医療に強い税理士の探し方

税務

本記事では、医療に強い税理士の探し方について記載しております。具体的に、医療業界に対して税理士がどのようなサービスを提供しているのか、どのように税理士を探したら良いのか、税理士をつけるメリット、などを記載しております。

本記事を読んでいただくことで、税理士をつけるかどうか迷っている方が、税理士と契約するメリットを理解し、税理士を選ぶ判断軸を得ることができた上で、税理士と契約するかどうかを判断することができるようになります。

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医療に対する税理士の提供サービス

そもそも税理士と契約することによって、医療業界の方はどのようなサービスを受けることができるのでしょうか?

確定申告

まずは確定申告です。これは、原則年1回、税務署へ提出する税額を計算した書類になります。個人で開業されている方含めて提出が必要になります。税理士と聞くとまずはこの確定申告の代行を想像される方が多いのではないかと思います。確定申告は確定申告書類を作成するのみならず、その土台となる帳簿の作成や年間の数字結果を示した貸借対照表や損益計算書(併せて決算書)を作成する必要がありまして、全て確定申告書作成に必要な基礎的な書類となります。帳簿や決算書についても税理士へ依頼することが可能です。納税に関する予測データを依頼することもあります。

マイクロ法人の設立を検討されている方については、こちらの「マイクロ法人に強い税理士を検討するポイント」を参照ください。

月次決算

毎月の損益の状況を把握し、医療経営として問題ないかどうかを確認するために、月次決算書というものを使うことがあります。確定申告書と異なり必ず作成しなくてはならないものではありませんが、経営の状況をリアルタイムで把握するためには必要なものになります。この月次決算についても税理士に依頼することが可能です。月次試算表という言葉で呼んだりすることもあります。

経理アウトソーシング

帳簿作成や月次決算も経理業務ではありますが、経理全体の中の一部の業務になります。経理業務はそのほかに、請求している金額の入金処理や支払処理、その他給与計算など、お金に関するあらゆる業務があります。医療経営していると、この辺りの重要だけど本業ではない業務に時間を取られることが多いかと思いますが、このような業務を税理士へ委託することができます。

クラウド会計導入支援

税理士はクラウドソフトを使って顧客へサービスを提供することが多いため、顧客自身が自らクラウドソフトを入れたいというニーズにも応えることが可能です。特に経営者ご自身で数字はしっかり管理したいからクラウド会計ソフトを導入したいという場合、システム会社だと会計や税金の細かいルール設定まで対応できないケースがあるため、税理士にサポートを依頼するケースもあります。

管理会計の導入

月次決算とも関係してきますが、診療報酬を診療報酬科目や時間帯別に分析して経営に役立てたいなどのニーズがあるかと思います。このように経営の分析に役立つ数字を作成して管理することを管理会計と呼んだりしますが、この導入支援を税理士へ依頼するケースもあります。

医療法人・その他法人化の支援

個人で歯科医院を経営されている方は、タイミングによっては医療法人の設立を検討されたり、もしくは他事業への展開等で株式会社や合同会社の設立を検討されることもあるかと思います。法人設立のタイミングでは税金関係において検討すべきことが多く発生するため、税理士へサポートを依頼することがあります。また税金も所得税や法人税だけの話ではなく、相続税や贈与税にも絡んでくるケースもあるため、法人化を検討する経営者は税理士へ相談されることをお勧めいたします。

また医療法人に関しては理事の報酬の適正水準のコンサルティングをおこなったり、個人のお医者さんに対してはライフプランの作成支援(個人の人生設計で、ライフステージに合わせたお金のため方や使い方のアドバイスを行うこと)なども提供してます。

分院の支援

歯科医院として分院を検討する際も税理士がサポートするケースがあります。税金面ではもちろんのこと、分院を管理するための管理会計やクラウドソフトの導入支援など、分院を検討するにあたっては幅広く考えることが発生します。

事業承継の検討

歯科医院が安定してきて将来はご子息に相続というケースで、事業承継を考えることになるかと思います。相続や贈与・事業承継については税金の問題が大きく影響を与えるため、税理士の関与はかなり重要だと言えます。また事業承継の一つのやり方としてM&Aで他の歯科医師への売却等も可能性としてはあるかと思いますので、この辺りも税理士のサポート領域となります。

医療開業の支援

医療地の選定や、医療事業に関連する業者の紹介、各監督官庁への書類代行、融資等の銀行借入に関するサポート、人材採用や教育研修などのHR関連サポート、広告宣伝などマーケティングに関するアドバイスなどを提供しているケースもあります。基本計画を設計し、税務にとどまらないスタッフの採用やオペレーションの基本設計など、医療に強い税理士であれば経営まで踏み込んでアドバイスをしてくれます。

医療に強い税理士を選ぶことで得られるメリット

医療に強い税理士と契約することで得られるメリットは以下の通りです。

  1. 開業時や法人化の際に税金に関するアドバイスを受けることができる
  2. 資金調達やシステム導入、数字管理など経営に関するアドバイスを受けることができる
  3. 事業承継など、相続等に関するアドバイスを受けることができる
  4. 税理士によっては税務面だけではなく、人材採用や医療のオペレーション、マーケティング/宣伝広告など経営に踏み込んだアドバイスを受けることができる
  5. 事業計画の策定や補助金申請など事業に絡んだ資金ニーズに対応することができる

開業にあたっては立地や差別化戦略などが重要になってきますが、税金アドバイスと含めて開業時にアドバイスを受けることが考えれます。また法人化にあたってはさまざまな税務論点が発生しますので、税理士のアドバイスがかなり役に立つと言えます。加えて、人事労務制度なども他の医療業界を見ている税理士等であればその視点からも経営アドバイスができる可能性がありますので、税務だけでなく幅広い相談をできる可能性があります。

医療に強い税理士を選ぶポイント

医療に強い税理士を選ぶポイントとしては、①医療関連を顧客に持っていて経験のある税理士を選ぶこと、②歯科医院の数字管理に強いこと、③相性がよく説明がわかりやすいと同時に、偉そうではなく医院長や理事長の痛みを理解してくれていること、④事業承継や相続対策、介護などにも理解があり事務所として発展していること(周辺ビジネスにも詳しいこと)、となります。

医療業界の医院長や理事長の視点から見ると、例えば開業時に短期的な目線ではなくて長期的な目線でアドバイスをしてくれて、税務面だけではなく資金繰りや収支の推移など管理会計面からもしっかりとサポートしてくれること、将来的な相続も考えて医療法人化も含めて検討をサポートしてくれること、などがニーズとして求められているのだと思います。

より具体的に、下記にポイントの詳細を記載していきます。

①医療関連を顧客に持っている税理士を選ぶこと、については、やはり医療業界の経験があると理解力も早いですし、他者比較もできるようになるため、必ず医療関連が顧客にいなければダメだということではありませんが、税理士を選ぶ際の判断軸の一つにはなると思います。

②医療業界の数字管理に強いこと、については、医療事業の規模が大きくなった際に経営の視点から数字管理が必要になってきます。特に法人化を検討したり分院を検討するなどの規模になってくると数字で管理できないと経営が大変難しくなるため、医療経営の数字に明るい税理士を選ぶことが重要でしょう。

③これは言わずもがなですが、やはり長期・定期的にコミュニケーションをとっていくのが税理士ですので相性の問題はあります。また税理士はアドバイスをしてくれますが、それを踏まえて最終的に判断するのは理事長や医院長などの経営者になります。そのため、税理士の説明がわかりやすいなど複雑な税金のルールを丁寧にしっかりと説明してくれるのが良いと思います。

④開業直後に必要というわけではありませんが、将来的には相続や事業承継などの対策、もしくは医療業界から介護への事業進出も想定されるでしょう。これらを踏まえると、相続や事業承継、介護など周辺領域への理解がある税理士を選ぶのが一つの判断軸にはなると思います。

医療に強い税理士の相場・費用

医療に強い税理士の相場はいくらぐらいになるのでしょうか。

医院長や理事長が税理士へ依頼する際に、2つの方法があります。1つ目は、税務顧問として税理士と契約して1年を通して税務アドバイスをもらいながら、決算期末には決算書の作成と確定申告書の作成・提出を依頼する方法です(ケースによっては記帳代行も税理士へ依頼します)。2つ目は、決算申告のみを決算期末に税理士へ依頼する方法です。この場合、決算期末前の期中については税務アドバイスを税理士からもらうことはできず、決算申告のタイミングで併せて税理士と相談しながら確定申告を進めていくことになります。

決算申告のみを税理士へ依頼する場合の費用として、概ね20万円〜となるケースが多いように思います(年商や業種などによって最低料金は当然異なってきます)。もちろん、取引数や取引の複雑性によっても報酬金額は変わってくるため、必ず全ての方が20万円〜ということはないことにご留意ください。

仮に顧問契約で年間の契約を結んでいたとしても、一般的な税理士との契約では月額の顧問料報酬と、決算申告は別途料金が課されることが多いです(顧問料報酬の数ヶ月分ということが多いかと思います)。この場合、決算申告のみを依頼するよりも顧問契約している決算申告の方が安いことが多いです。月額顧問報酬についても、業種や年商、取引数などによって大きく異なりますが、概ね2〜3万円以上で決算申告料金が15万円〜という場合が多いように思われます。

医療業界の場合は取引やオペレーションが他の業種等と比較して複雑になる傾向になることから、上記の水準よりももう少し高くなることが予想されます。おすすめとしては、やはり顧問税理士契約を締結することにより定期的に税制面でのアドバイスを受けられるようにしておくことです。

医療に強い税理士をどのように探すか?

医療に強い税理士の探し方は大きく下記の方法があるかと思います。

1つ目は知り合いから紹介してもらうことです。信頼している方からの紹介であれば、安心感があるかと思います。一方で、相性が合わない場合などは紹介をしてもらった手前、なかなか断りづらいという点があると思います。

2つ目はインターネットで検索するです。ご自身が住んでいる地域で検索すると税理士のホームページがインターネット上に出てくるはずです。最近の税理士のホームページは料金体系や強み、サービスの範囲など記載内容が充実しておりますので、その中でご自身のニーズに合った税理士と面談して決められるという方法はあるかと思います。

3つ目は税理士紹介サイトです。こちらもインターネット経由ですが、直接税理士へ問い合わせるのではなく紹介サイトのコーディネーターにご自身のニーズを伝えて、複数名の税理士を紹介してもらう流れになります。一般的に依頼者側は費用がかかりませんので、安心して利用することが可能です。税理士紹介サイト以外にも会計ソフト会社で税理士を紹介しているケースもあります。

医療に強い税理士:具体例

以下では、インターネットを通じて歯科医院に強い税理士について、具体的にどのような方々がいらっしゃるのかを記載します。

まずは、税理士法人テラス様です(https://trc-tax.com/)。開業前から医療法人の設立や相続・事業承継対策など、ライフステージに応じたサービスを幅広く展開されております。

続いて、税理士法人青木会計様です(https://aokikaikei.or.jp/)。税務のみならず、不動産オーナー向けの支援メニューなどを展開されています。また書籍についても多数発行されております。

最後に、税理士法人中野会計事務所様です(https://www.nakano-ao.gr.jp/service/zeirishi/medical.html)。医療(医業)特化で展開されております。税務のみならず理事長の報酬適正化サポートや増収対策などの経営コンサルティングも展開されており、幅広く対応しております。

以上にように、医療に強い税理士の概要と、インターネット上で検索可能な医療に強い税理士の概要について記載しました。

これから医療業界で開業を検討されている方、すでに医療経営されている方についても、ぜひ上記の記事をお読みいただき税理士選びの参考にしていただければと思います。

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この記事の作成者

宮嶋 直  公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。