本記事では、海外が絡む税務問題について海外に強い税理士を探している方を対象にしています。具体的に、国際税務の対象になる方はどのような方か、海外が絡む税務とはどのような内容か、税理士を探すにあたってどのようなサービスだとどのぐらいの費用が適正なのかについて記載します。
本記事を読んでいただくことで、税理士をつけるかどうか迷っている方が、税理士と相談できる内容を明確に理解するとともに税理士と契約する際に適正な費用の水準を理解し、税理士を選ぶ判断軸を得ることができた上で、税理士と契約するかどうかを判断することができるようになります。
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海外に強い税理士を探す方法
- 海外が絡む税務:国際税務とは何か?
- 国際税務とは具体的に
- 国際税務の対象になる人
- 国際税務に対する需要の高まりについて
- 海外税務のうち所得税・法人税・相続税とは?
- 海外税務のうち海外資産の所得税申告とは?
- 海外税務のうち外国税額控除とは?
- 海外税務のうち租税条約とは?
- 海外税務における移転価格税制とは?
- 海外税務のうちタックスヘイブン課税とは?
- 海外税務のうち過少資本税制とは?
- 海外税理士ネットワークとは?
- 海外・国際税務サービスの具体例
- 海外・国際税務サービスにおいて税理士の具体的なサポートとは?
- 海外に強い税理士を活用するメリット
- 海外・国際税務に強い税理士は少ないのか?
- 海外に強い税理士の選び方
- 海外に強い税理士選びで失敗しないポイント
- 海外に強い税理士を探すタイミング
- 海外に強い税理士を探す方法
- 海外税務におけるリスクと対応策
- 海外に強い税理士と契約する際の料金
- 国際税務以外で税理士へ依頼できること
- 会計士と税理士の違いについて
- 海外に強い税理士を探す
- まとめ
海外が絡む税務:国際税務とは何か?
海外に絡む税務とは漠然としてますが、税法にはそれぞれの国によって異なるルールが設けられています。日本であれば所得税法や法人税法になりますし、米国であればまた別の税法が設けられています(日本で言う所得税や法人税に類似した税法が設けられています)。世界で共通の税務というものは存在せず、世界で認識を合わせたガイドライン的なものは存在しておりますが、あくまでもガイドラインですので、その趣旨を踏まえて各国独自の税務ルールが法律として適用されるわけです。
では税法のルールが各国で異なることによってどのような弊害が発生するのでしょうか?一番大きいのは、税法のルールが異なることで1国では発生しない追加的な税金が発生するいわゆる2重課税の問題が発生することです。例えばA国で税金を取られた後で、B国でさらにその残額に対して税金を課されるようなケースです。A国・B国とも別の法律になりますので、何もしなければこの2重に課税された税金は永遠に解消されません。そのため経営者としては余計に税コストを負担することになります。このような2重課税を排除するために、租税条約を2国間もしくは他国間で締結することで2重課税を排除するためのルールを適用するわけです。
このように海外が絡む税務というのは非常に複雑でかつ複数国の税法の適用を受けてしまうため、税コストと負担が大きくなりがちです。特に海外での取引が多くなると、その分だけ税負担は大きくなることが予測されるでしょう。このように海外が絡む税務を国際税務と一般的に呼んでいます(国際税務という税法はなく、所得税や法人税法に規定されているルールを総称した内容です)。
国際税務とは具体的に
国際税務とはまず何かから説明いたします。、国際税務とは海外の取引が絡んでくる税務のことで、大きく大別すると、移転価格に関するものか、その他のものなのかによって税理士の専門性が異なってきます。移転価格とは、近年国際税務の中でも注目を浴びている分野で、海外に子会社等を持っている企業について親会社と子会社との取引が行われる場合に、その取引価格が所在する両方の国からして適切なものなのかを問われる税務となります。具体的には、その取引価格が妥当であるというのを経済的に分析を行い文章化することで課税当局に対して説明を行うものとなります。2国間の課税関係になるため、必ず海外の課税当局も絡んでくること、必要に応じて海外の現地税務プロフェッショナルを活用するため英語等の日本語以外の言語での対応が必要になってくること、追徴を受ける場合比較的に金額が多額になるやすく税務インパクトが大きいこと、などが特徴として挙げられます。海外に拠点を持っているという前提なので、個人事業主はまず対象にならないのと、法人の中でも一定規模以上の年商がある企業が対象になってくると思いますので、対象となる企業は絞られてくるかと思います。
移転価格以外(こちらを本記事では国際税務と呼ぶことにします)については、所得税・法人税で規定されている国際税務周りの税法が対象になってきますが、まずはインバウンドなのかアウトバウンドなのかでまずは大別されます。インバウンドとは例えば外資系などの日本国内の企業以外が日本国内で会社を設立もしくは会社を設立せず事業を行う場合に検討すべき課税関係のことです。アウトバウンドとは、日本の企業が海外に進出する際に検討すべき課税関係のことです。これらの課税についても日本と進出先もしくは進出元の国双方の税法が関係してくるため、必ず2国間の課税関係が発生します。
国際税務の対象になる人
国際税務について、ご自身は関係ないと思われる方も多くいらっしゃると思いますが、ビジネスがグローバル化してきているのとインターネットを活用して手軽に海外との取引ができるようになってきたため、少しでも海外との取引がある場合は国際税務の範囲内となります。これは個人事業主でも発生する可能性があります。例えば、個人で海外の企業とのコンサルティング契約を締結する場合、それは海外取引になりますので、国際税務の問題が必ず絡んできます。より具体的には、現地で法人を設立せず取引を行なっている場合には、実質的に拠点を持って取引を行なっているPE課税の適用になる可能性がありますし(この場合、現地の法律に基づきますが、現地で企業を持ったのと同じような形で税務申告を求められます)、PE課税にならなくても売上金を収受する際に現地で源泉徴収義務がある場合は、日本でもそれに対してさらに所得税を課されるいわゆる2重課税を受ける状態になってしまいますので、外国税額控除という形で2重課税を排除する必要があります(全て控除できるわけではなく、日本の税法と現地の課税の実態に照らして控除できるものが限定されます)。さらに、日本国に居住しておらず海外の居住者となる場合は、海外での現地法での税務申告が必要となり、一方で日本国内で不動産などの所得を有している場合は居住しているかに関わらず確定申告を行う必要があります。
上記は個人もそうですが、法人でも同じ論点が発生します。特に法人の場合、出向者を現地に派遣する場合には日本の所得税計算及び現地での税金計算等に留意する必要があります。法人の場合は、取引金額も大きくなることから国際税務による税務インパクトは個人よりも大きくなることが多いかと思います。
このように大きな法人から個人で小規模にビジネスを行うケースでも海外との取引が発生、もしくは海外に一定期間在住していると国際税務の問題は必ず発生するため、国際税務の対象となる方は想像よりも多くなるでしょう。
国際税務に対する需要の高まりについて
国際税務に対するニーズは年々高まりつつあります。過去は輸出中心の日本でしたが、日本の人件費高騰に伴い、徐々に海外生産及び海外から直接販売にシフトをしていきました。そのため、海外拠点設立企業が大幅に増えてきました。最近では大きな伸びというよりはある程度安定的に海外進出数が推移しているように見えますが、日本の中の人口が減っていくことが予想される中で、各企業としては新しいマーケットを見つけるために売上拡大の施策として今後も海外へ進出する企業数は増加することが想定されます。
海外税務のうち所得税・法人税・相続税とは?
海外税務における所得税や法人税についての基礎について解説していきます。海外税務は所得税や法人税の一論点として生じるものになります。そのため海外税務が発生した場合には、必ず所得税申告や法人税申告と関連してきます。また、国内だけでなく海外に財産を保有している場合でも、個人に対して相続税が課せられることになります。一定の要件を満たすことで課税の対象外となりますが、原則は海外の財産にも相続税や贈与税が課せられることになるのです。
海外税務のうち海外資産の所得税申告とは?
海外税務において、個人の方が海外に資産を保有している場合、先述した相続税や贈与税の論点も発生しますが、海外現地でも税金を課せられる可能性があります。その場合は、海外での課税に留まらず、日本国内でも課税される可能性があり、日本と海外両方で2重課税が発生する可能性があります。その場合、後述する外国税額控除制度が出てきます。
海外税務のうち外国税額控除とは?
外国税額控除とは、海外で支払った税金について国内で納める税金の金額から控除することができる制度になります。なぜこのような制度があるかというと、日本の居住者の場合、国内で発生した所得も海外で発生した所得も全て合算した上で日本の所得税・法人税を課されることになります。この場合、海外で収めた税金については日本と海外で2重に税金が課されることになり不利になります。そこでこの不利を解消するための仕組みというのが、この外国税額控除というわけです。
海外税務のうち租税条約とは?
海外税務のうち、租税条約とはどのようなものでしょうか?租税条約とは、2国間以上で税金の取り決めについて合意した内容を記したものになり、2国間に跨る税金の問題はこの租税条約に基づいて解決することになります。先ほどご説明した外国税額控除のように、2国間以上のそれぞれの税ルールが異なる影響で、所々2重課税になってしまう場面が出てきます。これを国が放置した場合、納税者としては過大な税負担を負うことになり国際ビジネスの妨げになってしまうため、国同士がルールを定めて課税が公正になるようにしたものが租税条約ということになります。
海外税務における移転価格税制とは?
海外税務のうち移転価格税制とは、グループ企業間で取引を行う場合で片方の企業が日本、もう一方の企業が海外にある場合、その取引に関して適切な利益が計上されていない場合に課税される可能性のある税制を移転価格税制と言います。極端な話、税金が安い国に存在している企業へ利益をたくさん計上し、そうでない国の利益を小さくすることで、グループ全体での利益を小さくすることができてしまいます。このような操作を防止するために設けられているのが移転価格税制になります。
海外税務のうちタックスヘイブン課税とは?
続いてタックスヘイブン課税です。これは、低税率な国に拠点のある企業に適用される税制で、低税率な国の所得を日本の税法であれば日本の法人に合算して計算することで追加的な税金を支払う制度となっています。低税率に拠点があるからといって必ずしも合算対象となるわけではありません。特にグローバルに拠点を持っている法人には影響の大きい規定と言えるでしょう。
海外税務のうち過少資本税制とは?
過小資本税制という制度があります。これは例えば外資系企業で日本国内に子会社などの拠点を持っている場合に日本国内の拠点に適用される制度です。これは日本国内の拠点の資本構成を支払利息の損金算入を最大化する目的で多額の借入でまかなっている場合に、一定金額について支払利息に関する損金の算入を認めないとする制度です。インバウンド企業全般に当てはまるルールです。
このように国際税務と言っても、非常にルールが多岐にわたっており、かつ複雑です。そのため国際税務を検討するにあたってはほぼ確実に税理士の関与が必要となってくるでしょう。以下は海外に強い税理士の活用方法について説明を行っていきます。
海外税理士ネットワークとは?
大手会計事務所のように、同じブランドで展開している税理士法人があります。これはどのような仕組みかというと、それぞれの国ごとの採算は別会社として独立採算ですが、サービスを提供するにあたっての内部ルールやITツールなどが共通化されていたり、当然大手会計事務所の顧客は日本でも最大手の顧客が多いため、海外展開をしている背景から同じブランドで同じクオリティのサービスを全世界で受けられる(海外で展開する日本企業の場合は日本の税理士法人がサポートしながら海外現地の法人のサービスを提供します)メリットがあります。
大手以外にも中堅の海外ネットワークもあり、大手会計事務所よりは料金を落としてサービスを提供しています。小規模な税理士法人や税理士事務所になると、常時海外と同ブランドでネットワークを構築しているわけではありませんが、海外現地の最適な税務プロフェッショナルを見つけ、協力して顧客の課題を解決していけるノウハウと経験がある点は大手や中堅とは大きく異なりませんので、中小企業で海外税務に困っている方にとっては海外税務に強い小規模な税理士法人や税理士事務所を活用することはメリットがあると言えるでしょう。
海外・国際税務サービスの具体例
海外の税務サービスについては、大きく3つのサービスが提供されていることが多いです。なおここでは、海外に一定規模以上の拠点を構えて展開する日本企業は想定しておらず(この規模になると、前述の中堅の海外ネットワークを持った税理士法人に依頼することが多いと考えられるため)、それ以外の顧客を想定して記載していきます。
税務顧問及び確定申告書
まず1つ目が、日本に住む外国人のための確定申告書です。原則、外国人であっても国内に居住している限り、確定申告を行う義務を負っておりますので、そのサポートをサービスとして展開していることが多いです。また確定申告書の作成にあたっては通常税務アドバイスを定期的に提供することになりますので、税務顧問サービスを併せて提供することになります。
海外在住者向け税務顧問及び確定申告書
2つ目は、海外に居住している日本人で日本において確定申告が必要なケースの申告代行です。例えば日本に不動産を賃貸しておりその収入がある場合などが当てはまります。この場合、海外から確定申告はできませんので、日本に帰国して確定申告を行うか、税理士へ依頼するかの2択となります。このように自身以外の第3者へ税務申告及び納税の代理を行うことを納税管理人制度と言います。
経理アウトソーシング
3つ目は、日本に拠点を構える外資系企業の経理アウトソーシングです。外資系企業は日本よりも事務系の業務をアウトソーシングすることが一般化しております。特に経理については主要な部分を除き海外拠点は会計事務所へアウトソーシングすることが多いです。
海外・国際税務サービスにおいて税理士の具体的なサポートとは?
では、海外税務において税理士の具体的なサポートとはどのようなものになるのでしょうか?前述の一般的なサービス内容踏まえて整理をしていきます。
まずは確定申告については、年1回行われる個人向けの確定申告書の作成及び提出の代行、もしくは法人向けの確定申告書の作成及び提出の代行です。外国人向け(駐在等で来られている方など)、海外在住日本人向け(不動産所得を国内でお持ちの方)などもあれば、日本の居住であるが海外に不動産があるなどや、最近多いのは海外で発生した収入や経費がある場合などが挙げられます。
次に確定申告に付随しますが税務顧問です。こちらは日々発生する取引の中で海外税務に関するものの税務相談となります。そのほかにも記帳のレビューや源泉関連の対応、もしくは国際税務に関する税務調査など幅広い業務が該当してきます。
3つ目はアウトソーシングになります。こちらは記帳から決算書の作成、給与計算など経理に関連する幅広い業務のアウトソーシングを行うことになります。特に日本に拠点を持つ外資系企業などが活用されることが多いですが、最近では日本企業でも積極的にアウトソーシングにしていく流れが増えてきています。
海外に強い税理士を活用するメリット
国際税務において税理士を活用するメリットはなんでしょうか?ここでは日本の税理士に焦点を当ててご説明をいたします。1つ目は、外国税額控除を含む2重課税を解消できるというポイントです。これについては個人事業主でも大きな影響があります。例えば海外で源泉徴収を20%された場合、その残額に対してさらに所得税・住民税・事業税が課されるため、支払う税額が多額になることが予想されます。一方で外国税額控除の計算や対象になるかどうかの判定は非常に複雑で税務知識のない方がご自身で確定申告することはまず不可能です。税理士を活用することで正しく確定申告を行い2重課税を行うことができるのはメリットと言えるでしょう。
続いて海外に居住して日本の税法上非居住者になった場合に、日本国内で発生した所得について税務申告を依頼することができる点でしょう。納税管理人制度と言ったりもしますが、そもそも確定申告をご自身でされたことない方が、海外から日本の確定申告を行うことは現実的ではありません。一方で確定申告の義務がある場合、これを無視すると無申告になり、重加算税などの重たいペナルティを受けることになりますので、確定申告は必ず行う必要があります。その点税理士へ依頼すれば確実に確定申告へ対応してもらえるので、安心と言えるでしょう。
3つ目は節税の観点です。特に国際税務は一般的な税務と比較しても複雑になりますので、節税にあたって考えるべき論点も増えます。そのため、インターネットを検索して単純に検討できるレベルではありません。国際税務に強い税理士を入れれば一般的な所得税や法人税に加え、国際税務の観点も踏まえたアドバイスを入手することができるため、メリットと言えます。
海外・国際税務に強い税理士は少ないのか?
海外や国際税務に強い税理士は少ないものなのでしょうか?絶対数を示すデータがないので具体的に何人の税理士が海外や国際税務に強いということは断言できません。しかし、国際税務は大手会計事務所が元々中心にサービスを提供していたものでもあり、最近でこそ大手出身の税理士が独立してサービス提供できる税理士法人・税理士事務所が増えた印象ですが、まだまだ需要に対して十分な印象はありません。そのため、海外や国際税務に強い税理士選びは慎重になる必要があるのです。
海外に強い税理士の選び方
経営者が税理士を検討するためのポイントとして挙げられるものは、①税理士へ支払う費用、②税理士との相性・税理士の経験、③個人事業・法人を今後どれぐらい拡大していくか、④経営者自身で経理業務を行うかどうか、⑤国際税務に強いかどうか、と思います。
税理士へ支払う報酬と効果
①税理士へ支払う費用についてはわかりやすいですが、税理士に依頼することで確保できる時間や効果を勘案した際に、費用対効果があっているかどうかです。単純に数字的な効果だけでなく、税理士に任せているという安心感や本業に集中できるという時間確保の面もあるため、一概に数字面の費用対効果で考えるものではないかと思います。税理士の一般的は相場については後述します。
相性や租税条約等国際税務への知識・経験
②税理士との相性・税理士の経験、については中長期のおつきあいになるのである程度経営者の事業に対する理解があり、かつ経営者ご自身と相性の良い方を選んだ方が良いかと思います。相性は多くの税理士と面談して決めていくしかないかと思います。
依頼者の方針
③個人事業・法人を今後どれぐらい拡大していくか、は①とも関係してきますが、現時点での業績だけで判断するのではなく今後事業を拡大予定であり、経理や税金周りの業務が複雑になることが見えているのであれば税理士へ依頼することも一案となります。
依頼者の優先順位
④経営者自身で経理業務を行うか、については①の時間確保とも絡んできますが、税理士と契約しないということは経営者ご自身で確定申告書を作成・提出することになるため、それに必要な勉強を本業と並行して行うことになるということです。時間は有限のため、本業に集中して事業を拡大することを優先する方が、結果としては良いのではないかと思います。
海外ネットワーク含む国際税務対応
⑤最後に国際税務の視点ですが、国際税務は一般の税制度と比較して特殊な分野になりますので、国際税務の経験がある税理士を選ぶべきかと思います(英語対応可能などうかも検討事項)。また、国際税務も移転価格を対象としているのかそれ以外なのかによっても専門性が分かれるため、経営者の方にとって必要な国際税務の分野を明確にして、適正した税理士事務所を選ばれる良いでしょう。
海外に強い税理士選びで失敗しないポイント
依頼内容を具体的に確認する
税理士に限らず、専門家との契約で一番モメるポイントが、業務依頼の内容です。依頼したと思ってたら契約内容に入ってなかったなど、ちょっとしたコミュニケーションミスで齟齬が生じる可能性があります。税理士との面談で必ず依頼範囲を確認するとともに、契約書へ記載があるかどうかをしっかりと確認するようにしましょう。
ビジネスの理解が早い税理士を選択する
税理士がアドバイスを行うにあたっては顧客のビジネスモデルを正しく理解する必要があります。この理解が不十分だと正しいアドバイスが行えない可能性があります。また、ビジネスは時間と共に移り変わっていくため、ビジネス理解の早い税理士へ依頼するのが良いでしょう。
円滑にコミュニケーションできる税理士にする
やはり専門家のポイントはコミュニケーションがスムーズにいくかどうかです。面談してみてコミュニケーションがうまく取れそうにない税理士は選択候補からは外れてくるでしょう。コミュニケーションのスムーズさは相性の問題もあるので、複数の税理士と面談されることをお勧めします。
海外に強い税理士を探すタイミング
国際税務に強い税理士を探すベストなタイミングはいつになるのでしょうか?まずは、海外との取引を開始する前になります。前述の通り、現地に法人を設立するかどうかに関わらず海外との取引が発生する際に国際税務の問題は必ず発生するため、海外取引を開始する前に税理士のアドバイスを受けると安心と言えるでしょう。
続いて海外現地法人を設立する、もしくは現地法人は設立しないが現地で長期滞在もしくは従業員を海外に住まわせる場合です。このフェーズになるとPE課税などより難易度の高い税務問題が発生しうるのと、現地税制の問題が必ず発生するため、進出国先に税務プロフェッショナルファームを起用するかどうかの検討も必要となってきます。
最後にインバウンドを検討されている外資系の企業が本格的に日本国内でビジネスを行う場合です。日本国内におけるPE課税や源泉徴収、もしくは租税条約の活用などの検討が発生するため、日本の税理士へ将来的な確定申告も含めて依頼をしておいた方が、ビジネスがスムーズに進むと言えるでしょう。
海外に強い税理士を探す方法
税理士の探し方は大きく下記の方法があるかと思います。
1つ目は知り合いから紹介してもらうことです。信頼している方からの紹介であれば、安心感があるかと思います。一方で、相性が合わない場合などは紹介をしてもらった手前、なかなか断りづらいという点があると思います。
2つ目はインターネットで検索するです。ご自身が住んでいる地域で検索すると税理士のホームページがインターネット上に出てくるはずです。最近の税理士のホームページは料金体系や強み、サービスの範囲など記載内容が充実しておりますので、その中でご自身のニーズに合った税理士と面談して決められるという方法はあるかと思います。
3つ目は税理士紹介サイトです。こちらもインターネット経由ですが、直接税理士へ問い合わせるのではなく紹介サイトのコーディネーターにご自身のニーズを伝えて、複数名の税理士を紹介してもらう流れになります。一般的に依頼者側は費用がかかりませんので、安心して利用することが可能です。税理士紹介サイト以外にも会計ソフト会社で税理士を紹介しているケースもあります。
海外税務におけるリスクと対応策
海外・国際税務におけるペナルティ等
海外・国際税務におけるペナルティについては、日本国内においては通常の所得税や法人税等と変わりませんが、国際税務の場合処置が通常の税務と異なり複雑になりやすいためミスが起きやすいという状況があります。そのため、ペナルティを受けないように一層の注意が必要になります。
国内・海外の規制動向の注視
海外・国税税務の規制は、特に世界で着目されている分野でもあり、変化しやすい傾向にあります。そのため常に最新の情報をキャッチアップし対応していく必要があります。そのような背景もあるため、海外に強い税理士へ依頼するメリットが大きいと言えるのです。
海外に強い税理士と契約する際の料金
税理士の値段:価格が決まる要因
税理士の値段ですが、統一的なものはなく、個々の事務所によって異なるのが実情です。ではどのような要因で値段が変わってくるのかですが、いくつか値段を決定する要素があります。
まずそもそも税理士の値段の体系ですが、月額の税務顧問料と年末の確定申告料金が基本料金としてあり、これに加えてオプション料金が加算される仕組みになっています。まず基本料金部分ですが、顧客の難易度や取引量によって異なってくることが多いです。どのようにこれを図るかというと、一番多くのパターンは業種と年商で値段を決めていることが多いです。例えば業種でいくと、物を取り扱わないサービス業よりも固定資産や在庫を抱える製造表の方が処理が複雑化するのと同時に取引量も増えるため、価格は上乗せされる傾向にあります。また年商についても一般的に同じ業種であれば年商が大きい方が取引量は多く、処理も複雑化し難易度が上がるため、価格は上乗せされる傾向にあります。
続いてオプションですが、例えば帳簿作成を行う記帳を税理士に代行してもらう場合は税務顧問と別途値段が加算されることが多いです(一般的には月額で支払)。また、確定申告以外の作業、例えば年末調整や償却資産税なども申告等を税理士へ依頼する場合には、追加で料金がかかることが一般的です。オプションについても価格の決まり方は基本料金と同じで、作業量が多くなってくると値段は上がりますし、取引の難易度が上がると値段は上がることになります。
また、基本料金に何が含まれているかについても税理士によって異なっておりまして、例えば税務関係の届出は基本料金の範囲に入っているが、資金調達や補助金のサポートなどは別途オプションとなるような場合です。必ず契約前には基本料金にはサービスとして何が含まれていて、何がオプションになるのかは確認された方が良いでしょう。
税理士の値段:一般的な相場感
経営者が税理士へ依頼する際に、2つの方法があります。1つ目は、税務顧問として税理士と契約して1年を通して税務アドバイスをもらいながら、決算期末には決算書の作成と確定申告書の作成・提出を依頼する方法です(ケースによっては記帳代行も税理士へ依頼します)。2つ目は、決算申告のみを決算期末に税理士へ依頼する方法です。この場合、決算期末前の期中については税務アドバイスを税理士からもらうことはできず、決算申告のタイミングで併せて税理士と相談しながら確定申告を進めていくことになります。
決算申告のみを税理士へ依頼する場合の費用として、概ね20万円〜となるケースが多いように思います(年商や業種などによって最低料金は当然異なってきます)。もちろん、取引数や取引の複雑性によっても報酬金額は変わってくるため、必ず全ての方が20万円〜ということはないことにご留意ください。
仮に顧問契約で年間の契約を結んでいたとしても、一般的な税理士との契約では月額の顧問料報酬と、決算申告は別途料金が課されることが多いです(顧問料報酬の数ヶ月分ということが多いかと思います)。この場合、決算申告のみを依頼するよりも顧問契約している決算申告の方が安いことが多いです。月額顧問報酬についても、業種や年商、取引数などによって大きく異なりますが、概ね2〜3万円以上で決算申告料金が15万円〜という場合が多いように思われます。
業界が複雑な場合は取引やオペレーションが他の業種等と比較して複雑になる傾向になることから、上記の水準よりももう少し高くなることが予想されます。おすすめとしては、やはり顧問税理士契約を締結することにより定期的に税制面でのアドバイスを受けられるようにしておくことです。
上記に加えて相続税の相場についても解説します。概ね相続対象となる遺産総額の0.5~1%が税理士へ支払う値段だと考えると良いでしょう。ただし税理士の値段設定としては遺産総額の規模別に固定金額の料金を基本料金として設定しているところが多いようで、この基本料金も相続人の数や相続財産の複雑性などの難易度によって変わってきます。
税理士の値段:その他
上記以外に値段の考え方として、①初回面談料金、②時間単価チャージ制度、③成功報酬、④コンサルティングフィー、などがあります。①については初回面談は無料なことが多いですが相談の内容によっては有料になるケースもありますので、事前に確認をしておくようにしましょう。②については一般的にはあまり発生しないかと思いますが、顧客が大手だったりすると時間単価でいくら、と設定してこれに稼働した時間をかけて請求する時間単価制というものがあります。③の成功報酬は例えば税理士が介在することで節税できた部分に対して一定割合を成功報酬として支払うパターンです。この場合でも固定で支払う部分と成功報酬で支払う部分の2つに分かれているケースもあります。④については、具体的に法人化の支援やM&A/事業承継、経営相談、資金調達・補助金サポートが挙げられます。内容によって固定金額だったり成功報酬だったりします。
税理士の値段の例
下記では仮に当事務所が受注する場合の値段を使って税理士の値段の例を記載していきます。
当事務所の場合は、月額顧問報酬と決算申告報酬を基本料金としており、決算申告報酬は年1回支払うものとなっております。値段の決め方ですが、年商によりまずは値段の最低料金を算出しており、そこから業種や顧客の特殊事情により個別に見積もりを行わせていただいております。例えば、年商が1500万円の法人であれば(当事務所は法人も個人事業主も同じ値段となっております)月額報酬3万円の決算申告報酬が15万円になるため、年間の支払総額は基本料金で51万円となります。ここに国際税務の内容に応じた特別料金を加算させていただいております(こちらはお客さまの状況や取引内容等によって個別にお見積させていただいております)
上記に加えてオプションを使われる顧客にはオプション料金を加算しております。具体例として記帳代行については、月額2万円より(年商、業種、取引量に応じて個別見積もりとさせていただいております)承っており、例えば上記の事例ですと、2万円の12ヶ月分になりますので24万円が加算され、年額が75万円となります。年末調整や固定資産税の申告をご依頼されたい方は、別途オプション利用となります。
国際税務以外で税理士へ依頼できること
そもそも税理士と契約することによって、税理士を探されている方々は、どのようなサービスを受けることができるのでしょうか?
確定申告・税務顧問・記帳サービス
まずは確定申告です。これは、原則年1回、税務署へ提出する税額を計算した書類になります。個人で開業されている方含めて提出が必要になります。税理士と聞くとまずはこの確定申告の代行を想像される方が多いのではないかと思います。確定申告は確定申告書類を作成するのみならず、その土台となる帳簿の作成や年間の数字結果を示した貸借対照表や損益計算書(併せて決算書)を作成する必要がありまして、全て確定申告書作成に必要な基礎的な書類となります。帳簿や決算書についても税理士へ依頼することが可能です。納税に関する予測データを依頼することもあります。
また、確定申告と併せて月次の税務顧問や記帳サービス(実際に税理士側で記帳する場合と、顧客側で記帳したものを税理士側でレビューする記帳支援の2つがある)があります。税務顧問は確定申告に向けて、毎月顧客から税務に関連する相談を税理士にできるサービスになります。確定申告のみの依頼の場合は、決算以外のタイミングで発生した税務に関連する相談を税理士に適宜できなかったりとさまざまな制約が発生することが多いので、税務顧問とセットで確定申告を税理士に依頼するパターンもあります。
また記帳代行に関しては、日々の帳簿作成を行うもので、経営者がご自身で対応されるパターンと、税理士側が記帳代行という形で対応するパターンに分かれます。当然記帳代行に関する料金が発生するため、料金と労力の見合いで税理士へ記帳代行を依頼するかどうかを判断することになりますが、最近はクラウド会計も普及してきており、ITが得意な経営者はクレジットカードや銀行口座を連携して記帳はご自身で対応し、記帳支援という形で税理士にチェックをしてもらうパターンも増えてきているように思います。
会社設立・起業支援
会社設立や開業前から実際の会社設立・開業を税理士が支援するパターンもあります。会社設立・開業においては、資金調達のニーズや会社設立手続きそのもののニーズ、各種税務に関する届出のサポートなど、サポート範囲が多岐に及びます。税理士だけでは対応できない部分もあるため、司法書士や行政書士、社会保険労務士などさまざまな士業と連携しながらサービスを提供しています。
月次決算
毎月の損益の状況を把握し、経営として問題ないかどうかを確認するために、月次決算書というものを使うことがあります。確定申告書と異なり必ず作成しなくてはならないものではありませんが、経営の状況をリアルタイムで把握するためには必要なものになります。この月次決算についても税理士に依頼することが可能です。月次試算表という言葉で呼んだりすることもあります。
経理アウトソーシング
帳簿作成や月次決算も経理業務ではありますが、経理全体の中の一部の業務になります。経理業務はそのほかに、請求している金額の入金処理や支払処理、その他給与計算など、お金に関するあらゆる業務があります。経営していると、この辺りの重要だけど本業ではない業務に時間を取られることが多いかと思いますが、このような業務を税理士へ委託することができます。
クラウド会計導入支援
税理士はクラウドソフトを使って顧客へサービスを提供することが多いため、顧客自身が自らクラウドソフトを入れたいというニーズにも応えることが可能です。特に経営者ご自身で数字はしっかり管理したいからクラウド会計ソフトを導入したいという場合、システム会社だと会計や税金の細かいルール設定まで対応できないケースがあるため、税理士にサポートを依頼するケースもあります。
管理会計の導入
月次決算とも関係してきますが、財務データを分析して経営に役立てたいなどのニーズがあるかと思います。このように経営の分析に役立つ数字を作成して管理することを管理会計と呼んだりしますが、この導入支援を税理士へ依頼するケースもあります。特に複数店舗になると店舗別の収支管理が経営上重要になってきますので、2店舗目を開業する際には要否を検討されると良いでしょう。
相続申告や事業承継の検討
経営が安定してきて将来はご子息に相続というケースで、事業承継を考えることになるかと思います。相続や贈与・事業承継については税金の問題が大きく影響を与えるため、税理士の関与はかなり重要だと言えます。また事業承継の一つのやり方としてM&Aで他の経営者への売却等も可能性としてはあるかと思いますので、この辺りも税理士のサポート領域となります。
また事業承継までなかったとしても相続税というものは発生しますので、相続対策が重要になります。相続・贈与の仕方によって税金の発生金額が異なってくるのと、税制は非常に複雑なので、税理士を活用して節税を実現する経営者も増えてきているように思います。
その他:税務調査対応・セミナー・事業計画作成支援など
上記以外の業務として、税務調査の対応(税務調査の立ち合い)から、税金に関するセミナーの提供、補助金などで必要になってくる事業計画の作成支援など、さまざまなサービスを税理士は展開しております。制度対応として、認定支援機関となっている税理士もあります。
その他社会保険労務士や行政書士、司法書士などの資格を持っている税理士であれば、給与計算や労務に関する各種届出のサポート、もしくは許認可申請・登記申請サポートなど、税務にとどまらず、幅広いサービスを展開しております。経営に強い税理士であれば税務のみならず数字面を切り口にした経営コンサルティングを提供している場合もあるでしょう。
会計士と税理士の違いについて
税理士に似た士業で公認会計士というものがあります。公認会計士と税理士は一般的に混同されがちですが、何が違うのでしょうか?まず、公認会計士は登録することで税理士になることが可能です(税理士のみの資格では公認会計士になることはできません)。公認会計士は会社が作成する財務諸表の監査を行うことが本業であり、公認会計士のみの登録の方については、税務申告の作成代行や税務相談、税務申告を行う税務代理を取り扱っていません。一方で公認会計士と税理士の両方を登録されている方については、税務申告の作成代行や税務相談、税務申告を行う税務代理を取り扱っています。法人で将来的に監査を受ける可能性があり、公認会計士と税理士のサービスを同時に受けたい方については、探す際に公認会計士と税理士の両方を登録している方を探すのが良いでしょう。
個人の方については、そもそも個人で監査を受ける場面というのがないかと思いますので、公認会計士のライセンスを持っているかどうかについてはそこまで気にする必要はないかと思います。ですので個人の方については税理士のライセンスを持っているかの視点で探されるので良いでしょう。
海外に強い税理士を探す
国際税務に強い税理士にはどのような方がいるのでしょうか、インターネットの公開情報で検索した結果も踏まえて下記に記載をしていきます(大手は除外し、個人事務所を中心に記載いたします)。
木田国際税務会計事務所様
まずは、木田国際税務会計事務所様(https://www.wbj-tax.com/)です。相続×国際税務という専門性で非常に特徴のある事務所様になります。海外居住中の方への日本の確定申告サービスの提供や海外移住コンサルティングなど深い専門性でサービスを提供されています。
信成国際税理士法人様
次に、信成国際税理士法人様(https://shin-sei.jp/)です。国際税務全般及び移転価格税制に対応されていることはもとより、海外の資産税やBPOについても対応をされている税理士法人様になります。
島田&アソシエイツ国際税理士事務所様
次は、島田&アソシエイツ国際税理士事務所様(https://shimada-associates.com/)となります。シンガポール進出に強いという特徴があり、進出先としてシンガポールを検討されている方にとっては非常にい心強い会計事務所様になります。
中央国際会計事務所様
続いて、中央国際会計事務所様(https://www.chuointernational.jp/)です。通常の国際税務に加えて、移転価格についてもサービスを提供されている税理士事務所様になります。移転価格含めて国際税務について非常に深い知見をお持ちの事務所様になります。
宮嶋公認会計士・税理士事務所
最後に、当事務所になりますが、宮嶋公認会計士・税理士事務所です。(https://tax-miyajima.com/)。当事務所も、確定申告や記帳代行などの税務サービスのみでなく、外資系経営コンサルティング会社やCFO経験を活かした、経営コンサルティングサービスおよびDX・デジタルに非常に強みを持っている特徴的な事務所になります。国際税務ももちろん対応可能で提携している会計事務所と連携してあらゆる顧客の国際税務問題に対応できます。
まとめ
以上、海外に強い税理士について記載してきました。こちらの記事を参考にして、ぜひ税理士選びのサポートとしていただけると光栄です。
税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。