個人事業主は税理士といつから契約すべきかを徹底解説

税務

本記事では、個人事業主の方で税理士をお探しの方について、いつから税理士を付けるのが良いのか、その理由は何か、税理士を付けることでどのようなメリットがあるのか、について徹底解説いたします。本記事をご覧いただくことで、正しい知識に基づいて税理士探しができるようになります。

税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)

個人事業主の方が抱える悩み・税理士のサービス領域

個人事業主の方が税周りで悩まれることとして、まずは年1回の確定申告が挙げられます。これは年商規模に関わらず事業をおこなっている個人事業主の方は確定申告書を作成し、提出する義務を負っています。また確定申告書を提出するだけでなく、納税の必要があれば納税を行う義務を負っています。確定申告をおこなっておらず、かつ納税もおこなっていないとなると、無申告としてペナルティを受けることになります。また通常個人事業主の方は毎年3月15日が確定申告書の提出期限となっておりますが、それに間に合わない場合も延滞税などのペナルティを受けることになります。

また、確定申告書を提出し税金の納付を行なった場合でも、税務署の税務調査が入り、修正申告を求められたり、税務署から更正処分を受けることで、追徴を受ける場合があります。そのため、確定申告期限に間に合う必要はありますし、かつ正しい申告・納付ができていないと事後にペナルティを受ける可能性があるわけです。ペナルティは非常に重たく、一番重たい重加算税を受ける場合には、無申告の場合、発生した税額に対して40%の加算税を受けることになります。

税務申告書を作成するためには、その土台となる帳簿の作成から、貸借対照表・損益計算書の決算書の作成、を行う必要がありますので、年1回とは言え、普段から経理処理を正しく行う必要があるのです。本業に忙しい個人事業主の方からすると、本業に加えて専門ではない経理業務を行う必要があるため、非常に煩雑です。そのため、帳簿作成から決算書の作成、税務申告書の作成・提出まで税理士へ丸投げすることで、本業に集中することが可能です。

また税金以外にも資金調達面で税理士のサポートを借りることも可能です。業種によりますが、開業時に一定の投資が必要が業種については、金融機関からの借入が必要になるでしょう(もちろん自己資金で全て賄える方は不要ですが)。開業時の資金調達における金融機関は日本政策金融公庫の創業融資や、保証協会付き金融機関融資が主になってくると思います。これらの金融機関から借入を行う場合には、事業計画書の作成・提出が必要ですが、事業計画書を作成したことがない個人事業主からすると非常にハードルが高いため、税理士へ依頼することでサポートを得ることが可能となります。

そのほかでは相続税申告も税理士の対象領域になってきます。年1回の確定申告とは異なり、相続税は被相続人がお亡くなりになられた際にしか発生しない申告になります。一方で財産が多い場合は、何らの対策も取らないと相続税が想像以上に大きくなり、手元の現金では納付ができないケースも発生します。相続が発生する前から税理士に関与してもらうことで、一定のシミュレーションなど事前準備することが可能となります。

個人事業主が税理士と契約することで得られるメリットとは?

個人事業主が税理士と契約することで得られるメリットとは具体的に何でしょうか?1つ目は税務申告書作成と提出の負担を減らすことが可能となり、本業に集中できるという点です。特に税法は毎年改正されるため、それをアップデートしつつ本業にも従事するのは非常に大変です。税務の専門家である税理士へ依頼することでこのような負担を軽減することが可能です。

2つ目は税務以外にも財務に関するサポートを各種受けることが可能ということです。前述しました、資金調達時の事業計画書作成のサポートや、法人化の検討に関する各種シミュレーション、その他資金繰り等に対するアドバイスを税理士から受けることが可能です。資金繰りは特に事業にとって非常に重要なことですが、キャッシュフローを作成するなど、財務に詳しくない経営者からすると非常にハードルが高い業務になりますので、税理士のサポートが非常に心強いものになります。

3つ目は経営相談も提供している税理士であれば、普段の月次決算に加えて月次決算から見える経営の改善点を指摘してもらえるという点です。特にコスト面においては、どのような項目に必要がかかっていて、過去からの推移に異常がないかどうか、など削減するためのヒントを与えてくれます。

税理士の専門分野について

税理士には得意な専門分野がありますので、ご自身が依頼される分野に強いかどうかを契約前にしっかりと確認する必要があります。大きく、相続税や贈与税などの資産税系に強い税理士と、所得税や法人税など一般的な税に強い税理士に分けることができます。相続税と所得税は同じ個人に課される税金ですが計算方法が全く異なるため、税理士によっては所得税は取り扱わず相続税に特化している場合もあります。

その他の専門分野として、国際税務やM&Aなどの組織再編税務、そのほか税務調査に強い税理士など、さまざまな税理士がおります。

個人事業主が税理士へ相談するベストなタイミングとは?

個人事業主が税理士へ相談を開始するベストなタイミングとはいつになるのでしょうか?1つ目は開業時になります。これは前述した資金調達とも関連しますが、金融機関とのコミュニケーションでは事業計画だけでなく過去の決算書についても継続的に提出が求められます。そのため、正しい決算書を迅速に提出できるように、早めに税理士に関与してもらうことで、経営を効率化することが可能です。

2番目は、法人化を検討するタイミングです。法人の場合は個人事業主と異なり、法人税を申告することになります。法人税は個人事業主の所得税と異なり、作成する難易度が非常に高くなりますし、申告書作成経験のない方がちょっと勉強してできるレベルではありません。そのため経営者の方が自力で法人の確定申告書を作成するのは現実的ではないため、税理士へ依頼されることをお勧めいたします。

3番目は消費税の課税事業者になった時です。消費税の課税事業者になる場合、消費税の計算の仕方として原則の方法と簡易課税を選ぶことができます。計算手続きも異なるのですが、結果の税額も異なってきます。また簡易課税を一度方法を選択すると一定期間は原則課税に戻ることができないため、結果として支払い税額で損する可能性もあります。そのため事前に税理士のアドバイスを受けるなどをされることをお勧めしたいです。

個人事業主における税理士の料金・相場

税理士の料金は主に、月額顧問報酬と決算申告時の報酬から構成されています。前者については、毎月税理士と税務相談に関してコミュニケーションをとるのに必要な金額になってきます。記帳代行を依頼する場合にはオプション料金として、毎月の月額顧問報酬に加算して金額を支払うことになります。月額顧問報酬は概ね2〜3万円以上となることが一般的かと思います(個人事業主の場合は、法人と比較して難易度が少し下がるため、もう少し安い金額の税理士もいます)。

後者の決算申告は、確定申告に際に税理士が作成する決算書及び確定申告書の作成料金として請求されるものになります。概ね月額顧問報酬の4〜6ヶ月分を請求されることが多いかと思います。また基本的には最低限のサービスしか入っていないことが多いので、例えば従業員がいて年末調整をお願いしたり、消費税の課税事業者のため消費税申告書が必要な場合は、別途プラスで料金がかかってきます。

個人事業主が税理士を選ぶポイント

個人事業主の場合、税理士をどのようなポイントから選べば良いのでしょうか?最も重要なポイントは税理士との相性だと考えております。個人事業主の場合、そこまで難易度の高い税務が発生することはほとんどないため、組織再編や国際税務など特殊な税務に対応できる税理士を活用する機会はほとんどなく、通常は所得税・法人税の一般税に対応できる税理士との契約になるかと思います。

税理士の場合、日々の取引からコミュニケーションをとる機会が多いため、個人事業主の方と税理士のコミュニケーション頻度が想定よりも高いと思います。そのため、税理士への相談のしやすさや質問をしてからの回答の速度など、スムーズにコミュニケーションができるかどうかが非常に重要になってきます。またご自身の展開しているビジネスへの理解度も重要です。取引を理解して帳簿作成をしたり税務アドバイスをする上ではビジネスを正しく理解していることが重要となります。

金額が安いからという理由で決めてしまうと、実際にはコミュニケーションが取りづらいなどのデメリットも発生する可能性はあるため、必ず複数の税理士と面談して値段だけでなく、相性の視点からも検討した上で、税理士を選ばれることをお勧めいたします。

まとめ

以上、個人事業主がいつ税理士と契約するのか、のポイントについて記載をしてきました。皆様もこちらの記事を参考に、税理士探しにお役立てしてください。

税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者

宮嶋 直  公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。