この記事ではライバーの方が確定申告を行うにあたって、確定申告に必要な書類は何か?そもそも自分は確定申告の対象なのか?確定申告を行うにあたって気をつけるべき点は何か、などについて解説を行っていきます。税理士の活用を検討中のライバーの方については併せて、「ライバーが税理士を活用するメリットについて徹底解説
」の記事もご参考ください。
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ライバーの確定申告を徹底解説
ライバーは確定申告が必要か?
ライバーとして配信アプリや事務所から報酬を得ている場合、多くのケースで確定申告が必要となります。その義務の有無を判断する上で重要なのは、アプリ上の「獲得ポイント」や口座に振り込まれた「報酬額」そのものではなく、そこから機材費や通信費などの経費を差し引いた「所得(利益)」がいくらあるかという点です。
専業ライバー(個人事業主)の場合
ライバー事務所(ライバーエージェンシー)と契約したり、フリーランスとして複数のアプリで活動したりしている専業ライバーの場合、1月1日から12月31日までの1年間の「事業所得」が、国が定める「基礎控除額」を超えた場合に確定申告が必要となります。
基礎控除額とは、すべての人に適用される「税金がかからない枠」のことですが、この金額は税制改正や個人の合計所得金額によって変動する仕組みになっています。重要なのは、ご自身のライバー事業による所得(投げ銭報酬+時給報酬-必要経費)が、その年にご自身に適用される基礎控除額を上回っているかどうかです。売上が大きくても、防音室の設置費用やハイスペックPCへの投資、イベント企画費などで経費がかさんでいれば、所得は低くなり、申告義務が生じないケースもあり得ます。
しかし、ライバーにとって確定申告は「義務」以上の意味を持つことがあります。 事務所所属のライバー(あるいは一部アプリの公式ライバー)の場合、報酬支払いの段階であらかじめ「源泉所得税」が差し引かれているケースがあります。これは、報酬の約10.21%などが先に税金として天引きされている状態です。 ライバーは、自宅家賃の一部や機材費など、経費計上できる項目が多いため、実際に納めるべき税額よりも、源泉徴収で天引きされた金額の方が多くなっていることがよくあります。この場合、確定申告を行うことで、払いすぎていた税金が還付金として戻ってきます。つまり、ライバーにとって確定申告は、単なる手続きではなく、自分の報酬の一部を取り戻すための重要なアクションなのです。
副業で配信している場合
会社員やアルバイトとして働きながら、帰宅後や休日に配信を行って収入を得ている「副業ライバー」の場合も注意が必要です。この場合、本業の給与以外の所得(ライバー活動による所得)の合計が、一定の基準(一般的に20万円)を超えると確定申告が必要となります。 副業であっても、配信のために購入したリングライトや衣装、コスメ(配信専用の場合)などは経費となります。これらを売上から引いた利益が基準を超えるかどうかが判断の分かれ目です。
住民税の申告に関する注意点
「所得が基準以下だから確定申告はしなくていい」というのは、あくまで国税である「所得税」の話です。お住まいの地域に納める「住民税」には、そのような少額不申告の特例はありません。ライバー活動による所得が少しでも発生していれば、別途、市区町村へ住民税の申告を行う必要があります。これを怠ると、所得証明書が発行できないなどの不利益を被る可能性があります。
ライバーが確定申告しないとどうなるのか?
仮にライバーの方が確定申告をしなかった場合、どうなるのでしょうか?その場合、税法上は無申告の状態となります。無申告の状態からすぐに何かが発生するわけではありませんが、後日税務署が調査に入った際に無申告であることが判明するとペナルティを受けることになります。様々なペナルティがありますが、一番大きいものでいくと加算税です。無申告の場合は、無申告であった期間の税金が請求されるだけでなく、ペナルティとしてその税金の一定率を加算税という形で請求されます。つまり、本来支払うべき税額よりも高い税額を支払う必要があるのです。このように確定申告を行わないとペナルティが大きいため、確定申告は忘れずに行うようにしましょう。
ライバーが確定申告の際に押さえておくべきポイント
確定申告には白色申告と青色申告の2種類がある
確定申告の種類は2つあります。1つ目は白色申告です。白色申告で確定申告を行う場合は特に手続きを行う必要はありません。白色申告の場合、後述する青色申告ほど細かい決算書や帳簿書類を作成する必要はありませんが、青色申告で得られる特典はありません。青色申告で確定申告を行うのは手間と時間がかかりすぎて難しいという方は白色申告で確定申告するのも一つの手でしょう。
2つ目は青色申告です。青色申告で確定申告を行う場合、事前に「青色申告承認申請書」の届出が税務署へ必要となります。この提出がない場合はそもそも青色申告で確定申告を行うことができず、白色申告での確定申告となりますので、留意が必要です。青色申告の場合、白色申告と異なり帳簿書類の作成・保存などの要件が厳しくなりますが、各種税務上の特典があります。
白色申告よりも青色申告の方がお得
青色申告で確定申告を行う場合、まず事業所得や不動産所得から最大65万円の控除を個人事業主の場合行うことが可能です。またそれ以外にも、配偶者などの親族を従業員とする場合に白色申告は経費として控除できる上限が決まっていますが、青色申告の場合は実際に支払った金額まで控除することが可能となります。
初心者は白色申告でも良いので確定申告をした方が良い
確定申告のやり方がわからないからと言って、確定申告をしないのはよろしくないです。なぜなら、納税すべき金額があるにもかかわらず税金を支払わないことになりますので、後日ペナルティを含めて税務署から支払いの請求を受けることになります。白色申告であれば青色申告ほど帳簿作成の難易度も高くないですし、国税庁の用意しているWEBサイトのガイドに従っていけば初心者の方でも申告ができるような仕組みになっています。そのため、確定申告提出期限に間に合うよう、諦めずに確定申告をするようにしましょう。
経費のレシート等の保管はしっかりと行う
経費等のレシートは、収入から経費を控除する上で非常に重要な書類となります。経費等のレシートがない場合は最悪経費控除できない可能性もあるため、税負担がその分だけ重たくなってしまいます。そのため、紛失しないように必ずファイリングするなど丁寧に保管しておきましょう。
ライバーが確定申告する方法
収入と支出が把握できる書類を整理する
確定申告書作成の第一歩は、対象となる年度の収入と支出が把握できる書類を揃えるところから始まります。日々記帳をしている方はそんなに大変な作業ではないですが、確定申告シーズンまで何もしてこなかった方については、このタイミングで初めて記帳を開始するため、この準備で手間取ってしまうと、全てのスケジュールも後ろ倒しになってしまいます。確定申告に必要な書類としては、領収書、請求書、銀行口座明細、クレジットカード明細、源泉徴収票、などが該当します。
確定申告書の作成
確定申告書を準備した書類に基づいて作成をしていきます。よくあるミスとしては、収入や経費の計上が漏れることです。入力漏れや証憑類を紛失してわからなくなるケースが多いと思います。入力ミスについては、必ず2回チェックすることで防ぐことができますし、書類の紛失については紛失しないように入手時にしっかりとファイリングして保管しておくことで防止できます。
確定申告書の提出
作成した確定申告書は税務署へ提出しないと意味がありません。提出期限は税務署へ提出する期限になりますので、留意するようにしましょう。提出の仕方としては、書類を税務署へ持っていく方法、書類を郵送で税務署へ送る方法、e-taxでインターネットを活用して提出する方法、の3つが考えられます。
税金の納付もしくは還付
確定申告書を提出したら終わりではなく、確定申告書上で税金の納付が必要な方については、確定申告書提出後、その金額を納付する必要があります。また、確定申告の結果還付になる方については、後日銀行口座に還付金が振り込まれることになりますので、必ず確認するようにしましょう。
ライバーが確定申告で活用できる控除
ライバーのみが特別に確定申告で控除できる制度はありませんが、ライバーとして特に税法上の制約はないため、他の方が使える控除を同じにように利用することが可能です。すでに記載した基礎控除に加えて、事業所得の控除(最大65万円)、配偶者がいる場合に活用できる配偶者控除など様々な制度があります。
確定申告はインターネットを活用して可能
確定申告について、過去は書面で作成したものを税務署へ提出もしくは郵送することが一般的でした。最近では、e-taxというインターネットを通じて確定申告を提出することが一般的になってきました。もちろん紙の書類で作成して税務署へ提出することも可能ですが、e-taxの方が圧倒的に便利ですので、e-taxを活用されることをお勧めします。
申告する所得の種類にもよりますが、複雑な申告でなければ国税庁が用意しているWEBサイトより申告も可能です。確定申告ができるソフトウェアも存在しますが、基本的には法人の経理担当者むけもしくは税理士むけに作成されていますので、個人が利用するには費用的にも操作も難易度が高いものになっています。
確定申告には会計ソフトの活用がお勧め
確定申告を行うにあたっては、そのベースとなる帳簿類の作成や明細の整理などが必要になります。エクセルを活用して作成することもできますが、帳簿類の作成はエクセルのみだと難易度が高いです。最近ではクラウド会計ソフトで低料金で手軽に帳簿類が作成できるようになりました。そのためエクセルではなく、帳簿類を作成するにあたっては会計ソフトを活用されることをお勧めします。
クラウド会計ソフトを活用する場合、全ての仕訳を手動で入力しなくても、クレジットカードや銀行口座などを連携することで自動で会計仕訳を作成してくれて、月次の決算書まで作成してくれます。また領収書などもカメラで読み取ることで、ある程度自動で仕訳を作成してくれる機能もあります。そのため、クラウド会計ソフトを活用することでエクセルなどの表計算ソフトを使うよりも圧倒的に時短となるのです。会計ソフトの中には簡易的な税務申告ができるものもあります。
ライバーの確定申告を徹底解説 まとめ
以上にように、ライバーの方が確定申告を行う方法について解説をしてまいりました。こちらをご参考にぜひ確定申告に取り組んでみてください。
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この記事の作成者 宮嶋 直 公認会計士/税理士 京都大学理学部卒業後、大手会計事務所であるあずさ監査法人(KPMGジャパン)に入所。その後、外資系経営コンサルティング会社であるアクセンチュア、大手デジタルマーケティング会社であるオプトの経営企画管掌執行役員兼CFOを経験し、現在に至る。
