本記事では、作家の方が税理士と契約する際に、作家の方にとって税理士と契約するメリットとは何か、税理士と契約する際に留意すべき事項は、税理士と契約することによってかかる費用は、などについて解説をしていきます。本記事をご参考いただくことで、税理士と契約する際のポイントについてしっかりと理解できるようになります。
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作家の方が税理士と契約して得られるメリットについて解説
作家における税務の特徴
作家の場合、多くの場合は個人事業主や法人として活動し、その収入源は出版社からの原稿料と実際に書籍として出版された際の印税になるかと思います。収入としては上記の2つからのものを売上として計上することになりますが、一方で経費については小説を制作するにあたって自分で支払ったもの、例えば道具の購入費用や交際費などが該当すると思います。出版社等が支払ったものについてはご自身の確定申告では経費になりませんのでご留意ください。
仮に従業員やパートを雇う場合には、その方々に給料を支払うことになります。特に作家の場合、アシスタントなどを雇う場合があると思いますが、これが従業員もしくはパートに該当してきます。必要な業務としては給与計算のみならず、毎月源泉徴収という形で支払う予定の給与のうち一部は控除をして、税務署へ納付する必要があります。またその他社会保険等についても徴収して納付する義務があります。この源泉徴収の義務は雇用主側になるため、必ず行う必要があります(原則は毎月、従業員数に応じて事前に届出を提出していれば、所得税の源泉徴収に関しては半年に1回にすることが可能です。半年に1回ですが、半年分をまとめて収めることになるので、源泉徴収額の負担が下がるわけではありません)。
なお源泉徴収について適切に行わなかった場合、その負担を負うのは雇用主になるので、例えば計算を間違えて過小に徴収した場合には、その差額は第一義的には雇用主が負担することになります(その後従業員の方から追加で源泉徴収することになります)。毎月の源泉徴収以外にも年末には年末調整という作業を行う必要があります。年末調整は、各月の源泉徴収金額で発生した過不足を年末で精算するものであり、過不足を計算し、不足している場合は従業員の方から追加徴収、多くとりすぎた場合は返金を行うことになります。差額が発生する理由としては、主に扶養控除(従業員の扶養状況が変わった)による影響や、従業員の方が持っている保険料の控除(生命保険や年金保険等が該当します)によるものです。年末調整では、従業員の方から扶養に関する情報や保険料に関する情報を取得し、調整計算を行うことになります(一般的には会計ソフトなどが年末調整に対応しているため、会計ソフトの指示に従って金額を入力して行く形になります)。従業員やパート関係の給与に関する業務は非常に重要な業務であり、ミスした際に従業員から雇用主への信頼が大きく低下するため、ミスが許されない業務となっております。
作家の確定申告
作家の仕事について個人事業主としてやられている方は、毎年3月15日に確定申告を行う必要があります。確定申告を行った結果、納付が必要な場合は3月15日までに税金を支払う必要があります。個人事業主ではなく、法人を設立しておりそこで作家の収益が発生している場合には、所得税の確定申告ではなく法人税の確定申告を行う必要があります。法人の場合は決算期から2ヶ月以内に確定申告を行う必要があります。
作家が税理士と契約するメリット・税理士が提供できること
作家の方が税理士と契約することによって、どのようなメリットを得ることができるのでしょうか?まず考えられるのが、確定申告の作成・提出を税理士へ依頼することで本業に集中できることです。確定申告書は年1回作成・提出が必要です。これは個人事業主であっても法人であっても必要になります。確定申告書を作成するにあたっては、日々の取引を帳簿という形で作成し記録する必要があるのと同時に、年度末には決算書(貸借対照表と損益計算書)を作成する必要があります。確定申告書はこの決算書を基礎として作成することになります。帳簿類や決算書の作成にあたっては一定以上の簿記の知識と経験が必要であり、作家の方が専門領域でない簿記・経理の勉強を一から行い確定申告書を作成するのはあまり効率的でありません。ここで税金の専門家である税理士へ依頼することで、帳簿作成・決算書作成・確定申告書作成などの業務から解放され、本業に集中することが可能となります。
続いて財務面から各種支援が期待できることです。例えば金融機関から借入を行おうと思った場合、金融機関に対して過去の決算書の提出及び事業計画書の提出を求められます。この決算書と事業計画書については税理士が関与している場合一定の信頼性を付与することが可能なので、金融機関とのコミュニケーションがスムーズになります。また事業計画書については、作成経験がない方だとなかなか適切なものを作成する難易度は高いため、税理士にサポートをもらった方が効率的です。また法人化の検討においても税理士のサポートが必要となってきます。例えば、法人化した場合の収支シミュレーションをおこなってもらったり、法人化する際に留意すべき税論点についてアドバイスをもらったりなどが挙げられます。例えば法人化する際に決めなければならない資本金の金額によっては消費税の課税事業者に初年度からなってしまったり、住民税の金額に影響が出てくるなど、税金面での影響が結構大きいものです。これを一から調べて作家の方ご本人が対応するのはあまり効率的でないですし、漏れる可能性もありますので、税理士からアドバイスをもらい、確実に対応して行った方が良いと考えます。そのほか、資金繰り面においても税理士にキャッシュフローを作成してもらい、資金がショートしない範囲でどのように事業をおこなって行くかのアドバイスをもらったりなど、税理士に関与してもらうことで、幅広い税務のサポートを受けることが可能となるのです。
作家の方は税理士へ確定申告を丸投げできるのか?
作家の方は税理士へ確定申告を丸投げできるのでしょうか?答えはできます。ただ、必要な資料類は作家の方から税理士へ渡す必要があります。確定申告を行う場合には、まず帳簿の作成からスタートし、決算書を作成し、その決算書に基づいて確定申告書を作成することになります。帳簿の作成を代行することも可能で、これを記帳代行と言いますが、税理士の方で作家の方の資料を使いながら帳簿を作成代行します。もちろん税務申告を依頼するのに加えて料金が加算されることになります。
作家の方で税理士との面談が心配なケース
税理士を探すにあたっては、気になった税理士と一回は面談を行う必要があります。面談にあたっては色々な心配があると思います。まず初回面談で料金がかかるかどうかですが、これは税理士へ確認すれば回答してくれますので、明記されていない場合は事前に確認すると良いでしょう。次に実際に会うのは抵抗感があるという方については、最近Zoomでの面談も一般的になってきております。初回面談はZoomで依頼することで心配事をなくしましょう。逆に相手の税理士がZoom面談できない場合は、実際のサービス提供に当たってもZoomがNGになる可能性があるので、その辺りも心配な方は事前に税理士へ確認されるのが良いでしょう。
作家の方で税理士に依頼するにあたりプライバシーが気になるケース
税理士に依頼するに当たって、副業がバレないか、家族に作成した作品がバレないか、などプライバシーを気にされる方もいらっしゃると思います。まず税理士は専門家として守秘義務を負っておりますので、プライバシーが外に漏れることはありません。それでも心配な方は、税理士へ事務所としてのプライバシー管理の体制等を質問してみるのが良いでしょう。
作家に税理士が必要なタイミング
作家の方にとって、いつ税理士と契約するのが良いのでしょうか?まず考えられるのは消費税の課税事業者になるタイミングです。免税事業者であっても、年商1000万円を超える段階で課税事業者となるため、消費税申告が必要になってきます。この消費税申告ですが、所得税や法人税と異なり帳簿の付け方がやや複雑なものになっておりますし、消費税申告も原則課税と簡易課税で計算方法も計算結果も変わってくるため、採用した方法によって税額のメリット・デメリットが発生します。このように消費税が入ると考えるべき事項が増えるため、税理士のアドバイスを受けるのがおすすめです。
他に考えられるのが、法人化の際です。前述の通り法人化にあたってはさまざまな税論点が出てきますので、税理士についてもらって進めて行く方が効率的です。また法人の場合は個人事業主の所得税と異なり法人税の申告書を作成・提出する必要がありますが、法人税の申告書は所得税の申告書と異なり非常に複雑です。そのため、税理士へ依頼をした方がミスなく確定申告書を作成・提出することが可能となります。
作家が税理士と契約する際の料金
税理士の料金は主に、月額顧問報酬と決算申告時の報酬から構成されています。前者については、毎月税理士と税務相談に関してコミュニケーションをとるのに必要な金額になってきます。記帳代行を依頼する場合にはオプション料金として、毎月の月額顧問報酬に加算して金額を支払うことになります。月額顧問報酬は概ね2〜3万円以上となることが一般的かと思います。
後者の決算申告は、確定申告に際に税理士が作成する決算書及び確定申告書の作成料金として請求されるものになります。概ね月額顧問報酬の4〜6ヶ月分を請求されることが多いかと思います。また基本的には最低限のサービスしか入っていないことが多いので、例えば従業員がいて年末調整をお願いしたり、消費税の課税事業者のため消費税申告書が必要な場合は、別途プラスで料金がかかってきます。
作家に強い税理士の選び方
まず作家に強い税理士を探す方法として、1つ目は同じ同業経営者の友人からの紹介が考えられます。作家に対しての経験がある税理士という保証があるので、紹介はその視点からは安心感があります。次に近所で作家に強い税理士をインターネットで検索して、面談して行く方法です。一人つづ面談して行くので、時間はかかりますが、自分に合った税理士を探せる可能性が高いです。最後に紹介するのは税理士紹介サイトの活用です。税理士紹介サイトはエージェントが作家の方のニーズを聞いて、複数名の税理士を紹介する仕組みです。エージェントは税理士から紹介手数料をもらうのが一般的なので、ユーザーである作家の方は無料であることが多いです。
続いて税理士の選び方ですが、最も重要なのは作家業に対する理解と税理士との相性です。作家業に対する理解については、税務は日々の取引をどれぐらい理解しているかによってアドバイスの深みが変わります。そのため、作家のビジネスモデルを正しく理解をしている方が経営者とのコミュニケーションもスムーズになりますし、適切なアドバイスも税理士からもらえることになります。また、相性については税務においては税理士とコミュニケーションをとる機会が多いため、やはりコミュニケーションがとりやすい税理士と契約する方が経営者にとって最大限税理士を活用できるかと思います。
ITに強い税理士について
近年では、リモートワーク等も一般的になりITの活用が当たり前になってきております。そのため、過去税理士とのコミュニケーションは訪問や郵送のやり取りが一般的でしたが、徐々にITツールを使ったコミュニケーションが普及しつつあります。税理士も事務所によって対応方針が異なっており、ITツールに強い税理士事務所もあれば、そうでない税理士事務所もあります。対面等ではなくITツールを使って効率的に依頼をしたいという方については、ITに対応可能な税理士を探されることをお勧めします。
作家に強い税理士の具体例
作家に強い税理士にはどのような方がいるのでしょうか、インターネットの公開情報で検索した結果も踏まえて下記に記載をしていきます。
たけだ税理士事務所様
まずは、たけだ税理士事務所様です(https://takedacpta.jp/service/tax-return-creator/)。個人クリエイター向けに特化されたサービスをお持ちの特徴のある会計事務所様になります。クリエイティブ業界に大変詳しく、滋賀県長浜市を拠点とされています。
税理士法人長沼税務会計事務所様
次に、税理士法人長沼税務会計事務所様です(http://www.naganuma.com/expenses_2/)。こちらも漫画家・作家等に強い事務所様になります。所得税・法人税・消費税の確定申告や税務相談はもとより、資金繰りや法人化支援などのサービスも提供されています。
宮嶋公認会計士・税理士事務所
最後に、当事務所になりますが、宮嶋公認会計士・税理士事務所です。(https://tax-miyajima.com/)。当事務所も、確定申告や記帳代行などの税務サービスのみでなく、外資系経営コンサルティング会社やCFO経験を活かした、経営コンサルティングサービスおよびDX・デジタルに非常に強みを持っている特徴的な事務所になります。特にコンサルティング経験も豊富ですので作家のお悩みを深く理解し、適切なアドバイスをさせていただくことが可能です。
まとめ
以上のように作家にとって税理士は必要かについて記載してきました。こちらの記事を参考にして、ぜひ税理士選びのサポートとしていただけると光栄です。
税理士をお探しの方は、宮嶋公認会計士・税理士事務所へお問合せください(初回無料相談)
この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。