納税管理人を税理士へ依頼する際の費用相場について

税務

本記事では、納税管理人に税理士を活用する際の費用相場について解説していきます。納税管理人の制度や税理士を活用するメリットについては、別途準備しております、「納税管理人とは?税理士を活用するメリットを徹底解説
」を併せてご覧ください。

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納税管理人を税理士へ依頼する際の費用相場について

  1. 納税管理人とは何か?
  2. 納税管理人は税理士である必要があるか?
  3. どのような場合に納税管理人が必要か?
    1. 海外居住者で日本で所得が発生している
    2. 海外居住者で日本で納税義務がある
    3. 外国法人で日本で資産の譲渡がある
    4. 資産1億円以上の人が海外居住者となる場合
  4. 納税管理人を税理士へ依頼するメリットについて
    1. 専門知識と経験によりミスがなくなる
    2. 税務計画やアドバイスの提供
    3. 手間からの解放
  5. 納税管理人を税理士へ依頼した場合の費用相場
  6. 納税管理人を税理士に依頼した場合の費用相場の構造や詳細
    1. 一般的な納税管理人サービス
    2. スポットでの納税管理人サービス
  7. 納税管理人に関連した税理士のサービス費用相場・料金について
    1. 国外転出時課税対応
    2. 国際相続対応
    3. 税務相談
  8. 納税管理人として税理士をする場合の納税管理人届出書
    1. 納税管理人届出書の提出期限
    2. 納税管理人届出書を提出した場合の確定申告期限
    3. 納税管理人届出書を提出しなかった場合の確定申告期限
  9. 納税管理人の指定を忘れた場合
  10. 納税管理人を依頼する際の必要書類を入手する流れ
    1. 必要書類が入手できる場所
    2. 解任する場合の解任届について
  11. 納税管理人を税理士へ依頼する際の留意点
    1. 出国までに納税管理人へ依頼した方が良い
    2. 税理士の依頼範囲と費用
  12. 納税管理人に関するよくある質問
    1. 納税地について
      1. Q. 納税管理人を指定する場合の納税地はどこになるのか?
      2. A. 納税地は納税管理人を指定したとしても申告者の日本の自宅住所
    2. 納税管理人の人数
      1. Q. 納税管理人は何人指定することが可能か?
      2. A. 納税管理人は複数名指定できず、1名のみ
    3. 国外転出時課税
      1. Q. 国外転出時課税の納税猶予制度とは?
      2. A. 納税管理人を通じて税務署へ届け出ることで、最大10年間猶予を受けることが可能
  13. 納税管理人は税理士がオススメ
  14. 納税管理人を税理士へ依頼する際の流れ
    1. 税理士との面談予約
    2. 初回相談・税務相談
    3. 見積もり
    4. 税理士との契約
  15. 納税管理人を税理士へ依頼する際の費用相場のまとめ

納税管理人とは何か?

納税管理人とは、日本で納税義務等があるものの日本に居住していない方の代理人として、納税手続等を行う人のことを言います。納税義務は引き続き本人にあるため、納税管理人が連帯義務を負うわけではありません。

納税管理人は税理士である必要があるか?

納税管理人そのものは、税理士でなくてもなることは可能です。また制度上、家族や親族という制限もないため、本人が指名すれば誰でも納税管理人になることは可能です。一方で確定申告の作成代行や税務相談は税理士の資格を持った人のみが対応することが可能なため、確定申告書を含めて考えると、税理士へ依頼することが一般的と言えます。

どのような場合に納税管理人が必要か?

海外居住者で日本で所得が発生している

海外に居住しているものの、日本で所得が発生しているケースです。最も多い事例でいくと、日本で不動産を保有しており、その不動産を他者に貸付しているため、所得が発生しているケースです。

海外居住者で日本で納税義務がある

海外に居住しているものの、日本で所得が発生していないものの、例えば相続などにより納税義務が発生するようなケースです。

外国法人で日本で資産の譲渡がある

外国法人が日本に本店、支店を持っていないことが前提ですが、日本で資産の譲渡を行う場合、消費税の申告が必要となるため、納税管理人が必要となります。

資産1億円以上の人が海外居住者となる場合

一定の資産を持っている方が海外居住者になる場合、出国に際して保有している資産に対して税金が課されることになります。その対応のため納税管理人が必要となります。

納税管理人を税理士へ依頼するメリットについて

専門知識と経験によりミスがなくなる

納税管理人を税理士へ依頼することで、ミスなく確定申告の対応や納税の対応をしてくれます。特に国際税務が絡んでくる分野ですので、専門性が非常に高く、税の知識がない方にとっては非常にハードルが高いものとなっています。

税務計画やアドバイスの提供

単に税理士は確定申告の作成代行と納税義務の対応をしてくれるだけでなく、どの程度の税額が発生しそうなのかのシミュレーションや、税に関する各種アドバイスをも提供してくれます。そのため、知識がないことにより無駄に多くの税額を支払うことを防ぐことが可能です。

手間からの解放

確定申告は頻繁に発生する作業でありませんが、事前準備や慣れが必要です。確定申告時期に焦るよりもプロである税理士へ依頼する方が、精神的な面で楽になります。

納税管理人を税理士へ依頼した場合の費用相場

では納税管理人として税理士を活用する場合、どの程度の料金がかかるでしょうか?納税管理人として税理士を選択する場合は、一般的に税務申告や税務相談まで依頼することが想定されるため、ここではその前提で費用相場を解説していきます。

まず、一般的な確定申告や税務相談であれば、年商規模にも応じますが、最低限20万円/年間からの料金になるかと思います(もちろんもう少しお安めの税理士事務所もあります)。また料金が上がる要因としては、年商規模が大きくなるもしくは複数所得があるなど、処理が複雑になるケースとなります。

個々人の状況によって難易度は変わるため、まずは税理士と相談することをお勧めします。

納税管理人を税理士に依頼した場合の費用相場の構造や詳細

さらに納税管理人を税理士へ依頼した際の費用相場について詳細を解説していきます。

一般的な納税管理人サービス

一般的な納税管理人サービスは、常任の納税管理人として各種税金の対応を行うものを指します。月額の納税管理人としての料金に加えて、年度の確定申告料金の合算した料金が、年間の費用総額となります。

スポットでの納税管理人サービス

確定申告など税理士の取扱分野のみ依頼する場合に対応しているサービスです。常任の納税管理人よりも確定申告料金は割高になる傾向です。

納税管理人に関連した税理士のサービス費用相場・料金について

国外転出時課税対応

国外転出時に一定の資産を保有している方は、「国外転出時課税」を受ける可能性があります。一般的に、日本へ帰国する予定のある方については納税猶予制度を活用することになるため、その際の届出等を税理士が行います。届出に関しては、初年度は10万円以上、以降毎年5万円以上が一般的な相場に思います。

国際相続対応

非居住者が日本の財産を相続するなどの場合に発生する相続税のアドバイスや、相続税の申告に関して代行をするサービスになります。一般的には1案件あたり1百万円以上が目安となります。

税務相談

スポットの税務相談で納税管理人以外にも国際税務に関する相談業務になります。1時間あたりのチャージ料金となりますが、一般的な国内税務よりも高く、1時間あたり2〜3万円になることが多いかと思います。

納税管理人として税理士をする場合の納税管理人届出書

納税管理人を指定する場合には、事前に納税管理人届出書を税務署へ提出することになります。書き方がわからない場合は税務署や依頼する予定の税理士へ確認するようにしましょう。

納税管理人届出書の提出期限

納税管理人届出書を税務署へ提出する期限は、国外への転出時までとなります。国外転出まであまり期限がない場合は特に留意するようにしましょう。

納税管理人届出書を提出した場合の確定申告期限

国外転出時までに納税管理人届出書を提出した場合の確定申告は、対象となる年度の所得について、1月1日から国外転出日までの所得と、国外転出日の翌日から12月31日までの所得を合算して翌年の3月15日までに納税管理人を通じて行うことになります。

納税管理人届出書を提出しなかった場合の確定申告期限

国外転出時までに納税管理人届出書を提出しなかった場合の確定申告は、対象となる年度の所得について、1月1日から国外転出日までの所得については、その国外へ転出日までに確定申告を行う必要があります。なお所得が給与所得のみの場合は勤務先が年末調整を行うため、確定申告は不要となります。

一方で国外転出日以降に発生した所得については、国内源泉所得として所得が発生した年の翌年の3月15日までに確定申告を行う必要があります。

納税管理人の指定を忘れた場合

日本で確定申告義務が発生する場合には、ご本人が海外に居住していたとしても、日本での確定申告および納税義務があります。そのため、納税管理人の指定をし忘れるとその後の手続き非常に面倒になるため、忘れずに出国前に納税管理人を指定するようにしましょう。

納税管理人を依頼する際の必要書類を入手する流れ

必要書類が入手できる場所

納税管理人へ依頼する際の必要書類である、納税管理人届出書、はどこで入手することができるのでしょうか?まずは近くの税務署で入手することが可能です。書き方に疑問点がある場合には、税務署で相談をすることも可能です。また国税庁のホームページからも印刷することが可能です。

解任する場合の解任届について

納税管理人が不要になり、納税管理人を解任する際にはどうすればよいのでしょうか?その際には、「納税管理人の解任届出書」を作成して提出することになります。「納税管理人の解任届出書」については国税庁のホームページからダウンロード可能です。

納税管理人を税理士へ依頼する際の留意点

出国までに納税管理人へ依頼した方が良い

納税管理人を税理士へ依頼する場合、出国までに依頼することをお勧めします。前述の通り、出国時までに納税管理人を指定しなかった場合、対象となる年度の所得について、1月1日から国外転出日までの所得については、その国外へ転出日までに確定申告を行う必要があります。そのため、確定申告の手続が非常に手間になるため、出国までに納税管理人を指定することをお勧めします。

税理士の依頼範囲と費用

税理士へ依頼する場合には、税理士へ依頼する業務の範囲をまず明確にしましょう。税理士側から、納税管理人として必要な業務の説明を受けるため、それを踏まえて必要なサービスと不要なサービスを明確にし、必要なものだけを依頼するようにしましょう。また、その際の料金についても確認しましょう。何が基本料金で何がオプションになっているのかは、合計料金を見誤ってしまうため非常に重要です。

納税管理人に関するよくある質問

納税地について

Q. 納税管理人を指定する場合の納税地はどこになるのか?

A. 納税地は納税管理人を指定したとしても申告者の日本の自宅住所

納税管理人の人数

Q. 納税管理人は何人指定することが可能か?

A. 納税管理人は複数名指定できず、1名のみ

国外転出時課税

Q. 国外転出時課税の納税猶予制度とは?

A. 納税管理人を通じて税務署へ届け出ることで、最大10年間猶予を受けることが可能

納税管理人は税理士がオススメ

納税管理人は、誰を指定するのが一番良いのでしょうか?前述の通り、確定申告の対応や国際税務の対応なども考えると税理士へ依頼することをお勧めします。

納税管理人を税理士へ依頼する際の流れ

税理士との面談予約

まずは依頼検討したい税理士を探し、面談依頼を税理士へお願いしましょう。なお、当事務所(宮嶋公認会計士・税理士事務所)も納税管理人に対応しておりますので、お気軽にお問合せください。

初回相談・税務相談

面談予約の日に、税理士と面談を行います。当事務所(宮嶋公認会計士・税理士事務所)はオンライン面談で実施しておりますので、お越しいただかなくでもお気軽に面談が可能です。事務所によってはオンライン対応しているところとしていないところがあります。

面談の中では、お客様側からどういう課題があり、どのような状況なのかをご説明いただきます。それに対して、税理士としてどのような対応が可能なのかのご説明と、税理士事務所のご説明をすることが一般的です。

見積もり

面談を踏まえて、お客様側から依頼があった場合には、税理士から依頼内容を踏まえた見積書を提示することにあります。見積書を確認し、依頼内容および料金に相違がないかどうかを確認します。

税理士との契約

見積書を踏まえて税理士へ依頼することを決めたら、税理士との契約へ進みます。一般的には税理士から契約書を入手し、内容を確認して問題がなければ、税理士と契約を締結することになります。

納税管理人を税理士へ依頼する際の費用相場のまとめ

以上のように納税管理人を税理士へ依頼する際の費用相場について解説をしていきました。本記事をご参考に、ぜひ税理士の活用をご検討ください。

税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者 
宮嶋 直  公認会計士/税理士
京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。