本記事では、個人事業主にとって税理士との契約は必要か、契約した際に得られるメリットや想定される費用等について解説をしていきます。本記事を参考にしていただくことで、個人事業主の方が税理士に対する基本的な知識を身につけることが可能です。
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個人事業主が税理士を活用:個人事業主とは?
そもそも個人事業主という定義から整理をしていきましょう。個人事業主とは法人の経営者以外で事業所得もしくは雑所得がある方をここでは指します。開業届というものがありますが、これの提出は税法上の課税と関係があまりないため、開業届の有無に関わらず、所得がある方については基本的に個人事業主の概念になります。副業の場合でも所得が発生している限り立派な個人事業主です(所得の種別として税法上事業所得に該当するかどうかは全く別の話ですが)。
個人事業主の場合は法人と異なり、所得税の確定申告書を作成・提出することになります。また個人事業主の場合は、プライベート利用とビジネス利用が混在するため、法人と異なり家事按分という考え方が非常に特徴的です。つまり経費のうち、どれぐらいを事業に使ったかを合理的に計算し、事業所得もしくは雑所得の経費として計上する方法になります。個人事業主の場合、使った費用が全て事業上の経費となるわけではないため、十分に留意が必要となります。
個人事業主は情報が限定されるため税理士を活用すべき
個人事業主は中小企業とも異なり、ほぼ個人もしくは家族経営であることが多いです。一定規模以上の法人であれば、社内に経理人材もいますし経理人材を通じてさまざまな情報を取得することもできますので、例えば税制改正に伴い自社にメリットのある制度が導入されれば、経理人材から税理士へ相談して税メリットをしっかりと享受することが可能だったりするわけです。
一方で個人事業主の場合は、経理人材がいるわけでもなく、基本的には経営者たる個人事業主の方がご自身でさまざまな情報を取得し対応していく必要があります。ただでさえ忙しい中で、本業でない経理や税務に時間を割いて対応していくのは非常に不効率ですし、結果としてミスする可能性もあります。また本業に集中した方が売上も伸ばせますし結果として利益をさらに増やすことも可能です。そのため、本業でない業務については、税理士を活用して丸ごと依頼をしてしまう方が効率的なのです。
また個人事業主の場合は、所得によっては将来的に法人成りを検討する場合もあるでしょう。法人の方が取引先との信頼関係がスムーズに築けたりさまざまなメリットがあるからです。法人を設立する場合には、資本金をいくらにするかによって課税に影響があったり、個人事業主として保有している資産や負債を法人にどのように引き継ぐのかを検討したり、定款に記載する決算期をいつにするのが良いのかを検討したり、など個人事業主のときよりもさらに検討することが多くなります。また法人の場合は所得税ではなく法人税の申告となりますが、法人税の申告は所得税の申告よりも作成難易度が一気に上がりますので、ご自身で対応されるのは現実的ではないです。法人設立後は税理士へ依頼するのが一般的だと考えております。
個人事業主で税理士が不要な人
個人事業主の方でも税理士が不要なケースはあると思いますが、不要なケースについて整理をしていきます。まず年商が低い方で例えば今後増加する見込みもなく税理士費用を払ってしまうとコスト負担が重たいケースです。この場合は、サービスは限定されてしまいますが値段を抑えられる税理士を起用することでコスト負担を軽減するか、ご自身でしっかりと確定申告を学習されて確定申告書を作成・提出されるかです。また、副業で年商が小さい方も同じようなことが言えると思います。最近の会計ソフトはクラウド会計なのでインターネットから手軽に利用することができますし、費用もかなり安く抑えられており、かつ専門的な知識がなくてもある程度は帳簿作成を行うことが可能となっております。そのため、値段を抑えたクラウド会計ソフトを活用することも1つの案と言えます。
一方で次の方についてはむしろ税理士が本当に不要かは考えられた方が良いと思います。まずは年商は一定まで高くなっているがインターネットの情報とクラウド会計ソフトを駆使すればご自身で全て対応可能である、と思われている方です。正直、税法は皆様が思っているよりも奥が深いです。そのため、ご自身に知識が相当あると思われている方でも、確定申告書に誤りがあったり、本来であれば使えたであろう税額控除を使ってなかったりと損をしているケースもあります。ある程度の年商がある場合その分税金に与える影響も大きく、結果的に税理士にコストを支払った業が得をするケースもあるため、まだ税理士をつけられてない方についてはぜひ一度検討することをおすすめいたします。
個人事業主が税理士と契約する際の料金
税理士の料金は主に、月額顧問報酬と決算申告時の報酬から構成されています。前者については、毎月税理士と税務相談に関してコミュニケーションをとるのに必要な金額になってきます。記帳代行を依頼する場合にはオプション料金として、毎月の月額顧問報酬に加算して金額を支払うことになります。月額顧問報酬は概ね2〜3万円以上となることが一般的かと思います。
後者の決算申告は、確定申告に際に税理士が作成する決算書及び確定申告書の作成料金として請求されるものになります。概ね月額顧問報酬の4〜6ヶ月分を請求されることが多いかと思います。また基本的には最低限のサービスしか入っていないことが多いので、例えば従業員がいて年末調整をお願いしたり、消費税の課税事業者のため消費税申告書が必要な場合は、別途プラスで料金がかかってきます。
個人事業主に税理士が必要なタイミング
個人事業主にとって、いつ税理士と契約するのが良いのでしょうか?まず考えられるのは消費税の課税事業者になるタイミングです。免税事業者であっても、年商1000万円を超える段階で課税事業者となるため、消費税申告が必要になってきます。この消費税申告ですが、所得税や法人税と異なり帳簿の付け方がやや複雑なものになっておりますし、消費税申告も原則課税と簡易課税で計算方法も計算結果も変わってくるため、採用した方法によって税額のメリット・デメリットが発生します。このように消費税が入ると考えるべき事項が増えるため、税理士のアドバイスを受けるのがおすすめです。
他に考えられるのが、開業時です。しっかりと決算書・税務申告書を税理士に作成してもらい、事業計画書についても必要に応じて税理士のサポートをもらう方が、いざという時金融機関から資金調達をスムーズにするためには良いと考えております。
まとめ
以上、個人事業主が税理士と契約する際の検討ポイントについて記載をしてきました。皆様もこちらの記事を参考に、税理士探しにお役立てしてください。
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この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。