小売・卸売業に強い税理士を探す方法

税務

本記事では、小売業経営者にとって税理士を活用するメリットについて解説をしていきます。本記事を参考にいただくことで、税理士からどのようなサービスを提供してもらうことが可能なのか、税理士と契約した場合どれぐらいの必要がかかるのか、などの基礎知識が身に付きます。

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本記事での小売・卸売の定義

本記事では、小売を「何かしら物を仕入れて在庫を抱えて販売をする」業種という定義を置いております。具体的には、スーパーのような業態、もしくは雑貨屋のような業態をイメージしていただくとわかりやすいかと思います。飲食店やホテルのように仕入れた物を販売する業態でない、もしくは加工して販売する業態は本記事には含まれておりません。また規模についても制約はなく、複数店舗を持っている個人事業主もしくは法人から1店舗しかない場合も本記事の対象としております。

また卸売業については、一般的な定義と同じ卸売業を想定しております。

小売・卸売業における税務論点概要

小売・卸売業は特に在庫を保有することがビジネスの特徴です。在庫がある場合、その分経理処理が複雑になります。具体的には、在庫の個数を期末には確認する必要があること、また経理処理上在庫の単価をどうするかを整理する必要がある点です。特に後者は税法上ルールがありますので、適用を誤ると最悪税務上のペナルティを受ける場合があります。

また、店舗や倉庫にかかる支出も非常に複雑です。内装などにかかる費用、もしくは備品にかかる費用など、固定資産として処理するのか、費用計上が可能なのか、などその実態に応じてさまざまな判断が必要になりますし、その判断によって支払う税金にインパクトが出てきます。

小売・卸売業における営業許可と税理士との関係

小売業においては、一部営業許可が必要なものがあります。例えば、中古で仕入れたものを販売する場合は、古物商許可が必要です。また酒類を扱う場合には酒類販売業免許が必要など、さまざまな許可や免許が必要だったりします。税理士は許可や免許取得の専門家ではありませんが、この領域のプロである行政書士への登録資格があり、税理士の中には行政書士を兼ねてサービスを提供している場合もあります。また行政書士の登録をしていなくても、士業関連の連携はよくある話なので、顧問税理士が入れば相談することで適切な行政書士を紹介してくれることでしょう。

小売・卸売業のビジネスモデルの特徴について

小売・卸売業のビジネスモデルの特徴ですが、まずは競争環境が非常に厳しいということがポイントです。従来は実店舗型の小売業でしたが、ここにインターネットが登場し、オンラインで販売する人々も増えてきました。また小売そのものがグローバル化し、インターネットを活用した海外からの直接販売も増えてきております。加えて従来は事業者から一般人への販売ということが一般的でしたが、一般人から一般人に販売するいわゆるCtoCも活況になってきて、ますます小売業界の競争は激しくなっております。

商品そのものに差別化がないのと、インターネットで調べることによって世界のものが瞬時に手に入る環境下ですので、あまり商品での差別化というのは有効ではありません。そして検索しているユーザーに対して訴求していくハードルは非常に高くなっています。工夫の余地として、まだ購入意欲の手前にいるユーザーに対してブランディング含めマーケティング活動を行なっていくというのがあります。そのためには単に販売するだけでなくメディアサイトやSNSなどで顧客へのナーチャリングを積極的に展開し、実店舗まで来てもらって購入してもらうような導線が考えられます。

このように仕入れた商品についてはほとんど差別化がなくなっているため、売り方や情報発信などで差別化を徹底的にしてかないとリピート顧客を捕まることが難しく、継続的に事業を展開していくのが困難になってしまいます。また販売できない商品を仕入れた場合、それが在庫となって滞留してしまうため、資金負担や金利負担が厳しくなってきてしまうため、差別化は小売において非常に重要となっています。

小売・卸売業における税理士の必要性

在庫管理が複雑

小売・卸売業で最もポイントになってくるのは在庫管理です。在庫が適切に管理できていないと、売り切れを引き起こしたり、適切な利益を計算できなくなってしまいます。そこで税理士のアドバイスによる適切な在庫管理の実現が重要になってくるのです。

消費税の区分経理・軽減税率

小売・卸売業において消費税も非常に重要なポイントです。特に軽減税率がある場合には、その設定が正しくされていないと正しい消費税の計算ができなくなってしまいます。また適格請求書への対応も必要になってくるため、税理士のアドバイスは必要と言えるでしょう。

多店舗展開やECの管理など

展開する事業の規模が大きくなったり、オンライン販売の活用を行うと、オペレーションが煩雑になりがちです。当然経理オペレーションも煩雑になり、売上計上漏れや在庫計上漏れを発生させる可能性があります。そのため、税理士のアドバイスに基づいて適切な経理オペレーションを構築する必要があるのです。

小売・卸売業経営者が税理士へ依頼できる内容・税理士を活用するメリット

本業へ集中できる

小売業経営者にとって経理や税金関係は本業ではありませんが、必ず行わなければならない業務です。とはいえ、経理・税務ともに専門性が高く、ご自身で対応するには時間がかかるものになっています。そこで、税理士を活用することで業務から解放され本業へ集中できるというメリットがあります。

資金繰りや節税対策ができる

小売業経営者にとって税務だけでなく、お金周りでは資金繰りや節税も気になるところです。税理士であれば、キャッシュフローに基づくアドバイス、金融機関融資のサポート、節税などさまざまな観点からアドバイスを提供することが可能です。

確定申告におけるミスがなくなる

税理士へ依頼することで、確定申告におけるミスがなくなります。確定申告でミスがある場合、その分のペナルティを受けることになるため、支払う税金が当初よりも大きくなってしまいます。

小売・卸売業に強い税理士を活用するメリット

税理士の中でも特に小売業に強い税理士を活用するメリットはなんでしょうか?

ビジネスに対する理解が深くコミュニケーションがスムーズ

小売業のビジネスをよく理解しているため、ビジネスに関する質問が的確で、経営者にとってコミュニケーションに使う時間が少なくて済むという点です。小売業に対する理解があまりない場合、その分質問が多くなりますし、経営者もその回答に時間を使ってしまいます。

資金繰り・節税に対するアドバイス力

資金繰りや節税はビジネスモデルと密接に結びついているため、小売業の経営者の方に的確なアドバイスをする上で、小売業をよく理解していることは大変重要です。

小売業の営業許可等のサポート

前述の通り、小売業においては一部営業許可等が必要なものがあります。小売業に強い税理士であれば、行政書士との連携もスムーズになります。

小売・卸売業に強い税理士の費用相場

小売・卸売業に強い税理士へ依頼する場合の費用相場として目安感を解説します。個人事業主の場合は、最低でも年間20万円から、法人の場合は年間最低でも30万円からが一般的な相場になるでしょう。

小売業経営者が税理士と契約する際の料金

税理士の料金は主に、月額顧問報酬と決算申告時の報酬から構成されています。前者については、毎月税理士と税務相談に関してコミュニケーションをとるのに必要な金額になってきます。記帳代行を依頼する場合にはオプション料金として、毎月の月額顧問報酬に加算して金額を支払うことになります。月額顧問報酬は概ね2〜3万円以上となることが一般的かと思います。

後者の決算申告は、確定申告に際に税理士が作成する決算書及び確定申告書の作成料金として請求されるものになります。概ね月額顧問報酬の4〜6ヶ月分を請求されることが多いかと思います。また基本的には最低限のサービスしか入っていないことが多いので、例えば従業員がいて年末調整をお願いしたり、消費税の課税事業者のため消費税申告書が必要な場合は、別途プラスで料金がかかってきます。

小売・卸売業に強い税理士の選び方

小売・卸売業の会計税務に知見があるか?

すでに述べてきたように、小売・卸売業は非常に専門的な知識が求められますので、小売・卸売業の会計税務に知識があり、実務経験のある税理士を採用した方が良いでしょう。

コミュニケーションの良さ・レスポンスの良さ

税理士に気軽に質問できるためには、コミュニケーションの良さやレスポンスの良さが非常に重要になってきます。面談を通じて税理士との相性を確認しましょう。

税理士の過去実績

税理士の小売・卸売業における過去実績を確認しましょう。会計税務だけでなくビジネスモデルを深く理解している場合、コミュニケーションがよりスムーズになります。

小売に強い税理士の具体例

小売に強い税理士にはどのような方がいるのでしょうか、インターネットの公開情報で検索した結果も踏まえて下記に記載をしていきます。

飯田税理士事務所様

まずは、飯田税理士事務所様(https://www.zeirishi-iida.com/)です。東京都文京区に拠点を構えられている税理士事務所様で、サービス業・小売業を中心にサービスを提供されています。個人事業主のお客様から法人のお客様まで幅広く対応されている事務所様になります。

中野税務会計事務所様

次に、中野税務会計事務所様です(https://www.nakanokaikei.com/retail.html)。名古屋を拠点にされている税理士事務所様で、こちらも小売業に強みをお持ちの事務所様になります。所得税・法人税・消費税の確定申告や税務相談はもとより、開業や融資の支援まで幅広く対応されています。

宮嶋公認会計士・税理士事務所

最後に、当事務所になりますが、宮嶋公認会計士・税理士事務所です。(https://tax-miyajima.com/)。当事務所も、確定申告や記帳代行などの税務サービスのみでなく、外資系経営コンサルティング会社やCFO経験を活かした、経営コンサルティングサービスおよびDX・デジタルに非常に強みを持っている特徴的な事務所になります。特にコンサルティング経験も豊富ですので小売企業様のお悩みを深く理解し、適切なアドバイスをさせていただくことが可能です。

小売・卸売業に強い税理士を探す方法 まとめ

以上のように小売にとって税理士は必要かについて記載してきました。こちらの記事を参考にして、ぜひ税理士選びのサポートとしていただけると光栄です。

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この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士 
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。