本記事では、学校法人の会計監査について、具体的にどのような学校法人が対象になるのか、学校法人における会計監査とはどのようなものか、会計監査にかかる費用はどの程度か、などについて解説を行っていきます。本記事をお読みいただくことで、学校法人の会計監査の基礎を理解いただくことができます。
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学校法人の監査について現役会計士が徹底解説
学校法人監査の概要について
学校法人監査とは、以下のようなものが挙げられます。
・私立学校振興助成法に基づく監査
・寄附行為等の認可申請に係る書類の様式等の告示に基づく財産目録監査
・施設型給付費を受ける幼稚園法人等での外部監査(必須ではない)
・補助金交付要綱等で必要となる監査
特に、私立学校が補助金の交付を国または都道府県等から受けている場合、私立学校振興助成法に基づいて会計監査人の監査を受ける必要があり、このケースが多いため、まずはこのケースから説明をしていきます。なお、会計監査人は監事(学校法人の監査役の役目)の会計監査を支援する役目として設置されたもので、公認会計士または監査法人が就任することになります。
学校法人に適用される会計基準とは?
学校法人においては、学校法人会計基準に従って会計処理を行うことになります。公認会計士の監査も学校法人に作成された計算書類が学校法人会計基準に従って適切に作成されているかどうかを確認することになります。
私立学校振興助成法における学校法人監査の概要
私立学校振興助成法においては以下のように規定されています。
(書類の作成等)
第十四条第四条第一項又は第九条に規定する補助金の交付を受ける学校法人は、文部科学大臣の定める基準に従い、会計処理を行い、貸借対照表、収支計算書その他の財務計算に関する書類を作成しなければならない。
2前項に規定する学校法人は、同項の書類のほか、収支予算書を所轄庁に届け出なければならない。
3前項の場合においては、第一項の書類については、所轄庁の指定する事項に関する公認会計士又は監査法人の監査報告書を添付しなければならない。ただし、補助金の額が寡少であつて、所轄庁の許可を受けたときは、この限りでない。
このように、学校法人おいては財務計算に関する書類の作成及び所轄庁への提出がい義務付けられるとともに、例外を除き公認会計士または監査法人の監査報告書を添付することが義務付けられています。
学校法人監査における所轄庁への提出書類
学校法人においては、会計処理の方法が学校法人会計基準に定められており、以下の書類の作成が義務付けられています。
(計算書類)
第四条学校法人が作成しなければならない計算書類は、次に掲げるものとする。
一資金収支計算書並びにこれに附属する次に掲げる内訳表及び資金収支計算書に基づき作成する活動区分資金収支計算書
イ資金収支内訳表
ロ人件費支出内訳表
二事業活動収支計算書及びこれに附属する事業活動収支内訳表
三貸借対照表及びこれに附属する次に掲げる明細表
イ固定資産明細表
ロ借入金明細表
ハ基本金明細表
学校法人監査の流れ
学校法人の監査においては監査契約及び会計監査人としての就任後、まずは学校法人全体の理解からスタートします。各種役員等へのヒアリングや経理担当者等へのヒアリングを行い、全体像を掴んだ上で個別の監査を行うこととなります。監査は期中監査と期末監査に大きく分かれ、期末に監査手続が集中しないように期中監査が行われます。期末の監査手続が一巡すると監査報告書が発行され、監査が完了します。
学校法人の監査手続内容について
監査は全ての証憑や帳簿をチェックするのではなく監査計画で重要と認識された項目を中心に重点的に進められます。専門用語でこれを試査と呼んでおります。逆に全てをチェックすることを精査と呼んでいます。
学校法人における監査報告書とは?
監査報告書は公認会計士もしくは監査法人が、学校法人が作成した計算書類について適正か不適正かの意見を表明する書類になります。この書類を以って計算書類が正しいかどうかが判断できるのです。
学校法人における内部統制監査は必須なのか?
私立学校振興助成法における会計監査については、内部統制監査は必須ではありません。一方で、後述する改正私立学校法に基づく監査においては、内部統制監査自体は求められていませんが、一定の学校法人においては内部統制の整備が必要で理事会にてその方針を決める必要があります。
また会計監査においては、監査手続の効率化を行う上で、学校法人の内部統制を確認する場合があります。これは内部統制の適切性をチェックしているわけではなく、有効な内部統制が存在することで監査手続を効率化できるためです。
私立学校法に基づく学校法人監査
令和7年より一定の学校法人においては私立学校法に基づく会計監査が必要となります。大臣管轄の学校法人については会計監査人の設置が必須、また都道府県知事管轄でも収入等が一定規模以上の学校法人については会計監査人の設置が必須となります。そのほかの学校法人については任意の設置となります(私立学校振興助成法による監査を除く)。
その他の学校法人監査
その他受ける機会が多い監査としては、施設型給付費を受ける幼稚園法人等での外部監査、が挙げられます。こちらは外部監査費用の補助が受けられる制度で、必須ではありませんが公認会計士の監査を受ける場合は市町村の会計監査が不要になる場合があるなどのメリットがあります。また監査費用については外部監査費加算が交付されるため、その中で監査費用を賄うことも可能です。
学校法人の監査料金はどれぐらいか?
学校法人の監査料金については、その学校法人の規模や取引の数によって異なってきます。例えば前述した施設型給付費を受ける幼稚園法人等での外部監査であれば、外部加算費加算の交付金を基礎として監査報酬が決まる場合もあります。まずは公認会計士事務所や監査法人に気軽に問い合わせをしてみてください。
学校法人監査のまとめ
以上、学校法人監査について内容を説明しました。皆様も本記事を参考に、学校法人監査の公認会計士や監査法人選びにチャレンジしていただければ幸甚です。
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この記事の作成者
宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。