マイクロ法人に強い税理士を検討するポイント

税務

本記事では、マイクロ法人について税理士と契約する必要があるかどうか、税理士がいることによるメリット、またそもそもマイクロ法人とは何かについて、学ぶことができます。

この記事を読んでいただくと、マイクロ法人とは何かが理解をできた上で、マイクロ法人の設立や運用に税理士が必要かどうかを判断するポイントをしっかりとおさえることができるようになります。マイクロ法人は何かと節税というキーワードが出てくるかと思いますが、そもそもマイクロ法人と節税の関係や、マイクロ法人に焦点を当てすぎることへのリスクなど、マイクロ法人周辺の論点についてもしっかりと整理をしております。

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マイクロ法人とは何か?

マイクロ法人とは一般的に、従業員が1名もおらず代表取締役が1名の会社のことを指します。マイクロ法人は主に株式会社もしくは合同会社の形式で設立されることが多いです。

マイクロ法人を設立する目的としては、たとえは従来個人で行っていた事業を法人化することで取引の信頼性を向上させることや、やり方によっては結果として節税効果を得られるなど、さまざまな目的となります。マイクロ法人の設立にあたっては、株式会社や合同会社を設立することになるので、法人の定款を作成したり、法人の登記をしたりなど、法人設立するためのさまざまな法律上の手続が必要になってきます。

なぜマイクロ法人が知られるようになったというと、老後2000万円問題など将来的な資産形成がテーマになる中において、税制面や社会保険などの効果に着目してマイクロ法人スキームというものが取り沙汰されたようです。法人を作ること自体は特に制限はありませんが、税制面や社会保険の視点では、そもそも法人が事業を営み実態があることが大前提となっておりますので、それがない中で形だけ設立して数字を歪めるような行為はNGです。十分留意するようにしましょう。

本記事ではマイクロ法人の税効果等に着目するのではなくて、マイクロ法人を設立して運用していくにあたって税理士をどう活用していくのか、に注目して記載をしていきます。

マイクロ法人の設立運用にあたっては、税制面で効果があったとしても以下の点には注意してください。

①法人の設立にあたっては登記費用など必ず生じる費用があるため、タダで設立できるわけではない
②法人は毎年法人税、法人住民税、法人事業税の申告は少なくとも必要となり、個人の税制と異なり専門性のレベルが一気に上がるため、自力では申告が難しいこと(結果税理士に依頼するのが現実的なので、それにかかるコストを考えておく必要がある)
③法人住民税のうち一部は法人が黒字だろうが赤字だろうか一定発生するものがあるため、税金は毎年必ずかかるという認識を持つ必要

なので、マイクロ法人の効果だけが注目されがちですが、費用面や管理の手間などの問題は同時に生じてしまうため、このあたりも踏まえつつ、本当に設立するのが良いのかは検討されることをお勧めいたします。

マイクロ法人に税理士は必要か?

ここでは、マイクロ法人の設立・運用にあたって税理士と契約する必要があるかどうかについて説明をしていきます。まず要否の前に、法人で発生する業務及び税理士のサポート内容について記載をしていきます。

マイクロ法人に対する税理士のサポート内容

まず、前項目で記載した通り法人を設立すると必ず確定申告の作業が必要となってきます。確定申告書を作成するにあたっては、まず日々の取引を記録した帳簿を作成する必要があります。一般的に記帳業務と呼ばれています。続いてこの作成した帳簿を1年間まとめたのちに、経営成績を示す貸借対照表・損益計算書という決算書類を作成します。この決算書類を土台にして、確定申告書類を作成していきます。

また前項目で記載した法人税・法人住民税・法人事業税以外にも、年商が一定を超える法人等については消費税、機械などの償却資産を保有している場合には償却資産税、従業員がいる場合は年末調整・法定調書などメインの税金以外にもさまざまな対応が必要となってくるのです。

また法人の設立にあたっては、法人を設立するために法律的に必要な書類の作成・提出はもちろんのこと、税金関連で必要な届出書類も複数発生してくるため、これらの対応も行う必要があります。

マイクロ法人の設立・運用にあたって税理士が提供するサービスとしては、マイクロ法人の設立や運用に係る税金に関するアドバイスはもちろんのこと、設立にあたって必要な税務関係の届出の代行、日々の帳簿作成や決算書の作成、確定申告書の作成・提出をサポートとして行っております。その他税理士によっては、法人設立時の資金調達支援や補助金のサポートなどを行っているところもあります。

マイクロ法人について税理士を検討するポイント

マイクロ法人について税理士を検討するためのポイントとして挙げられるものは、①税理士へ支払う費用、②税理士との相性・税理士の経験、③マイクロ法人を今後どれぐらい拡大していくか、④経営者自身で経理業務を行うかどうか、と思います。

①税理士へ支払う費用についてはわかりやすいですが、税理士に依頼することで確保できる時間や効果を勘案した際に、費用対効果があっているかどうかです。単純に数字的な効果だけでなく、税理士に任せているという安心感や本業に集中できるという時間確保の面もあるため、一概に数字面の費用対効果で考えるものではないかと思います。税理士の一般的は相場については後述します。

②税理士との相性・税理士の経験、については中長期のおつきあいになるのである程度マイクロ法人に対する理解があり、かつ経営者ご自身と相性の良い方を選んだ方が良いかと思います。相性は多くの税理士と面談して決めていくしかないかと思います。

③マイクロ法人を今後どれぐらい拡大していくか、は①とも関係してきますが、現時点での業績だけで判断するのではなく今後事業を拡大予定であり、経理や税金周りの業務が複雑になることが見えているのであれば税理士へ依頼することも一案となります。

④経営者自身で経理業務を行うか、については①の時間確保とも絡んできますが、税理士と契約しないということは経営者ご自身で確定申告書を作成・提出することになるため、それに必要な勉強を本業と並行して行うことになるということです。時間は有限のため、本業に集中して事業を拡大することを優先する方が、結果としては良いのではないかと思います。

マイクロ法人へ税理士が提供するサービス内容

そもそも税理士と契約することによって、梅ヶ丘で税理士を探されている方々は、どのようなサービスを受けることができるのでしょうか?

確定申告・税務顧問・記帳サービス

まずは確定申告です。これは、原則年1回、税務署へ提出する税額を計算した書類になります。個人で開業されている方含めて提出が必要になります。税理士と聞くとまずはこの確定申告の代行を想像される方が多いのではないかと思います。確定申告は確定申告書類を作成するのみならず、その土台となる帳簿の作成や年間の数字結果を示した貸借対照表や損益計算書(併せて決算書)を作成する必要がありまして、全て確定申告書作成に必要な基礎的な書類となります。帳簿や決算書についても税理士へ依頼することが可能です。納税に関する予測データを依頼することもあります。

また、確定申告と併せて月次の税務顧問や記帳サービス(実際に税理士側で記帳する場合と、顧客側で記帳したものを税理士側でレビューする記帳支援の2つがある)があります。税務顧問は確定申告に向けて、毎月顧客から税務に関連する相談を税理士にできるサービスになります。確定申告のみの依頼の場合は、決算以外のタイミングで発生した税務に関連する相談を税理士に適宜できなかったりとさまざまな制約が発生することが多いので、税務顧問とセットで確定申告を税理士に依頼するパターンもあります。

また記帳代行に関しては、日々の帳簿作成を行うもので、経営者がご自身で対応されるパターンと、税理士側が記帳代行という形で対応するパターンに分かれます。当然記帳代行に関する料金が発生するため、料金と労力の見合いで税理士へ記帳代行を依頼するかどうかを判断することになりますが、最近はクラウド会計も普及してきており、ITが得意な経営者はクレジットカードや銀行口座を連携して記帳はご自身で対応し、記帳支援という形で税理士にチェックをしてもらうパターンも増えてきているように思います。

会社設立・起業支援

会社設立や開業前から実際の会社設立・開業を税理士が支援するパターンもあります。会社設立・開業においては、資金調達のニーズや会社設立手続きそのもののニーズ、各種税務に関する届出のサポートなど、サポート範囲が多岐に及びます。税理士だけでは対応できない部分もあるため、司法書士や行政書士、社会保険労務士などさまざまな士業と連携しながらサービスを提供しています。資金調達においては、一般的に日本政策金融公庫の創業融資や保証協会付きの金融機関融資になりますが、特に事業計画策定支援の面では税理士の支援を受けることが多いかと思います。

月次決算

毎月の損益の状況を把握し、経営として問題ないかどうかを確認するために、月次決算書というものを使うことがあります。確定申告書と異なり必ず作成しなくてはならないものではありませんが、経営の状況をリアルタイムで把握するためには必要なものになります。この月次決算についても税理士に依頼することが可能です。月次試算表という言葉で呼んだりすることもあります。

経理アウトソーシング

帳簿作成や月次決算も経理業務ではありますが、経理全体の中の一部の業務になります。経理業務はそのほかに、請求している金額の入金処理や支払処理、その他給与計算など、お金に関するあらゆる業務があります。経営していると、この辺りの重要だけど本業ではない業務に時間を取られることが多いかと思いますが、このような業務を税理士へ委託することができます。

クラウド会計導入支援

税理士はクラウドソフトを使って顧客へサービスを提供することが多いため、顧客自身が自らクラウドソフトを入れたいというニーズにも応えることが可能です。特に経営者ご自身で数字はしっかり管理したいからクラウド会計ソフトを導入したいという場合、システム会社だと会計や税金の細かいルール設定まで対応できないケースがあるため、税理士にサポートを依頼するケースもあります。

管理会計の導入

月次決算とも関係してきますが、財務データを分析して経営に役立てたいなどのニーズがあるかと思います。このように経営の分析に役立つ数字を作成して管理することを管理会計と呼んだりしますが、この導入支援を税理士へ依頼するケースもあります。

相続申告や事業承継の検討

経営が安定してきて将来はご子息に相続というケースで、事業承継を考えることになるかと思います。相続や贈与・事業承継については税金の問題が大きく影響を与えるため、税理士の関与はかなり重要だと言えます。また事業承継の一つのやり方としてM&Aで他の経営者への売却等も可能性としてはあるかと思いますので、この辺りも税理士のサポート領域となります。

また事業承継までなかったとしても相続税というものは発生しますので、相続対策が重要になります。相続・贈与の仕方によって税金の発生金額が異なってくるのと、税制は非常に複雑なので、税理士を活用して節税を実現する経営者も増えてきているように思います。

その他:税務調査対応・セミナー・事業計画作成支援など

上記以外の業務として、税務調査の対応(税務調査の立ち合い)から、税金に関するセミナーの提供、補助金などで必要になってくる事業計画の作成支援など、さまざまなサービスを税理士は展開しております。制度対応として、認定支援機関となっている税理士もあります。

その他社会保険労務士や行政書士、司法書士などの資格を持っている税理士であれば、給与計算や労務に関する各種届出のサポート、もしくは許認可申請・登記申請サポートなど、税務にとどまらず、幅広いサービスを展開しております。経営に強い税理士であれば税務のみならず数字面を切り口にした経営コンサルティングを提供している場合もあるでしょう。

例えば、歯科医院が一般的に税理士を探す方法については、「歯科医院に強い税理士の選び方」の記事を参照ください。

マイクロ法人について税理士へ依頼するメリット

マイクロ法人について税理士へ依頼するメリットとしては下記が挙げられます。

まず、帳簿作成や確定申告書作成など、本業と関係のない業務を税理士へ任せることができ、経営者は本業に集中できるという点です。本業に集中することで、税理士へ支払うコストよりも多くの利益を稼げば良いので、これができる経営者にとっては税理士へ依頼するメリットは大きいかと思います。税メリット等も含めてマイクロ法人を設立したのが、結果として経営者の時間を多く取られたのでは、本末転倒というしかありません。前述の通り、法人の確定申告については個人事業主と異なり記載する内容が異なってくるので、相当煩雑になります。個人事業主の確定申告は書籍やインターネット等を活用することでご自身で対応できる可能性はありますが、法人はそもそも一定程度の経理知識がないとご自身で対応することは相当難易度の高いものになるますので、現実的ではありません。また確定申告以外にも社会保険の対応などさまざまに対応することが増えるので、ご自身で想定されているよりも多くの時間が割かれること頭に入れておいた方が良いかと思います。2つ目にも関わってきますが、税理士に依頼しているという安心感からも本業に集中できるというのもポイントです。税務調査など経営者として経験がないことには、不安や時間をより多く取られたりするものですが、税理士がいることでこの辺りの不安が解消されたり、時間を取られないなどのメリットを得ることができるようになるのです。

2つ目は、正しい確定申告ができるということです。一見当たり前の話ですが、前述の通り法人の確定申告は相当複雑なので、一般の方がミスなく確定申告書を作成するハードルはかなり高いです。また税法は毎年一定の改正が行われるため、それについても毎年勉強する必要があります。これを毎年ご自身で書籍を購入したりインターネットで調べて、正しいかどうかを判断して確定申告書を作成する必要があるのですから、あまり現実的でないことはお分かりいただけるかと思います。また、過去は自分で確定申告しても大丈夫だったというパターンもあるかもしれませんが、それは税務調査が入っていないだけの話であって、税務調査の際には高い可能性で指摘を受けることになるかと思います。書籍やインターネットで調べて対応できるから大丈夫と思っている方でも、実際に確定申告書にミスがあった場合には、追加の納税そして場合によってはペナルティを受ける場合もあります。特に重加算税は高いペナルティを支払うことになりますので、要注意です。重加算税以外にも延滞税などのペナルティがかかってくる場合があります。このように脱税の意図はなかったとしても節税だと思っていたものが実はNGだったなどにも、ご自身で対応している場合は全く気づかず、結果としてペナルティを受けてしまう場合もありますので、この点からも税理士へ依頼するのはメリットがあるかと思います。

3つ目は、税金以外にも資金調達や補助金などのサポートを得ることができるです。前述の通り、税理士によっては税金だけでなく、資金調達や補助金のサポートをサービスとして展開している場合があります。資金調達や補助金申請にあたっては財務諸表の提出や事業計画の提出を求められる場合があり、そもそも作成経験がなけければスタートラインに立つことすらできません。また財務諸表や事業計画は経験ない経営者が書籍やインターネットで手軽に作れるものでもないため(金融機関のようなプロが見たら間違っている財務諸表はすぐにわかってしまうので)、今後事業を拡大するために資金調達や補助金の活用を検討されている場合には、税理士のサポートが必要になってくるでしょう。

マイクロ法人について税理士へ依頼するデメリット

マイクロ法人について税理士へ依頼するデメリットとして、まずは費用面です。税理士へ依頼する場合一定の費用は発生してくるため、そもそもマイクロ法人の収入が小さい場合、税理士報酬を支払うと赤字になるケースも想定されます。そもそもマイクロ法人を設立する場合には今後の事業計画も含めて税理士へ費用を払っても十分に黒字になるかどうかをしっかりと検討された方が良いでしょう。

上記以外にはあまりデメリットとしてあげられるものはなく、逆に費用面と前述のメリットを比較したときに契約すrかどうかの判断ができるかがポイントになるかと考えております。

マイクロ法人で税理士を検討する際の一般的な意見

節税目的と反してコストがかかってしまう

マイクロ法人について税理士を活用するどうかについて一般的な意見として、節税を目的に設立をしたのだから税理士を付けるとコスト倒れになってしまうというものがあります。まずはこの点について解説したいと思います。まず節税のみを目的として法人を設立することは税法のみならず社会保険の意義からしても不合理なため、最悪の場合はその申告した内容を否認されてしまうケースがあります。例えば、個人の売上を一部法人に付け替えることによって税率を下げるような行為は、実質的には個人事業として売上が発生しているものとみなされ個人所得税として修正させられる可能性がありますし、もちろん申告内容が誤っていたため各種ペナルティを受けることになります。また、ペナルティを受ける場合は、通常の支払い税金に加算税などの追加の罰則を支払う必要があるため、節税しようと思ったら思わぬ追加税金を支払うことになります。また法人については設立しているだけで法人住民税の均等割が発生したり、固定資産を保有している場合は事業用資産として償却資産税の対象になりますので、法人として結果損益が0円だったとしても税額が課せられてしまうのです。

このように安易にマイクロ法人を設立して節税しようという行為は非常にリスクが高く危険な行為であり、結果としてペナルティを受けて追加税額を支払う可能性もあります。コストを下げたいという目的が逆の結果を生む可能性もありますので、必ず税理士を活用するかどうかを検討しましょう。マイクロ法人の前提としては複数事業を営んでおり、マイクロ法人に収益・費用を計上することが合理的な場合でありますので、しっかりと論拠を作った上で結果として節税する、これが基本となるでしょう。これを実施するためには素人知識では相当ハードルが高く、税理士の専門的なアドバイスが必要です。本やインターネットの情報は、情報そのものが網羅されていなかったり、専門家が書いていない可能性があったり、税法が改正されていて情報そのものが陳腐化しているケースがありますので、安易に本やインターネットの情報に基づいて確定申告をすると、結果損失を負うケースもあります。

副業において税理士は必要か?

また、副業で時間がない場合に税理士へ依頼するべきか自分で対応すべきかというケースにもお答えしていきます。最近は副業をやる方も多くなってきて、副業収入が本業と同等、もしくはそれ以上になっているケースも珍しくはありません。副業目的のためにマイクロ法人を設立してその法人で事業運営を行うということもあるでしょう。まず税理士要否の視点としては、副業+税務処理にかける時間と、副業−税理士コストで残る利益を勘案してどちらかが投資対効果が良いかということです。ご自身で税務申告を行うということはマイクロ法人についてもご自身で確定申告を行うことになりますので、簿記の知識と法人税、法人住民税及び法人事業税の確定申告書作成の知識が最低限必要になってきます。消費税課税事業者の場合には、これに加えて消費税申告の知識や帳簿付の知識、さらに従業員を雇用している場合は年末調整や法定調書に関する知識、そして固定資産(土地や建物を除く)を保有している場合には償却資産税申告に関する知識など、幅広い知識を求められることになります。

このような幅広い勉強に時間をかけてまでマイクロ法人の確定申告を行いたい場合には良いですが、これに時間をかけているぐらいなら、専門家である税理士へ依頼することを検討すべきかと思います。法人の場合は個人の確定申告と違って作成する書類の種類も多いため、確定申告そのものの難易度が極めて高いのです。税理士へ支払うコストを抑えないと法人が赤字になってしまうという場合には、そもそもマイクロ法人を設立すべきかどうかの検討からもう一度考えた方が良いでしょう。先述の通りに、安易にマイクロ法人を設立して節税を行う場合、重たいペナルティや思わぬ課税を負担するケースがあるので、節税も含めてマイクロ法人を設立したい場合には十分に個人として利益が出ていて、今後法人設立も含めて検討したい、もしくは法人を設立してしっかりと法人の事業を伸ばしていきたいというケースに絞って考えると良いでしょう。

自社で経理を雇う場合とどちらが良いか?

自社で経理人員を採用して決算から確定申告の作成・提出をしてもらうケースもあると思いますが、こちらは会社の今後の拡大志向や現状の規模によると思います。まず今後上場を目指すなど拡大することを前提としており、きっちりと社内で経理業務・決算作成業務を完結したいという法人については自社で経理人材を採用して育成していく選択肢がベストかと思います(マイクロ法人の場合には、このケースはあまり当てはまらないと思いますが、ご参考までに)。特に上場にあたっては内部統制など業務が適切に行われているかどうかを監督するルールがありますので、全部税理士に丸投げしていて全くわからないという状況では上場はできません。自社で全体像を把握し業務のどの部分を税理士へ依頼しているか、成果物のチェックはどのように行なっているか、などをしっかりと整える必要があるため、このような法人は必ず経理人員が社内に必要となってくるのです。

また、一定の規模(数十名以上の社員がいる会社を想定)以上の法人については、経理人員を採用した方が結果コストが安くなる可能性があります(こちらについてもマイクロ法人のケースは当てはまらないと思いますが、ご参考までにお読みください)。税理士事務所や税理士法人依頼できる仕事は記帳や税務が前提となってしまうため、たとえば給与計算や社会保険になると社労士と連携しているもしくは社労士ライセンスも持っている事務所であれば対応可能ですが、それ以外ですと給与計算は事務所によって対応できても社会保険の届出は税理士のライセンスではできませんので、対応ができなくなってしまいます。また会社登記など登記に関する実務については司法書士しか対応ができませんし、行政に届ける書類の作成代行は行政書士になりますので、このように業務の対応範囲が事業が大きくなって広がってくると、税理士事務所や税理士法人だけでは対応が難しくなってきます。このような場合、顧問先の税理士や税理士法人と提携している他の士業にサービスを提供してもらうか、もしくは自社で新しく士業を見つけるかになりますが、作業内容によっては自社で経理人員を雇って経理以外の周辺業務として仕事を任せた方がコストが結果やすくなり、作業も効率的になることがあります。

ここまでは自社で経理人員を採用して経理及びその周辺業務をおこなってもらった方が良いケースについて紹介をしてきましたが、上記以外の場合は税理士や税理士法人へ依頼をしてしまった方が効率的だと考えております。なぜなら、経理人員を雇うためには、そもそもまず募集にかかる広告費やそこに充てる人件費が発生してしまいます。経営者自ら採用するにしてもその時間本業に使えたはずなので、それもコストと見ることができるでしょう。また、経理人員も募集内容を的確に設定しないと、意図した人とずれた人を採用してしまい、結果十分に成果を発揮できない、もしくはすぐに辞めてしまってコスト負担だけが残った、もしくは教育が必要で教育に必要なコストや周囲の時間を使ってしまったなどのデメリットが生じる可能性があります。経理の経験というのは非常に幅広いので、経理経験がない経営者が募集要項を的確に作成し、その要項にあう人材を採用するのはかなり難易度が高いといえるでしょう。また、そもそも経理の内容がわからないため、仮にその人がミスを発生させていたり、誤った方向に行っているとしても気づかない可能性が高いので、採用するリスクもそれなりにあるということをご認識いただいた方が良いと思います。

ここで税理士や税理士法人を活用する場合には、記帳や税務を生業としている専門家なので、安心して依頼することができますし、その周辺で税理士や税理士法人で対応できない点については的確な専門家を紹介してもらうことが可能となります。また税理士によって基本的な質は担保されていますので、出来上がった確定申告書などの正確性をあまり気にせず進めるのがメリットと言えるかと思います。また契約期間は原則1年ですので、仮に相性が合わない、料金と仕事が見合わないなどがあった場合には、税理士を自由に切り替えることも可能なので、その点雇用している場合よりも自由度が高いと言えます。また月額の報酬についても税務顧問や記帳代行と業務別に金額を支払うことになりますので、仕事をしてもらった分のみに金額を支払うことが可能ですが、雇用した場合には仮に仕事がなかった場合でも労働契約に従って給料を支払う必要があるため、適切に経理人員が活用できない場合はむしろ割高になってしまうケースがあります。

結論としては、スタートアップで上場を目指すような法人もしくは一定規模以上あって経理人材を専門で採用した方がコストが安くなるような法人にとっては経理人材を採用することを基本として検討し、それ以外についてはまず税理士や税理士法人を活用することを念頭におくことで良いのではないかと思います。

マイクロ法人は無申告でも良いか?

マイクロ法人であっても法人であることには変わりないので、法人税申告の対象となりますし、当然法人住民税や法人事業税そして消費税の課税事業者であれば消費税の申告書など、必要とされる税務申告書は全て作成・提出が必要となってきます。マイクロ法人だからと言ってその辺りが免除されるわけでもないですし、マイクロ法人は売上や利益がほとんどないから大丈夫などというのは大きな間違えですので、しっかりと申告をするようにしましょう。先述しておりますが、マイクロ法人で税務申告書を提出しない場合には多くのペナルティーを受けることになりますので、結果として支払う税額が大きくなるケースもあります。

ペナルティーとして大きいのは、まず加算税です。こちらは無申告だった場合通常の税額に追加して税金を支払うことになります。税金を支払いたくないから申告書を提出しなかったという結果、より多額の税金を支払うことになる典型例です。また、この加算税に付随して発生するのが延滞税です。要は本来支払うべき期日から遅れて納税をしているため、そこまでに発生した利子を支払うという内容のペナルティとなります。これらに加えて大きいのが青色申告の取り消しになります。青色申告は赤字の場合、繰越欠損金の形で赤字を10年繰越可能だったり、30万円未満の資産を1年内で償却可能だったり、その他様々な税制上の特典を得ることができたりと、かなりメリットが大きいのですが、こちらが取り消されてしまうケースがあります。取り消されたあとは一定期間青色申告の適用対象となることはできないので、さらにペナルティが加算されてしまうのです。

このようにマイクロ法人であったとしても無申告によるペナルティは非常に重たいため、必ず税務申告は作成・提出するようにしましょう。無申告の相談なら当事務所へ、という記事でさらに詳細を解説しておりますので、よかったらぜひこちらも参考にしてみてください。

マイクロ法人に強い税理士の探し方

ではマイクロ法人に強い税理士をどのように探せば良いのでしょうか?

1つ目は知り合いから紹介してもらうことです。信頼している方からの紹介であれば、安心感があるかと思います。一方で、相性が合わない場合などは紹介をしてもらった手前、なかなか断りづらいという点があると思います。

2つ目はインターネットで検索するです。ご自身が住んでいる地域で検索すると税理士のホームページがインターネット上に出てくるはずです。最近の税理士のホームページは料金体系や強み、サービスの範囲など記載内容が充実しておりますので、その中でご自身のニーズに合った税理士と面談して決められるという方法はあるかと思います。

3つ目は税理士紹介サイトです。こちらもインターネット経由ですが、直接税理士へ問い合わせるのではなく紹介サイトのコーディネーターにご自身のニーズを伝えて、複数名の税理士を紹介してもらう流れになります。一般的に依頼者側は費用がかかりませんので、安心して利用することが可能です。税理士紹介サイト以外にも会計ソフト会社で税理士を紹介しているケースもあります。

事業拡大のために法人化を検討したり、個人事業主として取引が増えてきた経営者が、マイクロ法人に強い税理士を選ぶ際のポイントとして、

①マイクロ法人への理解がある
②気軽に相談できる、質問への回答が早い
③コミュニケーションをとった際の相性が良い
④客観的なアドバイスをしてくれる、信頼感がある(費用に見合った価値を感じられるか)
⑤全国対応しているか

などコミュニケーション面を重することが多いようです。

マイクロ法人に強い税理士の選び方

経営者が税理士を検討するためのポイントとして挙げられるものは、①税理士へ支払う費用、②税理士との相性・税理士の経験、③個人事業・法人を今後どれぐらい拡大していくか、④経営者自身で経理業務を行うかどうか、と思います。

①税理士へ支払う費用についてはわかりやすいですが、税理士に依頼することで確保できる時間や効果を勘案した際に、費用対効果があっているかどうかです。単純に数字的な効果だけでなく、税理士に任せているという安心感や本業に集中できるという時間確保の面もあるため、一概に数字面の費用対効果で考えるものではないかと思います。税理士の一般的は相場については後述します。また、税理士によっては管理会計やキャッシュフロー管理が得意な税理士もいるため、経営相談の一環でそのような視点からのアドバイスを求めることも可能です。特に店舗型の業態などを事業として展開している場合、今どのような原価率になっているか、売上の推移はどのようになっているか、コストとして重たいところはどこか、むしろコストカットできそうなポイントはどこか、さらにキャッシュフローの状況は大丈夫か、借入は必要かどうか、など管理の視点でビジネスを見ることが非常に重要になってきます。この点、なかなか数字分析をしたことがない経営者だと独力でこのような分析をおこなってアクションにつなげることは難易度が高いと思われます。この点、常に数字を見ている税理士だからこそ、数字視点でビジネスへのアドバイスを提供することが可能なのです。このような観点からも税理士を活用できることを考えると良いでしょう。

②税理士との相性・税理士の経験、については中長期のおつきあいになるのである程度経営者の事業に対する理解があり、かつ経営者ご自身と相性の良い方を選んだ方が良いかと思います。相性は多くの税理士と面談して決めていくしかないかと思います。特にマイクロ法人の場合、マイクロ法人を経験したことがある税理士だとベストでしょう。マイクロ法人については前述の通り、節税だけを目的として設立した法人は税法上や社会保険法上など到底認められるものではありませんし、結果的にペナルティを受ける可能性すらあります。経営者としてはなるべくいろいろな仕組みを使って税金を安く済ませたいというインセンティブが働くと思いますが、合理的な目安は必ず必要になってきます。そこで税理士のアドバイスを受けることで経済合理性をしっかりと説明ができる形で経営者の意図を達成することができるのです。

③個人事業・法人を今後どれぐらい拡大していくか、は①とも関係してきますが、現時点での業績だけで判断するのではなく今後事業を拡大予定であり、経理や税金周りの業務が複雑になることが見えているのであれば税理士へ依頼することも一案となります。特に法人設立を行なった場合、たとえそれがマイクロ法人だったとしても記帳を含む処理は大変複雑になってきます。個人事業主でかつ白色申告の場合は作成する帳簿も少なく確定申告書もシンプルなので、この感覚で法人経営を行おうとすると、その数倍もの作業ボリュームが発生することに気づくはずです。特に一般的には青色申告で法人税等の申告は行いますので、まず帳簿作成については税務調査でもしっかり見られることになります。なお帳簿を要件通りに作成していない場合には、最悪青色申告の取り消しになりますので、ご留意ください。また法人税の申告書を作成するにあたっては帳簿の作成だけでなく、正確な貸借対照表と損益計算書のいわゆる決算書を作成する必要があります。なぜなら法人税の確定申告書はこの決算書を修正することで作成することになるからです。また決算書は必ず株主総会での承認が必要となってくるため、マイクロ法人であったとしても議事録の作成等は必要になってくるのです。このように法人税の確定申告ひとつとっても非常に膨大で大変な作業になりますので、プロである税理士へある程度拡大してきたらお願いするのが効率的で本業に集中できると言えるでしょう。

④経営者自身で経理業務を行うか、については①の時間確保とも絡んできますが、税理士と契約しないということは経営者ご自身で確定申告書を作成・提出することになるため、それに必要な勉強を本業と並行して行うことになるということです。時間は有限のため、本業に集中して事業を拡大することを優先する方が、結果としては良いのではないかと思います。

マイクロ法人に強い税理士の費用相場

マイクロ法人が税理士へ依頼する際に、2つの方法があります。1つ目は、税務顧問として税理士と契約して1年を通して税務アドバイスをもらいながら、決算期末には決算書の作成と確定申告書の作成・提出を依頼する方法です(ケースによっては記帳代行も税理士へ依頼します)。2つ目は、決算申告のみを決算期末に税理士へ依頼する方法です。この場合、決算期末前の期中については税務アドバイスを税理士からもらうことはできず、決算申告のタイミングで併せて税理士と相談しながら確定申告を進めていくことになります。

決算申告のみを税理士へ依頼する場合の費用として、概ね20万円〜となるケースが多いように思います(年商や業種などによって最低料金は当然異なってきます)。もちろん、取引数や取引の複雑性によっても報酬金額は変わってくるため、必ず全ての方が20万円〜ということはないことにご留意ください。

仮に顧問契約で年間の契約を結んでいたとしても、一般的な税理士との契約では月額の顧問料報酬と、決算申告は別途料金が課されることが多いです(顧問料報酬の数ヶ月分ということが多いかと思います)。この場合、決算申告のみを依頼するよりも顧問契約している決算申告の方が安いことが多いです。月額顧問報酬についても、業種や年商、取引数などによって大きく異なりますが、概ね2〜3万円以上で決算申告料金が15万円〜という場合が多いように思われます。以下、税理士の値段が決まるメカニズム等について解説していきます。(税理士の相談料については「税理士の相談料はいくらが適正か?」の記事もご参照ください)

税理士の値段:価格が決まる要因

税理士の値段ですが、統一的なものはなく、個々の事務所によって異なるのが実情です。ではどのような要因で値段が変わってくるのかですが、いくつか値段を決定する要素があります。

まずそもそも税理士の値段の体系ですが、月額の税務顧問料と年末の確定申告料金が基本料金としてあり、これに加えてオプション料金が加算される仕組みになっています。まず基本料金部分ですが、顧客の難易度や取引量によって異なってくることが多いです。どのようにこれを図るかというと、一番多くのパターンは業種と年商で値段を決めていることが多いです。例えば業種でいくと、物を取り扱わないサービス業よりも固定資産や在庫を抱える製造表の方が処理が複雑化するのと同時に取引量も増えるため、価格は上乗せされる傾向にあります。また年商についても一般的に同じ業種であれば年商が大きい方が取引量は多く、処理も複雑化し難易度が上がるため、価格は上乗せされる傾向にあります。

続いてオプションですが、例えば帳簿作成を行う記帳を税理士に代行してもらう場合は税務顧問と別途値段が加算されることが多いです(一般的には月額で支払)。また、確定申告以外の作業、例えば年末調整や償却資産税なども申告等を税理士へ依頼する場合には、追加で料金がかかることが一般的です。オプションについても価格の決まり方は基本料金と同じで、作業量が多くなってくると値段は上がりますし、取引の難易度が上がると値段は上がることになります。

また、基本料金に何が含まれているかについても税理士によって異なっておりまして、例えば税務関係の届出は基本料金の範囲に入っているが、資金調達や補助金のサポートなどは別途オプションとなるような場合です。必ず契約前には基本料金にはサービスとして何が含まれていて、何がオプションになるのかは確認された方が良いでしょう。

税理士の値段:一般的な相場感

歯科医師が税理士へ依頼する際に、2つの方法があります。1つ目は、税務顧問として税理士と契約して1年を通して税務アドバイスをもらいながら、決算期末には決算書の作成と確定申告書の作成・提出を依頼する方法です(ケースによっては記帳代行も税理士へ依頼します)。2つ目は、決算申告のみを決算期末に税理士へ依頼する方法です。この場合、決算期末前の期中については税務アドバイスを税理士からもらうことはできず、決算申告のタイミングで併せて税理士と相談しながら確定申告を進めていくことになります。

決算申告のみを税理士へ依頼する場合の費用として、概ね20万円〜となるケースが多いように思います(年商や業種などによって最低料金は当然異なってきます)。もちろん、取引数や取引の複雑性によっても報酬金額は変わってくるため、必ず全ての方が20万円〜ということはないことにご留意ください。

仮に顧問契約で年間の契約を結んでいたとしても、一般的な税理士との契約では月額の顧問料報酬と、決算申告は別途料金が課されることが多いです(顧問料報酬の数ヶ月分ということが多いかと思います)。この場合、決算申告のみを依頼するよりも顧問契約している決算申告の方が安いことが多いです。月額顧問報酬についても、業種や年商、取引数などによって大きく異なりますが、概ね2〜3万円以上で決算申告料金が15万円〜という場合が多いように思われます。

業界が複雑な場合は取引やオペレーションが他の業種等と比較して複雑になる傾向になることから、上記の水準よりももう少し高くなることが予想されます。おすすめとしては、やはり顧問税理士契約を締結することにより定期的に税制面でのアドバイスを受けられるようにしておくことです。

上記に加えて相続税の相場についても解説します。概ね相続対象となる遺産総額の0.5~1%が税理士へ支払う値段だと考えると良いでしょう。ただし税理士の値段設定としては遺産総額の規模別に固定金額の料金を基本料金として設定しているところが多いようで、この基本料金も相続人の数や相続財産の複雑性などの難易度によって変わってきます。

税理士の値段:その他

上記以外に値段の考え方として、①初回面談料金、②時間単価チャージ制度、③成功報酬、④コンサルティングフィー、などがあります。①については初回面談は無料なことが多いですが相談の内容によっては有料になるケースもありますので、事前に確認をしておくようにしましょう。②については一般的にはあまり発生しないかと思いますが、顧客が大手だったりすると時間単価でいくら、と設定してこれに稼働した時間をかけて請求する時間単価制というものがあります。③の成功報酬は例えば税理士が介在することで節税できた部分に対して一定割合を成功報酬として支払うパターンです。この場合でも固定で支払う部分と成功報酬で支払う部分の2つに分かれているケースもあります。④については、具体的に法人化の支援やM&A/事業承継、経営相談、資金調達・補助金サポートが挙げられます。内容によって固定金額だったり成功報酬だったりします。

税理士の値段の例

下記では仮に当事務所が受注する場合の値段を使って税理士の値段の例を記載していきます。

当事務所の場合は、月額顧問報酬と決算申告報酬を基本料金としており、決算申告報酬は年1回支払うものとなっております。値段の決め方ですが、年商によりまずは値段の最低料金を算出しており、そこから業種や顧客の特殊事情により個別に見積もりを行わせていただいております。例えば、年商が1500万円の法人であれば(当事務所は法人も個人事業主も同じ値段となっております)月額報酬3万円の決算申告報酬が15万円になるため、年間の支払総額は基本料金で51万円となります。

上記に加えてオプションを使われる顧客にはオプション料金を加算しております。具体例として記帳代行については、月額2万円より(年商、業種、取引量に応じて個別見積もりとさせていただいております)承っており、例えば上記の事例ですと、2万円の12ヶ月分になりますので24万円が加算され、年額が75万円となります。年末調整や固定資産税の申告をご依頼されたい方は、別途オプション利用となります。

会計士と税理士の違いについて

税理士に似た士業で公認会計士というものがあります。公認会計士と税理士は一般的に混同されがちですが、何が違うのでしょうか?まず、公認会計士は登録することで税理士になることが可能です(税理士のみの資格では公認会計士になることはできません)。公認会計士は会社が作成する財務諸表の監査・IPOアドバイスを行うことが本業であり、公認会計士のみの登録の方については、税務申告の作成代行や税務相談、税務申告を行う税務代理を取り扱っていません。一方で公認会計士と税理士の両方を登録されている方については、税務申告の作成代行や税務相談、税務申告を行う税務代理を取り扱っています。公認会計士でIPOをコンサルティングやスタートアップで経験されている場合は、スタートアップ企業にとってその視点からのアドバイスを受けることも可能なので、スタートアップ企業にとっては、両方のサービスを同時に受けられるという点でメリットがあると言えます。

税理士と税理士法人の違いについて

よく税理士の事務所で見かけるのが、会計事務所や税理士法人などの表記ですが、これは何が異なるのでしょうか?まず会計事務所については個人で税理士が経営している小規模な事務所であることが多いです(一般的なイメージはこれですが、たまに会計事務所と記載はあるものの税理士法人の場合もありますので、必ずこのパターンに当てはまるわけではありません)。また、会計事務所と税理士事務所という表記がありますが、これは同じく税理士が運営している事務所になりますので、実質的な意味合いの違いはありません。

次に税理士法人ですが、これは複数の税理士が共同で経営をおこなっている税理士の事務所になります。イメージとしては会計事務所や税理士事務所よりも規模が大きいことが多いです。大手の会計事務所は基本的に税理士法人の形式をとっています。

では、会計事務所(/税理士事務所)もしくは税理士法人どちらに頼むのが良いのでしょうか?表記で選ぶというわけではありませんが、事務所もしくは法人の規模が大きいほど、難易度の高いもしくは複雑、海外が絡んでくる税務を扱っているケースが多いです。その場合料金は一般的な事務所よりも高くなる傾向にありますので、通常の顧問報酬や確定申告料金も高くなる傾向にになります(そもそも、このような事務所や法人は小規模な個人や法人の顧客をあまり持っていないので、小規模用の値段設定がないケースがあります)。

逆に事務所もしくは法人の規模が小さくなるほど、小規模な個人や法人を中心にサービスを提供しているケースが多いため、値段も小規模な個人や法人でも支払い可能な設定になっていることが多いかと思います。小規模な会計事務所の場合は、税理士1名でスタッフが数名というケースが多いです。

以上のように会計事務所もしくは税理士法人の規模にとって主に扱っている税務サービスが異なってくるため、税理士と顧問契約をしようと思っている個人もしくは法人の経営者については、まずご自身がどのようなことを依頼したいのかを整理した上で、さまざまな税理士にアプローチすると良いでしょう。

マイクロ法人に強い税理士

マイクロ法人に強い税理士について書いていきます。まず、顧客の声として、マイクロ法人は法人の設立から不安である、設立費用はなるべく安く抑えたい、マイクロ法人に強い税理士が良い、税務顧問・税務申告だけでなく相続や贈与にも対応してほしい、オンラインで全国に対応してほしい、記帳代行にも対応してほしい、などです。

「マイクロ法人 税理士」で検索するとさまざまな税理士が検索できますが、主に下記のような事務所様が出てきます。

まず最初は菊池会計事務所様です(https://kikuchi.tax/)。マイクロ法人に強いようで、マイクロ法人パッケージをお安い価格で提供されております。節税のシミュレーションや全国対応、融資や補助金にも対応しているなど、幅広くマイクロ法人をサポートされております。

次に、田口通税理士事務所様です(https://kitaku-sogyoyushi.com/news/news-4644/)。総合融資をサポートされている事務所様で、マイクロ法人にも強いようです。融資以外にも補助金や会社設立など幅広くサポートをされているので、マイクロ法人をこれから設立検討されている方にはおすすめかと思います。

最後に、植村会計事務所様です(https://plagger.org/micro-corporation-tax-accountant/)。特にネットビジネスに強いようで、会社設立前後の手続きから、資金調達のサポート、事業計画の策定など、幅広くサポートされているようです。

以上、マイクロ法人に強い税理士を検討するポイントについて記載をしてきました。皆様もこちらの記事を参考に、税理士探しにお役立てしてください。

税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者

宮嶋 直  公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。