スタートアップが会計事務所を活用するメリットについて徹底解説

税務

本記事では、スタートアップの経営者が会計事務所と契約する際にどのような点に留意すれば良いかについて解説をしております。本記事をご覧いただくことで、スタートアップ経営者の方が基本知識を持って会計事務所と契約を行うことができます。

税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)

スタートアップが会計事務所へ依頼する前提としての税務の特徴

スタートアップとは、資金を外部から調達し、ビジネスを非連続的に大きくしてIPOやM&Aによる出口を目指していく企業のことを指しております。主にはテクノロジーを活用したビジネスをおこなっている企業を中心に幅広い領域でスタートアップ企業が活躍しております。スタートアップ企業の特徴としては、中小企業とは異なり借入や自己式本のみでビジネスを運営して行くのではなく、積極的に外部資本を調達してビジネスを大きくして行くことです。そのため、一定期間の赤字は許容され、赤字に優先して売上を伸ばすことが優先されます。外部資本にはエンジェル投資家から始まり、ベンチャーキャピタルもしくはスタートアップ支援に積極的に大企業などが挙げられます。

スタートアップの税務的な特徴としては、ビジネスモデルが時間と共に変化して行くため、最初に展開していたビジネスが1年後に変わっている可能性が高いということです。そのため、取引についても時間と共に変わって行くため税務論点も通常の中小企業よりは多く発生することが想定されます。また、基本的にスタートアップ設立初期は赤字であることが多いため、繰越欠損金が発生することが一般的です。そのため、将来の黒字の際に繰越欠損金が活用できるように、赤字であったとしてもしっかりと確定申告を行う必要があります。

また、上記以外にもスタートアップの場合は人を採用して事業をスピード感持って伸ばして行く必要があるため、従業員の採用は非常に重要な業務になります。人が増えるということは給与計算や源泉徴収業務が非常に煩雑になりますし、年末には年末調整の業務も発生します。また所得税だけでなく、社会保険への加入もおこなっているはずなので、社会保険周りの届出や計算、納付などの業務も煩雑になってきます。スタートアップの場合は一般的な中小企業よりは従業員の退職も早くなりがちなので、特に届出もれや計算ミスなどが発生する可能性が高い業態となっております。

スタートアップが会計事務所へ依頼できること、契約するメリット

スタートアップが会計事務所へ依頼することで得られるメリットとは具体的にどのようなものが考えられるでしょうか?まず考えられるのが、年1回提出が必要となる確定申告書の作成・提出、及びそれに関連する税務相談になります。スタートアップ経営者はとにかく集めた資本を使って限られた時間の中で成果をあげていかなければならないので、確定申告書の勉強をして自身で対応するよりも税理士へ丸投げをして効率化すべきだと考えております。また前述の通り、スタートアップの場合はビジネスが刻々と変化して行くので、発生する税論点も多様化します。しっかりと顧問税理士をつけて適宜相談できる体制にした方が、税論点の取りこぼしも減り、メリットがあると考えられます。

続いて資金調達面でのサポートが考えられます。会計事務所は確定申告書だけでなく、決算書も作成しております。また事業計画書の作成についても知見があります。スタートアップの場合、主な資金調達先は前述の通り資本調達になりますが、日本政策金融公庫の創業融資や保証協会付きの金融機関のローンなど借入も一定選択肢に入ってきます。これらの金融機関から借入を行う場合には過去の決算書の提出と事業計画書の提出を求められます。過去の決算書については会計事務所が関与することで金融機関に対して一定の信頼性を付与することができますし、事業計画書作成経験のない経営者であれば、作成にあたって会計事務所よりサポートをもらうことができます。資金調達時の場面以外でも例えば資金繰りについても会計事務所として支援が可能です。例えばキャッシュフロー計算書を作成し、適切にバーンレートを管理するなどです。キャッシュフローを作成したことがない経営者からすると、会計事務所に支援をもらった方が効率的です。

そのほかのサポートで考えられるのは会計ソフトの導入支援です。スタートアップの初期段階であれば会計事務所に記帳含めて丸投げで問題ないですが、事業の規模がある程度大きくなってきて、IPOを目指せる段階になった場合には、決算書を作成できる経理体制を自社で整備・運用する必要が出てきます。その際には経理人材を採用して自社で記帳から決算書作成を行う必要があり、会計ソフトを導入していない場合は会計ソフトの導入も必要になってきます。IPOを目指す場合には、その要件として会計ソフトの種類も限定されるため、どんなソフトでも入れて良いというわけではなく、また会計ソフトを導入する際には勘定科目のマスタ設定や、他のシステムとの自動連携など様々な導入時の対応が必要になってきます。この点会計事務所は普段から会計ソフトを使い、導入にも手慣れているので、会計ソフト導入支援という形でサポートが可能となります。

会計事務所との契約:会計士と税理士の違いについて

公認会計士と税理士、スタートアップにおいては両方と契約することになりますが、両者の違いはなんでしょうか?上記まで記載してきた会計事務所は税理士の意味で使っております。税理士は税金のプロであり、確定申告書や税務相談など税務の視点からスタートアップを支援します。一方の公認会計士は、IPOに必ず必要な監査報告書を発行する役割として関与します。公認会計士のメインの仕事は会計監査で、IPOするためには財務諸表が適切に作成されているという監査報告書が必要となります。

そのほか公認会計士は、こちらもIPOに必要な内部統制の整備・運用に関するコンサルティングや、同じくIPOに必要な開示書類の作成支援など、IPOに関して幅広く支援を展開しております。なお公認会計士は税理士に登録すればなることが可能なので、独立している公認会計士は併せて税理士としてもサービスを展開していることが一般的です(逆に税理士ライセンスのみでは公認会計士の業務を行うことはできません)。

スタートアップに会計事務所と契約すべきベストなタイミング

スタートアップにとって会計事務所と契約すべきベストなタイミングはいつなのでしょうか?一番ベストだと思うタイミングは会社設立時だと考えております。これは前述の通り、スタートアップ経営者は確定申告等に時間を取られるのではなく本業に集中すべきという観点からと、資金調達の観点で早々に税理士が決算書作成に関与しておいた方が金融機関からの借入が将来的にスムーズになるからです。また様々な税論点が適宜発生するのがスタートアップの特徴なので、税理士とコミュニケーションをとることが会社設立直後から発生しやすいです。

スタートアップが会計事務所と契約する際の料金

スタートアップが会計事務所と契約する場合、どの程度の費用がかかるのでしょうか?スタートアップの場合、税論点も複雑になりがちなので、一般的には月額の顧問料金は年商等にもよりますが、月額3万円以上からスタートになるパターンが多いと思います。これに決算申告時に月額顧問料の4〜6ヶ月分がかかってくることになります。また月額顧問料はあくまで税務相談部分のみなので、記帳代行が必要な場合は月額顧問料金に少なくとも毎月1〜2万円の記帳代行料金が乗っかってくることになります。

スタートアップに強い会計事務所の選び方

スタートアップ経営者がスタートアップに強い税理士をどのように探せば良いでしょうか?1つ目は同じ同業経営者の友人からの紹介が考えられます。スタートアップに対しての経験がある会計事務所という保証があるので、紹介はその視点からは安心感があります。次に近所でスタートアップに強い会計事務所をインターネットで検索して、面談して行く方法です。一人つづ面談して行くので、時間はかかりますが、自分に合った会計事務所を探せる可能性が高いです。最後に紹介するのは税理士紹介サイトの活用です。税理士紹介サイトはエージェントが作家の方のニーズを聞いて、複数名の会計事務所を紹介する仕組みです。エージェントは会計事務所から紹介手数料をもらうのが一般的なので、ユーザーであるスタートアップの方は無料であることが多いです。

次にスタートアップ経営者が会計事務所を選ぶ視点です。一番重要なのは、会計事務所がスタートアップに対して豊富な経験を持っているかどうかです。スタートアップの場合IPOも意識なければならないため、できればIPOにも知見を持った税理士であると心強いでしょう。特に公認会計士資格を保有している税理士の場合、監査法人などでIPO支援業務やコンサルティング会社でIPOコンサルティング経験を持った人もいるので、そのような税理士も1つの選択肢に入ってくると思います。

スタートアップに強い会計事務所の具体例

スタートアップに強い会計事務所にはどのような方がいるのでしょうか、インターネットの公開情報で検索した結果も踏まえて下記に記載をしていきます。

まずは、Gemstone税理士法人様です(https://gemstonegroup.jp/)。税務顧問や確定申告のみならず、スタートアップ支援、連結決算開示支援、クラウド会計導入支援など、スタートアップのニーズに対応した幅広いサービスを提供されています。

次に、植村会計事務所様です(https://plagger.org/)。30代の税理士ということで若い税理士の方が対応されます。所得税・法人税・消費税の確定申告や税務相談はもとより、全国対応で、かつ事業計画の策定やKPI管理などの管理会計にも詳しい方です。

続いて、堀江税理士・公認会計士事務所様です(http://www.startup-partners.jp/)。記帳代行や確定申告だけでなく、資金調達や起業・会社設立支援、経理代行などスタートアップ企業のニーズに合ったサービスを幅広くお持ちです。

最後に、当事務所になりますが、宮嶋公認会計士・税理士事務所です。(https://tax-miyajima.com/)。当事務所も、確定申告や記帳代行などの税務サービスのみでなく、外資系経営コンサルティング会社やCFO経験を活かした、経営コンサルティングサービスおよびDX・デジタルに非常に強みを持っている特徴的な事務所になります。特にコンサルティング経験も豊富ですのでスタートアップ経営者の方のお悩みを深く理解し、適切なアドバイスをさせていただくことが可能です。

まとめ

以上のようにスタートアップにとって会計事務所は必要かについて記載してきました。こちらの記事を参考にして、ぜひ会計事務所選びのサポートとしていただけると光栄です。

税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士 
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。