。会社の状況に応じた、最適な処方箋を提示し、その実行をサポートします。
融資支援と事業計画書作成
開業時の初期投資や、数年ごとの店舗改装など、大きな資金が必要となる場面で、税理士は、強力なサポーターとなります。金融機関から融資を受けるためには、説得力のある「事業計画書」が不可欠です。
税理士は、経営者のビジョンを、具体的な数値計画に落とし込む手伝いをします。フランチャイズ本部から提供される、収支モデルを参考にしつつ、自店の立地や、市場環境を考慮した、現実的で、かつ、魅力的な事業計画書を作成します。税理士が作成に関与した、信頼性の高い計画書は、金融機関からの評価を高め、融資の成功確率を、大きく引き上げます。
フランチャイズにおける税理士を活用するメリット
専門家である税理士と顧問契約を結ぶことは、単なるコスト増ではありません。独立した事業者として、厳しい競争環境を勝ち抜くための、戦略的な「投資」です。その投資は、コストを遥かに上回る、経営のあらゆる側面にわたる、具体的なメリットとなって返ってきます。
客観的な視点で経営状況を把握できる
税理士を活用する、最大のメリット。それは、本部とは独立した、客観的な第三者の視点で、自店の本当の経営状況を、正確に把握できることです。
本部のスーパーバイザーは、あくまでも、チェーン全体の成功という視点からアドバイスをします。しかし、税理士は、100%、あなた、すなわち、加盟店オーナーの利益のために働きます。
「本部の言う通りに運営しているのに、なぜ利益が出ないのか」。その原因を、人件費率や、原価率、あるいは、ロイヤリティの負担といった、客観的な数字で、明確に示してくれます。この、冷静な現状分析こそが、経営改善の第一歩です。時には、耳の痛い指摘もあるかもしれません。しかし、それこそが、真のパートナーである証なのです。
本業である店舗運営に集中できる
加盟店オーナーの最も重要な仕事は、日々の店舗運営、すなわち、質の高い商品やサービスを提供し、お客様を満足させ、そして、スタッフを育成することです。
慣れない経理作業や、申告手続きに、多くの時間を費やすのは、店全体にとって、大きな機会損失です。税理士にバックオフィス業務を任せることで、経営者は、それらの煩わしさから解放されます。
そして、最も得意とする、現場の仕事に、すべての時間と情熱を注ぐことができます。これにより、顧客満足度が高まり、店の評判が向上し、結果として、売上増加に繋がるという、好循環が生まれます。
税務調査のリスクを減らせる
フランチャイズビジネスは、本部と加盟店との間の、金銭のやり取りが複雑であることなどから、税務調査において、論点となりやすい取引を、多く含んでいます。
税理士と顧問契約を結び、日頃から、加盟金や、ロイヤリティといった、特有の取引を、適正に経理処理しておくことは、税務調査に対する、最も有効な防衛策です。税理士が作成に関与した申告書は、信頼性が高く、調査の対象となる確率そのものを、下げると言われています。
万が一、調査の対象となった場合でも、税理士が代理人として立ち会い、専門家として、冷静かつ論理的に対応してくれます。この安心感は、計り知れません。
資金調達力と社会的信用の向上
事業を拡大していく上で、金融機関からの融資は不可欠です。税理士が関与し、作成された信頼性の高い決算書や、事業計画書は、金融機関からの信用を、大きく高めます。
経営者個人が作成した書類よりも、第三者である専門家が、客観的にチェックした書類の方が、説得力を持つのは当然です。これにより、融資審査がスムーズに進み、より有利な条件での、資金調達が期待できます。
また、税理士と顧問契約を結んでいるということは、対外的にも、「しっかりと経営管理を行っている会社」という証明になります。これは、金融機関だけでなく、取引先や、将来の従業員からの社会的信用を高める上でも、プラスに働きます。
フランチャイズにおける税理士を活用するデメリット
税理士との連携は多くのメリットをもたらします。しかし、一方で、デメリットや、注意すべきリスクも存在します。これらのマイナス面を事前に理解し、対策を講じることが、後悔のない専門家選びと、より良いパートナーシップの構築に繋がります。
顧問料とロイヤリティの二重負担
最も直接的で避けられないデメリットは、税理士に支払う報酬、すなわち「顧問料」というコストが発生することです。フランチャイズ加盟店は、ただでさえ、毎月、本部にロイヤリティを支払わなければなりません。その上に、税理士への顧問料という、固定費が加わることは、キャッシュフローを圧迫する、大きな負担に感じられるかもしれません。
このコストをどう捉えるかは、経営者の判断次第です。税理士から得られる、経営改善効果や、節税メリットが、支払う顧問料を上回ると判断できるなら、それは「価値のある投資」です。しかし、コスト負担が重いと感じる場合は、記帳は自分で行い、顧問料を抑えるプランを選ぶなど、店のステージに合った、柔軟な契約形態を検討する必要があります。
業界への理解が浅い税理士のリスク
「税理士」の資格を持っていれば、誰でもフランチャイズの専門家というわけではありません。フランチャイズ特有の会計処理や、ビジネスモデルを深く理解していない税理士に、誤って依頼してしまうと、デメリットどころか、経営にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
例えば、加盟金の繰延資産計上という、基本的な処理を知らず、誤った申告をしてしまう。ロイヤリティの負担の重さを理解せず、的確な資金繰りのアドバイスができない。あるいは、本部と加盟店の力関係を理解せず、非現実的な提案をしてくる、といった事態です。
このようなミスマッチを防ぐためには、契約前の面談で、その税理士が、フランチャイズ加盟店の顧問実績を、どのくらい持っているのか、具体的な事例を交えて、その専門性の深さを、徹底的に確認することが、絶対に必要な自己防衛策となります。
本部推奨の税理士との関係性
フランチャイズ本部によっては、加盟店向けに、提携している「推奨税理士」を紹介するケースがあります。本部との連携がスムーズで、業界知識も豊富である、というメリットがある一方で、注意も必要です。
その税理士が、あまりにも本部寄りのスタンスで、加盟店の利益よりも、本部の方針を優先するようなことはないか。あるいは、他の税理士と比較して、顧問料が割高に設定されていないか。
本部からの推奨は、あくまでも選択肢の一つと捉えるべきです。必ず、他の独立した税理士とも面談し、比較検討した上で、最終的に、自らが最も信頼できると感じるパートナーを、主体的に選ぶ姿勢が重要です。
どのような人・企業が税理士へ依頼すべきか?
税理士との顧問契約は、特定のステージや、課題を抱えるフランチャイズオーナーにとって、その後の成長を左右するほど、重要な経営判断となります。自らが、以下のいずれかに当てはまると感じたら、それは専門家への相談を、具体的に検討すべきサインです。
これからフランチャイズに加盟する人
これからフランチャイズ契約を結び、独立開業しようと計画している、まさにその準備段階こそが、税理士に相談を始める、最も理想的なタイミングです。
フランチャイズ契約書や、本部から提示される収支モデルは、専門的で、分かりにくい部分が多くあります。契約を結んでしまう前に、税理士に、その内容を、財務的な観点からチェックしてもらうことが、極めて重要です。
「この収支モデルは、現実的か」「ロイヤリティの負担は、重すぎないか」「初期投資の回収には、何年かかるのか」。これらの点を、客観的に分析してもらうことで、そのフランチャイズが、本当に、投資する価値のあるビジネスなのかを、冷静に判断できます。
経営が「どんぶり勘定」になっているオーナー
「毎月の売上と、銀行口座の残高は、なんとなく見ているが、本当の利益が、いくらなのか、よく分からない」。このような、「どんぶり勘定」に陥っているオーナーは、一刻も早く、税理士に相談すべきです。
どんぶり勘定は、経営における、最も危険な病です。気づかぬうちに、赤字を垂れ流していたり、資金繰りが、破綻寸前だったりする可能性があります。
税理士は、まず、過去の取引を整理し、あなたの店の、正確な経営状況を「見える化」します。そして、経営の健康状態を、客観的な数字で把握することから、すべての改善が始まります。
2店舗目の出店を検討しているオーナー
1店舗目の経営が軌道に乗り、2店舗目、3店舗目と、事業を拡大していきたい。このような、大きな成長を目指すオーナーにとって、税理士は不可欠な戦略パートナーです。
多店舗展開には、多額の出店資金が必要となり、金融機関からの融資が鍵となります。税理士は、1店舗目の実績に基づいた、説得力のある事業計画を策定し、資金調達を支援します。
また、出店後は、店舗ごとの業績を、正確に把握し、比較分析する「店舗別会計」の仕組みが不可欠です。税理士は、この管理体制を構築し、会社全体の収益性を、最大化するための、戦略的なアドバイスを提供します。
本部との関係に悩んでいるオーナー
「本部の指導通りにやっているのに、なぜか儲からない」「スーパーバイザーのアドバイスが、本当に正しいのか、疑問に感じる」。このような、本部との関係に、悩みや、不信感を抱いているオーナーも、税理士に相談すべきです。
税理士は、あなたと同じ、加盟店の側に立つ、唯一の専門家です。本部の言うことが、本当に、財務的に合理的なのかを、客観的なデータで検証します。そして、もし、問題があれば、本部と交渉するための、論理的な根拠を、あなたに提供してくれます。孤独に悩まず、まずは、第三者の専門家に、状況を話してみることが重要です。
フランチャイズに強い税理士を探すポイント
フランチャイズ加盟店のパートナーとなる税理士を選ぶ際には、一般企業の顧問税理士を選ぶのとは異なる、業界に特化した選定基準が必要です。資格を持っていることは当然として、その専門性が、本当に自店の経営に貢献できるレベルにあるのか、以下のポイントから慎重に見極める必要があります。
フランチャイズの顧問実績
これが、最も重要で分かりやすい判断基準です。その税理士が、フランチャイズ加盟店の顧問を、どのくらい経験しているか。特に、自社が加盟している、あるいは、加盟を検討しているチェーンと同じ、または、類似する業種の顧問実績があれば、なお良いでしょう。
面談の際には、「現在、フランチャイズ加盟店の顧問先は、何件くらいありますか」と、直接質問してみましょう。顧問実績が豊富であればあるほど、フランチャイズ特有の会計処理や、本部との関係性、そして、経営者が抱える悩みを、すぐに理解し、過去の事例に基づいた、具体的な解決策を提示してくれる可能性が高まります。
加盟金・ロイヤリティの会計処理への精通
フランチャイズ会計の核心である、加盟金と、ロイヤリティの処理。税理士が、これらの会計処理と、税務上の取り扱いを、正確に理解しているかは、最低限、確認すべき必須項目です。
「加盟金は、税務上、どのように処理するのが、一般的ですか」とか、「当チェーンのロイヤリティは、粗利分配方式ですが、会計処理上の注意点はありますか」といった、専門的な質問を投げかけてみてください。これらの問いに、よどみなく、かつ、明確に回答できる税理士は、この分野に精通している証拠です。
独立した立場からの客観性
税理士は、本部のためではなく、あなたの、すなわち、加盟店のために働くパートナーです。その税理士が、常に、加盟店の利益を最大化するという視点で、物事を考え、行動してくれるかどうか、そのスタンスを見極めることが重要です。
特に、本部から紹介された税理士と面談する際には、この点を、慎重に確認する必要があります。「もし、本部の方針と、当店の利益が相反するような場合、先生は、どちらの立場に立って、アドバイスをくださいますか」。このような、少し踏み込んだ質問をしてみるのも、その税理士の姿勢を知る上で、有効かもしれません。
POSレジやITツールへの理解
現代のフランチャイズ経営において、POSレジや、クラウド会計といった、ITツールの活用は、もはや常識です。税理士が、これらのツールに精通し、データを連携させて、経理を自動化・効率化するノウハウを持っているかどうかは、極めて重要な判断基準です。
旧態依然とした、紙ベースのやり取りに固執する税理士では、フランチャイズビジネスの求める、スピード感と、効率性に応えることはできません。ITに明るく、業務効率化に、前向きな提案をしてくれる税理士を選ぶべきです。
フランチャイズに強い税理士を探す方法
フランチャイズ経営に特化した優秀な税理士は、決して数が多くありません。そのため、最適なパートナーを見つけ出すためには、一般的な探し方ではなく、より的を絞ったアプローチが必要です。
他のフランチャイズ加盟店からの紹介
最も信頼性が高く、ミスマッチが少ない方法が、同じチェーン、あるいは、他のフランチャイズチェーンに加盟している、経営者仲間から、評価の高い税理士を紹介してもらうことです。
彼らは、実際にその税理士と顧問契約を結び、日々の経営課題を、共に乗り越えてきた経験を持っています。そのため、ウェブサイトだけでは分からない、その税理士の「本当の実力」や、人柄を教えてくれます。「あの先生は、本部に、物言うべきことは、ちゃんと言ってくれる」といった、具体的な口コミは、何よりも貴重な判断材料です。
フランチャイズ本部からの紹介
多くのフランチャイズ本部が、加盟店向けに、提携している「推奨税理士」のリストを用意しています。本部との連携がスムーズで、そのチェーンのビジネスモデルを、熟知しているというメリットがあります。
これは、有力な選択肢の一つですが、前述の通り、その税理士が、本当に加盟店の側に立ってくれるのか、その独立性・客観性は、慎重に見極める必要があります。本部からの紹介を、唯一の選択肢とせず、必ず、他の独立した税理士とも比較検討することが重要です。
金融機関や商工会からの紹介
取引のある銀行や、信用金庫の融資担当者に相談するのも、有効な手段です。金融機関は、融資先企業の経営が安定することを望んでいます。そのため、信頼できる優秀な税理士を紹介してくれることが多いです。特に、フランチャイズ向けの開業ローンなどに、積極的な金融機関であれば、業界に詳しい税理士とのネットワークを持っている可能性が高いでしょう。
また、地域の事業者を支援する、商工会や、商工会議所も、税理士を探す上で、頼りになる存在です。
専門特化した税理士のウェブサイト
インターネットで探す場合は、検索キーワードが重要です。「フランチャイズ 専門 税理士」や、「コンビニ会計 税理士」、「飲食店 FC 独立」といった、自社の業態や、目的に合わせた、具体的で専門的なキーワードで検索します。
そうすると、フランチャイズ支援に特化した税理士事務所のウェブサイトが見つかります。そのウェブサイトの内容を精査し、どれだけの実績があるか、どのような理念でサービスを提供しているかを確認します。特に、フランチャイズオーナー向けに、具体的なノウハウを解説したブログなどが充実している事務所は、専門性と情報発信力が高く、信頼できる可能性が高いと判断できます。
フランチャイズで税理士を探すタイミング
税理士との連携は、店のどのステージでも重要です。しかし、特にその必要性が高まり、導入効果が最大化される、いくつかの重要な「節目」があります。そのタイミングを逃さず、適切な税理士を経営チームに加えることが、店の未来を左右します。
フランチャイズ契約を結ぶ前
結論から言えば、税理士を探し始める最も理想的なタイミングは、本部とフランチャイズ契約を結ぶ「前」の段階です。
本部から提示される契約書や、収支モデルは、一見、魅力的に見えるかもしれません。しかし、そこには、専門家でなければ見抜けない、リスクや、不利な条件が隠されている可能性があります。
契約前に税理士に相談し、第三者の客観的な視点で、そのビジネスの収益性と、リスクを分析してもらう。このワンクッションが、後悔のない、独立開業の第一歩となります。加盟金の会計処理についても、この段階で確認しておくべきです。
開業後、初めての確定申告前
無事に開業し、初めての確定申告の時期が近づいてきたときも、重要なタイミングです。一年分のレシートや、売上記録を前にして、何から手をつけて良いか分からず、途方に暮れてしまう経営者は少なくありません。この最初の申告を、専門家である税理士と共に行うことで、フランチャイズ特有の、正しい経理の基礎を学ぶことができます。スポットで、確定申告だけを依頼することも可能です。
資金繰りが厳しくなった時
「支払いが集中して、手元の現金が足りない」。多くの経営者が経験する資金繰りの危機は、会社の存続を揺るがす重大な問題です。資金繰りが厳しくなったと感じたら、それは、すぐに税理士に相談すべきサインです。税理士は、資金繰り悪化の原因を分析し、改善策を提案します。そして、金融機関からの緊急融資の交渉なども、支援してくれます。手遅れになる前に、専門家の力を借りることが重要です。
店舗の改装や契約更新の時
多くのフランチャイズ契約では、数年ごとに、店舗の改装が義務付けられています。また、契約期間の満了に伴い、契約更新の時期も訪れます。これらのイベントには、多額の資金が必要となることが多く、新たな融資や、事業計画の見直しが、必要となります。この、経営の大きな節目も、税理士に相談し、将来の計画を、共に考えるべき、絶好のタイミングです。
フランチャイズに強い税理士の費用相場
フランチャイズ加盟店が、税理士に支払う報酬は、店の規模や、業種、そして依頼する業務の範囲によって、大きく変動します。ここでは、一般的な費用相場と、料金を決定する要因について解説します。あくまで目安として捉え、最終的には、必ず個別の事務所から見積もりを取得してください。
顧問料の基本的な考え方
税理士との契約で最も一般的なのは、継続的なサポートを受ける「顧問契約」です。その料金は、主に毎月支払う「月額顧問料」と、年に一度の決算申告時に支払う「決算料」または「確定申告料」で構成されます。月額顧問料には、通常、日々の会計・税務に関する相談や、会計帳簿のレビュー、月次試算表の作成と報告などが含まれます。決算料は、年度末の決算書と申告書の作成に対する報酬であり、一般的に、月額顧問料の4ヶ月分から6ヶ月分程度が相場です。
個人・法人の規模による費用相場
税理士の報酬は、事業の規模、具体的には、年間の売上高によって変動するのが一般的です。
例えば、個人事業主として加盟し、年間の売上高が3,000万円未満の場合、記帳代行を含めた月額顧問料は、4万円~8万円程度が目安です。
法人として加盟している場合や、年間の売上高が3,000万円から1億円程度の中規模な店舗の場合、月額顧問料は、6万円~15万円程度が相場となります。フランチャイズ特有の会計処理の複雑さが、加味されるため、同規模の独立店よりは、やや高くなる傾向があります。
多店舗展開している法人や、年商が1億円を超えるような規模になると、より高度な経営管理が求められるため、月額顧問料は12万円以上となることが一般的です。
記帳代行の有無による費用の変動
顧問料は、記帳代行を依頼するかどうかで大きく変わります。記帳代行とは、日々の取引の入力作業を、税理士事務所にすべて任せることです。
経営者自身が、POSレジと連携した会計ソフトを使って、日々の取引を入力(自計化)すれば、税理士の作業量が減るため、顧問料を安く抑えることができます。一方、すべての資料を渡して記帳を丸投げする場合は、その作業量に応じて、月額で1万円から3万円程度の追加料金が発生します。
フランチャイズに強い税理士と契約するまでのプロセス
自店に最適な税理士を見つけ出し、実際に契約を結ぶまでには、いくつかの慎重なステップを踏む必要があります。このプロセスを丁寧に進めることが、長期的に良好なパートナーシップを築くための礎となります。
候補者選定と情報収集
まず最初のステップは、候補となる会計事務所を複数、できれば3社以上リストアップすることです。同業者からの紹介や、本部からの推薦、専門特化したウェブサイトなどを活用して、可能性のある候補者を見つけ出します。リストアップしたら、それぞれの事務所のウェブサイトを徹底的に読み込み、フランチャイズへの専門性や実績、料金体系などを比較検討します。
面談とフランチャイズへの理解度確認
候補を2〜3社に絞り込んだら、必ず直接面談を行います。この面談で最も重要なのは、その税理士が、フランチャイズビジネスの構造を、本当に理解しているかを確認することです。「加盟金の会計処理は、どのようにされますか」といった、専門的な質問を投げかけ、その応答から、専門性の高さを判断します。また、人柄や、コミュニケーションの取りやすさといった「相性」も、重要な判断基準です。
見積もり比較と契約締結
面談で良い感触を得た事務所には、具体的な業務範囲を伝えた上で、正式な見積書を依頼します。複数の見積書を比較し、サービス内容と料金のバランスが、最も良い事務所を選定します。そして、「税務顧問契約書」を取り交わします。契約書に署名・捺印する前には、業務の範囲や、報酬、解約に関する条項などを隅々まで確認し、すべての内容に納得した上で、契約を締結します。
フランチャイズにおいて税理士の切替を検討する場合
一度顧問契約を結んだ税理士との関係も、永遠ではありません。店の成長や、経営方針の変化、あるいは、現在のサービスへの不満など、様々な理由から、パートナーを見直す「切替」が必要になることがあります。これは、店が健全性を保ち、さらなる発展を目指すための、前向きな経営判断です。
切替を検討すべきサイン
現在の顧問税理士に対して、以下のようなサインを感じたら、それは関係の見直しを検討すべきタイミングかもしれません。まず、試算表は出てくるが、その数字に基づいた、具体的な経営改善のアドバイスが、全くない場合です。次に、フランチャイズ特有の会計処理について質問しても、明確な回答が得られない場合も、危険信号です。そして、店の成長に伴い、多店舗展開や、事業承継といった、新たな課題について相談したいのに、その専門知識がなく、対応してもらえないというミスマッチも、切替の大きな理由となります。
円満な引き継ぎの進め方
税理士の切り替えを決断したら、現在の税理士との関係を円満に終了させ、新しい税理士へ、スムーズに業務を引き継ぐことが重要です。まずは、現在の税理士との顧問契約書を確認し、解約に関する規定に従って、正式に解約の意思を、丁寧に伝えます。その際には、これまでの協力への感謝を伝えるとともに、新しい税理士への引き継ぎに、協力してほしい旨を、丁重にお願いする姿勢が大切です。次に、新しい税理士と相談の上、引き継ぎに必要な資料、例えば、過去数年分の決算書や、総勘定元帳、会計データなどをリストアップしてもらい、それを前の税理士に依頼して、漏れなく返却してもらいます。
フランチャイズで税理士に対してよくある質問と回答
最後に、フランチャイズ加盟店のオーナーが、税理士に対して抱きがちな、よくある質問とその回答をまとめました。多くのオーナーが同じような疑問を持っています。ここで不安を解消し、専門家との対話に臨んでください。
Q1: 加盟金は、経費になりますか?
A1: はい、経費になります。ただし、支払った年に、一括で経費になるわけではありません。加盟金は、将来にわたって、ブランドやノウハウを利用する権利への対価と考えられます。そのため、会計上は「繰延資産」として資産に計上し、契約期間(例えば5年)など、一定の期間にわたって、分割して費用化(償却)していくのが、原則的な処理です。
Q2: ロイヤリティは、消費税の対象ですか?
A2: はい、対象です。ロイヤリティは、商標の使用許諾や、経営指導といった、役務の提供の対価です。そのため、消費税の課税対象となります。加盟店が本部に支払うロイヤリティには、消費税が含まれており、加盟店側は、これを「課税仕入れ」として、消費税の申告上、仕入税額控除の計算に含めることができます。
Q3: 本部が会計サービスを提供していますが、別に税理士は必要ですか?
A3: はい、別の税理士に依頼することを、強くお勧めします。本部が提供する会計サービスは、あくまでも、本部への売上報告などを、効率的に行うためのものであることが多いです。あなたの店の、節税対策や、資金繰り改善といった、加盟店個別の利益を、最大限に考えてくれるとは限りません。本部とは独立した、あなたの側に立つ、客観的な専門家を持つことが、健全な経営のためには不可欠です。
Q4: 赤字でも、ロイヤリティは払わないといけないのですか?
A4: はい、原則として、支払う義務があります。ほとんどのフランチャイズ契約では、ロイヤリティは、売上を基準に計算されます。そのため、たとえ、経費がかさんで、最終的な利益が赤字になったとしても、売上が発生している限り、ロイヤリティの支払い義務はなくなりません。これが、フランチャイズ経営の、資金繰りを難しくする大きな要因です。赤字でも、キャッシュが流出していく構造を、よく理解しておく必要があります。
フランチャイズに強い税理士の具体例
株式会社サクセスパートナーズ様
株式会社サクセスパートナーズ様は、フランチャイズ事業を専門的にサポートする税理士法人として高い評価を得ています。特に、多店舗展開するフランチャイズ本部の複雑な経理処理や税務申告に精通しており、加盟金やロイヤリティの適切な会計処理についてのアドバイスに強みがあります。これまで多数のクライアントの税務調査対応も担当しており、税務署との折衝においても豊富な経験を持っています。また、節税対策やキャッシュフロー改善の提案を通じて、クライアントの経営安定化に貢献しています。初回の無料相談では具体的な問題点を丁寧にヒアリングし、わかりやすく解説してくれるため、税務の専門知識が浅い経営者からも信頼されています。
税理士法人フランチャイズサポート様
税理士法人フランチャイズサポート様は、その名の通りフランチャイズ業界に特化したサービスを提供する事務所で、加盟店向けの会計指導や本部向けの契約書レビュー、税務リスクマネジメントに注力しています。特に、フランチャイズ契約に伴う税務上の留意点を的確に把握していることが特徴で、加盟料やロイヤリティの税務処理に関する最新の法改正にも迅速に対応しています。クライアントには、経理の効率化を図るためのITツール導入支援も行い、多店舗管理の負担軽減に貢献しています。さらに、税務調査が入った際には顧問税理士として同行し、安心感のあるサポートを提供しているため、事業拡大を目指すフランチャイズ本部の経営者にとって心強いパートナーです。
宮嶋公認会計士・税理士事務所
最後に、当事務所になりますが、宮嶋公認会計士・税理士事務所です。(https://tax-miyajima.com/)。当事務所も、確定申告や記帳代行などの税務サービスのみでなく、外資系経営コンサルティング会社やCFO経験を活かした、経営コンサルティングサービスおよびDX・デジタルに非常に強みを持っている特徴的な事務所になります。
フランチャイズに強い税理士を探す方法 まとめ
フランチャイズビジネスは、成功への地図が用意された、魅力的な船旅です。しかし、その船の船長は、フランチャイズ本部ではなく、あなた自身です。日々の航海の責任は、すべて、あなたが負わなければなりません。
その困難な航海において、羅針盤となる経営数値を正確に読み解き、座礁のリスクである資金繰りの問題を回避し、そして、時には、旗艦である本部とは異なる、独自の航路を提案してくれる、経験豊かな航海士。それが、フランチャイズに強い税理士です。
彼らは、単なる事務代行者ではありません。加盟金や、ロイヤリティといった、フランチャイズ特有の海図を熟知しています。そして、あなたの船が、単に沈没しないだけでなく、いかにして、より多くの宝(利益)を積み、目的地である、あなたの経済的な成功へとたどり着けるかを、真剣に考えます。
この記事で解説してきた、専門家の見極め方や、探し方、そして活用法を参考に、ぜひ、あなたの事業の理念に共感し、未来を共に創造してくれる、最高のパートナーを見つけ出してください。
優秀な税理士に支払う顧問料は、ロイヤリティに加えて、負担に感じるかもしれません。しかし、それは、決して単なるコストではありません。それは、あなたの事業を、客観的な視点から守り、経営者としてのあなたの孤独を和らげ、そして、あなたの店の未来を切り拓くための、最も確実で効果的な「戦略的投資」なのです。その投資が、あなたのフランチャイズオーナーとしての人生を、より豊かで輝かしいものにすることを、心から願っています。
税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。
