小さい会社に税理士は必要か?

税務

本記事は、小さい会社の経営者が税理士を探されている方に対して、税理士が対応しているサービス、税理士の費用・相場感、顧客が抱える課題、税理士を選ぶポイント、について記載をしていきます。

本記事を読んでいただくことで、特にこれまで税理士と契約をされてこなかった方が、税理士のサービス対応範囲を踏まえて、どのような税理士であれば自分に適しているかを判断ができるようになり、適切な税理士探しができるようになります。

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  1. 小さい会社における税理士のサービス提供内容
    1. 確定申告・税務顧問・記帳サービス
    2. 会社設立・起業支援に係る各種サポート
    3. 月次決算
    4. 経理アウトソーシング
    5. クラウド会計導入支援
  2. 小さい会社において税理士と契約するメリット
    1. 確定申告・記帳の業務から解放される
    2. 安心感を持って税務調査対応が可能になる
    3. 税金以外のサポート
    4. 経営相談が可能
  3. 税理士と顧問契約するデメリット
  4. 小さい会社が税理士と顧問契約しないケース
    1. 正しい記帳や税務申告が行えない可能性
    2. 不慣れな税務調査に対する対応
  5. 小さい会社において税理士へ依頼するベストなタイミング
    1. 法人設立のタイミング
    2. 消費税の課税事業者になるタイミング
    3. その他
  6. 小さい会社における税理士の費用・相場
    1. 税理士の値段:価格が決まる要因
    2. 税理士の値段:一般的な相場感
    3. 税理士の値段:その他
    4. 税理士の値段の例
  7. 小さい会社における税理士を選ぶポイント
    1. 税理士へ支払う費用
    2. 税理士との相性・税理士の経験
    3. 今後の事業拡大方針
    4. 経理業務を外注化するかどうか
    5. 創業・会社設立に強い税理士か
    6. DXに強い税理士か
  8. 小さい会社における税理士を探す方法
  9. 小さい会社における税理士と顧問契約を結ぶ流れ
  10. 小さい会社に強い税理士
    1. 植村会計事務所様
    2. 松田篤史税理士事務所様
    3. 宮嶋公認会計士・税理士事務所
  11. 小さい会社において税理士を選ぶポイントまとめ

小さい会社における税理士のサービス提供内容

そもそも税理士と契約することによって、税理士を探されている方々は、どのようなサービスを受けることができるのでしょうか?

確定申告・税務顧問・記帳サービス

まずは確定申告です。これは、原則年1回、税務署へ提出する税額を計算した書類になります。個人で開業されている方含めて提出が必要になります。税理士と聞くとまずはこの確定申告の代行を想像される方が多いのではないかと思います。確定申告は確定申告書類を作成するのみならず、その土台となる帳簿の作成や年間の数字結果を示した貸借対照表や損益計算書(併せて決算書)を作成する必要がありまして、全て確定申告書作成に必要な基礎的な書類となります。帳簿や決算書についても税理士へ依頼することが可能です。納税に関する予測データを依頼することもあります。

また、確定申告と併せて月次の税務顧問や記帳サービス(実際に税理士側で記帳する場合と、顧客側で記帳したものを税理士側でレビューする記帳支援の2つがある)があります。税務顧問は確定申告に向けて、毎月顧客から税務に関連する相談を税理士にできるサービスになります。確定申告のみの依頼の場合は、決算以外のタイミングで発生した税務に関連する相談を税理士に適宜できなかったりとさまざまな制約が発生することが多いので、税務顧問とセットで確定申告を税理士に依頼するパターンもあります。

また記帳代行に関しては、日々の帳簿作成を行うもので、経営者がご自身で対応されるパターンと、税理士側が記帳代行という形で対応するパターンに分かれます。当然記帳代行に関する料金が発生するため、料金と労力の見合いで税理士へ記帳代行を依頼するかどうかを判断することになりますが、最近はクラウド会計も普及してきており、ITが得意な経営者はクレジットカードや銀行口座を連携して記帳はご自身で対応し、記帳支援という形で税理士にチェックをしてもらうパターンも増えてきているように思います。

会社設立・起業支援に係る各種サポート

会社設立や開業前から実際の会社設立・開業を税理士が支援するパターンもあります。会社設立・開業においては、資金調達のニーズや会社設立手続きそのもののニーズ、各種税務に関する届出のサポートなど、サポート範囲が多岐に及びます。税理士だけでは対応できない部分もあるため、司法書士や行政書士、社会保険労務士などさまざまな士業と連携しながらサービスを提供しています。

月次決算

毎月の損益の状況を把握し、経営として問題ないかどうかを確認するために、月次決算書というものを使うことがあります。確定申告書と異なり必ず作成しなくてはならないものではありませんが、経営の状況をリアルタイムで把握するためには必要なものになります。この月次決算についても税理士に依頼することが可能です。月次試算表という言葉で呼んだりすることもあります。

経理アウトソーシング

帳簿作成や月次決算も経理業務ではありますが、経理全体の中の一部の業務になります。経理業務はそのほかに、請求している金額の入金処理や支払処理、その他給与計算など、お金に関するあらゆる業務があります。経営していると、この辺りの重要だけど本業ではない業務に時間を取られることが多いかと思いますが、このような業務を税理士へ委託することができます。

クラウド会計導入支援

税理士はクラウドソフトを使って顧客へサービスを提供することが多いため、顧客自身が自らクラウドソフトを入れたいというニーズにも応えることが可能です。特に経営者ご自身で数字はしっかり管理したいからクラウド会計ソフトを導入したいという場合、システム会社だと会計や税金の細かいルール設定まで対応できないケースがあるため、税理士にサポートを依頼するケースもあります。

小さい会社において税理士と契約するメリット

会社設立時には、ビジネスだけでなく法律や税金、資金調達など様々な専門知識を問われますが、これまでこのような分野にいなかった経営者にとっては大変難しいものです。一方で、届出を一つ忘れるだけで税金の金額が異なったり、有利な選択を見逃すことで支払わなくてよかった税金を支払うことになったり、と判断を誤ることで存することは会社設立時に発生します。

税金でよくあるケースとしてまず考えられるのが、消費税の課税選択です。法人の場合、会社設立時に資本金額が一定を超えると課税事業者となりますが、免税事業者と比較して消費税を納めることになる(還付の場合を除く)ため、その分キャッシュアウトになります。また、消費税の計算方法として簡易課税を選択するか否かによって課税金額が変わってきますが、届出をする必要があると同時に届出期限も決まっているため、届出を失念すると不利な選択を強いられる可能性があります。

また消費税以外にも法人税の分野において、多いのが青色申告の承認申請書です。青色申告の場合、発生した赤字を繰り越すことができたり、過去に発生した赤字を繰戻することができたり、少額の減価償却資産を費用化して経費を早期に計上できたり、その他様々な特典を受けることができます。青色申告の承認申請書についても届出期限が決まっているので、こちらも提出し忘れるとその年度は恩恵を受けることができません。青色申告以外にも、役員報酬についても法人税法上、役員へ支払う報酬を自由にいつでも変更できないルールが設定されているため、変更期限を過ぎてしまうと変更ができない(変更はできるのですが、経費として一部認められなくなります)ことになり、大変不利です。

税金以外にも、ビジネスを長期的に安定的にするためにもしっかりと事業計画を作って、会社法などの法律に従い会社を経営し、かつ資金繰りにも困らない状況を目指すことが非常に重要になってきますが、これがご自身でしっかりとできる経営者はなかなかいないのではないかと思います。補助金の活用についても同様です。

この辺り、税理士が経営者の非常に強力なサポーターになってくれます。以下では税理士と契約するメリットについて記載をしていきます。

確定申告・記帳の業務から解放される

税制は複雑であることから、確定申告や記帳代行の難易度は他の業界と比較しても高いと思います。これをご自身でやられる場合、全てご自身で勉強したり調べたりする必要がありますが、当然間違ってしまうリスクもあります。この点、税理士費用は発生するものの、確定申告や記帳業務から解放されるため、本業に集中できかつ売上をアップさせることが可能になること、さらには間違えのない確定申告書を作成・提出することが可能となるため、安心感につながることはメリットと言えます。

また、通常であれば経理経験のある人を雇って帳簿作成や決算作成、税務申告書の作成・提出を行うことになりますが、従業員を1名雇うと、かなり費用が高額になるため、記帳部分も含めて税理士へ依頼することによって高い品質でコストを抑えたサービスを受けることが可能となります。特に小さい会社にとって経理人員1名採用するのはコストとして負担が大きいです。バックオフィスのコストよりも本来は営業などの売上に直接寄与する部分に人件費を使いたいところです。また採用する側の小さい会社にとっても経理知識がないため、どのような人材を採用すれば良いかわからずミスマッチが起こりやすい状況です。

上記に加えて、会社設立時には税務回りで多くの届出書を作成・提出する必要が出てきます。例えば、すでに述べた青色申告承認申請書や、簡易課税を選択する場合はそれに関連した届出書などです。税理士へ依頼する場合はこの届出書についても作成・提出してくれるので、漏れなく安心できることでしょう。

安心感を持って税務調査対応が可能になる

全く税務経験のない経営者からすると、税務調査と聞くだけで安心ができないことでしょう。さらに税務調査本番では何を回答していいのかわからないなど不慣れでかつ不安も多いことでしょう。また相手は専門家であるため説明不足や誤った説明などにより、追徴となる可能性も0ではありません。税理士であれば税務調査も適切なコミュニケーションで調査官と対応してもらえるので安心です。また申告書についても過去の経験から税務調査の目線でしっかりとアドバイスをしてもらえることも期待できます。

税金以外のサポート

税金以外にも資金調達や補助金などのサポートを得ることができます。前述の通り、税理士によっては税金だけでなく、資金調達や補助金のサポートをサービスとして展開している場合があります。資金調達や補助金申請にあたっては財務諸表の提出や事業計画の提出を求められる場合があり、そもそも作成経験がなけければスタートラインに立つことすらできません。また財務諸表や事業計画は経験ない経営者が書籍やインターネットで手軽に作れるものでもないため(金融機関のようなプロが見たら間違っている財務諸表はすぐにわかってしまうので)、今後事業を拡大するために資金調達や補助金の活用を検討されている場合には、税理士のサポートが必要になってくるでしょう。

経営相談が可能

資金調達や補助金以外にもビジネスに強い税理士であれば集客方法や人材採用のアドバイス、オペレーションの効率化支援など、幅広く経営コンサルティングを提供することが可能です。またコンサルティングまでいかなくても定期的に経営者の悩み相談を税理士とディスカッションするなどの経営相談も可能となります。

税理士と顧問契約するデメリット

税理士と顧問契約するデメリットとしては、やはり費用面でしょう。後ほど費用相場について説明いたしますが、料金としては決して安くはないので、年商が低いうちはコスト負担が大きいかと思います。一方で、メリットでも記載しましたが、デメリットよりもメリットも方が大きいため、基本的な考え方は税理士に支払う費用よりも、空いた時間で売り上げを増やしていくことに集中することです。

あとは、税理士とは長期的なおつきあいになるため、相性が良い税理士を選ぶのがベストだと思いますが、たくさんいる中から1名を選ぶため、情報量が多過ぎてなかなか決めきれないという点もデメリットに挙げられるかと思います。

小さい会社が税理士と顧問契約しないケース

正しい記帳や税務申告が行えない可能性

小さい会社が税理士と顧問契約せず、ご自身で記帳や税務申告を行う場合、その作業結果を確認してくれる人が誰もいないので、記帳に誤りがあったり、税務申告内容に抜け漏れがある可能性があります。この場合は後述する税務調査の際に指摘されて、追徴を受ける可能性があります。結果として税理士へ支払う顧問報酬よりも税務署のペナルティの方が高くつく可能性もあります。

不慣れな税務調査に対する対応

税務調査は必ずくるものでは無いですが、何年も事業を継続しているといつかは当たるものです。何度も税務調査を経験するという経営者はあまりいないと思いますので、初めての税務調査で対応方法がわからず、正しく説明ができないことにより不利益を受けるケースがあります。

小さい会社において税理士へ依頼するベストなタイミング

小さい会社にとって税理士へ依頼するベストなタイミングはいつになるのでしょうか?以下パターンをわけをして記載していきます。

法人設立のタイミング

まずは法人設立のタイミングです。法人税の申告書は個人の所得税の申告と異なり、作成の仕方がかなり複雑です。経営者ご自身でやるには難易度が高いため、税理士へ依頼することを前提に考えた方が良いです。そのため、会社摂理を検討する際が、税理士へ確定申告を依頼する良いタイミングと言えるでしょう。また以下の視点でも依頼をされたほうが良いと考えます。

まず一つ目が決算期の設定や各種定款の記載事項・資本金の設定の相談です。特に決算期は税務申告のタイミングに重要な影響を及ぼすため、慎重な検討が必要です。また資本金についても税金に大きな影響を与えるためいくらに設定すべきかは税理士と相談した方が良いかと思います。

また開業に生じた費用は税務上、創立費や開業費となり経費化することが可能です。どこまでの範囲が経費化できて、どのタイミングで経費にするのが良いのかは、経営者自信で考えるのは悩みどころだと思います。これを税理士に相談すればベストなタイミング含めてアドバイスもらえることでしょう。

ご自身で帳簿をつけられる場合には税理士から帳簿に関する指導を受けることができますし、領収書や請求書などの証憑類は保管が必要になってきますので、記録の仕方や保存の仕方含めて税理士からアドバイスを受けることができます。

さらに、シミュレーションを使ってそもそも会社設立をすべきなのか、個人事業主として続けるのが良いのかのアドバイスも税金の観点から受けることが可能なので、そもそも会社設立しても税制上はほとんどメリットがないケースというのもあるでしょう。

マイクロ法人の設立を検討されている方については、こちらの「マイクロ法人に強い税理士を検討するポイント」を参照ください。

消費税の課税事業者になるタイミング

他には、年商が1000万円もしくはインボイス事業者になると消費税申告が必要になってきますが、この消費税申告は経理経験のない方にはかなりとっつきにくい内容になっているため、税理士でないとミスが発生する可能性があります。そのため、消費税申告を行うか否かは税理士へ依頼するタイミングの1つとなります。

その他

上記以外には、年商がある程度大きくなってきて、処理が複雑になってきた、もしくは節税も併せて検討したいなどのタイミングになるかと思います。年商が大きくなれば取引も大きいため、その分経理処理も複雑になってきます。ご自身で確定申告を対応されている場合はミスが増える可能性もあります。加えて節税も検討されることになると、税理士へ相談をした方が最適な処理を確認することができるでしょう。

小さい会社における税理士の費用・相場

税理士の値段:価格が決まる要因

税理士の値段ですが、統一的なものはなく、個々の事務所によって異なるのが実情です。ではどのような要因で値段が変わってくるのかですが、いくつか値段を決定する要素があります。

まずそもそも税理士の値段の体系ですが、月額の税務顧問料と年末の確定申告料金が基本料金としてあり、これに加えてオプション料金が加算される仕組みになっています。まず基本料金部分ですが、顧客の難易度や取引量によって異なってくることが多いです。どのようにこれを図るかというと、一番多くのパターンは業種と年商で値段を決めていることが多いです。例えば業種でいくと、物を取り扱わないサービス業よりも固定資産や在庫を抱える製造表の方が処理が複雑化するのと同時に取引量も増えるため、価格は上乗せされる傾向にあります。また年商についても一般的に同じ業種であれば年商が大きい方が取引量は多く、処理も複雑化し難易度が上がるため、価格は上乗せされる傾向にあります。

続いてオプションですが、例えば帳簿作成を行う記帳を税理士に代行してもらう場合は税務顧問と別途値段が加算されることが多いです(一般的には月額で支払)。また、確定申告以外の作業、例えば年末調整や償却資産税なども申告等を税理士へ依頼する場合には、追加で料金がかかることが一般的です。オプションについても価格の決まり方は基本料金と同じで、作業量が多くなってくると値段は上がりますし、取引の難易度が上がると値段は上がることになります。

また、基本料金に何が含まれているかについても税理士によって異なっておりまして、例えば税務関係の届出は基本料金の範囲に入っているが、資金調達や補助金のサポートなどは別途オプションとなるような場合です。必ず契約前には基本料金にはサービスとして何が含まれていて、何がオプションになるのかは確認された方が良いでしょう。

税理士の値段:一般的な相場感

経営者が税理士へ依頼する際に、2つの方法があります。1つ目は、税務顧問として税理士と契約して1年を通して税務アドバイスをもらいながら、決算期末には決算書の作成と確定申告書の作成・提出を依頼する方法です(ケースによっては記帳代行も税理士へ依頼します)。2つ目は、決算申告のみを決算期末に税理士へ依頼する方法です。この場合、決算期末前の期中については税務アドバイスを税理士からもらうことはできず、決算申告のタイミングで併せて税理士と相談しながら確定申告を進めていくことになります。

決算申告のみを税理士へ依頼する場合の費用として、概ね20万円〜となるケースが多いように思います(年商や業種などによって最低料金は当然異なってきます)。もちろん、取引数や取引の複雑性によっても報酬金額は変わってくるため、必ず全ての方が20万円〜ということはないことにご留意ください。

仮に顧問契約で年間の契約を結んでいたとしても、一般的な税理士との契約では月額の顧問料報酬と、決算申告は別途料金が課されることが多いです(顧問料報酬の数ヶ月分ということが多いかと思います)。この場合、決算申告のみを依頼するよりも顧問契約している決算申告の方が安いことが多いです。月額顧問報酬についても、業種や年商、取引数などによって大きく異なりますが、概ね2〜3万円以上で決算申告料金が15万円〜という場合が多いように思われます。

業界が複雑な場合は取引やオペレーションが他の業種等と比較して複雑になる傾向になることから、上記の水準よりももう少し高くなることが予想されます。おすすめとしては、やはり顧問税理士契約を締結することにより定期的に税制面でのアドバイスを受けられるようにしておくことです。

上記に加えて相続税の相場についても解説します。概ね相続対象となる遺産総額の0.5~1%が税理士へ支払う値段だと考えると良いでしょう。ただし税理士の値段設定としては遺産総額の規模別に固定金額の料金を基本料金として設定しているところが多いようで、この基本料金も相続人の数や相続財産の複雑性などの難易度によって変わってきます。

税理士の値段:その他

上記以外に値段の考え方として、①初回面談料金、②時間単価チャージ制度、③成功報酬、④コンサルティングフィー、などがあります。①については初回面談は無料なことが多いですが相談の内容によっては有料になるケースもありますので、事前に確認をしておくようにしましょう。②については一般的にはあまり発生しないかと思いますが、顧客が大手だったりすると時間単価でいくら、と設定してこれに稼働した時間をかけて請求する時間単価制というものがあります。③の成功報酬は例えば税理士が介在することで節税できた部分に対して一定割合を成功報酬として支払うパターンです。この場合でも固定で支払う部分と成功報酬で支払う部分の2つに分かれているケースもあります。④については、具体的に法人化の支援やM&A/事業承継、経営相談、資金調達・補助金サポートが挙げられます。内容によって固定金額だったり成功報酬だったりします。

税理士の値段の例

下記では仮に当事務所が受注する場合の値段を使って税理士の値段の例を記載していきます。

当事務所の場合は、月額顧問報酬と決算申告報酬を基本料金としており、決算申告報酬は年1回支払うものとなっております。値段の決め方ですが、年商によりまずは値段の最低料金を算出しており、そこから業種や顧客の特殊事情により個別に見積もりを行わせていただいております。例えば、年商が1500万円の法人であれば(当事務所は法人も個人事業主も同じ値段となっております)月額報酬3万円の決算申告報酬が15万円になるため、年間の支払総額は基本料金で51万円となります。

上記に加えてオプションを使われる顧客にはオプション料金を加算しております。具体例として記帳代行については、月額2万円より(年商、業種、取引量に応じて個別見積もりとさせていただいております)承っており、例えば上記の事例ですと、2万円の12ヶ月分になりますので24万円が加算され、年額が75万円となります。年末調整や固定資産税の申告をご依頼されたい方は、別途オプション利用となります。(税理士の相談料については「税理士の相談料はいくらが適正か?」の記事もご参照ください)

小さい会社における税理士を選ぶポイント

経営者が税理士を検討するためのポイントとして挙げられるものは、①税理士へ支払う費用、②税理士との相性・税理士の経験、③個人事業・法人を今後どれぐらい拡大していくか、④経営者自身で経理業務を行うかどうか、⑤創業、会社設立に強いか、⑥DXなどIT・デジタルに知見があるかどうか、と思います。

税理士へ支払う費用

①税理士へ支払う費用についてはわかりやすいですが、税理士に依頼することで確保できる時間や効果を勘案した際に、費用対効果があっているかどうかです。単純に数字的な効果だけでなく、税理士に任せているという安心感や本業に集中できるという時間確保の面もあるため、一概に数字面の費用対効果で考えるものではないかと思います。税理士の一般的は相場については後述します。

税理士との相性・税理士の経験

②税理士との相性・税理士の経験、については中長期のおつきあいになるのである程度経営者の事業に対する理解があり、かつ経営者ご自身と相性の良い方を選んだ方が良いかと思います。相性は多くの税理士と面談して決めていくしかないかと思います。

今後の事業拡大方針

③個人事業・法人を今後どれぐらい拡大していくか、は①とも関係してきますが、現時点での業績だけで判断するのではなく今後事業を拡大予定であり、経理や税金周りの業務が複雑になることが見えているのであれば税理士へ依頼することも一案となります。

経理業務を外注化するかどうか

④経営者自身で経理業務を行うか、については①の時間確保とも絡んできますが、税理士と契約しないということは経営者ご自身で確定申告書を作成・提出することになるため、それに必要な勉強を本業と並行して行うことになるということです。時間は有限のため、本業に集中して事業を拡大することを優先する方が、結果としては良いのではないかと思います。

創業・会社設立に強い税理士か

⑤会社設立においては、資金調達や補助金、会社運営の開始など様々な事象が絡んできます。この辺りに詳しい税理士の方が会社設立時のみならず設立後のサポートも安心できると言えるでしょう。特に資金調達までサポートしてもらえると、事業計画などがより精緻なものになりますので金融機関への説明もスムーズになるでしょう。

DXに強い税理士か

⑥これからのビジネスにおいてITやデジタルは必須だと思いますが、税理士においてもクラウドを徹底的に活用したりコミュニケーションがオンライン化しているなど、は非常に重要なポイントになると思います。顧客側の負担も減るため、特に若い経営者にとってはデジタル化を進めてくれる税理士を選ぶと相性が良いのではないかと考えております。

小さい会社における税理士を探す方法

顧問契約税理士の探し方は大きく下記の方法があるかと思います。

1つ目は知り合いから紹介してもらうことです。信頼している方からの紹介であれば、安心感があるかと思います。一方で、相性が合わない場合などは紹介をしてもらった手前、なかなか断りづらいという点があると思います。

2つ目はインターネットで検索するです。ご自身が住んでいる地域で検索すると税理士のホームページがインターネット上に出てくるはずです。最近の税理士のホームページは料金体系や強み、サービスの範囲など記載内容が充実しておりますので、その中でご自身のニーズに合った税理士と面談して決められるという方法はあるかと思います。

3つ目は税理士紹介サイトです。こちらもインターネット経由ですが、直接税理士へ問い合わせるのではなく紹介サイトのコーディネーターにご自身のニーズを伝えて、複数名の税理士を紹介してもらう流れになります。一般的に依頼者側は費用がかかりませんので、安心して利用することが可能です。税理士紹介サイト以外にも会計ソフト会社で税理士を紹介しているケースもあります。

小さい会社における税理士と顧問契約を結ぶ流れ

まず税理士との面談からスタートします。初回面談は無料のことが多く、顧客側が悩んでいることや会計事務所の概要説明を受けて、終了となります。対面やWEB会議などで行われます。

初回の面談が終わると、税理士の方から見積書が提示されます。顧客から聞いた内容に基づいて見積書が作成されるので、顧客側としては何が顧問契約に入ってて、何がオプションなのかを確認することが重要です。不明点があれば税理士へ確認するようにしましょう。

見積書の提示を受けた後は、その税理士を選ぶかどうか、になります。通常は複数の税理士から見積もりをとって相性と含めて判断することになると思います。最終的には一人の税理士との契約になるため、見積もりの後は契約手続に入ります。税理士の方から顧問契約が送られてきますので、その内容を確認し、問題なければサインもしくは押印を行い契約締結となります。契約書の内容は必ずチェックし、こちらも不明点があれば税理士へ確認するようにしましょう。

ケースとして、すでに税理士との契約があり、新しい税理士へ顧問契約を変更する場合があります。この場合は、前税理士との顧問契約を終了することと、新しい税理士との契約を締結する必要があります。顧問契約は解約できない期間が定められている(もしくは解約に必要な費用が発生する)場合もありますので、前税理士との顧問契約は確認するようにしましょう。

また、契約書以外にも帳簿データや決算書データ、申告データなどの引き継ぎも必要になってきます。適切にデータが渡らないと、新しい税理士が正しい対応ができなくなってしまう可能性もあるので、必ず顧客側でデータ連携の調整をするようにしましょう。

小さい会社に強い税理士

小さい会社に強い税理士にはどのような方がいるのでしょうか、インターネットの公開情報で検索した結果も踏まえて下記に記載をしていきます。

植村会計事務所様

まずは、植村会計事務所様です(https://bring-consulting.co.jp/small-company-tax-accountant/)。ITやインターネットに詳しい会計事務所様で、スタートアップやベンチャー企業の経験も豊富です。

松田篤史税理士事務所様

次に、松田篤史税理士事務所様です(https://mzdtax.jp/)。小さな会社と個人のお客様専門の会計事務所様になります。

宮嶋公認会計士・税理士事務所

最後に、当事務所になりますが、宮嶋公認会計士・税理士事務所です。(https://tax-miyajima.com/)。当事務所も、確定申告や記帳代行などの税務サービスのみでなく、外資系経営コンサルティング会社やCFO経験を活かした、経営コンサルティングサービスおよびDX・デジタルに非常に強みを持っている特徴的な事務所になります。特にコンサルティング経験も豊富ですので小さい会社の経営者様のお悩みを深く理解し、適切なアドバイスをさせていただくことが可能です。

小さい会社において税理士を選ぶポイントまとめ

以上のように会社設立において税理士を選ぶポイントについて記載してきました。こちらの記事を参考にして、ぜひ税理士選びのサポートとしていただけると光栄です。

税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者

宮嶋 直  公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。